◆ 2000年3月中旬 ◆

3/11〜20
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3/20(月)……新車怪人

 この週末はなんかいつもよりアクセス数が少なめだなーとか思っていたら、そういえば学生さんが春休みな時期なのですな。この時期になると学生さんが作っていたけっこういいWebページが、社会人になるに伴ってなくなったりしおしおになってしまうのをよく見る。ちょっと寂しい季節だ。新しいWebページもニョキニョキ立ち上がってくるんだろうけど。新社会人になる方々、Webページの更新は忙しくてできなくなる人も多いでしょうが、趣味人としてはぜひ弱まらないよう頑張ってくださいませ。社会人になると学生時代に比べて時間はなくなるけど、そのぶん稼ぎもできるので、金にものをいわせて強まっていただけますと幸い。

 picnic.toサーバーに大物サイトが移転。ぴくにっくとぅーばびろん。というわけで永山薫さんのところがURL変わって再発進。サイトのデザイン、構成も変わってますね。前のプロバイダのときは落ちっぱなしだったが、これでだいぶつながりやすくなったはず。

【単行本】「王道の狗」6巻 安彦良和 講談社 A5
 日清戦争へ向けひた走る日本と、その時代の陰で活躍する主人公、貫真人。今回の巻で最終巻。李鴻章、陸奥宗光、孫文などなど、歴史の主役たちが活躍する大きな舞台の裏側を疾走する若者の青春を、しっかりと骨太に描いている。落ち着いた筆と入念な時代考証、それから安彦良和キャラ特有の青臭さが、ちょうどよいバランス。逆にいえば、安彦良和キャラの青臭さをいい感じで中和するには、これだけの材料が必要といえるのかもしれない。安彦良和の時代モノもけっこう作品数が増えてきたが、だんだんと面白くなってきている。今回の作品はボリュームが適度で、展開もキビキビしてて良かった。

【単行本】「あずまんが大王」1巻 あずまきよひこ メディアワークス A5
「ヌルいからしばたさんには合わないかも……」とかいわれつつも購入。4コマは読むのに時間がかかるからめんどっちいなーと思ってしまいがちな俺だけど、読んでみると案外大丈夫。そんなにゲテモノばかりが好きってわけでもないのですばい。
 ヌルくて軽妙で、気が利いててけっこう楽しめた。クールでナイスバディだけど実はカワイイモノ好き、天才なので10歳だけど高校に編入してきたこしゃくな小娘(というほど素直でないわけでもないが)、余分に元気なおばかさん、関西弁天然ボケなどなど、キャラクターは分かりやすくてそれぞれに立っている。まあ確かに自分としては、雑誌で読んでたとしたら単行本までは買わないタイプではあろうと思うけど、好きそうな人はたいへん好きそうだ。俺としては「まあまあ好き」といったあたり。

【単行本】「天然コケッコー」12巻 くらもちふさこ 集英社 B6
 男女関係ってもんがめんどくさくなったそよが、大沢くんとの交際とかをいっぺんポーンと投げ出す。いつも同じようでありながら、物語はしっかり流れ、ときには想像ネタだけで1本お話を作ったり、自由自在に読者を導き振り回す。それがまた気持ち良かったりする。とはいえすでに12巻。だいぶ堪能させていただいたので、そろそろ違う作品を読みたくもあり。100ページくらいの中編とかを描いてくれるとすごくいいなあとか思ったりもする。

【単行本】「ウラ23区」 香愁 三和出版 A5
 フラミンゴの表紙を描いている香愁の最新刊。この人の作品は、かなり不思議な雰囲気が漂っている。絵自体は可憐なのだけど、女の子のポーズはどこかみっともない。そのアンバランスさ加減がが味わいになっている。それから視点も独特。魚眼レンズや球レンズで見ているかのように、風景がぐにゃりと歪んだり迫ってきたり。自由な感覚でくらくらと回る作品展開に身を任せているとなんだか酔っ払っちゃいそう。「画面のこの部分に女の子をこう配置して、周りをこう飾りたてたい!」ってな感じの意志を感じる。お話を読ませるってタイプでも、実用的なタイプでもないけど、興味深い作風である。


3/19(日)……おマセざんすー

 ぐわー!! 昨日の池袋飲みは、実はまとめて購入したTAGROさん同人誌を受け渡すためのものだったのだけど(参加者はメビウス改めスズキトモユさん、丸止さん、沼田さん、志賀彰さん、小田中さん、兄&俺)、WestRiverさんにお誘いメールを出すのをうっかり失念しておりました……。俺って最悪。まったく他意はなく、単純な掲示板過去ログのチェックミスだったのだけど……(ごめんなさい)100。そのうち埋め合わせは必ずや。(すみません)100

 この1週間くらい、原稿書きの関係とかあってあんまり眠れてなかったのだけど、この週末は久々に惰眠を貪る。惰眠サイコー!!

【雑誌】ウルトラジャンプ 4月号 集英社 B5平
 今号も攻めの姿勢が見えて頼もしい。まず巻頭カラーの新連載、aloha「TT」。いろいろなところで「OKAMAだ」といわれてるけど、まあどう見ても。これだけの絵とこれだけの話を作れる人が、ほかにもう一人いるっていうのならそりゃものすごくうれしいけど。主人公はアラン・M・チューリング。数学者。実際のチューリングは男性だが、ここでは女性として描かれている。今回のメインは、チューリングと同じ大学に入学してきた貧乏な家出身の女性。彼女は、いつも手紙をくれ学費を援助してくれていたあしながおじさん的な存在に一目会いたいと、大学へやってくる。しかし彼女の前に突きつけられた現実は、残酷で無味乾燥なものだった。第一回目から大変に厳しく、そして美しい。チューリング、考える機械、ノイマン……。マセマティックな方面への憧れを焚き付ける衒学的な要素をちりばめ、格調高く、センシティブにドラマを作り上げる。うーむ、かっちょいいではありませんか。打って変わって花見沢Q太郎の女子寮モノ「BWH」は、ふにゃふにゃである。柔らこうて微笑ましくて可愛くて。グッド。藤原カムイ「福神町綺譚」は今月から再開。伊藤悠「面影丸」後編。今号もシャープな描線と派手なアクションで鮮烈。櫻見弘樹「イルミネイト・レッド・ドット」も後編。スマートな絵柄でしっかり物語を構築。着実に腕を上げている印象。

【アンソロジー】「ミルクコミックさくら」vol.9 松文館 A5
 大山田満月は今回もイラスト。ええ、分かってるんです。でもいいんです。あとりえちゃん14歳もイラストエッセイ。
 御形屋はるか「one&one」。切ない双子の姉弟モノ。御形屋はるかの柔らかい絵柄が魅力的。月角「Huh-Huh」。今回は男からのモノローグを中心にお話が語られる。何気ないゆったりした雰囲気が心地よい。このご時世のせいか、SEXシーンはなし。あじまるの少女忍者もの「忍者尻風録 − 前から後ろから」。今回はこれが一番面白く読めた。忍者姿の女の子がかわいい。頭巾がねこみみみたいでのう。こけこっこ☆こま「ふり向いてお兄ちゃん」。この人も女の子に和む味わいが。つるんぺたん、でもすらりん。妹さんが健気なり。

【単行本】「悶絶ッ!」 桃山ジロウ 英知出版 A5
 短編集。桃山ジロウの場合は、令子先生シリーズに比べると短編集はもの足りない感じのものが多いけれど、この本はお気楽実用系としてはそれなりに充実感あり。液体トロトロで、瞳のうるんだ女の子がエロっぽい。垢抜けないところを残す表情とか、ふっくらとしたいくぶん野暮ったさの残る体型とかがいい味。

【単行本】「今夜はドレイDEナイト」 東海道みっちい フランス書院 A5
 実用方面でわりとお気に入りな人。おめめパッチリな、いかにもなアニメ絵的雰囲気(といっても実際はこんな絵のアニメはそう多くないと思うが)を漂わせる絵柄は多少読者を選ぶかもしれないけど、肉付きが良くぷりんぷりんな女体描写は実用性が高い。強弱のついたペンタッチのおかげで、女体のむっちり感が出てていいと思うのだ。乳も尻も。

【単行本】「ファイヤーキャンディ」2巻 今村夏央 秋田書店 B6
 ブッチ切りの未完にて完結。今回は、白バックにリョーキとレオが浮かび上がっている表紙がかっこいいですな。暴力とドラッグにまみれ、パワフルにエネルギーを誌面に叩きつけていく、行き急ぐかのような物語は悲痛でなかなか良かったのだけど、やはり作者が納得行く地点まで描かせてみてほしかったところ。でもまあ、いずれ形を変えてでも、この続きは描かれるであろうと期待、いや予想している。このまま終わらすヨネケンでは、いや今村夏央ではないと思うのだ。

【単行本】「レディ・プラスティック」 深谷陽 講談社 B6
「世界の赤木」とまで呼ばれる名監督が、30年ぶりに「呪われた映画」との噂のあった幻のデビュー作の撮り直しを計画。そんな折り、特殊メイクのアツシが作った「型取り」した顔型は、モデルの女性とはまったく違う美女のものだった。その顔型は、くだんのデビュー作の主演をするはずだった女性の顔そっくりであることが判明する。
 といったところから始まる物語は、ホラー風味を含みつつミステリアスに進む。鉛筆画的な細かいタッチの、整理されすぎていない描線は生っぽい感触で迫力がある。ミステリアスな物語を生かしきる描写力、気品のある作風など、たいへんよくできている。これまでの作品でも十分な画力はあったが、それがさらに進歩しており鬼に金棒。混沌とした雰囲気を残しつつ、洗練もされてきた。とてもよくできた作品で、素直に面白い。

【単行本】「トトの世界」2巻 さそうあきら 双葉社 B6
 イヌとして育てられた少年・トトがしだいに言葉を手に入れ、人間の世界へ復帰、いや参加しつつある。しかし、トトを巡っては何やら暗い思惑もうごめいて……。まだ物語は全貌を見せていないが、かなり深いとこまで突っ込んでいくであろうと思われる。結論を急がずに突き詰めていってほしいもの。

【単行本】「ザ・ワールド・イズ・マイン」10巻 新井英樹 小学館 B6
 この巻は、これから大きくお話が動くためのビルドアップ的な展開。ヒグマドンは姿を隠し、ユリカンはイベントの直前、トシモンはマリアの友達のアパートで雌伏。度胆を抜く大きな物語への期待にワクワク〜。


3/18(土)……みつとばち

 DOS/V magazine CUSTOM 5号にして休刊号、何者かの絶賛を受けつつ発売中。いちおうタダの休刊ではなく、こんな感じ(http://www.vwalker.com/)の自作PC情報発信Webマガジンへ移行するための戦略的休刊。Webマガジンのほうは現在プレオープン中(プロバイダによってはDNS情報の関係で、まだつながらないかも)。プレゼントもあるので、興味がある人は応募でもしてみるとよいと思う。「Webで金もうけできないもんかのう」と常々思っていた俺だが、予期せぬ形でWebで飯を食っていくことに。家では自分のWebを作り、会社ではWebマガジンを発行。さらに副業でWebマガジンに寄稿。わーお。イヤな奴だなあ、俺。

 とある「本」を渡す、という目的にかこつけて「酒」を呑もう。そういったわけで池袋へ「お出かけ」。最初は「6人」。最終的には「7人」の男たちで、「料理」を食い、「酒」を呑む。「17時30分」くらいから飲み始めたのに、気がついたら「23時」過ぎ。「楽しい」お話と「おいしい」料理、そして「酒」。「こういう」集まりは、何度やっても飽きない「もの」ですな。

 20日『月』が「休み」であるため、普段「月曜日」売りの雑誌は本「日発」売。今「日は酔っ払」い気「味な」ので、3冊だけ「。」

【雑誌】週刊少年ジャンプ 4/3 No.16 集英社 B5平
 秋本治「こちら葛飾区亀有公園前派出所」。両津に結婚話が持ち上がる。スパッと結婚させちゃうのも手ではあると思うのだが。霧木凡ケンの読切「タクミンエンジン」。やんちゃなバスケットボーラー、タクミンが主人公。絵はまだ未完成ではあるが、爽やかでイキはいい。けっこう楽しんで読めた。

【雑誌】ビッグコミックスピリッツ 4/3 No.16 小学館 B5中
 高橋しん「最終兵器彼女」。今回も、非常事態な恋愛模様を美しく描いていて良い。文字をもっと少なくしてくれるともっと良くなりそう……とか思っていたら、見せ場ではしっかり絵だけで印象的なシーンを作っている。ええじゃないですか。石川賢「禍」は今回で最終回。

【雑誌】ヤングマガジン 4/3 No.16 講談社 B5中
 安野モヨコ「花とみつばち」。今号から4週連続で掲載。主人公の小松を振り回す女の子の一人、長沢ちゃんのキャラがずいぶん立ってきた。地味ながらキリッとしてて魅力的。古谷実「グリーンヒル」。にわかにラブコメ臭ただよう。ギャグをやりつつも、ヌルいところを入れてくるところが巧み。日本橋ヨヲコ「極東学園天国」。ここのところ、とくにハッとするような言葉が発せられて鮮烈な印象を残している。少ない言葉で大きな効果。ビシビシと来ている。


3/17(金)……びやくでチュッ!

 TINAMIX4/1号用の原稿をいちおう書き終える。この1週間は、コレとジャンキーズの原稿を書いてたので寝不足気味。これはハッキリいって、夜の3時を過ぎたあたりからでないと、どうもエンジンがかかってこない自分が悪い。今日は会社にいる間に、ちょっとTINAMIX原稿を書いたりもしてたのだが(もちろん会社の仕事は片付けてからだが)、家で書いてたときよりもはるかにはかどっちゃってなんともかんとも。

【雑誌】ヤングアニマル4/25増刊 嵐 白泉社 B5中
 ナゾの増刊。まあようするに「ふたりエッチ」特集号みたいなもの。この中ではまず笠原倫「蹴治!」が面白い。バットでなぐっても、逆に相手のバットがへこんでしまうほどの強靭な足腰の持ち主である空手家の蹴治が、サッカーの試合に出場することに。蹴治のキャラクターがとにかく不器用でパワフル。強引に力づくで笑わせる作品。力が入ってるくせに、なんかノリがすごく馬鹿げていて面白すぎ。しかし、最近の笠原倫の絶好調ぶりはなんなんだろう。山内雪奈生「守」(プロデュース:板垣恵介、協力:いたがきぐみ)もこれまた力づく系な漫画。日本代表GKの花形が、10億円と自分の腕を賭けて、世界のスーパースターを集めたチームと対決。絵柄的にもまんま板垣恵介系。あのノリでサッカー漫画をやっているのだが、その荒唐無稽ぶりはかなりナイス的である。西川魯介「SF/フェチ・スナッチャー」。眼鏡娘でちょっとHで、ところどころに隠し味をぼこぼこぶち込む。やらかい絵柄とスパイスの効かせ方が楽しい作品。こいずみまり「コイズミ学習ブック」は特別篇で登場。今回は性病のお話。いつもながらのノリで楽しいでゲスな。

【雑誌】オースーパージャンプ 4/25 集英社 B5中
 犬塚康生がまた登場。タイトルは「イレイザー・ヘッド」。ある男を一心不乱に思い続けるがそれを相手に伝えることのできない女性。それゆえにストーカーまがいの行動に走る彼女だが、ついに想い人の男の脳裏から前の彼女の記憶を消すよう、記憶を自在に消せる男「イレイザー・ヘッド」に依頼するが……というお話。相変わらず乾燥した、細かく几帳面なペンタッチは健在。その細密な描写には惹かれるものがある。でも、画面全体にいまいちメリハリがない。作風として閉じている。もう少し物語に入っていきやすくなるような、スキをどこかに用意しておいたほうが読みやすくなると思うのだが。このままではあまり多くの人にはウケにくいだろうし、「期待の新人」のままかもしれない。なにかも一つキャッチーなものを。高見まこ「美弥の恋」は新連載。「ロマンス」の吾郎と、歴史に名を残す天才モデル少女の物語。うーん、こういう形で続けられるなら、「ロマンス」をきっちり完成させてくれたほうがうれしかったような。この作品でも、高見まこの女性の絵はしっとりとした色気があっていいんだけど。

【雑誌】漫画ばんがいち 4月号 コアマガジン B5中
 通巻100号記念号だそうな。これってつまり、極道番外地あたりから数えてってこと? まあなんでもいいけど。
 購入理由は朔ユキ蔵「屋根の上を散歩」。夜になると、全裸で散歩する人々の話。夜の散歩のルールは「地上を歩かないこと」。屋根や塀を伝い、相手のことは詮索せず、彼らは歩くのです。奇妙なことをやっているのに、実に当たり前のごとく落ち着いた語り口で物語を進める。不思議な着想を、朔ユキ蔵ならではのゆったりした、でもときに激しいリズムで描き出している。さすがの手腕。
 ところで、俺も夜中に道を歩くことはけっこうあるわけだが、いまだに全裸で首輪をつけられて羞恥プレイの最中の奥さんとかに出くわしたことがない。きっとたくさんいるはずなのに。全裸被調教者の奥様たちよ、逃げることなかれ。俺はいつでも待っている。

【雑誌】コットンコミック 4月号 東京三世社 B5中
 駕籠真太郎「駅前一字」。今回は、すべてのセリフが漢字一字。それゆえ、セリフにまったくムダがない。ビッときてグッときてガッ。ものすごいテンポの良さでお見事というほかない。粗筋はこんな感じだ。「ぢ」「書」「満」「展」「評」「拒」「男」「悲」「帰」「家」「入」「妻」「男」「姦」……。渡辺ヒデユキ「サセマン危機一髪」。今回の扉のアオリ文句。「止まらない腰の動きにサセマンは大丈夫か」。これだ。この力の抜けっぷり。偉大なるC調ぶり。渡辺センセイは素晴らしいです。

【雑誌】ZetuMan 4月号 東京三世社 B5中
 やはりZERRY藤尾「藪から棒」。つまりは主人公がひょん的出来事により、背負う美人二人組(たばこの箱の1.7倍くらいの大きさ)に懇願され、まあいろいろと。大きなものから小さなものまで、実用もしっかり。ラストも人を喰っていてええ感じなり。うらまっく「ただ見ているだけの男」。優しすぎ夫にイライラして、男を連れ込んではSEXしているところを見せつける妻。でも夫はそれでも優しすぎる。あいまいな笑顔を浮かべて、ただ見つめているだけ。妻の気持ちは一人空回りし続け、焦りが増していく。こういうつらい物語でもきっちりまとめあげてくるところはさすがにうまいなあ。

【アンソロジー】「ラブドラッグ」 オークラ出版 A5
 媚薬系アンソロジー。エロ漫画、だけでなくエロ小説などでも媚薬モノはかなり好きなジャンルなので買ってみる。でも正直いって漫画は面白くない。せいぜいらーかいらむくらいかなあ。それよりも、媚薬紹介記事とその体験記のほうがはるかに勉強になる感じ。体験者の感想で「効きすぎ10% 体調による20% 効かない30% 体調による40%」などというのが参考になりそうだ。コレを読んであなたもレッツ媚薬。


3/16(木)……メイドを殴打

 イーデオーン!!

 それはそうとTINAMIXが更新されてますな。

【雑誌】メロディ 4月号 白泉社 B5平
 新連載スタート。と思ったら、魔夜峰央「パタリロ西遊記」だってところがなんとも。しかもこれがけっこう面白かったりするところがまたなんとも。波津彬子「闇色の宝石」。気品のある美しい作風。優しいお話が気持ち良い。雁須磨子「どいつもこいつも」。今回ものどかでぼよよんとしたノリが楽しい。朱野もかわいくて良い。

【雑誌】週刊少年チャンピオン 3/30 No.17 秋田書店 B5平
 おや、八神健がこんなところに。少年ジャンプで「密・リターンズ!」をやってた人。タイトルは「ななか6/17」で、今号と次号で前後編80Pが掲載。17歳の女の子ななかが転んだショックで、精神が6歳の時点に退行。17歳のななかはカタブツなガリ勉タイプだったが、6歳のななかは天真爛漫。そんなななかにハラハラドキドキの幼馴染み男子・稔二。八神健といえば、シンプルだがまとまりのいいスッキリした絵柄が気持ちいい人だが、その持ち味はこの作品でもシッカリ生きている。17歳のめがねっ娘が、6歳のこどもことばでしゃべるというのがなんといっても見どころであろう。萌えポイントというか。西条真二「鉄鍋のジャン!」は今回で最終回。まあこれ以上長くなるとつらくなってくるとは思うので、ここらへんで終わりにしとくのは悪くないのではと思う。そして山口貴由「悟空道」も次回最終回。最近、少年チャンピオンは少しマンネリ気味に思えていたので、ここらで連載陣を入れ替えていくっていうのはいいかも。

【雑誌】ヤングサンデー 3/30 No.16 小学館 B5中
 山本英夫「殺し屋イチ」。ジジイにより殺された高山の死体が契機となって、二郎がまたしでかしそうだ。となると当然三郎もやるわけで……。次号はかなり血なまぐさそう。楽しみだー。遊人「桜通信」。いやー、どうしようもないですなー。麗が身体の不調を隠すため、フェラチオでごんすよ。しかもバレンタイン・デーだからといきなり日焼けサロンでガングロ化。「警視総監アサミ」といい「女刑事ペルソナ」といい、本筋と関係なさそうだけど唐突に挿入されるやけに濃厚なエロシーンが、今なんだかアツイ! 竹下堅次朗「カケル」。第一部完。だいぶ消化されていない設定があるので、こうなるとやはり第二部が必要だろう。ここまででもちょっと長くなりすぎた感じはあるが。

【雑誌】モーニング 3/30 No.16 講談社 B5中
 守村大「花のうた」。花のハツラツとした表情が魅力的。井上雄彦「バガボンド」。いやー引っ張る引っ張る。斬り合いがなかなか始まらない。でも読ます。三宅乱丈「ぶっせん」。ぶっせんの食料が切れて、生徒たちは断食状態。体力が衰えてますます頭悪くなっているあたりがステキである。高梨みどり「Order-Made」が掲載。モノ作り人情もの。手堅くきれいにまとまっている。王欣太「蒼天航路」。張飛が迫力満点でかっちょよし。

【雑誌】ヤングジャンプ 3/30 No.16 集英社 B5中
 壬生ロビン「バラ餓鬼」。今回は天然理心流の門下生が登場。強くて豪放磊落。のちのアノ男である。作:石田雄太+画:片山真誠「松坂大輔物語」前編が掲載。順調だったプロ1年目の話よりも、高校時代の話のほうがひょっとすると面白かったかも。

【単行本】「BECK」2巻 ハロルド作石 講談社 新書判
 いやあ面白いですぜコレ。月刊少年マガジンで連載されている、ボーイミーツバンド漫画なのだが、作りが実にシッカリしてて読ませる。へなちょこだった少年・コユキが、バンドをやっている竜介と出会い、音楽に目覚めていく。幼馴染みの女の子が竜介に接近していくのに、ちょっぴりヤキモチを焼きながら、彼はギターを練習し、そして歌うのだ。まだコユキは気づいていないが、彼の声、ヴォーカルの才能はダイヤの原石のようであるらしい。
 いろいろとトラブルがありながらも、徐々に新しいものに目覚めていき、一心不乱に練習して成長していくコユキの姿は頼もしい。まだ2巻の時点で、コユキの声の威力はほとんど発揮されていない。それだけに、コユキボイスが全開になる瞬間に対する期待は高まる。元気の出る漫画である。次の巻が楽しみだ。


3/15(水)……さーて耳掃除でも

 グリーンジャンボ宝くじ当選番号。ぐはー。一等と同組で20番違い……。人生設計狂った……。

 OHP月極アンケート第1回「単行本化してほしい未収録作品」も半月が過ぎて折り返し点。15日24時現在のランキング(10位以上)は以下のとおり。西川魯介「屈折リーベ」がここまで伸びてくるとは。とはいえ、1位でもまだ19票。全投票数がこの時点で502票で作品数が232。得票数1の作品が100本以上と素晴らしいまでの分散ぶり。得票数が増えれば増えるほど楽しいし、影響力がアップするような気がしないでもないので、どんどん参加べきであるある。

1位 / 19票 / 3% :西川魯介「屈折リーベ」
2位 / 14票 / 2% :三浦建太郎「深淵の神2」
3位 / 11票 / 2% :アフタヌーン四季賞作品集
4位 / 10票 / 1% :吉田基已「水と銀」
5位 / 9票 / 1% :津野裕子「エリクシル」
5位 / 9票 / 1% :作:川崎ぶら+画:秋重学「ニナライカ」
7位 / 7票 / 1% :岩明均「雪の峠」
7位 / 7票 / 1% :木崎ひろすけ「少女ネム」
7位 / 7票 / 1% :小田扉「話田家」
7位 / 7票 / 1% :幸村誠「プラネテス」
7位 / 7票 / 1% :安井誠太朗「アマラの火」
7位 / 7票 / 1% :松本次郎「ウェンディ」

【雑誌】ビッグコミックスペリオール 4/1 No.7 小学館 B5中
 オヤジ方面へのシフトがますます顕著になりつつある。わりあいターゲット読者層があいまいに思える雑誌だっただけに、方向性をハッキリ打ち出すというのはプラス方向に働くかもしれない。まあ面白くなるかどうは別として。
 高田靖彦「演歌の達」は最終回。最後はドタバタとたたんでしまったきらいはあるが、それなりに気持ちいいラストだった。ただ、やっぱりここまで非常に面白い作品だっただけに、終わらせるならもっと時間をかけてじっくりとやってほしかったところ。なお、高田靖彦は春の終わりごろに新作が掲載される予定。新田たつお「チェン爺」が新連載。ギャンブル漫画になる模様。第一話はハッタリがきいてて、けっこう読めた。さて次の展開はいかに。東陽片岡「お三十路の町」。いつも変わらぬ、しけって生暖かい作風が心地いい。一杯飲み屋のカウンターに座っているふんどし一丁の「グチ聞き屋」のじいさん。まずいるはずもない存在なんだけど、妙に実在感がある。

【雑誌】ビジネスジャンプ 4/1 No.8 集英社 B5中
 作:近藤雅之+画:有賀照人「警視総監アサミ」。出ました。例の唐突に出現して、むやみにねちっこいエロシーンが。まるで付け足しのようでもあり、アレがメインのようでもあり。果てしなきどうでもよさが珍味。作:夢枕獏+画:谷口ジロー「神々の山嶺」。エベレスト登攀の歴史に一石を投じるカメラをめぐり、人々の思いが交錯する。腰を据えてガッチリ構築されたお話は読みごたえがある。

【雑誌】ヤングマガジンUppers 4/5 No.7 講談社 B5中
 咲香里「春よ、来い」。まふゆが、自分は男より女の子のほうが好きな人間であるということをハッキリ自覚。終始女の子のドキドキが描かれていて華やぐ読み心地。作:夢枕獏+画:板垣恵介「餓狼伝」は、泣き虫サクラが辰巳をいたぶり続ける。格闘能力だけでなく、存在そのものが強い。滅多にないほど凄みのあるキャラといえる。一色まこと「ピアノの森」。ここのところかなり盛り上がっていて面白い。まずは雨宮が壇上に登場、その後このところぐんぐん可愛い誉子、そしてカイと続いていく。それぞれがどんなパフォーマンスを見せるか楽しみ。黒田硫黄「映画に毛が3本」。今回は「アメリカン・ビューティ」の紹介。なんだかどうも複雑な感慨が残る映画みたい。黒田硫黄のレポートを読んでいると、ついつい読みたくなってしまう。語り口が非常に面白く、なおかつ肝腎の部分が巧妙に隠蔽されているから、どうにも気になってしまう。これは榎本俊二の「映画ににぎりっ屁」のほうでも同様。

【雑誌】週刊少年サンデー 3/29 No.16 小学館 B5平
 藤田和日郎「からくりサーカス」。機内での戦闘が続く。すでに老婆だが、動きがしなやかなルシールの戦いぶりがかっこいい。

【雑誌】週刊少年マガジン 3/29 No.16 講談社 B5平
 巻頭カラーで福本伸行の新連載「無頼伝 涯」。少年誌に福本伸行というのはスゴイ取り合わせのようでもあるが、少年マガジンはもともと荒っぽい肌合いもある雑誌なので、案外マッチしている。この作品は、少年が警察から逃亡しているところから始まる。彼は殺人の容疑がかけられているとのことで、警察も多くの人員を使って彼を追いつめる。少年は結局袋小路で警察官たちと対峙することになるが、異様な迫力を持ち、並々ならぬ戦闘力を備える彼に警察もうかつに手を出せないが……といった感じ。ここから話がどうなるかは分からないが、いきなり強烈なハッタリをかまし、つかみとしては上々。


3/14(火)……モロ手にあわあわ

 わりとよく言われていることだが、最近、エロ漫画の成年コミックマークのついた単行本、および雑誌における修正がどんどんユルくなっている。ほとんど無修正のものも珍しくない。普段から修正なんぞいらんと思っている人間なので、まあうれしくなくはないんだけど、あんまり怖いもの知らずでやっていると厄介なことになりそうで心配でもある。とりあえず無修正で描くことに対してチェックが厳しそうな女陰のほうだけでも修正入れて、多少ゴマかしておいたほうがいいかもしれない。個人的に、ちんちんのほうはカブトムシ的ルックスが見てて面白く感じるので、あんまり修正しないでほしいものだが。上連雀三平「アナル・ジャスティス」みたいな作品が修正されてたら興ざめだし。

【雑誌】東京H 4月号 一水社 B5平
 ゼロの者「唇と舌とだ液」。今回は妹モノだが、タイトルそのまんまにキス、そして舌とだ液にこだわる。キスシーンだけでもエロエロにお話を持っていってしまう巧みさは立派。友永和「SUZUKA」。今回は過去のエピソードだということがちょっと分かりにくいが、エロシーンの実用性は相変わらず。玉置勉強「PACKAGE」。不安を押し隠してオトコの前で明るく振る舞う女の子の姿が、切なく描けている。必要十分な線からは、ひんやりした空気の質感が伝わってくる。天誅丸「The Noel」。この人の描く乳は、大きくて重たげで好み。床などに押しつけられて変形しているところとかがちゃんと描けている。沙村広明のSMイラストシリーズ「人でなしの恋」は今回も掲載。

【雑誌】漫画アクション 3/28 No.13 双葉社 B5中
 作:森高夕次+画:あきやまひでき「おさなづま」。今回は「めぐみのピアノ」アニメ化に賭ける、男たちの熱き情熱が描かれる。おさなづまの女体盛りとか下らない展開を描いたかと思えば、こういった熱いエピソードも盛り込む。どちらも面白く読めてしまうというのは、やはり演出力のたまもの。六田登「CURA」。現代日本に生きる吸血鬼の物語だが、最近とみに面白くなってきている。人間である妻への報われぬ愛、そして息子との対話など、物語に深みが増してきている。

【雑誌】ヤングチャンピオン 3/28 No.7 秋田書店 B5中
 巻頭カラーで原案:青柳俊+画:近藤良秋「もがけ!100万馬力 怪物・滝澤正光」がスタート。競輪選手、滝澤正光の姿を描く実録モノ。骨太な線で正統派な迫力。作:高見広春+画:田口雅之「バトル・ロワイアル」。あひー、やっぱり濃い。アクションもやたら派手だし。すっかり田口雅之カラーで進んでいる。
 次号から岩明均の新連載がスタート予定。


3/13(月)……いざアマクラ

 ジャンキーズ5月号用原稿の3分の1をアップした、しばたは「明日、明後日でもう3分の1ずつ書いて3日で全24冊分を完成予定」などと甘い考えを持っているようだが、あんな怠慢な男にそのような計画的なことができるはずもなく、ちゃんちゃらおかしいといわざるを得ない状況についていったい誰が責任をとるというのか(夕刊ゲンダイの見出し調)。いや頑張ります。ちなみっくすのほうも。

【雑誌】週刊少年ジャンプ 3/27 No.15 集英社 B5平
 岸本斉史「NARUTO」がいい具合な盛り上がり。少年の成長を逞しく描いててポジティブな作風。作:ほったゆみ+画:小畑健「ヒカルの碁」。こちらもヒカルが急速に進歩を遂げている。彼のまっすぐな意気込みが気持ちいい。

【雑誌】ビッグコミクスピリッツ 3/27 No.15 小学館 B5中
 巻頭カラーで盛田賢司の新連載「電光石火」がスタート。一飯の恩義のために、並みいる兵士の群れに斬り込んでいく侍一人。戦慄すべき剣技を見せるが、多勢に無勢。結局は取り押さえられたものの、頭の弱いバカ殿の気まぐれで命は助けられ、傷が治るとすぐ島に流されるが、その島には何やら不穏な空気が漂っていて……といったところで以下次号。高橋しん「最終兵器彼女」再開。カラーページはとても美しいねえ。かなり切なく、泣かせが入っている。好調。柳沢きみお「SHOP自分」。説教くさい大家さんが、たいへんうさん臭くていい味出している。

【雑誌】ヤングマガジン 3/27 No.15 講談社 B5中
 巻頭カラーで馬場康士改め馬場康誌の新連載「空手小公子 小日向海流」がスタート。お得意の格闘モノで題材は空手。まだ始まったばかりだが、キャラクターはけっこう立ってるしハッタリも利いているので、面白くなりそうな気配ではある。小田原ドラゴン「おやすみなさい。」は連載100回記念。人形使用のフォト漫画と、作者が登場して鉄郎とかけあう漫画の2本立て。「100回目くらいは幸せな目にあわせてやりたい」といわれつつ、やっぱりひどい目にあってしまう鉄郎の姿が楽しい。東和広「ユキポンのお仕事」。今回はユキポンが家庭教師先で、教え子の少年にマニアックなフェチシズム指南。「月刊海女クラブ」。読みたいぞ。笠原倫「ジェンマ THE PASTAMAN」。今回も乱暴なほどにハッタリが利いてて面白かった。絵もそうだけど、言葉も力強い。

【雑誌】ヤングキング 4/3 No.7 少年画報社 B5中
 表紙&巻頭カラーは佐野タカシ「イケてる2人」。最近の佐野タカシは、暴走のテンションがちと弱まりつつあるかなーという気がしないでもない。もちろんそれでも十分にテンションは高いのだけど。中西やすひろ「愛DON'T恋」。主人公はなんだかんだいってヤリチンだし、その彼女は浮気して女の悦びに目覚めちゃうし。さほど目立たぬながら、実はかなり無軌道にお話が進んでいる。馬鹿馬鹿しくてなんだかすごい。

【雑誌】別冊マーガレット 4月号 集英社 B5平
 巻頭カラーでいくえみ綾の新連載「ハニバニ!」がスタート。ヒロインのちよが好きになった男の子は、かっこいいけど性格は最悪。うっとうしがられる彼女だが、でもやっぱり目は彼を追っかけてしまう。そんなある日、小鳥にとりついていたという宇宙人の魂が、彼に乗り移るところに彼女がでくわしちゃって……というところから始まるラヴコメ的作品。今回はわりとドタバタ系なお話になりそうだが、さてどうなることか。最近のいくえみ綾は、描く作品描く作品面白いので、この作品にも期待する。羽柴麻央「センチメンタルバム」は、今回の第3話めで最終回。まとまりのいい素直な絵柄はけっこう好きだけど、お話としてはもうちょっと引っ張ってくれたほうが読みごたえはあったような。父の弟子だった新進気鋭のカメラマンの助けを経て、女の子が父の遺した写真館を営業していこうとするというお話だったが、写真寄りの話がも少しほしかった。

【雑誌】まんがタイムジャンボ 4月号 芳文社 B5平
 毎度のことながら、こうの史代「こっこさん」。やよいちゃんのお友達の、ガリ勉系ルックスな眼鏡娘、チクリンがマイペースでたいへんにかわいい。ズバッとぶち抜きな、気持ちのいい一枚絵的カットは今回はちょっと控えめだけど、キャラクターの魅力は回を重ねるごとにだんだん増してきている。ほっとする面白さ。


3/12(日)……デリバリーつりぼり

 今日、地元の文教堂書店系の本屋さんに行ったら、レジ前に「つりぼり体験コーナー」とかいうものがデデーンと出来ていた。水槽&小さな竿が備えつけてあり、かなり違和感バリバリ。中にどんな魚が入れてあるのかは確認しなかったけど。つまりこれからは、フィッシングも本屋さんで済ます時代だというのか。ましてやお座敷つりぼりであり、あながちeフィッシングであるとでも。

【アンソロジー】「鎖縛」VOL.4 松文館 A5平
 SM系アンソロジー。TYPE90、松任知基、近石まさし、咲耶洸、LINDA、SHIZUKA、れん・しゅぽると、千萬輝明、カマキリ、臓器林、桃山ジロウが漫画を執筆。表紙はけっこう陰惨な感じだが、内容は全般的にSMとしてはヌルめでいまいちもの足りない。やってることの激しさからいえば、桃山ジロウ、近石まさしあたり。

【単行本】「アブナイ悦子先生」 ひぢりれい 富士美出版 A5
 これはいい。オススメ。
 ひぢりれいの絵のべらぼうなうまさはすでに定評のあるところ。くっきりしてかつ緻密な、事物の質感をきちんと表現できる描線。その達者な絵をフルに生かして、実用に徹したバリバリのエロ作品を描いている。ショタ好きな淫乱女教師モノの表題作もいいけど、姉を慕う妹があえて姉を男に差し出し、姉妹ともども肉欲の虜になっていく「ruin」シリーズは乱交シーンもあって激しく俺好み。ディティールを細かく描き込む絵柄なのに、消しがまったくないのも良い。ひぢりれいの達者な絵柄から、お話重視のスピリチュアルな作品をお求めな人にはつらいかもしれないが、実用重視の人には文句なしの逸品。

【単行本】「お姉さま図鑑」 中島初美 あまとりあ社 A5
 わりとお仕事的な作品集。この中では風俗嬢のお姉さんたちを扱ったシリーズがわりと読める。でももうちょっと何か武器がほしい。

【単行本】「「LOVERS HIGH」 御堂明日香 ビブロス A5
 基本的にライトな読み口で、細めなわりに出るとこは出た女の子たちが、汁まみれになるエロシーンはまあまあH。ツンツンはねた髪の毛のボリュームがありすぎるところがちとアンバランスな感じはするが、スマートでかわいくてHで、恋愛心を刺激するトキメキもきっちりちりばめてあってけっこうイケる。

【単行本】「触れていて。」 凪妖女 オークラ出版 A5
 実用度は高くないんだけど、女性的な視点を物語の中で十分生かして、ラブストーリーをまとめあげる。身近なところからトキメキをすくいあげ、読後感はハッピーで良好。やおいっぽさが漂う作風も味になっている。

【単行本】「めがねっ娘倶楽部」 完顔阿骨打 ヒット出版社 A5
 エロコメ系作品。単行本タイトルにもある「めがねっ娘倶楽部」シリーズがとても面白い。とある学園で活動する「眼鏡が似合う女子連合会」、通称「めがねっ娘倶楽部」の女の子たちによるドタバタコメディ。最初はムリヤリ引きずり込まれた主役格の女の子が、どんどんノリノリになっていき、最後は猫耳ブルマみつあみめがねっ娘を調教するに及んだりするあたりは抜群に楽しい。外国人めがねっ娘も登場したり、おばかさんなことこのうえない。いいじゃないですか。


3/11(土)……番長ロリ屋敷

 定期購読のコミックビームが届く。ビームが定期購読を開始したのが昨年の5月号。その号から始めて1年間で払い込んだ人は今回が最終となる。定期購読だと買い忘れとか、入手しそびれることがなくて便利なので、これからも続けるつもり。また1年分、お金払ってこなくちゃ。ただビームの場合、今のところ残り回数が何回なのかの表示が封筒にないので、いつから始めたのか覚えておかないと、期限切れでうっかり買い忘れてしまうこともあり得るけど。俺は日記に書いていたおかげで定期購読開始号を思い出すことができたが。ちなみにウルトラジャンプの場合は、お金を振り込むと「何月号〜何月号まで申し込まれました」という通知が来るのでわりと大丈夫。

【雑誌】コミックビーム 4月号 アスペクト B5平
 コリアンパワー第2弾。林光默「橋無醫院」(きょむいいん)が新連載。韓国語は通常横書きで表記されるため、縦書きの日本の漫画雑誌とは読み進める方向が逆である。この漫画も日本の通常の漫画とは逆開きで描かれている。日本ではパソコン雑誌などに載っている漫画は、通常と逆開きだ。で、今回の作品を掲載するに当たって、ビームは大胆な方式を選んだ。雑誌の初っぱなからほかの漫画とは上下逆に印刷。本をひっくり返して読むようにという指示付き。通常、こういう開きが逆の作品を載せる場合は、巻末に掲載して後ろから読んでもらうようにするというのが通例だが、どうしてもこの作品を巻頭カラーに持ってきたかったのだろう。アジアから新しいパワーを持ってこようとする試み、本を逆にしてもいいとさえ決断するほどの意気込み。実にビームらしい心意気といえよう。お話は、悪玉に追われている娼婦と、街でぶらぶらしている頭が足りなめだがムチャクチャな格闘能力を誇る男が出会い、そこから物語が動き始める……といったもの。舞台は韓国の地方都市って感じだろうか。まだお話が始まったばかりで、ストーリーはいまいち見えないのだが、絵はかなり細かく描き込まれていてハイクオリティだし、アクションシーンも迫力があって面白げな雰囲気がビンビン。
 志村貴子「敷居の住人」。ここしばらくずっと、毎回毎回メキメキ音がしそうなほど面白いのだが、今回もメキメキ。達者でシャレた絵で、少年少女のもやもやした思いを冷静に記述し続ける。洗練された描写と、切り込んでいく手際の巧みさ。おもしろーい。桜玉吉「幽玄漫玉日記」。ヒロポンの部屋を、ファンシーだったり下品だったり、ちょっと小粋でイヤなアイテムで埋め尽くす桜玉吉とO村。いらないところに手間をかけまくる、念の入りっぷりが楽しい。しりあがり寿「弥次喜多 in DEEP」。氷の下に閉じ込められた喜多さんを助け出そうとする弥次さんの前に、異形の者が立ちはだかる。寒くて冷たく異様な場所で繰り広げられるであろう、めくるめくであろう世界に期待が高まる。市橋俊介「テルオとマサル」。今回もテルオとマサルは、クレイジーで暑苦しく、やたらとテンションが高い。常軌を逸した者たちの前に、僕らは無力だ! カッコイイぜ。イエー!
 須田信太郎「やさしい女は何処にいる」。不完全燃焼で、燃えのこりがくすぶり続ける男たちの姿が、泥臭く哀愁をもって描かれていて良い感じ。有川祐「彼女とデート」は、いよいよ次号で最終回。今回は、途中まではビシバシと緊迫感にあふれ、最後で凍て付いた雰囲気が溶け出す。次号どう決着をつけるのか。すごく楽しみ。いましろたかし「釣れんボーイ」は今月も面白かった。ヒマシロ先生とその妻の、葛藤とちょっと心暖まる物語。金平守人「かねひらだもの」。このタイトルになってから、ノリが良くなっていてずいぶん面白さがアップした印象。今回も下らないギャグをテンポ良く繰り出してきて、面白く読めた。
 次号から作:TKD+画:竹谷州史で新連載スタート。うひょ、楽しみ。

【雑誌】エースネクスト 4月号 角川書店 B5平
 安倍吉俊「NIEA_7」。達者な絵柄でのほほんとしたお話。ザラザラとした触感をかもす作画は毎度見事。岩原裕二「クーデルカ」。なめらかな絵柄とアクションシーンのダイナミックさが魅力。作:大塚英志+画:森美夏「木島日記」は、今回も退廃的で妖美。ミステリアスでハイクオリティ。

【雑誌】桜苑 Vol.6 桜桃書房 B5平
 だいたいエースネクストと同じくらいの厚さで、かなりボリューム感あり。500ページあるんだそうだ。そのわりにはお値段は540円と、このクラスにしては安め。
 内容自体はあんまり目立つところがない。それなりにエロもやっているのだが、飛び抜けてハードってわけでもなく、ハイクオリティってわけでも、変態ってわけでもない。そのなかでは佐藤登志雄「名探偵 金田・P・ホーガンちゃんの事件星団 〜悪徳の華編〜」が目立った。しっかりしたペンタッチの作画と、濃密なエロっぷり。下らないオチとかもいい感じ。あとはKURO「帰趨」のロリ系の絵柄が惹かれるものあり。横顔とか、泣きそうに歪んだ顔とかに風情があってよろし。

【単行本】「ブラブラバンバン」2巻 柏木ハルコ 小学館 B6
 美人だけど、演奏に熱中すると踊り出したり、服を脱ぎ出したり、人に抱きついたりと、忘我の境地に陥ってしまう芹生さんに、なんだかわけは分からないけど引っ張られていってしまう高校ブラスバンド部の物語。くっきり、そしてぼてっとした描線を塗り固めていく柏木ハルコの画風は毎度印象的。芹生さんは大マジなんだけど、彼女がどんな奇行をするかという演奏と関係ないあさっての方向に興味が流れていく。普通に演奏を始めてもいつのまにやらヘンなことになってしまうが、それでもストーリーは一歩一歩着実に進む。破綻せず物語の形は一定に保ちつつも、次の展開は予想させない。読者の興味をしっかりひきつけ読ませる力がある。

【単行本】「ハッピーセット」 うらまっく ワニマガジン B6
 短編集。シンプルでまとまりが良く、上品さもあって十分にキュートでもある絵柄。そしてハッピーエンドであってもバッドエンドであっても、過不足なくきれいにお話をまとめてくる作話能力。うらまっく作品の完成度は年々アップしている。ドタバタも、ラブコメも、インモラルな話も、それぞれきれいにまとめてくる。
 今回の単行本の中では、やはり3話構成の「トモダチ」が一番の見どころ。昔から自分に自信がなく、あまりトモダチもいないまま大人になった女性が、彼氏に紹介されて「トモダチ」が集うグループの仲間入りをする。そこでは皆、一見ほがらかで楽しそうにつき合っているが、実はそのグループは、グループ内ではまったく隠し事もできずプライベートなどは放棄し、それ以外の社会には完全に背を向ける……という閉鎖的な集まりであった。そこでは構成員の肉体も完全にグループの共有物。ひとたびグループを脱けようとすると、人格まで否定されてしまう。閉塞しきっているが濃密な関係をとるか、自由で孤立した状態をとるか。ヒロインは決断を迫られる。ハッピーでポジティブなお話を描いたかと思ったら、こういう後味の悪いお話も描く。いずれも高品質でまとまっているところは、まさに職人芸。

【単行本】「嗚呼!熱血ロリータ番長」 G.B小野寺 雄出版 B6
 ロリにあつき情熱を賭ける番長、眼鏡っ娘大好きなメガネ・ガイ、自分でコスプレするネコみみ野郎、デカチンを武器に敵を倒すゴールデン・ボンバー。むやみなパワフルさと内容の下らなさが楽しいですな。描画技術自体はあまりないけど、ロリはロリだし、筋肉男は筋肉男にしっかり描けている。漫画的な絵のうまさとしては十分。


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