◆ 1999年2月上旬 ◆

2/1〜10
【トップページ】  【過去日記トップ】

ご意見・ご感想はメール 掲示板でどうぞ

2/10(水)……スネーク、スネーカー、スネークスト

 週刊少年サンデーを見てたら、今年の小学館漫画賞の顔ぶれが掲載されていた。少年向け部門は皆川亮二「ARMS」、一般向け部門は作:あべ善太+画:倉田よしみ「味いちもんめ」、児童向け部門はあらいきよこ「エンジェルリップ」、少女向け部門は該当作なし。「味いちもんめ」は「なんで?」って感じだが(ドラマ化の影響っぽい)、「ARMS」は納得できる線。これも「スプリガン」映画化の影響があるのではないかと思わないでもない。まあ賞を受賞しようがどうしようが、それで読む読まないを決めるわけでもないし、評価が変わるわけでもないからどうでもいいんだけど。賞なんかよりも、俺の心に残ることのほうが、俺にとってははるかに重要なんだし。

【雑誌】エースネクスト 3月号(創刊号) 角川書店 B5平
 エースダッシュの後継として月刊化。高屋良樹「強殖装甲ガイバー」もちゃんと掲載。オタク系少年誌の中では期待度が高い雑誌だ。
 石田敦子の魔法少女モノ「からくり変化あかりミックス!」はエースダッシュから持ち越し。連載向きの話だと思っていたがやっぱり連載化。個人的には読切のファンタジーっぽい作品が好きだったのだけど。とりあえず愛くるしくて、かつベターッとした感じにならない絵柄は好きだ。山崎峰水「メイル」は、妖怪退治系のお話。絵が山崎浩っぽいな〜と思っていたが、名字が同じだし本人っぽい。確証はないけど。もし山崎浩であるなら、話の内容に合わせて絵もだいぶアダルトにしている感じ。それから作:大塚英志+画:森美夏「木島日記」は相変わらずミステリアスで妖艶で邪な絵柄。とてもかっこいい。「北神伝綺」の下巻が3月下旬に発売になるというのはめでたい。

【雑誌】零式 Vol.8 リイド社 B5中
 相変わらずクオリティ高し。まずは初登場、氷室芹夏「せつない瞳」。プレイボーイの主人公を物陰からじっと見つめる瞳。そのまなざしが気になってしょうがない男は、その瞳の主、香葉子につらく当る。何をしても拒まない彼女といつしかズルズル関係を重ねるようになる男だが……というお話。シャープで肉感的でいつつ、どこか暗がりを秘めた画風がクールで気持ちいい。実用には上品すぎるかもしれないけど、やっぱり惹かれる絵柄である。すえひろがり「CIRCLE」。今回はお固い女教師が堕とされていく。線は淡白な感じなのに、わき出てくるようないやらしさがある。見た目だけじゃなく、芯の部分からきっちりいやらしくて毎度のことながら見事。舞登志郎「かぜひいた」。得意の妹モノ。「メジャーデビューへの道」などでちょっとイロモノ的雰囲気のある舞登志郎だけど、妹的女の子描かせるととてもかわいい。男がしっかり描けているのもポイントが高い。エロビデオも男優の質で出来が段違いになるもの。

【雑誌】週刊少年サンデー 2/24 No.11 小学館 B5平
 まあそんなわけで小学館漫画賞受賞、皆川亮二「ARMS」が巻頭カラー。ミスカトニック大学とか出てきたときは、いきなり話が安っぽく感じられて「あ〜あ」とか思ったものだが、その後そこらへんはあんまり引っ張っていないのでちょっと安心した。クトゥルー系の題材は安易に使うと物語全体が安っぽくなるので、そこらへんは慎重にお願いしたいもの。猪熊しのぶ「SALAD DAYS」。今回はいつにも増してベタベタ。しかも相手は眼鏡娘。楽しいね。

【雑誌】週刊少年マガジン 2/24 No.11 講談社 B5平
 塀内夏子「Jドリーム飛翔編」は吉川の投入でだいぶ日本がいいムードになったのだが、残り時間が5分くらいあるというのがなんとなく気になるところだけど。でもそろそろちゃんと勝っておかないとヤバい時期だから勝たすかなあ。赤松健「ラブひな」。こちらもベタベタ。しかも主人公がいつもチョコをもらえないから自分で作っていたりするあたり、「SALAD DAYS」に輪をかけてベタベタ。やはりバレンタインデー近辺は、ラブコメ漫画のベタベタ度が上がっていい感じだ。

【雑誌】モーニング 2/25 No.11 講談社 B5中
 尾瀬あきら「奈津の蔵」。奈津がさらに酒に深く関わっていく。モーニングは、リバイバル系の作品が増えたのはちょっと残念ではあったのだが、ここらへんの作品はなんだかんだいってどれもけっこう面白く仕上がっている。底力だなあ。井上雄彦「バガボンド」。宮本村編がクライマックスで、武蔵があらたに生まれ変わらんとしている。毎度、骨太で面白い。ヒラマツ・ミノル「ヨリが跳ぶ」。リカコも不調を脱し、一皮むけそうな感じでVリーグに向けて準備万端。これからの展開がまた楽しみ。太田垣康男「一生!」。大樹vs.四ノ宮の日本選手権決勝が決着。気迫でパワフルにボールをぶったたくパワーテニスが気持ちよかった。次号では一生が成長して登場するとのこと。常徳直紀「串倉ロマン」。不細工な顔で女ともロクに付き合えないまま30代を迎えた独身男、串倉のちょっとしたトキメキのある不細工な日常を描いた作品。オープン秀作シリーズで今回が第2話め。定食屋系の暑苦しくて脂っこい作風なんだけど、それだけに線が太く読ませるだけの力強さはある。

【雑誌】ヤングサンデー 2/25 No.11 小学館 B5中
 山田芳裕「デカスロン」。ダン・オブライエンの力業にびっくり。そして何気に食らいついてきたクリスも大躍進と怪しげな雲行き。クリスに関しては、実はずっとマンキチに近い記録を出してたしそろそろ活かしてくるかなあとは思っていたのだけど。原秀則「SOMEDAY」。連載開始当初からかなり安っぽいな〜と思っていたのだが、それでもちゃんと面白くなってきている。手堅くまとめあげてくる実力はさすが大したものだ。竹下堅次朗「カケル」。カケルと葵が身体も結ばれ、カケル迷走編がようやく終わりを告げるかと思ったら、今度は葵のほうに話が移る模様。サブタイトルが「向日葵娘(1)」になっている。新井英樹「ザ・ワールド・イズ・マイン」はここのところ激しくスペクタクル。とても面白い。主要キャラクターの、誰が本当に死んで、誰が生き残っているのかが気になる。


2/9(火)……キュープラのある町

 キュプラはレーヨンの一種で、上質の木材パルプを銅アンモニア溶液に溶解したものを流水中に押し出して作る糸らしい。なんかこういう感じだそうだ。だからどうしたといわれるかもしれないが、別にどうもしない。

【雑誌】ヤングチャンピオン 2/23 No.5 秋田書店 B5中
 柴田昌弘がヤンチャン初登場……なんかそんな感じしないけど。読切でタイトルは「蟲使い」。人の心に巣喰う「蟲」を操る「蟲使い」のじいさんによって、ピーピーの貧乏だった男が自分の能力を目覚めさせる……というお話。ヒロインの女の子もわりとかわいいし、連載向きのお話って感じ。最終ページにも「To be continued」とあるから、再登場もあるかも。富沢ひとし「エイリアン9」。どんどんエイリアン係の3人が追い込まれていきシリアスな展開に。単行本1巻は2月12日発売。実は早売りでもう買ってあったりする。

【雑誌】漫画ゴラク 2/19 No.1646 日本文芸社 B5中
 久しぶりに知り合いからもらう。普段あんまり読んでない本をこうやってひょっこりもらうとうれしいもの。
 巻頭カラー、ラズウェル細木「酒のほそ道」。日本酒を痛飲しながらキンメダイの煮つけを喰らうお話。こういうの見ると無性に食って飲みたくなる。最近ちょっと精神的に不調気味なので、なんかうまいものでも喰らいつつ酒でも飲みたい気分だし。あとやたら邪悪な絵柄の三国志モノ、作:川辺優+画:山口正人「我王の乱」が気になる。そのほかの連載も継続して読んだら、それなりに読めそうな気配ではある。

【雑誌】COMIC ZiP 3月号 フランス書院 B5中
 あるまじろう「狩人の夜」は、彼氏に「かわいい」といってもらいたくて、毎日うさぎやらペンギンやらパンダやらの、動物系のかぶりものを着用して登校してくる女の子のお話。前に快楽天に掲載されていたYUGのもそうだけど、こういうかぶりもの系は人間をダメにしますな。たまりませんな。

【雑誌】FEEL YOUNG 3月号 祥伝社 B5平
 安野モヨコ「ハッピー・マニア」。ここんところ続いていた、シゲタとため吉の関係はハイスピードで燃え上がり、それと同じくらいの速度で一気に破局へ。後先考えずに突っ走るムチャさ加減が楽しくていい。南Q太「天井の下」。一度フッた男がしだいに好きになった高校3年生の女と、その男、彼ら二人に何かとからんでくる後輩の女という3人の生活と恋を描いたお話。ちょっと間違えば安っぽくなってしまいがちなお話なのに、絵と演出の力でうまく見せている。ああ、本当にうまい。三原ミツカズ「ハッピー・ファミリー」。なると目当ての同級生のイヤな奴の手によって、ハッピー・ファミリーはアンハッピーに。いやったらしい展開なんだけど、読ませるのは画面構成とかがスッキリしていて重荷にならないのも大きい。

【雑誌】Cute Plus Vol.1 コアマガジン A5平
 発売からけっこう経っちゃったがようやく入手。高尾右京、いるも晴章、おおしまひろゆき、TAGRO、たかしたたかし、黒星紅白、As'まりあ、へっぽこくん、鰹巻あさひ、鬼畜広子、宇佐美渉が漫画を執筆。キャッチフレーズは「悪い大人の正しい少年まんが。」。正しいか正しくないかは俺にはよく分からないけど、とりあえず洗練されてガツガツしていず、ポップでイマ風な絵柄の人が集めてあって全体のクオリティは高い。作品的には、カラッと明るく馬鹿馬鹿しいTAGRO「宇宙賃貸サルガッ荘」と、おおしまひろゆき「きっさドープショウへようこそ」が楽しくて良かった。ただ、正直なところどの作品もページ数が多くないので、読みごたえは足りない。こういう作品群全体にいえることだが、うまくまとまっているものの過剰さやパンチにはいまいち欠けるという印象を受けた。おやつやデザートだけでなく、メインディッシュにガツンという感じの作品があると全体の印象がもっと上がると思う。そういうのを狙っているんではないかもしれないが、でもやっぱり少年まんがというとごはん的なものも期待してしまう。とりあえずコンセプトはきちんとあるようだし、筋はいい本だとは思うので、順調に伸びていってほしい。面白い雑誌はいくらあったって、多すぎるなんてことはないんだから。


2/8(月)……明日の王様ゲーム

 横浜フリエ・スポーツクラブの作るサッカーチーム「横浜FC」のJFL入りがほぼ確実になったらしい。横浜F・マリノスはやっぱりしっくり来ていなかった俺としては、このチーム応援しちゃうよ〜。Jリーグでは山口と楢崎が行った名古屋に今年は注目。

【雑誌】週刊少年ジャンプ 2/22 No.11 集英社 B5平
 桂正和「I''s」は、ついにひょんなことから一貴が伊織に告白する形に。ああ〜甘っちょろくて素晴らしい。最後のコマの伊織の表情が切なくっていい〜。それはそれとして森崎さん森崎さん……。少年ゴルフ漫画、鈴木央「ライジングインパクト」。なかなかいい感じでここまで来ている。キャラクターも普段は和ませ、見せ場ではそれなりに見せる。

【雑誌】ヤングマガジン 2/22 No.11 講談社 B5中
 前川かずお「DEI48」が相も変わらず馬鹿馬鹿しくてとても良かった。破武男の男根を勃たせようとしてミミガーズのメンバーのうち二人が頑張っている間、もう二人は「そうだ!少しでも痛みを和らげるために私たちの2枚目のシングル……『パインキッス・マンゴーラブ』を歌いましょ!!」とくるあたりのマヌケさ加減がたまらない。「パインキッス・マンゴーラブ」の歌詞も馬鹿っぽくて楽しい。俺アイドルランキングの中でミミガーズはかなりポイントアップだ。あと、主人公たちの知らないところで淡々と繰り広げられている脇役たちの闘いもヘンテコだ。
 平本アキラ「アゴなしゲンとオレ物語」は、ゲンさんが町の相撲大会に乱入。全身を埋め尽くす剛毛が邪悪だ。小田原ドラゴン「おやすみなさい。」。タキシードを着てアイドルのコンサートに行く鉄郎の姿がおかしい。鉄郎は左ななめ45度の顔が一番かっこいいんだそうだ。角度なんか気にしなくても、君は十分かっこいいさっ!
 あと、ミスターマガジンの予告が掲載されていたのだけど、それによると「オフィス北極星」の作画を担当していた中山昌亮が新連載「突破者 太陽傳」をスタートさせるらしい(原作:宮崎学)。

【雑誌】ビッグコミックスピリッツ 2/22 No.10 小学館 B5中
 山田貴敏の新連載「ONE&ONLY」。童顔だけど馬鹿っ速い公道レーサーのお話の模様。山田貴敏は、お話はけっこう安っぽいモノが多いのだが、絵は好きなので、絵の魅力が生きるようなお話にしてほしい。とりあえずかわいい女の子をいっぱい描いてくれるとうれしい。柴門ふみ「ブックエンド」は次号で最終回。どんな展開になるものやら。作:坂田信弘+画:中原裕「奈緒子」。毎回面白い。今回は黒田の非情ぶりが良かった。あと、最後の恒例の奈緒子の独り言も。

【雑誌】ヤングキング 3/1 No.5 少年画報社 B5中
 佐野タカシ「イケてる2人」が表紙。佐野タカシは「イケてる2人」特集号が2月15日に出るほか、「探偵白書トラブルチェリー」が3月17日、「うさぎちゃんでCue!」が4月発売決定とノリノリ。吉本蜂矢「デビューマン」が今回は登場。アサヒの家に例の3人組でおしかける、というかアサヒが連れていく。相変わらず下らなくて下品でパワフル。いつもよりも若干大人しい感じはするが。アサヒの妹へのメロメロぶりはかなりおかしい。次の登場はいつになるのだろう。まあ気長に待とう。

【雑誌】YOUNG YOU 3月号 集英社 B5平
 武内直子「武内直子の社会復帰ぱーんち」は、例の結婚式の写真とおともだちからのお祝いコメント。今回は大人しかった、というか漫画部分がなかったので、次号で爆発することに期待。谷地恵美子「明日の王様」が巻頭。有が数馬に気に入られて、十也はあんまり面白からずといったところ。上品に、そこそこ熱く、手堅く読ませる面白さのある作品。鴨居まさね「雲の上のキスケさん」。のんびりとした雰囲気の中に微笑ましい楽しさがあっていい感じ。山下和美「ゴースト・ラプソディー」。こちらも毎度鮮やか。読んでて気持ちがいい。


2/7(日)……お金の真似

 兄貴が半年間くらい職場の研修に行っていて最近戻ってきた。その間の漫画は俺が代わりに買っておいたのだが、その代金の清算をする。兄担当分自体はそんなに多くないのだが、それでも半年となるとけっこうな量で、だいたい6万円超となった。自分担当分はその程度の金額では当然済んでいないのだが、最近家計簿をつけるのをやめてしまったので、いったいいくらくらい漫画に金を遣っているのかよく分からない。そのうち調べてみたほうがいいかもしれないが、まあどうでもいいか。

【単行本】「東京幻視行」 谷口ジロー 講談社 A5
 これまで単行本に収録されていなかった短編を集めた作品集。SFあり、現代を舞台にした大人の恋愛モノあり、自転車モノありとバラエティに富んでいる。その一作一作が、谷口ジローらしく、精緻なペンタッチで丁寧に描き込まれていて、実直な作品作りの姿勢を感じさせる。派手ではないのだけど、実に渋い面白さ。谷口ジローの作品は、やはり読みごたえがある。

【単行本】「イケてる2人」5巻 佐野タカシ 少年画報社 B6
 実にコンスタントに甘くくすぐったく、煩悩爆発な世界を楽しく描く。妄想シーンでの露出やら、パンチラなどサービス満点。キッチリとオタクをメロメロにさせてくれる。いやー、楽しい。今回の巻では佐次の幼馴染みである巨乳さん・梅宮がたいへんよろしい。

【単行本】「カケル」7巻 竹下堅次朗 小学館 B6
 カケルたち一行が京都へ修学旅行に。旅先でカケルは、昔京都に住んでいたころの同級生の女の子・花音に再会。彼女の弟の神隠し事件に巻き込まれるが……という展開。竹下堅次朗は女の子を描くのがうまいと前から思っていたが、今回の花音は作者本人も気に入っているというだけあって気合いが入っている。

【単行本】「デカスロン」20巻 山田芳裕 小学館 B6
 第7種目めの円盤投げが終了し、第8種目めの棒高跳びに舞台は移る。ナフードに対抗し勝負するため、オブライエンとマンキチはいったん手を結び、お互いの筋肉痛をほぐすストレッチ運動を行うが……といったところ。今回の見せ場は一気に上を狙うためにマンキチが円盤投げ最後の一投に賭ける場面。いよいよ最後の大勝負が近づいてきている。ガンガン盛り上げていってもらいたい。


2/6(土)……俺とゆめ

 今日は大掛かりな連続殺人事件に巻き込まれたり、会社をクビになったり、逃避行したり……という感じのなんだかスペクタクルな夢を見たのだが、起きると夢のあらすじをほとんど忘れてしまっていた。何やら禍々しい雰囲気を持った夢だったのに。もったいないことをした。最近会社に泊まることが多かったのだが、会社で寝ているときに見る夢ってなんだかイヤになるくらいリアルなのが多い。仕事上の電話がかかってきて後輩に起こされる夢とか、自分の机の上のパソコンでインターネットのWebページ見ている夢とか。そんなわけで久しぶりに現実離れした夢を見られたのは少しうれしかった。

【雑誌】花とゆめ 2/20 No.5 白泉社 B5平
 望月花梨「笑えない理由」は、瑛士に恋する一年上の先輩、麗子が今回の主役。バレンタインに瑛士にチョコを渡そうとするが、うまく行かず次の日の高校受験にも差し支えそうになって……という展開。望月花梨にしては珍しい普通のラブコメなんだけど、今回は普通のラブコメとしてまあまあ面白かった。

【単行本】「めぐりくるはる」2巻 OKAMA ワニマガジン B6
 ますます仕上げが美しくなってすごくうまいなーと思う第2巻。ただ、お話的にはピンと来ないものがけっこう多い。スタイリッシュで飛び抜けたセンスはすごいとは思うのだけど、一つの作品としてきちんと読ませるという面ではまだまだな部分を感じる。内気な保険委員の少女が憧れの先輩を見つめる「ひらり」はわりと好き。

【単行本】「candy=heroine」 佐野タカシ コアマガジン A5
 女装したかわいい美少年の、皮の剥けきっていないちんちんを嬲りまくるといったタイプの作品が中心の短編集。猫耳やらウサ耳少年も出てきて煩悩全開。可愛らしい絵柄とノリのいい、そして甘ったるく、こっぱずかしい展開。見事に仕事をしている。美少女も美少年もうまいのだ。エロ漫画雑誌に掲載された作品を集めているんで、ちゃんと出すまでやる。

【単行本】「おまかせ!ピース電器店」11巻 能田達規 秋田書店 新書判
 いつもの奴。……というんじゃ紹介にもなんにもなりゃしないが、本当に実にコンスタントに平和で心暖まる世界を描いている。浮き沈みなく常に高いレベルのほのぼの感、安心感、楽しさをかもし出す実力はやはり大したものだ。


2/5(金)……ロバート・ベ・ニーロ

 ゲームボーイの「ドラクエモンスターズ」でレベル上げ作業をやっていると、なんだか無性に眠くなる。いつの間にか意識が飛びそうになるのだ。そのおかげで、行き帰りの電車の中でやっているとつい眠ってしまうため、思うようにレベル上げが進まない。職場でほかにやっている人にも聞いてみたが、皆一様に「吸い込まれるように眠くなる」と答える。なんか催眠電波でも出ているのだろうか。

【雑誌】ヤングキングダム 3/4 No.3 少年画報社 B5中
 吉田聡「DUMPERS」は、法師やらが出てきてなんとも怪しげな展開に。この作品、張り詰めた陰鬱な雰囲気はけっこう好き。五十嵐浩一「Home Sweet Home」。男やもめの予備校教師、土屋が初めて教えた予備校の生徒もいよいよ受験。家庭ドラマもきっちり描いて手堅く読ませる。だいぶ軌道に乗ってきた感じだ。

【雑誌】ビッグコミックオリジナル 2/20 No.4 小学館 B5中
 年イチ掲載の高橋留美子劇場。今年のタイトルは「君がいるだけで」。町のほか弁屋さんのパートのおばさんが病気でお休みを取るのだが、その代わりに失業中の夫がやってくる。それまで大企業のお偉いさんだった男は、笑顔も接客もまともにできず、ほか弁屋に迷惑をかけてしまうが……というお話。コミカルに話を進めつつ、そう簡単に変われない中年男の悲哀を鮮やかに描いている。読者の肩を凝らせない見事な手際はさすがである。取材/脚本:流智美+画:山田貴敏の短期集中(全5話)連載「笑う東郷」がスタート。戦後間もなくのアメリカで活躍していた謎の日本人悪役レスラー、グレート・トーゴーの人生の秘密に迫る作品。山田貴敏はビッグコミックスピリッツでも連載を始めるようだが、これで完全に青年誌に活躍の舞台を移すのだろうか。最近の作品を見るに、少年誌ではすでに作風的にキツくなりつつあったし、それは歓迎したい。山田貴敏の、とくに女の子の絵は好きなのだ。「風のマリオ」のミルフィーとか。ドラマは安っぽいのが多いけれども。

【単行本】「でんせつの乙女」 こがわみさき 光文社 B6
 コミック・ピットに連続4話掲載された作品。この作品が読みたくてコミック・ピットを読んでいたといっても過言ではない。鈴を転がすような、軽やかできれいで美しい、そして見ていてなんとも気持ちのいいすずやかな絵が特徴。その優しい絵柄で、ファンタジックな美しいお話を紡ぎ出す。なんとも上品でキラキラとした世界である。とくに好きなのは第2話。ちょっと複雑な家庭環境にある少女が、「願いを叶える」「動く」という噂のあるマネキンと知り合い心を通わせるという話。このお話は第4話にもつながっていく。
 こがわみさきはラポートからも単行本が出ているみたいだけど、そっちのほうを立ち読みした限りでは最近のほうが絵的にも話的にも好みだなあ。

【単行本】「殺し屋イチ」3巻 山本英夫 小学館 B6
 ヒンヒン泣きながら、血をまき散らしてきったない殺しを行う男、イチの物語も第3巻。ヤクザの若頭・垣原がヤク中の井上の居場所をかぎつけ、ジジイたちをハッキリ敵と認める。そしてイチはキャバクラ嬢と情夫を惨殺。ぬらぬらとした生暖かい血の感触が、読んでいるほうに身体感覚として伝わってくるような濃厚な描写がすごい。表現に力がある。血と汗と精液の匂いの漂ってくる怪作。濃厚な作風が大好きな人間にとっては、たまらなく面白い。

【単行本】「紅色魔術探偵団」 山田章博 日本エディターズ B6
 徳間書店版「紅色魔術探偵団」に収録された作品プラス、未収録だった「紅色魔術探偵団 編成前夜」を収録しての復活。徳間書店版に収録されていた作品は「空想科学大冒険活劇競作大全集」が初出で、新たに追加されたのは「コミックダブルエックス」「クルー」に掲載されたもの。
 小悪魔と、ヘンな顔をしたジジイ、そして中国娘の梨華の3人組探偵団の珍道中を描いたコメディで、山田章博の作品の中でも最もコミカルなものの一つ。俺としてはこのシリーズと、このシリーズの変型である「おぼろ探偵帖」が山田章博作品の中では一番好きだ。山田章博の美麗なペンタッチが、作品の中で一番漫画的に生きている感じがする。あまり絵画っぽすぎるのは、一枚絵として眺めるにはいいのだけど、ストーリーは追いにくいと思うのだ。
 あと、この単行本の最終ページで新しい小作品集「山田章博worksニューリミックスヴァージョン ボーナス・トラック」という本が今年4月発売と予告されている。さらに。来年からは「山田章博大全集」全20巻刊行予定だとか。ホントかいな。


2/4(木)……荒井ブー

 俺に猛威をふるった風邪も、ようやく少し沈静化。とりあえず熱はひいた気配。おかげでなんとか仕事がおおむね片づいた。明日あたりからは機嫌良くコンコーンと行きたいもの。コンコーンとね。

【雑誌】週刊少年チャンピオン 2/18 No.11 秋田書店 B5平
 水島新司「ドカベンプロ野球編」は、日本シリーズ第1戦、山田vs.土門の対決にケリがついたと思ったら、もう日本シリーズ終了。うーん、なんとまああっさり。水島新司にとっては、日本シリーズも、要するにドカベン関連の人たちさえ描ければよかったのだろうなあ。田口雅之「バロン・ゴング・バトル」は、ラストのページのバロンの表情が気持ち悪くて笑った。ぎょへーって感じの表情。

【雑誌】ヤングサンデー 2/18 No.10 小学館 B5中
 遊人「桜通信」。今度はトンマが麗の許しを得るためにお百度参りに挑むという、これまた馬鹿馬鹿しい展開。このいいかげんさ、無軌道さ、御都合主義的展開は並じゃない。山本英夫「殺し屋イチ」。イチは自分の殺しの記憶を、自ら意識もせず封印してしまっていることが判明。イチの病んだ精神性が恐ろしい。毎回濃くて面白いなあ。新井英樹「ザ・ワールド・イズ・マイン」。今回も大迫力&スピーディにお話が進む。ヒグマドンが駆け抜ける一瞬を、なんと力強くドラマチックに描き出すことか。圧倒的な力と破壊。ああ、すごい。そして次号からまた新章突入らしい。

【雑誌】モーニング 2/18 No.10 講談社 B5中
「えの素」「奈津の蔵」「キリコ」が休載。
 作:毛利甚八+画;三山のぼるの読切「鬼手駒」は、江戸時代の将棋家の跡継ぎの少年のお話。地味な作風だけど、将棋盤を戦場と定め、駒に賭けて生きる将棋家の人々の思いが描けていて読ませる。作:亜樹直+画:的場健「サイコドクター」。なんか今回の相手はやけにアッサリと片づいてしまった。個人的には奥さんがどのように凌辱されたのかが詳しく知りたい。もちろんタダのスケベ心だ。

【雑誌】ヤングジャンプ 2/18 No.10 集英社 B5中
 アフタヌーンで連載中の「地雷震」の作画担当、高橋ツトムの新連載がスタート。タイトルは「ALIVE」。恋人を暴行した相手4人を殺害した後、恋人も殺害し死刑判決を受けた男、八代天周が主人公。模範的な囚人として刑務所生活を務めていた彼だったが、死刑執行のお呼びがかかる。刑務所内での手続きが完了した後、彼の前に現れたのは謎の男女。彼らは、彼らのいうことに従えば八代に生きる道を与えてやるというが……。というわけで謎の人物に連れられ、八代の新しい生が幕を開ける……といったところで第一話完了。まだ、この男女が何者なのか、八代に何をさせようというのか、まったく分からない。ただ、「地雷震」でもおなじみのシャープで緊迫感のある絵、重苦しく謎めいた雰囲気はこれからに期待を持たせる。これからしばらく読み続けてみよう。


2/3(水)……供えガイに毛が3本

【雑誌】ヤングマガジンUppers 2/17 No.4 講談社 B5中
 池上遼一の読切「流月抄」の前編が掲載。舞台は江戸時代末期。酒を飲んだり交合したりすると浮き出てくる入れ墨を持つ女と、彼女を利用して佐幕の要人を暗殺させる剣士。そして、彼らが狙う要人を殺すのにジャマな護衛の浪人、月之介が次の標的としてあがるが……といった感じの展開。カラーページの、女の肌と浮かび上がる入れ墨が妖艶で美しかった。桑原真也「0(ラヴ)リー打越くん!!」。打越がテニスに集中するうちに、凶暴なその本性を発揮、暴走する。大人しそうに見えて、その実はかなりぶっ壊れていることが判明。黒田硫黄「映画に毛が3本」。今回のテーマは「ロリータ」。こういうの読んじゃうとやはり原作と、その映画を読みたくなってしまう。原作については「まだ読んでなかったんかい」って感じではあるのだけれども。玉置勉強「恋人プレイ」はラス前。スゥーッと消え入るように終わっていく感じが心地いい。ここまでとても面白かったので、ラストもいい形で終わってほしい。

【雑誌】オールマン 2/17 No.4 集英社 B5中
 六田登「親愛なるMへ」は、全体から前途の暗さが漂っていていい。六田登は内省的で陰鬱な作品ほど好きだ。さとうとしお「愛のかたまり」。絵はちょっぴり木葉功一とか、たかもちげんを思い出す。良き夫であり、会社では部下にも慕われる文句のないエリートの主人公が、ある日交通事故で半身不随になってしまう。身ごもっている妻のために、何かできることはないかと焦る彼は自らの身を犠牲にした恐ろしい行動に出る、というサイコホラー系のお話。オチとしてはありがちかなあとも思うが、絵と描写には迫力があってまあまあ良かった。

【雑誌】週刊少年サンデー 2/17 No.10 小学館 B5平
 石渡治「LOVe」が最終回。なんか怒濤のごときスピードで年月が過ぎ、いろんなことが起こるので少々ビックリ。詰め込みすぎな感じもするが、まあいいか。走馬灯のようでござった。ながいけん「神聖モテモテ王国」。最近のファーザーが描いている作中内作品「供えガイ」シリーズはかなりいい感じだったので、もうちょっと続けてくれてもうれしかったのだが、今回は作品内作品外の世界でお話が進行。

【雑誌】週刊少年マガジン 2/17 No.10 講談社 B5平
 塀内夏子「Jドリーム完全燃焼編」では、吉川が縦横無尽の大活躍。今回は鷹をも食っている。やっぱり一発サイドチェンジは美しいのだ。


2/2(火)……火照るカルフォリニア

 仕事が終わらず会社に泊まっている間に風邪が悪化。体調が悪くなってさらに仕事ペース低下。完全な悪循環状態に陥りかけていたので、本日はいったん帰宅。風邪の特効薬って売ってないかな〜と思って、Infoseekで検索をかけてみたが、通販ページは見つからず。青酸カリを売ってるくらいなんだから、このくらい売っててもいいのに。ていうかそんなことしてるヒマがあったら早く寝よう。

【雑誌】漫画ホットミルク 3月号 コアマガジン B5平
「Cute Plus」の影響か、なんかホットミルク本誌のほうの基礎体力がますます弱ってきたような印象を受ける。
 その中では、古井戸圭市「NEGATIVE」が目を惹く。ちょっぴり奥瀬サキにも似た感じの、クールで陰鬱な雰囲気をはらんだ描線が特徴。ひっかく感じの鋭い描線がかっこいい。砂「窓の外」。今回は、砂の今までのホットミルク掲載作とは違って、激しくパワフルで下品なネームがないのが残念。人妻獣姦調教モノ、山文京伝「Sollen」は今回で最終回。案外アッサリとした幕切れ。せっかくここまでやったのだから、もっと救いようがなくしても良かったように思うが。

【雑誌】ビッグコミック 2/10 No.3 小学館 B5中
 森秀樹「戦国子守唄」は第2話め。浅井長政の遺児に黄金一枚の懸賞がかけられ、雑兵どもが血眼になって探す。そんな中、雑兵3人組の手に、捜索中の遺児よりもさらに年下の赤子を託されてしまう。タイトルからいって、この赤子を子守していく物語になるのだろうか。藤子不二雄A「サル」。サルは、今度はゴルファーじゃなくてキャディをやるらしい。だから「プロゴルファー」と今は名乗っていない模様。

【雑誌】ビッグコミック 3/2増刊号 小学館 B5中
 岡崎二郎「NEKO2」はコンスタントに楽しい。猫の姿もかわいく描けていると思う。それから高瀬理恵「公家侍秘録」がわりと面白い。江戸時代、貧しい公家の家の人々と、彼らに仕える侍のお話。地味な作風ではあるが、けっこう読ませる。

【雑誌】漫画アクション 2/16 No.7 双葉社 B5中
 作:天王寺大+画:原恵一郎「暴力商売」。これまで読んでなかったのだが(っていうかアクション自体たまにしか読んでないので)、読んでみたら案外面白そうだった。悪党のごんたが刑務所に入れられ、独房の中で友達の差し入れである六法全書を読みふける。本を読んでいるだけなのにパワフルに見せる、力あふれる描写がなかなかのもの。西岸良平「鎌倉ものがたり」。いつも思うのだけど西岸良平作品は、親切すぎるくらいの説明が野暮ったくて好きだ。和菓子が出てくると「自転車にのって買ってきた和菓子」と矢印が指してあったり、公衆電話の脇には「番号はよく確かめてゆっくりと」と貼紙がしてあったりする。こういう細かい部分まで実に執念深く描かれているところがたまらない。


2/1(月)……電車で碁

【雑誌】週刊少年ジャンプ 2/15 No.10 集英社 B5平
 作:ほったゆみ+画:小畑健「ヒカルの碁」。なんか知らないが、将棋野郎が出てきてヒカルに因縁をふっかける。あんまり異種の勝負はやらないで欲しいんだけど……。ストイックに碁だけでいってもらいたいところ。ここまではわりと面白く来ていることだし。

【雑誌】ビッグコミックスペリオール 2/15 No.4 小学館 B5中
 作:あべ善太+画:倉田よしみ「味いちもんめ」が第44回小学館漫画賞を受賞していたのでちょっとびっくり。別に悪いってわけじゃないんだが、「なんで今この作品に?」って感じがしなくもない。地味ながらそれなりの仕事をしているというのは分かるのだけど。高田靖彦「演歌の達」は、恋と仕事で板挟みになった達が、自分にケジメをつけるため仕事を優先する。達とフクちゃんの恋はどうなるのか……って感じで、今後の展開が楽しみ。この人の描く女性って、典型的な美人タイプではないのだけど、芯の強い美しさがあって魅力的だ。

【雑誌】ビッグコミックスピリッツ 2/15 No.9 小学館 B5中
 吉田戦車「学活!!つやつや担任」は連載第2回目。1回めよりもだいぶほぐれてきた感じで、つやつや先生の暑苦しいキャラクターも生き始めている。作:坂田信弘+画:中原裕「奈緒子」。なんだかものすごく悲愴感あふれる痛々しい展開になってきた。涙に顔を歪めながら走る雄介の姿を見ていると、こちらも苦しくなってくるような感じがする。この強引な盛り上げっぷりが、毎度ながらの坂田信弘節。
 次号から山田貴敏の新連載「ONE&ONLY」がスタート。クルマもののようだ。山田貴敏は、2月5日発売のビッグコミックオリジナルから集中連載「笑う東郷」(取材・脚本:流智美)もスタートするらしい。あと、そのビッグコミックオリジナルには高橋留美子「高橋留美子劇場−君がいるだけで」も掲載される予定。

【雑誌】ヤングマガジン 2/15 No.9 講談社 B5中
 平本アキラ「アゴなしゲンとオレ物語」。今回はゲンとケンヂが二人で焼き芋屋を開業。炎に包まれる二人の姿がなんだか妙に楽しそうだ。あと、幼稚園の園児たちのアブない表情も気になる。MEE「辿り着けなかった船」は、沈んだ遣唐使船を求めて海に潜り続ける女子高生のお話。この人の絵は昔からわりと好きだ。ただ、ストーリー作りはあんまりうまくないのが残念。今回のは短編だったので、そこそこまとまっていたが。小田原ドラゴン「おやすみなさい。」は、またしてもテレクラのジャッカル、辻尾君が大奮闘。それにしても鉄郎って、テレクラでどんなこと喋るんだろうか。地下沢中也「創立100年 ギンザ小学校」は、いつにも増して馬鹿馬鹿しかった。今回は山田先生が、ネクタイとワイシャツとブリーフを全部縫いつけて一体化し、それを「ブリーフである」と言い張る。こういう下らないことにこだわる周到さがとても馬鹿馬鹿しくて、なんだかステキだ。


【一番上へ】

ご意見・ご感想は→tshibata@picnic.to