コミックビーム収録作品リスト(2004年)

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2004年11月号

収録作品
うすね正俊表紙
うすね正俊砂ぼうず連載再開・含4C
岩原裕二いばらの王
桜玉吉御緩漫玉日記
志村貴子放浪息子
鈴木みそ銭−ぜに−
森薫エマ
須藤真澄庭先案内
タイム涼介あしたの弱音
竹本泉よみきりもの「神秘の秘密」
羽生生純青 オールー
しりあがり寿真夜中の水戸黄門
福島聡起動旅団八福神
カネコアツシSOIL
須田信太郎ハードコアパパ
唐沢なをきさちことねこさま
安永知澄やさしいからだ
ミトマヒロミクルフェア
いましろたかしラララ劇場
作:marginal+画:竹谷州史ASTRAL PROJECT 月の光
上野顕太郎夜は千の眼を持つ
水野純子ファンシージゴロ▽ペル
山川直人コーヒーもう一杯
新谷明弘からだの国のありす
小池桂一ウルトラヘヴン
市橋俊介敗北DNA
金平守人金平 de R

 うすね正俊「砂ぼうず」が復活。巻頭カラーで連載再開。今度の主役は小砂で、砂漠では「てるてるぼうず」の通り名で呼ばれてるらしい……ってな感じの出だし。アニメ版のほうは見たいんだけど、ウチのほうだと10月現在の時点では見られない。そのうちどっか見られる局で放送が始まってくれるといいなー。桜玉吉「御緩漫玉日記」。トクコちゃんは今回もかわいくてちとエロっちい。なんか生殺し感がたまらないっす。いましろたかし「ラララ劇場」は、BAR凡堀でマスターの昔語りを聞く話。しょーもない内容を落ち着いた調子で淡々と述べる語り口がなんかいい。力の抜けた作風が妙に心地よく感じられた。

 森薫「エマ」。文通を重ねるエマとウィリアムだが、やりとりが繁くなるにつれ二人の「会いたい」という気持ちが募る。エマのけっこう情熱的な一面が垣間見れて、なかなかに切ない展開。実際に会っているわけではないけど、いや、それだからこそかな、なんかとても濃密な感じのする回だった。「好き」というのをダイレクトに言葉に出してる分、強いインパクトを感じたのかも。志村貴子「放浪息子」。修一くんの女装癖がバレたことで、いろんなところに影響が。今回はお姉ちゃんがらみの人たちの話。そんな中、オーディションがきっかけで知り合った女の子たちとか新キャラが出てきて、どういうことしてくれるのかなーとワクワク。気の強そうな安那ちゃんは面白そうな娘さんです。 安永知澄「やさしいからだ」。今回は彼女のいる男にかなわない恋をしている女性・新垣葉子さんの気持ちを綴った話で、現実と想像の垣根がだんだんぐちゃぐちゃになっていく様子が痛々しくてズーンと響く感じだった。

 読切、ミトマヒロ「ミルクフェア」。同窓会で以前つき合っていた女の子が母になったのを目撃して萎える主人公の姿を描く。8ページながら、絵柄はスッキリしてて感触は悪くない。新谷明弘「からだの国のアリス」は久々の掲載。なんかたいへんなことになってますなあ。今回は8ページと短いのでもうちょっと読みたいところではあります。


2004年10月号

収録作品
写真:「恋の門」劇場版表紙
岩原裕二いばらの王含4C
羽生生純青 オールー
唐沢なをきさちことねこさま
竹本泉よみきりもの「たつはしら」
森薫エマ
志村貴子放浪息子
須藤真澄庭先案内
福島聡起動旅団八福神
桜玉吉御緩漫玉日記
しりあがり寿真夜中の水戸黄門
鈴木みそ銭−ぜに−
カネコアツシSOIL
タイム涼介あしたの弱音
須田信太郎ハードコアパパ新連載
作:marginal+画:竹谷州史ASTRAL PROJECT 月の光
安永知澄やさしいからだ
いましろたかしラララ劇場
田邊剛続呪画
水野純子ファンシージゴロ▽ペル
上野顕太郎夜は千の眼を持つ
山川直人コーヒーもう一杯
市橋俊介敗北DNA
小池桂一ウルトラヘヴン
金平守人金平 de R

 「これから定期購読はeS!BOOKSiconのほうで申し込んでくれー」というお達しが。出版社直販の定期購読で付けていたおまけは、eS!BOOKSのほうでも11月号から付けてくれるそーです。あっちは送料も無料だし、次の更新時には切り替えるようにします。またビームのWebページがリニューアルして「空間コミックビーム」になるとの由。今度は会員登録制の「コミックビームの読者を中心としたコミュニティサイト」になるそうで、ビームの巻末読者ハガキで申し込むと仮パスワードが発行される仕組み。詳しくは買おう、コミックビーム。あと今号には「恋の門」の映画情報や、「砂ぼうず」「エマ」のアニメ化情報もあり。

 須田真太郎の新連載「ハードコアパパ」がスタート。ロックスターにはなれなくてハードコアプロレスのレスラーとなった男、ボルケーノ坂田の前に、ずいぶん昔に別れた女との間に生まれた息子が現れ、なんだか「給食費をくれ」といってくるという出だし。相変わらずの泥臭く男臭い情念があふれまくった作風でやはり期待してしまう。この人の作品で期待を裏切られたことはあんまりないしね。羽生生純「青 オールー」。まさに決戦前夜という感じ。差脳の描いた絵が、どのような殺戮劇となって現実化するのか楽しみ。殺し屋おばさん線子の活躍にも期待したい。

 森薫「エマ」。ロンドンでウィリアムと再会したエマは、憑き物が落ちたかのようにウキウキ仕事。それを怪しむ男も一人。最近ふさいだり泣いたりしていることが多かったので、なんだか新鮮に感じました。志村貴子「放浪息子」。交換日記がバレて大いに傷ついた高槻よしのさんが、大人であるユキさんに相談して一つの決意を固める。うーん、思わず頑張れ〜とかいいたくなりますなあ。いわれても困るだろうけど。なお今回は高槻さん、ユキさん以外の人はほとんど出番がありません。桜玉吉「御緩漫玉日記」。タモキチ氏がアシスタントのめがねっ娘とサシでしゃぶしゃぶに行く約束をしてしまいあららららという回。ちなみにまだ行ってはいないです。他人の恋愛話というのは気楽に読めていい。


2004年9月号

収録作品
森薫表紙
森薫+福島聡すみれの花付録小冊子
福島聡起動旅団八福神含4C
森薫エマ
志村貴子放浪息子
須藤真澄庭先案内
桜玉吉御緩漫玉日記
鈴木みそ銭−ぜに−
岩原裕二いばらの王
竹本泉よみきりもの「楽でない人生」
唐沢なをきさちことねこさま
市橋俊介敗北DNA
作:marginal+画:竹谷州史ASTRAL PROJECT 月の光
いましろたかしラララ劇場
しりあがり寿真夜中の水戸黄門
安永知澄やさしいからだ
山川直人コーヒーもう一杯
上野顕太郎夜は千の眼を持つ
水野純子ファンシージゴロ▽ペル
タイム涼介あしたの弱音
カネコアツシSOIL
羽生生純青 オールー
小池桂一ウルトラヘヴン
金平守人金平 de R

 今号には作:福島聡+画:森薫の合作読切「すみれの花」の小冊子が付属。片や非常にオープンでちとだらしない、片や品性にこだわり頑なな態度を取る、芸大志望の二人の少女の姿を描いた作品。まったく合わず反発するようでいて、なんとなく惹かれ合うものを感じる女子二人。なかなか魅力的なキャラなんで、この続きも読んでみたいと思った。合作の効果だが、作画は森薫だけど、これは確かに福島聡だなあと思う。コマ割とかストーリーの進め方とか、作品が終わった後もドラマは続いていきそうな余韻を残すラストも福島的。とはいえもちろん作画者が違うだけあって異なるテイストになっている点はある。福島聡の作画だとドライになりすぎる部分があるのに対し、森薫の絵柄は潤い成分が多めなのでお話が丸くなっている印象を受けた。ただラストはちょっとつきっぱなすようなところがあるので、福島聡の絵柄のほうが収まりが良かったかも。森薫の絵柄だとラストはもっと明快なほうが合うと思う。まあなんにせよ、どちらもノッている作家ということで、面白い試みだったと思います。

 で、森薫は「エマ」が雑誌の表紙&連載再開。ロンドンからお屋敷に戻ったエマは、メイドモードにシフトチェンジ。変身シーンにページをふんだんに使っているあたりにこだわりが感じられて良かった。福島聡「機動旅団八福神」は2話め。中国からやってきたクールでシビアな戦闘員候補が今回のメイン。サディスティックな雰囲気がカッコイイけど、お話的にはまだ見えてこないかな。志村貴子「放浪息子」では、「よしの」と名乗る女装モードの修一くんが、姉のクラスメートの少年とデートすることに。まあそれはそれとして、修一の新しい友達で同じ趣味の持ち主であるメガネくん・マコちゃんがこれはこれでカワイイなというのが気になる回でした。安永知澄「やさしいからだ」。角沢栄一シリーズの後編。家庭を持ってすっかり落ち着いた男の甘い追憶とありのままの現実を描いた、渋みのあるエピソード。角沢さんシリーズはフィクションっぽさと生っぽさの配分がいい具合で、なかなか面白かった。

 須藤真澄「庭先案内」2回め。前回とは打って変わって日本が舞台。続きモノなのかな〜と思っていたが、読切シリーズだった模様。鈴木みそ「銭」。今回はオシャレなカフェーのオシャレでない金銭模様に迫るといった内容。金持ちの父を持つお嬢さんが、軽い気持ちで喫茶店を始めるが、現実はなかなかそうお手軽じゃなくって……ってな感じか。絵柄も内容に合わせてちょいと変えている。器用ですなあ。金平守人「マヤとマユ」。この人も相変わらず器用です。今回はホラーテイストのお話で、絵柄のほうも頭身低めかつツヤ消しな感じで仕上げきている。マヤたんマユたんカワイイなあ……とかいうのもまた一興。あと山川直人「コーヒーもう一杯」に出てきた女の子もなんかかわいかったな。小池圭一「ウルトラヘヴン」は2話一挙掲載。実は前回、連載のうち1話をすっ飛ばして掲載していたんだそうな。正直に申しますと気づいてませんでした……。この作品の場合、物語面は単行本でのまとめ読み時に捕捉し、雑誌読みではそのときどきでトリップ感を味わえればいいやといった感じで見ているんで。


2004年8月号

収録作品
福島聡/須藤真澄表紙
福島聡起動旅団八福神新連載・含4C
鈴木みそ銭−ぜに−
桜玉吉御緩漫玉日記
岩原裕二いばらの王
しりあがり寿真夜中の水戸黄門
いましろたかしラララ劇場
須藤真澄庭先案内新連載・含4C
志村貴子放浪息子
唐沢なをきさちことねこさま
竹本泉よみきりもの「目がさめたら朝」
安永知澄やさしいからだ
カネコアツシSOIL
羽生生純青 オールー
水野純子ファンシージゴロ▽ペル
タイム涼介あしたの弱音
作:marginal+画:竹谷州史ASTRAL PROJECT 月の光
上野顕太郎夜は千の眼を持つ
山川直人コーヒーもう一杯
市橋俊介敗北DNA
小池桂一ウルトラヘヴン
金平守人金平 de R

 福島聡の新連載「機動旅団八福神」がスタート。戦時下にある架空世界の日本の軍隊の入隊式の最中に、敵との戦闘が勃発。入隊したばかりの男女もそれに巻き込まれていくが……という出だし。どういう感じで進むのかまだよく分からないけど、日本軍側の武器がヘンな着ぐるみみたいな奴だったりコミカルな部分もあり。まずはしばらく様子見。須藤真澄も新連載「庭先案内」。アジアの山奥の村に、幻灯機のようなモノで人々が見たことのない風景を見せる(というか体験させる)老人がやってきて、村の少女がそれに感動する。前作「おさんぽ大王」と違って、今回はかなりファンタジー路線で行きそう。主役になるのは少女と老人、どっちなのかな?

 志村貴子「放浪息子」。女装趣味、男装趣味がバレたニ鳥くん、高槻さんは周囲からの好奇の視線にさらされ、いつもの4人組もバラバラな状態に。そんな中、二鳥くんには同じく女装してみたいと考える新たな友人が。眼鏡くんなマコちゃんはちょっと小憎らしげだけど、これはこれでかわいくもあり。安永知澄「やさしいからだ」。現在は老人介護の仕事をやっている案外モテる男・角沢栄一が、荷物の中から出てきた一冊の日記を読んで、追憶に浸ると共に悔恨の情に包まれる。昔の出来事も含めて甘さはあるが全体的にはけっこう苦い展開になってきた。なかなか読ませる。

 羽生生純「青 オールー」。チルが再登場したと思ったら、差能を神のごとく崇めるひきこもりとなっていた。というわけで一行にまた新たなメンツが。最後のコマでボートこぎの歌を歌うシーンはちょっと笑った。山川直人「コーヒーもう一杯」。途中でいきなりブラックな展開になってどうなるかと思ったが、最後はきっちり着地してくれて安心した。


2004年7月号

収録作品
しりあがり寿表紙
しりあがり寿真夜中の水戸黄門新連載・含4C
岩原裕二いばらの王
竹本泉よみきりもの「しとしとのつゆ」
唐沢なをきさちことねこさま
桜玉吉御緩漫玉日記
志村貴子放浪息子
きなみなみカエル
森薫エマ
安永知澄やさしいからだ
羽生生純青 オールー
入江亜季アルベルティーナ
水野純子ファンシージゴロ▽ペル
カネコアツシSOIL
いましろたかしラララ劇場
作:marginal+画:竹谷州史ASTRAL PROJECT 月の光
タイム涼介あしたの弱音
小池桂一ウルトラヘヴン
市橋俊介敗北DNA
千田悟史ミッドナイト アイスクリーム
上野顕太郎夜は千の眼を持つ
山川直人コーヒーもう一杯
金平守人金平 de R新連載

 しりあがり寿「真夜中の水戸黄門」が連載スタート。表紙のイラスト見たら、やけに弥次さん喜多さんに似ちょるのうと思ったけど、それもそのはず。弥次喜多が転生してスケカクになるという設定だった。インパクトのある出だしだが、前作に匹敵、あるいは越えられるような作品になるだろうか。まずは期待。新連載はもう1本。金平守人「金平deR」。こちらはもういうまでもなくいつもどおりと申しますか……。

 志村貴子「放浪息子」は、似鳥くんたちにとってかなりしょっぱい事態になってきております。似鳥くん、高槻さんの交換日記が同級生によって奪われ、例の趣味がバレてしまうという展開。今回のサブタイトルは「半狂乱」。うわー、どうなっちゃうんだろうと心乱される。彼らの行く末がものすごい勢いで気になる。森薫「エマ」は、ウィリアムのパパママ話が引き続き。ヤングママが可憐でええですな。安永知澄「やさしいからだ」。今回は角沢栄一さんのお話。←などと書いても全然あらすじ説明にならないですが。荷物の中から出てきた1冊の古い日記がお父さんの記憶を揺り起こす。まずは過去の想い出をトキメキ十分に語る暖かくちょっとニヤリとする出だし。今回は前編なんで、これを今後どう着地させるかも楽しみ。

 入江亜季「アルベルティーナ」。同人誌では入江アリ名義で活躍してて、ぱふで入江あき名義で「フクちゃん旅また旅」を描いたりしている新鋭が初登場。とあるカフェの看板娘・ティナが主人公。ティナはその色っぽさで男たちを翻弄しその心をとらえて離さないが、そんな彼女にも気になって仕方ない客が一人。ティナの男を引き込むようなミステリアスで艶めかしい目つきがたいへん印象的。気品とキレと色気のある作画が気持ち良く、美しい仕上がり。ビームデビューとしては、まず十分なインパクトはあったんじゃないだろうか。うまい人だし、もっとどんどん描いていっていただきたい。

 きなみなみの読切「カエル」は、鈴木みそ「銭」の代原ですかね。男に円のない生活を送ってきた一人の女性の悶々とした日常を描く。くにゃくにゃした描線でヒロインの心情を絞り出してくるような作風が個性的。この人の漫画は読んでいて妙に気持ち良くて好き。千田悟史「ミッドナイト アイスクリーム」も良かった。冬の夜に買い物に出た姉弟が、子供のころに出会った不思議なできごとを思い出すというファンタジー。親しみやすい暖かみのある絵柄で好印象。個人的にはこれまで読んだ千田悟史作品の中では一番好きかも。


2004年6月号

収録作品
カネコアツシ表紙
桜玉吉御緩漫玉日記本格連載開始・含4C
カネコアツシSOIL
須藤真澄おさんぽ大王特別編
岩原裕二いばらの王
作:marginal+画:竹谷州史ASTRAL PROJECT 月の光
いましろたかしラララ劇場
竹本泉よみきりもの「天までとど…」
上野顕太郎夜は千の眼を持つ
唐沢なをきさちことねこさま
タイム涼介あしたの弱音
志村貴子放浪息子
森薫エマ
鈴木みそ銭−ぜに−
安永知澄やさしいからだ
小池桂一ウルトラヘヴン
山川直人コーヒーもう一杯
羽生生純青 オールー
市橋俊介敗北DNA
中嶋教介TEXAS9
カイトモアキ高畑→II
あすなひろし幻のローズマリイ
金平守人がんばれ!せせらぎちゃん最終回

 桜玉吉「御緩漫玉日誌」が本格連載開始。「こんなに描いちゃっていいのかー」と思うようなぶっちゃけた内容でたいへん面白うございました。種村編集長のエピソードと絵が面白すぎる。あとこのシリーズは、女性がやけに色っぽい。アシスタントのトクコちゃんだけでなく、チョイ役の女性社員の人も。須藤真澄「小さい夜の音楽」は、「おさんぽ大王」の特別編。須藤真澄がバリ嶋に「ジェゴク」という竹琴の演奏を聞きにいってジゴクを体験……イッツジョーク。まあいろいろタイヘンだった模様です。

 竹本泉「よみきりもの てんまでとど…」は、日に日に身長が伸び行くのが悩みの大きなおねえちゃんのお話。当然ツッコミ役の男の子はチビだー。チビ男子デカ女子エピソードはなんだかけっこうトキめくものあり。志村貴子「放浪息子」。今回も面白い。修一くんは今日もかわいいし、いろいろ御目覚めな季節であります。森薫「エマ」。今回はエマたちが生まれる前のエピソード。ウィリアムのとーちゃんかーちゃんのころのお話。最初、1ページめの欄外を見逃してしまい、一瞬なんだろうと思った。こういう回のときは、欄外ではなく、本編にも「エマとウィリアムが生まれる前のお話」みたいなことは書いておいたほうが分かりやすいのではないかと。単行本になったら欄外の書き文字はなくなるんだし。安永知澄「やさしいからだ」。今回はちょっと分かりにくいかな。なお単行本1巻は5月26日発売。めでたい。


 また今回は2004年5月号の回収騒ぎについてのお詫びも掲載。「鋼の錬金術師」「ONE PIECE」をパロディした付録が原因だったとのこと。ネットでもいろいろと取り沙汰されていたが、自分としてはあんまり興味がなかった。そりゃ買った本を返せっていわれたら怒るけど、自分に実害があるわけでもなし、正直なところどうでもいいやと思っていた。発売後2週間以上経ってからの回収だったから熱心な読者はもう購入済みだったろうから、部数的な影響も少なかったんじゃないかな。まあ売上についても、出版社側が考えればいいのであって読者が心配するような話でもないし……。


2004年5月号

収録作品
金平守人表紙
作:marginal+画:竹谷州史ASTRAL PROJECT 月の光含4C
岩原裕二いばらの王
金平守人がんばれ!せせらぎちゃん新連載
唐沢なをきさちことねこさま
カネコアツシSOIL
タイム涼介あしたの弱音
小池桂一ウルトラヘヴン
志村貴子放浪息子
鈴木みそ銭−ぜに−
森薫エマ
竹本泉よみきりもの「発熱の方角」
いましろたかしラララ劇場
水野純子ファンシージゴロ▽ペル
羽生生純青 オールー
山川直人コーヒーもう一杯
上野顕太郎夜は千の眼を持つ
安永知澄やさしいからだ
カイトモアキ高畑→
市橋俊介敗北DNA
きなみなみ走れ走馬灯!!
あすなひろしさりげないあした

 今号は表紙、特別付録、新連載と金平守人まつり。特別付録は、金平守人の既刊単行本4冊が収納できる特製ブックケース。このブックケースは、ケースというよりもロの字型をした単行本をまとめておける厚紙製のカバーという感じのもの。B6の単行本なら入るので金平単行本を持っていなくても活用できるので便利。「エマ」とか収納するとファンにいやがられたりするかもしれないので注意が必要ですぞ。新連載「がんばれ!せせらぎちゃん」は、「めざせ学園スーパーラブコメ!!」と銘打たれているが、本当にラブコメです。巻末でもない。突然転校してきたお嬢さまに心トキメくクラスメートの大滝くんだが、彼女はなんだかノーフューチャーな人らしくって……といったあたりで以下次号。けっこうちゃんとラブコメしててまずは悪くないです。

 森薫「エマ」。今月号の展開には、メロメロ骨抜きにされている方も多いご様子。そりゃあまあ、こんなの見せられたらそうもなりますわなあと納得の出来。個人的にエマとウィリアムは再会しないままのほうが美しいかなあと思っていたのだけど、これはこれでドラマチック、ロマンチックで良いものでありました。やっぱり表情がいいよねえ。うん。こうなったからにはおかあさまのご尽力に期待、であります。志村貴子「放浪息子」。お姉ちゃんにまきぞえで修一くんもなんだかのオーディションにねじ込まれてしまいますが……。いつもながら楽しくかわいく。そしてラストの展開でウヒョーと。竹本泉「よみきり?もの 発熱の方角」は、体温の高い女の子と、そのお熱に当てられちゃってる男子のお話。なんか今回はずっと顔が赤らんでて妙にトキメキ感ありました。山川直人「コーヒーもう一杯」は、とあるスリと老刑事のお話に珈琲の香りをからめて。渋みのあるいいエピソード。

 小池桂一「ウルトラヘヴン」は2年ぶりに連載再開。中断前と変わらぬ超緻密な絵で、グラグラするトリップ世界を描いている。カッコイイねえ。読切のきなみなみ「走れ走馬灯」。きなみなみは漫画ではなんと6年ぶりの登場。4年生の研究生がチベットから持ち帰ってきた秘法により、大学のゼミメンバーみんなのこれまで秘めていた想いがだだもれになってしまうという青春ドラマ。いくぶんへろへろした感じの描線が個性的で、思考が次から次へとあふれ出ていく様子も妙に気持ちがいい。この人の才能には見るべきところがあると思うので、もっとどんどん描いていってほしいもんです。カイトモアキ「高畑→(NEXT)」前編は、生徒に馬鹿にされている女教師をおそろしくぶっ飛んだ生徒・高畑くんがアナザーワールドへご招待。濃すぎるくらい濃い絵がとにかっく暑苦しく、もうムンムン来てます。爆発力もあるし個人的にはすごく楽しい。うっとうしい作風だけど、そこがいいんだー。あと今号には6月末の作品集2冊発売にあわせて、あすなひろし「さりげないあした」が掲載。


2004年4月号

収録作品
竹谷州史表紙
作:marginal+画:竹谷州史ASTRAL PROJECT 月の光新連載・含4C
岩原裕二いばらの王
森薫エマ
羽生生純青 オールー
竹本泉よみきりもの「雪ふれば」
唐沢なをきさちことねこさま
いましろたかしラララ劇場
カネコアツシSOIL
タイム涼介あしたの弱音
志村貴子放浪息子
鈴木みそ銭−ぜに−
田邊剛アウトサイダー
山川直人コーヒーもう一杯新連載
水野純子ファンシージゴロ▽ペル
上野顕太郎夜は千の眼を持つ
安永知澄やさしいからだ
千田悟史風見夜の冒険
中嶋教介家子のオーディション
市橋俊介敗北DNA
福島聡少年少女最終回
金平守人KANEHIRA-DEATH

 竹谷州史の新連載が開始。タイトルは「ASTRAL PROJECT 月の光」で原作はmarginal。姉が死んだという連絡を受け勘当状態だった実家に戻り遺品として彼女が最後に聞いていたCDを持ち帰った主人公。そのCDを聞いている最中に、彼は幽体離脱を体験する……という出だし。どういう物語になるのか今のところ分からないけど、とりあえず怪しげで意味深なスタート。山川直人「コーヒーもう一杯」も新連載。街角のギター弾きの青年を気に入ったお嬢さま。しかしその背景には哀しい物語があって……。新連載だけど最初から山川直人らしい叙情が存分に発揮されていて、安定感抜群。手堅く読める作品になりそうで毎号の楽しみが一つ増えた。福島聡「少年少女」は最終回。やはりこの作品の締めはヨシコとゴロー。この二人には幸せになっていただきたいなあと思わずにはいられない締めくくり。二人の確かな絆を感じさせつつ、やはりこの人らしく最後まで抑制は効いてました。

 森薫「エマ」。エマがトロロープ夫人(ウィリアムの実ママン)のお供としてパーティに出させられる。コルセットとかでエマをいじりまくる描写にまずは萌える回。そしてパーティの席上では……という展開で以下次号。個人的には再会しないですれ違い続けるままのほうが切なくて良いかなあとも思ってるんだけど会っちゃいそうですね。志村貴子「放浪息子」。修学旅行でつらい経験をした二鳥くんだけど、そのおかげでちょっと強くなりました。今回は千葉さんがいいっすね。安永知澄「やたしいからだ」は、ものすごい汗かきであるさくらちゃんの恋模様。というか主人公はその彼氏の安倍秋緒青年。今回はわりと青春恋愛ストーリーという感じ。ちょっとミステリアスな味付けもあって、美しく仕上がっている。

 カネコアツシ「SOIL」。謎が一つ明かされたと思ったらまた謎が。これまでのカネコアツシ作品よりもだいぶお話のヒキが強くて面白い。単行本読んで頭の中で物語の整理が出来たこともあって、雑誌読みでも面白く読めるようになってきました。読切、中嶋教える介「家子のオーディション」。デフォルメの聞いたコミカルな絵柄だと思ったら、意外と日野日出志っぽい怖いお話だった。親に連れられてアイドルのオーディションなどに生かされている女の子が業病を患う。どんどんグロくなっていく少女の姿や救いのないラストとかはなかなかショッキング。こういう濃厚さはかなり好き。絵柄とのミスマッチも面白い。金平守人「KANEHIRA-DEATH」。あ〜バラしちゃった……。せっかくしらばっくれてたのに。「一杯の魂」の単行本はどうしようかなあといまだに迷ってます。


2004年3月号

収録作品
桜玉吉表紙
岩原裕二いばらの王含4C
桜玉吉御緩漫玉日記
唐沢なをきさちことねこさま
森薫エマ
福島聡少年少女
竹本泉よみきりもの「雪ふれば」
上野顕太郎夜は千の眼を持つ
志村貴子放浪息子
鈴木みそ銭−ぜに−
作:DJ SPACE+画:小林哲也GYPSYLAND
タイム涼介あしたの弱音
カネコアツシSOIL
羽生生純青 オールー
いましろたかしラララ劇場
安永知澄やさしいからだ
水野純子ファンシージゴロ▽ペル
深谷陽炎天下のブラマンドゥ
市橋俊介敗北DNA
カイトモアキパンチ♥
田邊剛中二階のある家
AZUSA私のいる風景最終回

 100号到達! 何はともあれおめでたい。100号といえば8年以上も続いているわけで、よくこれだけのテンションを落とさずにいられたものだなあと改めて感心。身の丈に合った雑誌経営が功を奏したといえるんじゃないでしょうか。現在は黒字という話も聞くし、このぺースならば大赤字に転落なんてこともなさそうだし、会社のほうが許すようであればけっこうしぶとそう。というわけでこれからも期待しております。

 そんな嘉すべき号に、「裸のふたり」[bk1][Amzn] (感想は2002年8月のオス単を参照のこと)のカイトモアキが読切で登場。「パンチ♥」。至福の表情でサンドバックをぶん殴り続けているボクシング部員が主人公……と思ったら、なんかものすごいことやってた。いや〜カイトモアキはやっぱ濃いわ。今回の作画はちょっと釋英勝を思い出した。暴走しまくる特殊な愛情を描いた物語は毒性たっぷり。アクが強いので読者を選ぶだろうけど、そこがいいんだー。

 森薫「エマ」。わーい、乳だ! ワイチチビーチ。エマのニューご主人様、ヴィルヘルム妻がいい感じに妖艶な色気を発揮。その毒気に当てられているエマの表情も新鮮。志村貴子「放浪息子」。修学旅行に出かけるも、共同生活の中でガサツな男子たちから浮いてしまう二鳥くん。かわいそうに。安永知澄「やさしいからだ」。前回のエピソードで出てきたピアノ教師の視点から語られる物語。これまでとは違っておっさんが主役ということで地味な回だが、うすぼんやりとした怖さが演出できてて、なかなか読みごたえがあった。

 桜玉吉「御緩漫玉日記」後編。良かった、不穏な空気ははらみつつもそれなりに平和だった……。作:DJ SPACE+画:小林哲也「GYPSYLAND」はなんだか面白くなってきている。読んでいるとDJというモノの奥の深さ、面白みみたいなのがちゃんと伝わってくる。けっこうアツい。深谷陽「炎天下のブラマンドゥ」。バリ島シリーズ最新作。いつもながらのきっちりまとまった短編で、安心して読める。福島聡「少年少女」はまたしても違ったタッチで攻めてきた。本当に器用ですな。AZUSA「私のいる風景」は短期集中連載終了。沈黙は金って感じですか。


2004年2月号

収録作品
桜玉吉表紙
桜玉吉御緩漫玉日記新連載
森薫エマ
岩原裕二いばらの王
福島聡少年少女
カネコアツシSOIL
山川直人コーヒーもう一杯
唐沢なをきさちことねこさま
志村貴子放浪息子
鈴木みそ銭−ぜに−
市橋俊介敗北DNA
竹本泉よみきりもの「生徒会と奇妙な音」
安永知澄やさしいからだ
いましろたかしラララ劇場
作:DJ SPACE+画:小林哲也GYPSYLAND
羽生生純青 オールー
しりあがり寿真 ヒゲのOL 薮内笹子最終回
水野純子ファンシージゴロ▽ペル
上野顕太郎夜は千の眼を持つ
田邊剛呪画
タイム涼介あしたの弱音
千田悟史MAIL LAND
鈴木マサカズブルードッグ・ブルース最終回
AZUSA私のいる風景

 ビームもついに99号め。ちょっと前に前後編で掲載された桜玉吉「御緩漫玉日記」が本格連載化……なのかな? 目次ページには「大好評だった読切プレ新連載”御緩”の第2弾スタート!!」とある。まあいいか。で、今回の内容は、タイトルは「おゆるり」だが、なんか桜玉吉の家庭が崩壊しかかってたころのこととか描いててあんまりゆるくないっす。でもアシスタントの巨乳ちゃんがからんできて色っぽいお話になってたりして面白い。鈴木マサカズ「ブルードッグ・ブルース」は最終回。迷走を極めた青春物語だったが、最後は爽やかに締めた。この人は絵柄は泥臭くて地味だけど、なかなか深みのあるお話を描ける実力のある人だと思う。単行本……。しりあがり寿「真ヒゲのOL薮内笹子」も最終回。「ヒゲのOL」シリーズ自体は好きだが、今回のシリーズはあんまり乗れなかったかな。

 森薫「エマ」、志村貴子「放浪息子」はともに次の展開に向けての助走ってな感じのお話。まあとりあえず今回大きなことは起こらないけど、どちらも堅調なぺースで楽しめる。ちなみに今号には森薫描き下ろしの「着せ替えシャーリー」シール付き。実際に着せ替えて遊ぶ人は何人くらいいるのだろう……。もったいなくて使えないって人が多そう。そういう人はスキャナで取り込んで、フォトレタッチツールを使って着せ替えるといいと思います。福島聡「少年少女」。今度は未来派な話で攻める。本当にいろいろやりますなあ。

 読切・山川直人「コーヒーもう一杯」は、3人の男女のちょっと切ないお話を、コーヒーの香りに乗せて贈る物語。いつもながらの山川節で、しみじみした完成度の高い作品。この暖かみのある線はやはり魅力的。雑誌のザラザラした紙の質感にも合っていると思う。田邊剛「呪画」は、基金の村を義梵という名の僧が訪れたときのエピソード。しっかり細部まで描き込んだシャープな作画が印象に残る。なかなか力のありそうな人だが、「皆さんの感想が聞きたいです。ぼくはなにを描けばいいんでしょう?」という作者コメントはちと弱気かなーと思った。千田悟史は2001年9月号「雪のマフ」以来の掲載。とある少女が事情はよく分からないまま、ポストガールとして手紙の受け取りを拒否して逃げまくるMr.スネイル氏を追うという、ちょっと不思議な物語。絵柄は元気が良く親しみやすい。ただもう一つなんかインパクトのある武器が欲しいかなという気も。


2004年1月号

収録作品
森薫表紙
作:DJ SPACE+画:小林哲也GYPSYLAND含4C
唐沢なをきさちことねこさま
森薫エマ
竹本泉よみきりもの「ぼんよりの連続」
市橋俊介敗北DNA新連載
岩原裕二いばらの王
志村貴子放浪息子
いましろたかしラララ劇場
安永知澄やさしいからだ
カネコアツシSOIL
福島聡少年少女
羽生生純青 オールー
鈴木みそ銭−ぜに−
しりあがり寿真 ヒゲのOL 薮内笹子
水野純子ファンシージゴロ▽ペル
上野顕太郎夜は千の眼を持つ
鈴木マサカズブルー・ドッグ・ブルース
須田信太郎ウルティモ・スーパースター最終回
タイム涼介あしたの弱音
作:TKD+画:竹谷州史皆殺しのマリア最終回
AZUSA私のいる風景新連載

 今月号で個人的に一番ググッときたのが、須田真太郎「ウルティモ★スーパースター」の最終話。るちゃプロレスが狡猾なやり手プロデューサーに対して落とし前をつけ、そしてラストへ。垢抜けない作画で、魂を解放するプロレスの世界に生きる男たちを物語は、読んでいてとても気持ち良かった。最後は三波の成長も垣間見ることができてうれしかった。須田真太郎の人情味あふれる作風にはしばしば泣かされる。それから作:TKD+画:竹谷州史「皆殺しのマリア」も最終回。ちょっとラストはよく分からん状況だったけど、マリアがビシッとカッコイイままだったのでいいんじゃないでしょうか。市橋俊介「敗北DNA」は久々の新連載。以前連載していた「テルオとマサル」で見せた、暑苦しくて濃いギャグがすごく好きだったので今回も期待。ただ「敗北DNA」は4コマなので「テルオとマサル」よりはパンチ力が弱めかな。鈴木マサカズ「ブルードック・ブルース」は次号最終回を控え、ドシッと来る読みごたえ。単行本にまとまってくれるといいんだけど……。

 森薫「エマ」。エレノアの姉モニカという触媒が現われて、あららら〜といううちに思わぬ展開へ。個人的にはストレートにエマとくっつくわけにもいくまいよ、ていうかいかないでほしいなどと意地悪なことを考えていたので、これもまた良いんじゃあないかと思う。竹本泉「よみきり?もの」は連載再開。今回の「ぼんよりの連続」は、なんだかふにゃふにゃ姿勢が定まらない女の子と、それがなんか気になってしょうがない少年という、いつもの的図式。ぽやーんとしててかわいいですやね。志村貴子「放浪息子」はいつも変わらずいい感じに甘みが漂ってて楽しい。2003年を振り返ってみて、非常に充実していた作家の一人。キングダムやエロティクスFなどでも活動しているが、どの作品もハズレなく面白かった。安永知澄「やさしいからだ」はちょっと怪しい雲行き? 妹の世話を焼くことで日々の不安をまぎらわしていた女の子だが、その日常が崩れていきそうで……といった感じで以下次号。良いモノを持った人だし2004年の飛躍も期待。

 あと金平守人「KANEHIRA-DEATH」が先月最終回で、今月もしれっと載ってるんじゃないかなーとか思ったけど……。ちなみに今号の巻末はAZUSAの短期集中連載「私のいる風景」の1回め。SFファンタジーっぽい不思議な雰囲気のお話を描いております。物語的にはあんまり引き込まれるって感じじゃないけど、画面全体の雰囲気はセンスを感じさせる、丁寧で美しいモノとなっている。


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