◆ 2000年12月下旬 ◆

12/21〜31
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12/31(日)……韃靼ぼよよんぼよよん

 アケマシテオメデトーゴザイマース。と12月31日の日記でいってみる。書いているのは1月1日の昼なんだけど。2001年のテーマは「身辺整理」です。いろいろな意味で。まずは今、自分の周りに積み上がっている漫画を物理的に整理するところから始められたらな、と。

 12月31日はエアーカーや未来服(銀色)、チューブ食品などの準備で忙しかったが、その合間を縫って町田に映画「ダンサーインザダーク」を観に行ったり、パソコンパーツ屋に行ってAthlonマシン用電源を買ってきたり。30日に苦戦したAthlonマシンのセットアップだが、原因が判明。どうもCPUクーラーとCPUのコアが密着してなかったせいで熱暴走していたようなのだ。これはCPUクーラーに最初っから塗られている緑色のボンド状の物体が、以前CPUに取り付けたときにコアに当たる部分だけ剥がれてしまって空洞状になってしまい、きちんと密着していなかったようなのだ。なかなか気づかず、何度もOS再インストール作業しちまったい。Shit!! その後はかなり安定しているのだけど、Windows 2000でデータドライブ用のHDDをちゃんと認識してくれないというトラブルに遭遇中。困っている。しょうがないので98SEで動かすかなあ。それも悔しいが。

 月極アンケート、2000年12月「エスエフマンガ」が終了。20世紀最後にエスエフというのはバッチリだったと思うのだが、始めてからすぐ「度胸星」の件があって、ちとタイミングが悪かったかな?とも感じた。「度胸星」終了前にやっていたらどうなったかなという気はする。あと「BLAME!」もいくぶん組織票的なところがあったみたいですな。でもまあこのアンケートって順位よりも、むしろ「誰が」「どんなコメントをつけて」投票しているのかのほうを個人的には重視しているし、1ヶ月限定のテーマ別掲示板みたいな感じだと思うんで、そういう面では投票数も多かったし楽しくはあった。しかしやっぱ、うまい具合に運営していくのってたいへんなもんです。

 で、2001年1月は「2000年ベスト漫画雑誌」にしました。幅広く雑誌を読んでいる方の意見をいろいろお伺いできれば幸い。順位は後からついてくるでありましょう。

【単行本】「ひっち&GO!!」1巻 永野のりこ メディアファクトリー B6
 人外の民の姫であるひっちと、ヒキーコである安五郎が出会い、ひっちに迫り来る追手たちの攻撃を撃退しつつ進む物語。ひっちとヒッキーという構図だ。ひっちのボンデージ系のファッション、煮詰まっちゃってる安五郎と、いつもの永野節という感じを受けたのだが、一話完結的になることが多い永野のりこ作品にしては物語的に一本の流れがちゃんとある感じがする。そういうわけでこれから物語が進むにつれて、それを追う楽しみが出てくるかな〜という気はする。それを「電波オデッセイ」や「すげこまくん」レベルで突き詰められるかってところがカギかな。

【単行本】「韃靼タイフーン」1巻 安彦良和 メディアファクトリー B6
 函館を舞台に、謎の美少女アナスタシアを巡り、ロシア方面の国の軍隊や地元のヤクザやらなんやらがからんでしっちゃかめっちゃかな戦争状態が始まり、そこに主人公の卓馬、それからその幼馴染みの眼鏡っ娘デコちゃんたちが巻き込まれていくといった感じのお話。デコちゃんがかわいかったりいろいろいいところも見られるけれど、出だしとしては登場人物が多すぎてガチャガチャしちゃってるなという印象。まあとりあえず先を見守っていこうとは思う。安彦良和はけっこう当たりハズレの激しい作家だが、これはハズレの部類かも……という予感はする。


12/29(金)〜30(土)……みんな波動

 29日は会社の仕事納め。というわけで職場で軽く酒が振る舞われたりしたのだが、それでなんだか気が大きくなってしまった俺は、ICQでサイトウマサトクさんを捕捉し、そのまま飲みに行きましょーとかいうことに突如決定しまくり。池袋で洋酒系のお店でズガリと一杯ひっかける。この前呑んだときに「お前らは28歳じゃないからダメなんだ」とアレほどいった(らしい。そのあたりは記憶があやふやだ)のに、サイトウさんはいまだ28歳化していなかった。同席したサイトウさん部下の人はちゃんと28歳で、そのへんをちゃんと心得た良いお方だった。ちなみに来年は7月以降くらいから29歳が流行りだし、28歳は時代遅れとなるはずだ。それはともかく、サイトウさんには突如つき合っていただいて大感謝。おかげでその日はええ気分のうちに帰宅。ちょっと電車を乗り過ごして結局タクシー帰りになったりしたことはナイショなり。

 明けて30日。21世紀はギガで迎えなければならぬ。そう焦った俺は、ようやくAthlon/1GHzマシンを組むことにする。しかし苦戦。最初はなんかマシンを立ち上げると10秒くらいで落ちるとかいう現象が多発。どうやら電源が悪いかなとか思ってほかの奴に取り換えたところ、そこそこうまく行くようになったがOSのインストールで止まる。クケェーとか奇声を発しつついろいろ試したけれど、結局ダメ。症状から察するに原因はやはりおそらく電源。Seventeamの300Wの奴で、フツーだったら問題なさそうなものなのだが、なんかしらヘンなことになっているらしい。明日にでももっとハイパーなゴツい奴を買ってきて再チャレンジする予定。なんといっても残された時間は少ないのだ。21世紀へ向けて。

 あーそういえばコミケは行ってません。ハナっから行く気がなかったんで、開催されていたことさえ忘れがちでありました。ときどき人と話していると「しばたさんはコミケ行きますよね?」とかいわれることがあるんだけど、もともとコミケはまれーにしか行かないんす。たぶんこれからもしばらくは行かないだろうと思いマス。

【雑誌】ホットミルク 2月号 コアマガジン B5平
 山文京伝「砂の鎖」。おこさまのおくさま調教が絶好調で進んでいる。どんどん開発されちゃってもうたいへんだ。そろそろ単行本1巻分になるのだが(2001年2月5日に1巻が発売予定)、今回はかなりのページ数を使ってじっくりじっくり人妻さんを煮詰めていっている。腰を据えてかかっているので、これからどこまでやってくれるのか楽しみ。瓦敬助「菜々子さん的な日常」。コンスタントに面白い。いつもながらに菜々子さんは萌え誘発娘であり、昔を懐かしむような語りもまったりとしてて和む。G=ヒコロウ「みんなはどう?」は2ページ掲載されているのだが、なんか記事ページ内で目立たないところにあるので注意。目次にページ数は書いてあるけど、その前後のページはノンブル振ってないので探しにくいぞ。

 コミックジャンキーズは特集が「2000年の…PART.2」。2000年が終わらないうちに振り返る特集を2回もやるなんてさぞタイヘンだったろうなあ。インタビューは影崎夕那。単行本レビューは96発で、ワタクシ担当分は25冊くらい。

【単行本】「超・学校法人スタア學園」21巻(最終巻) すぎむらしんいち 講談社 B6
 これにて最終巻だ!! どうなるかまったく予想がつかずごろごろと転がり続けてきた物語も(作者もどうなるか予想がついてなかったらしい)、なんとか落ち着くところに落ち着いておしまい。考えてみればコレ、すぎむらしんいち最長作品なのだ。コキジは最後までコキジらしく、それから仲本もやっぱり仲本で。何やらかすか分からないドタバタな物語は、最後までしっかり面白かった。これで全巻そろったことだしさあドカ買いだ!

【単行本】「春よ、来い」4巻 咲香里 講談社 B6
 ショートのめがねっ娘と、ロングの正統派美人。二股状態、絶好調で進行中。いやー、それにしてもタカちゃん悪い男だね。ぱーっと華のある絵柄だけど、最近かなりハードな展開になってきているような。

【単行本】「木島日記」2巻 作:大塚英志+画:森美夏 角川書店 A5
 オカルト風味満載で描かれる軍国日本の闇。扱われるネタはオカルト方面でもかなりうさん臭いものばかりなのに(酒井勝軍とか)、それを説得力ある、高級感さえ感じさせる描写で見せつける森美夏の作画がまずはスゴい。妖しく怪しく、美しくて狂気に満ちている。メートル上がりまくっている誇大妄想的でクレイジーな軍人さんの表情とか描かせるとホントにすごい迫力。原作のほうもかなり力が入っている感じで、良い物語と良い絵が、幸せな出会いを果たしているなあと感心する。

【単行本】「羊のうた」5巻 冬目景 ソニー・マガジンズ B6
 いよいよ一砂が発病し、千砂との関係は他者が入り込めないほどに濃密になっていく。その間も千砂の身体は病魔に蝕まれ続ける。弱々しく、でも気丈に振る舞う千砂の姿にはゾクゾクするような色気が漂っている。吸血鬼といえば弱点がいろいろハッキリしている反面、他の物語では吸血鬼であるがゆえの特殊能力を持っている場合が多い。だが、この作品の高城家の人々は特殊能力はまったく持っていない。吸血は業であり、ハンデであり、自らを普通の人間社会から遠ざけ命をも縮める厄介な病でしかない。吸血のこういった描かれ方ってちょっと珍しいんじゃなかろうか。

【単行本】「BAMBi」5巻 カネコアツシ エンターブレイン A5
 いよいよ物語は佳境。バンビがさらってきたパンピと呼ばれる「子供」の正体もこの巻で明かされるなど見どころ多し。隅々まで完成されたスキのない絵柄は、止まっているシーンも動いているシーンもカッコよく描写する。ところで帯によればaikoが「バンビになりたくて格好を真似てみた」とか書いてるけどなるほどーという感じ。確かにファッション的にも決まってるし、天衣無縫で自分のためだけに行動し殺人をまったくためらわないメンタリティはカッチョええし。かなり長いお話になってきたけど、まったくダレることがないし、むしろどんどん面白くなっている。大したもんだ。


12/28(木)……乙女人間

 今日読んだ分で2000年内の雑誌読みはだいたい終わりかなー。

【雑誌】ヤングマガジンUppers 1/16 No.2 講談社 B5中
 はっとりみつる「イヌっネコっジャンプ!」。なんじゃこのお話は。この季節にプールの話やるだけでなく、今まであんまり目立ってなかったカレシちゃんのよく分からん妄想がお話の中で異様に大きなポジションを占めてしまっていて、得もいわれぬ味わいとなっている。物語的な進展はほとんどなし。この作品の場合、それは欠点とならず、ひたすら楽しい。いやあそれにしてもどうなるんだろう、この漫画。先がじぇんじぇん読めぬ。作:夏秋望+画:玉置一平「鋏客」は前後編の読切。今回は前半30ページが掲載。ふだんは美容師、裏では鋏を駆使する無敵の殺し屋である男の物語。鋏で殺しの道具に使うというネタはわりと新鮮だし魅力的。絵もなかなか達者。まだすごく面白いってほどではないけれど、そのあたりは後半で盛り上がることを期待。堂高しげる「iドーモ!」。今回は全日本妹選手権の第2話め。兄殺しな妹魅力をあざとく満載し、開き直った面白さ。ホンモノの妹ラヴァーの人には痛いかもしんないが、カラッと笑えるので素直に楽しい。

【雑誌】MANGA F 2月号 太田出版 B5平
 なんか最終号らしい。といっても別になくなるってわけでなくて、次号(1月末発売)から雑誌コードではなく単行本コードでの販売形態になり、誌名が「マンガ・エロティクスF」となるんだそうだ。エロティクスとの発展的統合って書いてあるので、エロティクスもこの前のが最終号ってことになるのかな? エロティクスF。略して「EF」なんてどうだろう。

 山本直樹「ソ市滞在」。日本人と、韓国語でしかしゃべらない女性とのエロス。言葉が通じてないけど、でもやるんだよってところがかえってエッチ。田村マリオ「社会不適合者の穴」。表紙でおなじみだけど、乾いていながらぬたりとした生っぽさのある描線がかっこいい。町田ひらく「回天」は、坂本龍馬に憧れたまま、龍馬と同い年になってしまった男の鬱な感じの生活。アクシデントが原因で13歳の女の子が部屋にくるも、別にやるではなく。8ページながら情景描写が鮮やか。13歳少女も、年齢のわりに色気があって魅力的。でもも少し長いお話を読みたかったなあという気持ちもある。深谷陽「BAHASA」は4色カラーが鮮やかな8ページ。外人女を描くのはやはり抜群にうまい。Chicken「スミダの眼鏡ちゃん」は、第2回マンガ賞入選。漫画としてはまだ整理されていなくて、筋を追いづらくはあるのだけど、白黒のコントラストの利いた、ツヤのある太い描線による作画は魅力的。お話としてもホモ話ながらみずみずしいエロが感じられる。雑誌にもよるけど、現時点でもかなりやってけそうな人って感じがする。

 あと、駕籠真太郎のサイン会が1月20日(土)午後3時より高円寺文庫センターにて開催されるそうだ。Webのお知らせによると現在整理券配布中らしい。

【雑誌】ヤングキングアワーズ 2月号 少年画報社 B5中
 大石まさる「泥棒猫」が表紙。こういう雰囲気の表紙って珍しい感じがする。
 今号では小泉真理「ジンクホワイト」が面白かった。絵を描いててのめりこんで不気味な笑い声を立てるマキが、いい具合にテンション高くて見てて面白い。アドレナリン出まくりで、かなり羨ましいテンションだ。堤芳貞「シーラカンスデイズ」。読切。休館目前の博物館を管理している男とフリーライターの、短くも印象的な邂逅を描く。絵は申し分なくうまいけど、お話はいまいち弱いかな。何か見開き間のつながりが悪くて、筋立てが頭に残らないような気がする。イメージ的には美しいので惜しい。

【雑誌】GOTTA 2月号 小学館 B5平
 あてるいの旦那もいないし、そろそろ立ち読みで済ませてもええかなーとか思い始めてきた。わりと単行本はちゃんと出してくれるらいいことが分かったし。橋口たかし「シザーズ」は、双子のカットモデルで勝負を競うという展開に。なかなか面白い道具立て。

【雑誌】スーパージャンプ 1/10 No.2 集英社 B5中
 読切でなんと、中西やすひろ「Oh!透明人間2001」が……。この作品自体はもうかなり前のものだけど、何気に中西やすひろって芸風が変わってないなあ。昔からずっと裸モノ。最近は脂っこくなりつつあるけど、こういうテイストでずっと続けているというのはなんだかすごいかもしれない。

【雑誌】ビジネスジャンプ 1/15 No.3 集英社 B5中
 作:夢枕獏+画:谷口ジロー「神々の山嶺」。今回も山が雄大。そして男の維持が炸裂している。もっともっと登山シーンを見たいのでガシガシやってほしい。作:近藤雅之+画:有賀照人「警視総監アサミ」。原田くんはスッカリ肉欲に溺れているわけですな。それにしても雪山で全裸でフェラチオせんでもねえ……などというツッコミは野暮ですな。スンマソン。

【雑誌】快楽天 2月号 ワニマガジン B5中
 巻頭カラーは米倉けんご「エバーグリーン」。姉2人+弟1人にそれから弟の親友がからんで、愛と嫉妬がもつれ合っている。多少青くさめに、そしてハードにドスンとくる読みごたえとなっている。現在第5話だが、10話くらいでまとまってくれると非常に良い感じになりそう。陽気婢「内向エロス」。陽気婢先生、今回は郷里で昔ちょっと好きだった女の子と再会し、Hしまくっていい感じに。これに女生徒がからんできて三角関係かなんかになるのかな? そうだとすれば故郷編は急ぎ気味だった感がちょっとある。もう少しここらへんは話数使ってもよかったかも。いやもちろんこれっきりならなんも問題ないんだけど。SABE「阿佐ヶ谷腐れ酢学園」。なんか女二人ヘンなことになってますな。どうなるんだろう。どうなってしまっても面白そうだが。

 YUG「暮れてゆく空の下で」。ああ、反則なほどにかわいらしい絵だ。邪気が全然なく、まろやかでピュア。そんな絵で妹モノをやってくるんだからもうたまりまへん。お兄ちゃん、いい人すぎだ! 神宮千寿「底辺ノスタルヂヤ」。キヤキヤと華やか、細い線で美しくかわいく完成した絵が見事。

【雑誌】ラッツ 2月号 司書房 B5中
 森高たかし「青龍伝説 娘々」は、単行本「ラブマシーン」に収録されたシリーズの続編的作品。中国人留学生の娘々がエッチな目に遭うというタイプのお話。森高たかしは、元気のいいコメディタッチながら、エロも意外と充実していてけっこう好き。「好きな男以外の野郎にやられてるんだけど身体は正直」ってなシチュエーションに反応しているだけかもしらんけど。今回もそういう話なのだ。BEENY’S「桃色西遊記」。今回はロリ系な金角&熟れ熟れ銀角という構図。大乳小乳、両方とも楽しめる御トクサ。柔らかい絵でエロがじゅくじゅく濃密で好調。残りは2話ということだけど、これで1冊にまとまってくれるといいなあ。山部海人「20世紀が終わっても」。あんまりHはないけどいいお話。年上の、ちょっと子供っぽさもあるおねいさんの表情がイキイキしてて、ラブコメ的雰囲気もグッド。ヌルめな作品が好きな人に良さそう。いやもちろん俺も好きさ。


12/27(水)……グーテンタークラブ

 家の近くの宝くじ売場で初夢くじを買おうと思ったら、発売から5日くらいしか経ってないのにもう連番が売り切れていた。なんか今年のグリーンジャンボで一等がその売場から出て以来、こういうことが多くなったような気がする。効果あるんですなあ。

【雑誌】週刊少年マガジン 1/15 No.4 講談社 B5平
 福本伸行「無頼伝 涯」。最終回まであと3回。澤井先生、一気に用なし。まあ当然か。

【雑誌】コーラス 2月号 集英社 B5平
 いくえみ綾の短期集中連載「朝がくる度」は早くも最終回。シスコンな美青年さまの、うじうじとした日常。もう少し続くのかな〜と思ってた分、ちょっと食い足りない感はあったが、テンポ良く洗練された絵柄で物語を進めていて楽しめたことは確か。セリフの量とかが適度で、読みやすくそして面白い。

【雑誌】Cookie 2月号 集英社 B5平
 おかざき真里の読切「やわらかい殻」が掲載。自分の部屋に引きこもりがちな女性の元へ、1年前、同じ部屋で恋人と暮らしていた女性が転がり込んでくるところからお話がスタート。この、短いけれども意味のある出会いによって、二人のオンナの気持ちがそれぞれ前へ向かっていく。ごく自然にお話を運び、きれいなしめくくりまで持っていく手際は、頭から終わりまで終始鮮やか。表情がイキイキしてて魅力的に描けているなあ。いわみえいこ「けっしーあのね」。小学校低学年の、算数苦手な女の子・すずなと、彼女が顔を描いたことによって意志を持った消しゴム「けっしー」の物語。彼らは友達になるけれども、すずなが勉強して消しゴムを使うたびにけっしーは小さくなっていってしまう。ピュア〜でメルヘンしてて、後味は爽やか。いわみえいこは、こういうちょい泣かせ系の話がとてもうまい。

【単行本】「クーデタークラブ」1巻 松本光司 講談社 B6
【単行本】「サオリ」 松本光司 講談社 B6
 松本光司単行本2冊同時発売。めでたいめでたい。現在ヤンマガで連載中の「クーデタークラブ」は、こっそり女装趣味を楽しんでいたガリ勉少年が、双子姉妹のかたわれである少女に引き込まれ、自らを革命することを目指す「クーデタークラブ」に引き込まれていき……といった感じの学園モノ。この作品で特筆すべきは強烈なヒキの強さ。第1巻の時点ではあんまりお話は動いてないのに、濃いタッチ、それから存在感抜群の書き文字によるドキドキ心音などで、強引なまでにお話を盛り上げてくる。その語り口の強さに、ついつい物語に引き込まれていってしまう。

「サオリ」は「クーデタークラブ」以前に別冊ヤングマガジンで連載された作品。うだつのあがらぬ絵描きの青年が、ある日転がり込んできたミステリアスな魅力を持つ少女・サオリと暮らすうち、しだいしだいに彼女に心奪われていく。こちらも「クーデタークラブ」ほどではないがヒキが強く、グングン読ます。これだけ語る力が強い人ってなかなかいないし、いろんな話に応用が利くだろうからかなりな武器だ。絵的にもだんだんキャッチーになってきてるし、これからもとても楽しみな人だ。

【単行本】「ユキポンのお仕事」3巻 東和広 講談社 B6
 初版限定でシールが付いているので、シール好きは急げっ。今回もネコのユキポンは、ご主人様のあけみちゃんに振り回されたりしつつ、せっせと労働。妙に落ち着いた礼儀正しいユキポンのしゃべり方とか、むくむくもこもこした絵柄とかがとても楽しい。ユキポンもそうだけど、顔がたこやきみたいにまるまるしてて和む。ところでこの作品の単行本で思うのが、「〜ニャ」言葉でアオリが書かれた帯。ユキポンには「〜ニャ」は似合わないなあ。

【単行本】「恋の門」2巻 羽生生純 エンターブレイン A5
 社会的失格系石漫画家・蒼木門、そしてコスプレ系パロディ漫画家にしてOLでもある証恋乃が出会い、そして二人のいびつな関係が始まる。恋乃の門に対する感情は、自分の自由になるコスプレパートナー男役というところからスタートし、だんだん自らのものを手離したくない執着に変わっていく。門のほうは、最初はただ恋乃に引きずられ、その後は与えられた恩義的なものや肉欲によって引き留められていくという感じか。どちらにしても「純愛」とはいいにくいところがあり、打算と独占欲、名誉欲、執着心などがないまぜになって奇妙な関係性を築き上げている。イタいオタク描写であるとかスパイシーな表現にも目を奪われるが、恋愛モノとしても相当にハードなことをやっている漫画である。なんにせよ登場人物たちは不器用で、変わり者だ。とはいえ一つひとつの感情の動きを見ていると合点はいく。きっかけは偶然であったかもしれないけれど、出会い以降の流れは必然という気がする。自分を制御しきれない濃い生き様の描写は非常に刺激的で、風変わりである。なんにせよ面白い、すごく面白い存在だ。


12/26(火)……伝える人

 そろそろいい加減このデザインにも飽きてきたこともあり、とりあえず来年は日記あたりから少しずつデザイン変えていこうかと思いスタイルシートの勉強中。

 そろそろ今年の単行本は最終便かな〜。というわけで本日感想書いたもの以外では以下のようなものを購入。松本光司2冊がうれしいねえ。スタア學園は最終巻。揃えるべしっ。

【雑誌】Cookie 2月号 集英社 B5平
【単行本】「クーデタークラブ」1巻 松本光司 講談社 B6
【単行本】「サオリ」 松本光司 講談社 B6
【単行本】「超・学校法人スタア學園」21巻 すぎむらしんいち 講談社 B6
【単行本】「ユキポンのお仕事」3巻 東和広 講談社 B6
【単行本】「春よ、来い」4巻 咲香里 講談社 B6

【雑誌】ヤングチャンピオン 1/9 No.2 秋田書店 B5中
 作:石田衣良+画:有藤せな「池袋ウエストゲートパーク」。略してIWGP。一瞬なんかの格闘団体かと思ったが、コレって文藝春秋刊の小説が原作なのね。ああっTBSでドラマ化までされている。ごめんさない知りませんでした。ストリート+ちょっとラブ&お色気かなとか思ったら、どうもミステリものでもあるようですな。近藤佳文「鉄筋安坊」。この前ヤングチャンピオンのバックナンバーを整理したのだが、この作品の単行本化が決まってくれないと掲載誌が捨てられなくて困る。作:青柳俊+画:近藤良秋「もがけ!100万馬力 −怪物・滝澤正光−」は最終回。滝澤正光のキャラが立っていたおかげでわりと楽しんで読めた。

【雑誌】少年エース 2月号 角川書店 B5平
 作:矢作俊彦+画:藤原カムイのコンビで「気分はもう戦争2」がスタート。日米安保が破棄され、何やら戦争が始まりそうな気配。前作(画:大友克洋)が傑作だっただけに期待が高まる。未読の人は今B5版で角川から新装版が出ているので行っとけ〜。CLAMP「エンジェリックレイヤー」。今回はやけに崩した絵が多くてノリノリですな。吉崎観音「ケロロ軍曹」。今回は2話掲載。酒呑んだモアが大活躍〜ということでベロベロな楽しさ(でも制御はちゃんと利いている)。ゴツボ*リュウジ「青春のささめきキック」。8ページと短いながら、線の美しい達者な絵が目を惹く。

【雑誌】ビッグコミックスペリオール 1/12 No.2 小学館 B5中
 太田垣康男「MOONLIGHT MILE」。今号もやはり何かとエロ描写は出てくるが、それでも宇宙飛行士への道は着々。さあ早く宇宙宇宙。アクションから移籍の相原コージ「漫歌アイハラ派」がスタート。まあいつものペース。続けてってこそ味が出るタイプの漫画だと思うので、しばらくのんびりと見ていこう。作:花村萬月+画:さそうあきら「犬・犬・犬」。マヒケンの底知れぬ発想に鳥井も慄然。暴力がからんだときのマヒケンには、やはりゾクリとするような切れ味がある。やっぱマヒケンはこうでなくちゃ。

【雑誌】漫画アクション 1/9+16 No.2+3(合併) 双葉社 B5中
 谷口ジロー「天の鷹」が月イチで連載スタート。白人による「開拓」、インディアンにとっての「迫害」時代に、アメリカに渡った日本人二人の物語。彼らもやはり時代の流れの中で、両者の戦闘に巻き込まれていく。面白くなりそうではあるが、当然のことながら現在のアクションの中では浮いている。ながしま超助「ぷるるんゼミナール」。うーん20世紀の最後までたいへんに馬鹿げている。「ふざけた乳してんじゃねーよッ」には笑うよなー。このゴメンナサイ的にデカい乳を持つ主人公、方向性はハッキリしているけど、これ以上ないくらい無軌道だよなー。国友やすゆき「幸せの時間」。耀子が立て籠もる我が家に突入する朝倉。きちんとコケるお約束っぷりに思わず笑う。そして最後のコマで暗示されるマイホームの物理的な崩壊。そこまでベタにやりますか? なんかすごく次回以降が楽しみなんだけど。

【雑誌】COLORFUL萬福星 VOL.15 ビブロス B5中
 今回も絵のうまい人がいっぱい。全般的にエロ度を上げる方向に向かってるかな。現津みかみ「佐伯神楽の恋のトキメキ大作戦!!」。マッドサイエンティストめがね娘のラブラブ珍発明。総体としてヌルいラブコメに仕上がってていい雰囲気。粟岳高弘「無人駅」。なんかふしぎな感じの、無人駅の待ち合わせ室でのエッチ。実用とかじゃないんだけど、この人の描くエロって不思議な艶めかしさがある。あるまじろう「あいつとあたし」。映研青春恋愛モノ第2弾。青臭くっていいねー。こういう話は好きだ。エロはなくても全然オッケーな作品なんで、そこがかえって違和感を醸しちゃってるのは惜しいところではある。篠房六郎「当て身番長」。高い画力を無駄遣い、でもないか。こういううまい絵でこういうギャグをやるから味があるってもんで。このペースだとなかなか単行本になるような分量たまりそうにないのが惜しいなあ。

【単行本】「イヌっネコっジャンプ!」2巻 はっとりみつる 講談社 B6
 不思議な魅力で絶好調。1巻に比べて表紙のカラーもうまくいっていると思う。この漫画の魅力はなんといっても「ユウキ萌え〜」ということになるんだけど、まあかなりいい加減に挙げていくとすれば、

……ってとこだろうか。なかなか形容しにくいんだけど。こういった要素が分離して存在してるのでなくて、完全に一体になって読む人を包み込み、思わず「萌え〜」とさせてしまうわけなんだと思う。読んでいて非常に居心地が良く、いつまでもこの甘ヌル爽やかな空気に浸っていたくなる。読んでて面白いのはもちろん、存在的にもすごく興味深い漫画。


12/25(月)……タイガーシャーク

 感想書いたもの以外の本日購入分は以下2冊。それにしても今日も眠いですわい。

【単行本】「木島日記」2巻 作:大塚英志+画:森美夏 角川書店 A5
【単行本】「羊のうた」5巻 冬目景 ソニー・マガジンズ B6

【雑誌】アフタヌーン 2月号 講談社 B5平
 久々の「大合作」が登場。アフタヌーン作家がわんさかわんさか集まって合作。皆好き勝手やってて楽しそうではある。読んでいくほうとしては、物語を一本楽しむというよりは、その局面局面で各作者が見せる芸から芸へと跳び移っていくという感じか。こうやってみると、同じコマに置いてマッチする作家の組み合わせ、マッチしない組み合わせってのがはっきり分かるなあ。あと、やっぱり単体でキャラの強い人はこうやって寄せ集めても出てきた瞬間、そのペースに他を完全に呑み込んでしまうものですな。平田弘史とか桜玉吉とか。岡田芽武の芸もいい具合に効いている。おいしいな。でも今号、全般的なパワーとしてはいまいちかなー。巻頭カラーでトニーたけざきの新連載「SPACE PINCHY」は始まったものの。

 そのほかで面白かったものを挙げるなら、まずはひぐちアサ「ヤサシイワタシ」。まだぎくしゃくとして、好意を表すのにわたわたしちゃう恋愛模様が微笑ましく面白くて。二人とも可愛いぞ。中学生編が始まった鬼頭莫宏「なるたる」は、まずは静かな滑り出し。でも随所に小学生時代とは違ったところが現れてきていて、今後どうなるのか気になってくる。なんかシイナはずいぶん女の子っぽくなってますが。黒田硫黄「茄子」。なぜこのネタ? いや〜、絶妙に読者の予想を外してきますな。茄子はどこに?という感じではあるけど、ちゃんとこういう変化球でも(というかまあいつもこういう調子ではあるけど)面白い。なんかもう描けばそれが黒田硫黄のものになるという作風なんで、抜群に強い。谷広野「グリーンサン」。今どきの学園4人組青春物語。確かに今のフツーの若者っぽさが出ているところはいいと思う。楽しげだし。ただ何かをなしとげるとかおっきな物語ではないだけに、「ふーん。それでそこからどうよ?」って感じになってしまいがちでもある。こういった作風の場合、それ以上の過剰な物語はいらないのかもしれないけれども、ページ数が多いだけにやっぱも少しドーンとしたものは欲しくなってしまうところ。俺の頭が古いのかもしれないが。

【雑誌】週刊少年サンデー 1/17 No.4+5(合併) 小学館 B5平
 今号は発売日がいつもと違う。まずは画:清水洋三+作:文月剣太「ナイトラヴァーズ」がスタート。久しぶりに戻ってきてヒロインの家に居候することになったかつての幼馴染みは、普段はフツー、でも実は怪盗ってな感じの高校生男子だったのでした……といったお話。絵的にはしっかりしているし、コンスタントにいけそうな気配ではあるけどどんなもんかな。清水洋三の絵は、うまいけどそんなに人を引きつけるタイプってわけではないように思えるんで微妙なところ。西条真二「大棟梁」はとりあえずいったん終了で、続きは「超2月増刊号」に掲載されるそうだ。大げさに展開しててわりと好きだったんだけど、ネタ的に地味すぎたかな。

【雑誌】ヤングキング 1/15 No.2 少年画報社 B5中
 中西やすひろ「愛DON'T恋」。今回もこの主人公のにーちゃん、どーしよーもねえ。妹への欲求が満たされなくて悶々として、別の女のとこいって。かなり無軌道なお馬鹿なのに、勉強できて料理がうまいという都合の良さがまたなんとも。「インランがっ」かー。かなりナイスだなこの男。たまらないベタさ加減にいつもシビれます。

【雑誌】ヤングマガジン 1/15 No.4 講談社 B5中
 CLAMP「ちょびっツ」。今号は巻中カラーでええ仕事。ちぃのパジャマの袖が余り気味なところとか、ホントにまあやってくれますなあ。蓮古田二郎「しあわせ団地」が久々登場と思ったら、5号連続掲載となるそうだ。うれしい……。今回もとてもいいお話。二人のクリスマスと喧嘩から始まって、最後はどうしようもないオチ。でも愛。なんかものすごく心があったまっちまいましたよ。

【雑誌】ビッグコミックスピリッツ 1/13+15 No.4+5(合併) 小学館 B5中
 浦沢直樹「20世紀少年」はいきなり第2部に突入しちゃったけど、これはどうするんだろう。第1部の落とし前も、それなりのボリュームでやってほしいが。山本康人「僕」。ひろしがけっこうブチ切れ始めてて面白くなっている。ただのフツーの少年ではなかったわけだが、さらなる暴走を期待したい。江川達也「東京大学物語」は次号最終回。前号の展開には愕然とさせられたが、これでもう一発やってくれたらホントすごいことになるだろう。近年稀に見る「やられた〜」的展開を見せてくれたので、すでにだいぶ満足ではあるが。作:雁屋哲+画:花咲アキラ「美味しんぼ」。うーん。日本の将来に対する憂いを、餅食ったくらいで万事オッケーにしちゃっていいもんなんすか? しかも新聞社の人間たちが雁首揃えて。

 あと、なんか松本大洋の複製原画三種(サイズA3)が価格3万円、各1000枚限定で発売されるらしい。詳しくはスピリッツを見よ。なんか最近の小学館は、「GOGOモンスター」といい「バクネヤング」といい「ニッポン昔話」といい、マニア層に高価格帯の商品を売るという商売に目覚めた感がある。

【雑誌】近代麻雀ゴールド 2月号 竹書房 B5中
 なぜか「DAY DREAM BELIEVER」の福島聡が登場しててびっくり。タイトルは「きいろとむらさき」。読切である。お話としては、うだうだ河原で昼寝していた男が、一人の少女と出会うところから始まる。彼女は、父親が宝くじを当てたおかげで山っ気が出てしまい家庭が崩壊しつつあるのを憂い、その元凶である金を捨てんとしてうろうろしていたところだった。自分も金は嫌いという男が、その金を無意味にギャンブルで使っちまうために少女と行動をともにする……といった感じ。相変わらず線はシャープで漫画はうんまい。キャラクターの表情の描き方とか、構図どりとかも巧み。表現がいちいちカッコイイので、やっぱりパッと目を引きつける。

【雑誌】MEN'Sドルフィン VOL,18 司書房 B5中
 今号は天野英美、火野聡司、KASHIみちのくと楽しみな人が3人いたのでわりといい感じだった。天野英美「ホームランキング」は、大学野球のホームラン王とチアリーダー、女子選手とそのチームメイトがそれぞれエロエロなセックスを繰り広げるというお話。お話にほとんど脈絡を用意しようとしてなさげなところが潔い。火野聡司「聡司LEG▽SHOW」は、タイトルどおり作者の脚好きが現れているのだろう。くるくる絵が変わるので見てて飽きない。KASHIみちのく「69セカンズ」。今日もばいんばいん巨乳で汁も多し。元気良くて楽しい。なんだかこの人の漫画は、汁の出方が陽気だ。暗いところがまったくないのがステキな点。

【単行本】「LAZREZ」1巻 作:TDK+画:竹谷州史 エンターブレイン A5
 「PLANET 7」の竹谷州史とノイズ・ターンテイブリスト(帯より)のTKDがコンビを組んで放つ、ヘヴィでロックでドカドカ響く物語。かつては自らの批評により音楽を切り裂いていた音楽ライター&DJくずれな男・万尊が、久々に生の音楽に触れ、腸の煮えくり返るような激情に衝き動かされてライブのステージに乱入。その事件があってからというもの、また再び、万尊と音楽の日々が少しずつ動き始めていく。ストーリー的にはそんな感じだろうか。

 正直なところ、物語はまだ一点へと向かっておらず迷走気味なところはあると思う。例えば万尊と第1話で出会い、その後物語にずっとからんできている予知能力っぽいものがある少年と、その相方の少女の役割がいまいち見えてないし、ストーリー展開もあっち行ったりこっち行ったりな感じはする。でもこの作品には、無視できない爆発的なエネルギーがある。とくに万尊のかつての導き手であったヤマザキにからんで発せられる危険でどす黒い狂気のオーラ、音と人間存在が溶け合った濃密な空気。竹谷州史の太くて黒々とした線の迫力も素晴らしく、読者に多いかぶさって呑み込まんとするかのごときパワーを感じる。何かひどく攻撃的で挑戦的だ。もちろん現時点でもたいへんに刺激的ではあるが、これで一本ストーリーにぶっとい流れができちゃえば、ものすごい作品になりそうな気配がビシビシ。非常に高いポテンシャルを感じるコンビだ。

【単行本】「久枝さんの背徳日記」 艶々 桃園書房 A5
 このところ週刊漫画アクションでも描いている人だけど、エプロン姿の奥さんである久枝さんの艶姿が良さげだったので。熟れて豊満な体つきと、ちょっとキツネ目っぽい顔つきがソソる。全体のトーンとしてはわりと明るめで健康的。顔の赤らめ方、快楽に流されていく表情がエッチくていい。絵柄的にはあんまし新しめじゃないんだけどほっとする味わい。裏表紙の久枝さんの笑顔なんかとくに。


12/24(日)……ジーク祇園

 メリクリー! ウッス! プリティー!!

 ホントーは休みを利用してAthlon/1GHzマシンのセットアップをしようと思ってたんだが、つい眠くてグーグー寝てしまいました。

【雑誌】CUTiE comic 2月号 宝島社 B5平
 いわみえいこ「風の中で」。最近泣かせ系の読切で持ち味を発揮しているいわみえいこだけど、今回も18ページと短いながらいいお話。ぜんそくで身体の弱い女の子と、何かと彼女の世話を焼いてしまう女の子の友情物語。途中感情的なこじれはあるものの、最後は後味良く。非常にピュアな感じなお話となっていて良い。羽海野チカ「ハチミツとクローバー」。この人、ちっちゃい女の子だけでなくきちんと育った女性も非常に可愛く描くなー。

【雑誌】LaLa 2月号 白泉社 B5平
 森生まさみ「おまけの小林クン」。運動会編終了で雨降って地固まる、ラブコメムードはさらに加速し、アツアツ感は増していくのでした……。微笑ましいなあ。アツアツといえばこっちも。なかじ有紀「ビーナスは片想い」。今回は二人で動物園デートだ。すっかり紗菜(ヒロインの名前。あんまり名前が出ないんですっかり忘れてた)&魚住がすっかりカップルになって良い感じ。そういえば魚住、紗菜共通の想い人だったはずの深見くんのほうは影が薄くなったなあ。

【単行本】「イハーブの生活」1巻 小路啓之 講談社 B6
 犬塚康生名義であちこちで短編を発表していた小路啓之だが、これがようやく初単行本。精子バンクで買ってきた精子により生まれたレズカップルの息子・イハーブが、怪盗である父親(つまり精子の売り主)の姿を追い求める……といったお話。細い線による丁寧な作画は個性的で目を惹く。お話作りなんかもトリッキーで気は利いている。ただ、正直まとめて読むとテンポが悪いかな〜と感じる。こういった続き物作品ならば、内容からいっても、もっと大ゴマを多用してスピーディにさくさく読ませていくほうが良いかと思うのだが。

【単行本】「蒼天航路」21巻 王欣太 講談社 B6
 この巻では窮地の中、ついに腹をくくって一皮むけ天下人(領地は伴ってないけど)たるにふさわしい者となった劉備がたいへんにかっこいい。これでいよいよ赤壁に突入ってわけですな。

【単行本】「ミルククローゼット」2巻 富沢ひとし 講談社 B6
 この巻では、ミルク隊、そして人類は異世界の者たちによってどんどん存在を脅かされていっている。事態は唐突に展開していくし、びっくりするほどに大胆で痛そうなことが、実に効果的な形で呈示される。動きのあるシーンもそうだけど、この変則的なリズムは常に読者の予想する流れをサクッと外してくれる。毎度毎度してやられる感覚は、何やら気持ち良くもあり。それにしてもやっぱりいまだどのように物語が転がっていくのか、なかなか見えてこない。これからももっともっと意表を衝いてビックリさせてほしいもの。あ、あとこの作品に関しては異世界の生物たちが、非常に無表情でどういう原則に従って動いてるのかも分からなくて、得体の知れない不気味さがあるのも非常に刺激的な点だ。どこを見ているのか分からない目をした彼らが、言葉を口にしているだけで何かゾクッとするものがある。中途半端に擬人化しようとしてない点が効果的。

【単行本】「クーの世界」2巻 小田ひで次 講談社 B6
 中学生になったばかりの女の子、れねいがふしぎな動物たちとどこかで見覚えのあるような人たちが暮らす、不思議な不思議な「クーの世界」を舞台としたつづき夢の中をさまよう物語。前回は夜寝て見る夢からの旅だったのに対し、今度はれねいは事故のため現実には意識不明。その暗い陰が夢にも影響を及ぼしている。このシリーズは、緻密さ、丁寧さは「拡散」と同じようだけど、ペンタッチは非常に柔らかくてファンタジー風味が出ている。異世界の、現実感と非現実感を同時に感じさせる筆力は圧巻。物語のほうでは今回の巻で、「クーの世界」が本質的にどういう世界であるのかがだいぶ明らかにされてきている。となると両方の世界に同時に存在しているキョム=亮太の存在が、いったいどういう意味を持っているのかが気になってくるところ。彼独特のトロさ、透明感はそのあたりに依拠しているところなんだろうか。それはたぶん今後語られていくのだろう。

【単行本】「濃爆おたく先生」1巻 徳光康之 講談社 B6
 ジークジオン!! ジオンを愛し、ドムを愛し続けて生きてきた一人の男・暴尾亜空(あばお・あくう)が、自分の主義を、そして愛を、生徒たちに押しつける! そんな漫画がこの「濃爆おたく先生」である。彼のジオンに対する愛と妄想は、時が過ぎても衰えることをしらずキレはいや増すばかり。そして今日も叫ぶのだ。「ジークジオン!!」と。

 というわけで若き日にガンダマイゼーションを受けオタクとして育ってきた人間にとって、読めば思わずニヤリな作品。なんつっても第1ページめからして「××××ザク」(ネタバレ防止のためあえて伏せ字)なのだから。この人たちの世間の白い目を顧みぬ男っぷり、惚れっぷりに、俺とて一人のガンダム者、と心揺り動かされずにいられましょうか。オタクとして生きることをまったく恥じることなく、周囲をもその溢れる滾りで巻き込んでいく。ガンダムを語るときの暴尾の目の輝きときたら。100%衒いなし。別にガンダマーならずとも、オタク的生き方を貫く人間どもの生き様に触れて、スカッとした気持ちになりたい人は読んで一片の悔いなし、でありましょう。吹っ切れてるってのは気持ちがいいもんです。とくにオタク3人組「叫ぶジオンの会」による街角パフォーマンスなんか最高。「我々は二十年皇国軍に血を滾らせてきた」「何故に」「何故に」。アツイぜ貴様ら。最高だ。妄想爆発「ドムを創った男たち」もたいへんにええ話です。タイトルから分かるように、少年マガジンのアレのパロディね。しかしこのアツさはパロディじゃ終わらない。巻末には妄想小説まで付いてるし。そこには確かにワンダーがある。何を隠そう、俺の一番好きなMSもドムだ。ああそりゃもちろんドムさ。ジークジオン!ジークジオン!ジークジオン!ジークジオン!……(以下ずっと続く)


12/23(土)……ボイン・ピークス

 池袋にて呑み。漫画家の砂さんと呑みに行こうという話になって、スズキトモユさん、志賀彰さんをお誘いし芳林堂コミックプラザにて待ち合わせ。なぜかちょうど同時刻、同場所で待ち合わせをしていた同人誌「Parking?」の面々(南研一さん、山川直人さん、山本マサユキさん、石田さん)とバッタリ遭遇し、そのまま一緒に呑み。陛下の健康と幸せを祈りつつ呑んだり話したり歌ったりで、朝までなんかしてました。そんなわけで今日は漫画を読むことも感想を書くこともできなかったのです……。

 ちなみに芳林堂とかで買って、まだ読み終わってないのは以下のようなもの。まあいちおう「発売されたよ〜」情報ということで。

【雑誌】LaLa 2月号 白泉社 B5平
【雑誌】CUTiE comic 2月号 宝島社 B5平
【単行本】「イハーブの生活」1巻 小路啓之 講談社 B6
【単行本】「蒼天航路」21巻 王欣太 講談社 B6
【単行本】「ミルククローゼット」2巻 富沢ひとし 講談社 B6
【単行本】「薫の秘話」 松田洋子 河出書房新社 A5
【単行本】「藤子・F・不二雄 SF短編 PERFECT版6 パラレル同窓会」 藤子・F・不二雄 小学館 A5
【単行本】「LAZREZ」1巻 作:TDK+画:竹谷州史 エンターブレイン A5
【単行本】「恋の門」2巻 羽生生純 エンターブレイン A5
【単行本】「BAMBi」5巻 カネコアツシ エンターブレイン A5
【単行本】「クーの世界」2巻 小田ひで次 講談社 B6
【単行本】「濃爆おたく先生」1巻 徳光康之 講談社 B6
【単行本】「BOiNG」1〜6巻 山口譲司 集英社 B6


12/22(金)……もーろぼほしーダンのー名をかーりーてー

「ロボ・ホッシ−」誕生へ。やるな、ベイスターズ。そのうちメカジャビットとか出てくるのかな。田中メカとか。で、田中といえば2ちゃんでよく使われてる顔文字ということでこのあたり

【雑誌】ヤングアニマル 1/12 No.1 白泉社 B5中
 三浦建太郎「ベルセルク」。ますますたいへんなことになっているけれど、ここからどう行くのかな。2年で2晩かあ。田中ユタカ「愛人[AI-REN]」掲載。今回はイクル&あいのサイドでなくお話が展開しちゃうのだけど、だんだんあいの秘密に迫ってきていて注目。二宮ひかる「ハネムーンサラダ」。うわーおもしれー。今まで一花に比べて淡白なように見えた遙子の、ズシーンとくる切り返し。これは男としちゃーたまらんわ。ここで遙子に言い寄るのもお調子者すぎるし、かといって一花のほうにいってもバツが悪すぎる。身動きできないパワーバランスが強固に確立。いやあやってくれます。

【雑誌】ドルフィン 2月号 司書房 B5中
 今回はものすごーく目立つって作品はあんまりなかったんだけど、順調にエロ路線を走っている。ドルフィンのエロって、あくまでねっとりもしくはパワフルにエロ責めって感じで、殺伐としてないところが俺好みだったりするのであります。

 まず、みやびつづる「むしとぼく。」。人をエッチな気持ちにする虫「むーちゃん」と友達な少年が、周りの人たちをエッチな気持ちにさせながらうまいことやっていくみたいな、明るめのお話。今回は絵がより丸く、かわいめなものになっている。この人、けっこうお話によって画風変えますな。こういうのもなかなか楽しくてええです。それからVARY GONZO「BADMEN 2nd」は、ちゃんと毎号掲載されている。さりげなくヤワラちゃん(漫画のほうね)とそのおじいちゃんらしき人も出ていたり。そのほか、じゃみんぐ、深田拓士、LAZYCLUB、天崎かんな、吉田蛇作あたりがしっかりHで底支え。

【雑誌】愛姫 2月号 東京三世社 B5中
 今号は表紙買いした人も多いのではなかろうか。というくらい、となみむか画の表紙が目を惹く。実際に載っている作品「君が思うよりきっと…」もそうなんだけど、「この人、こんなに高橋しんみたいな絵を描く人だったっけ?」とか思ってしまったのだった。かなり「最終兵器彼女」してます。で、淡い初恋Hみたいな話を描いてて、これが初々しくてとても良い。でも実は、この雑誌を買った目的はほしのふうた「雨音時間」なのだけど。トモダチの家で雨宿りしていた男の子が、そのトモダチのお姉さんに誘惑されてHしちゃう〜というお話。ロリ系というより今回はショタ系。この人の作品って楽しげで、しかもけっこう実用面でも充実しているのが非常に良い。いかにも子供っぽいやんちゃさと、肌にぴっとりとくるエロさがある。好きだー。単行本「秘蜜のささやき」(東京三世社)。オススメ。

 それからヘンな作品2連発。まずは伊藤智理恵「ボンテージテニス・ラインズウーマン」。なんか物語は、いきなりボンデージテニススカトロマッチトーナメントの試合場から始まり、ボンデージファッションの女性二人が、3リットルもの液体を注入された状態でテニスをしているのでした。「ルールーはただ液体を排出したら負けとなる それだけの事であった」。ちなみに「ルールー」ってのは原文ママ。んでもって負けたお姉ちゃんのほうは罰としてラインズウーマンをさせられることになる。これはお尻から液体を出してコートのラインを引くのであります。奇怪なルールー、意表を衝く展開、絵のアンバランスさなど、パッと見地味だけど実は相当ヘン。いや〜ヘンなもの見れてうれしいなあ。それから伊藤智理絵と比べるとちょっと弱いけどつもたきまこ「汚される純潔少女」もちょっとヘン。気弱な少女が電車の中で毎日痴漢されるって話なんだけど、ラストの1ページが笑える。電車のドアの無表情な開き方、締まり方がいい味出してる。巻末では渡辺ヒデユキもコラム漫画描いてるし、けっこう楽しめた。

【単行本】「AMONデビルマン黙示録」2巻 衣谷遊/永井豪 講談社 B6
 今回はデーモン最強の戦士であるシレーヌ族の物語と、サタン、そしてアモンの生誕を描く(アモンは生誕ってわけじゃないけど)。衣谷遊の精緻な絵柄が抜群にカッコ良く、そしてシレーヌ族の最後の生き残りシーナの、誇り高く屈することなき生き様がまた胸を打つ。このデビルマンシリーズ、すごくいい。力強くて美しく、そして気高い。「ネオ・デビルマン」のたくさんの作家による読切の切れ味とかそういうのもいいけど(まあ当たり外れはいろいろあったが)、こういうガツンと読みごたえのあるアプローチも素晴らしい。デビルマン好きは必読。

 余談だけど、表紙に銀色使ってるんで、紹介するときスキャニングするのがけっこうめんどそうだなあ。そういう場合は、斜めからデジカメで撮影するといいですよ。

【単行本】「ニッポン昔話」 花輪和一 小学館 A5
 うひょはほほほほ。届いた届いた〜! 昨日の日記で書いたとおり、予約が受理されてたか心配だったんだけど、ちゃんと入っておりました。でも小学館はやっぱり確認メールは出したほうがいいと思うぞ。キャンセルするときとかもやりやすいし。ちなみにシリアルナンバーはウチのは3349。「さみしく」。ちなみにシリアルナンバーは鉛筆で一つ一つ手書き。A5だけど、実に味わい深いフルカラーの表紙で、それが化粧箱に入れられている。3600円は確かに高い。でも花輪和一の単行本はやっぱり固定ファン向けだし、5000部限定なんで絶対ハケるだろう。それでもこれ、労力考えると赤字かもしらんなあ。

 内容は花輪和一流の日本昔話。「花咲か爺さん」「かぐや姫」「ももたろう」などなど。どのお話にも、なんかぺかぺかした金属ともなんともつかない銀色の皮膚をした宇宙人らしきものが登場してアヤしさ抜群。でもこの人の作品って、グロテスクだったり奇怪だったりしても、全体としてはユーモラスで読んでいて安心感がある。モノを食べるときのええ表情とか、読んでてこっちまでうれしくなってくる。ぺかぺかした宇宙人(らしき)女がじいさんに捕まえられて、無表情に農作業させられているシーンなんかさりげなく、かつむちゃくちゃ味わい深いし、しみじみ「ええわあ」と思ってしまう。「一寸法師」とかなんか、このぺかぺかくんの魅力大爆発。「花咲か爺さん」にでてくる中身も素晴らしい。そして後書きも充実。まず高橋留美子による解説は、文章もうまいしすばらしく的を射ている。そして花輪先生の文章の、さばけ方、ほうり出すような潔さなんかもう最高! 花輪先生天才! 一生ついてきます!!

【単行本】「喜劇駅前花嫁」 駕籠真太郎 太田出版 A5
 度重なる発売延期で首を長〜くして待ってた人も多いだろうけど、ついに出ました! というわけで駕籠真太郎ページのほうに追加したんでそっちのコピペ〜。

「喜劇駅前虐殺」に続く、駅前シリーズ第2弾。このシリーズは、コットンコミックで長年連載されているものだが(現在は隔月ペースになっている)、コンビニで時折見かけることもあるエロ漫画雑誌ながら比較的自由にやらせてもらえるフィールドであるらしく、駕籠真太郎らしさが最も良く現れているといえるかもしれない。明らかに尋常でないルールによって律せられている世界を舞台に、そのルールをひねり回して常人では思いつかないような奇想を盛り込み、グロテスクだけどユーモラスな描写を端々に配置しながらギャグにするという、まさに「駕籠真太郎」節とでもいうべきものがいかんなく発揮されている。掲載誌が自由な雰囲気であるだけに、駕籠真太郎も実にのびのびと描いているな〜という印象を受ける。

 実際読んでみると、わりと近作が多いだけあって安定感もあるし、しかもヒネリも絶妙に利いていて本当に面白い作品が揃っている。ショックを受けたときに「〜t」と書いた巨大な分銅が落ちてくる漫画的表現が現実のものとして具現化した世界(「駅前圧縮」)、人間も車も地面に打ちつけられていて固定されている世界(「駅前固定」)、町が全部迷路になっていてさらに人間の描線も全部迷路になってしまう「迷路病」が蔓延している世界(「駅前迷路」)などなど、選んだモチーフをとことん料理し尽くしている。「パラノイアストリート」のようなツッコミ役はなしで、不条理世界がごく当たり前のものとして展開されている。説明はいっさいなしだ。

 それからこの作品集収録のいくつかの作品では、ページを正方形できっちり6分割したコマ割りを全ページでずーっと続けるという手法も用いられている。決まりきった枠の中でいかにヘンなことをやるか試しているかのようだが、コマの大きさで強弱がつけられないこの形式なのに、きちんとテンポ良く盛り上がりも作ってお話を構築できるというのは、やっぱり相当な技量の持ち主なのだなあと思う。


12/21(木)……今日遅配

 そろそろ花輪和一「ニッポン昔話」が出るころだがまだ届いていない。小学館のWebから予約したんだけど、小学館から注文確認メールが届いていないので不安な気持ちになる。ほかにWebで予約した方、確認メールって届いてますか? もし予約しても確認メールを出さないようなシステムであるなら、これは改めたほうがいいと思うなー。

 駕籠真太郎「喜劇駅前花嫁」を購入したけど未読。

 最近どうも、会社から帰ってくるとすぐ眠くなっちゃって、しばらく寝てからまた明け方に起き出してきてWebを作る……なんてことが多くなっている。うーむ不規則だ。早起きといえば早起きなんだけど。

【雑誌】アックス Vol.18 青林工藝舎 A5平
 今号は友沢ミミヨ特集。わーい。でもミミヨ先生の漫画は掲載されていない。残念。そのほかの漫画も、今号は全体的になんか落ち着いちゃってる感じであまりワクワクせず。ところで次号予告で発売日が1月下旬になってるんだけど、アックスっていつもは偶数月の下旬じゃなかったっけ? それからなぜかVol.18の次なのにVol.20になってるんだけど……。

 古泉智浩「チェリーボーイズ」。モテぬ童貞男と幽霊少女のお話。何やら生暖かくてええ話ですな。これはこれで純愛。萩原利夫「醜悪狂想曲」。美しい妹と醜い姉のピアニスト姉妹の物語なのだが、これはたいへんに怖いなかなかすごい絵柄。まつげが怖いほど長くて目がギョロリ。神経質で細かく積み重ねられた線からは作者の妄執が漂う。

【雑誌】別冊ヤングマガジン 1/14 No.015 講談社 B5中
 田村和巳「バトルクィーン イタチ」が新連載。学園にやたら筋肉ムキムキで男でもこんなん滅多にいないだろうと思われるゴツい女の子(?)伊達光子が転校してくるところからお話はスタート。こやつを中心とした、学園バトル+ギャグものになるっぽいが、かなりアクの強い作風でパワーはあり。面白くなるかどうかはこれからの展開しだいだけど、とりあえずつかみはそれなりに決まったように思う。押切蓮介「祟られ日記カースダイアリー」。これもアクは強い。七代先の子孫まで祟られた家系の七代目の少年が、八代目を作る日まで祟られつつも奮闘する……というギャグものの新連載。不吉ながらもコミカルな絵柄で、なかなかヘンなことをしている。いきなり胸にヘンな化物みたいな娘がビタッと張り付いた状態で登場する主人公の姿はインパクトあり。

 坂井恵理「ミテ・ミル」。今回は実は見られて感じる癖があることが判明しちゃった女の子の悶々とした日常を描く作品。すっかり線が整理され、シンプルだけどキャッチーになった絵柄が特徴。気持ちのいい線で、あと色気も十分にある。記伊孝「犯罪交渉人・峰岸英太郎」(ハイジャック原案:宮野勝行)。この人は面白い、いい絵してるなあ。松本剛を思わせるようなペンタッチ。前川かずお「闘破蛇烈伝DEI48」。うははは。今回も馬鹿だー。時代は今、トンガリまくりだ! 月子「眼を閉じて」。眼の見えない少女と若手彫刻家の恋物語。創作系って感じの品良い絵柄。さっぱりと後味が良く、きれいにまとまっている。

【雑誌】OURs LITE 2月号 少年画報社 B5
 いやあホント、統一感のある誌面だなあ。マイルドでちょいと萌えで。きっちりとしていてヌルめ。荒々しさはまっく排除されているけど、それはたぶんこの雑誌の読者層には必要ないだろうし、これだけちゃんと作ってあるとやっぱり感心する。

 表紙&巻頭カラーは犬上すくね「恋愛ディストーション」。今回はまほ先生のことが好きな、美容師となったまほ先生の元教え子(女)の、生徒時代のお話がメイン。根は同性愛者だけど、その彼女が唯一からだを許したことがある男子のことを思い出す。甘いけれどもほろ苦く、でも語り口はとても優しく。後味良く、かつぐんぐん読ますなあ。オオシマヒロユキ+猪原大介「えりちゃんの恋」。やっぱりすごく絵がうまい。伸びやかでキュートで完成されていて。存分にかわいいし、構図どりとかもなかなか大胆。うーん大したもんです。石田敦子「純粋! デート倶楽部」。今回は純デクラの一人にスポットを当ててお話を展開。トキメキ十分だが、まだ連載第2回めなんで、純デクラのメンバーのお話にいくよりはもう一回くらい純粋デートを見せてほしかったところ。おがきちか「ハニークレイマイハニー」。土偶から出てきた少女、ハニーちゃんがかわいい連載第2回め。ラストはかなりヌル甘い。いい感じで推移してますなあ。ピチピチしとるわ。小野寺浩二「妄想戦士ヤマモト」。今回も勢いあるなあ。バリバリ突っ走ってる。この眼鏡娘もすっかりレギュラーとして定着したようだし。やっぱり巫女ファッションは流行ってるんかな。

【雑誌】ヤングサンデー 1/11+18 No.3+4(合併) 小学館 B5中
 山本英夫「殺し屋イチ」。クライマーックス。垣原の全裸っぷりのみっともなさが、展開のダイナミックさの中で光っている。それにしてもこの人、いい顔描くなあ。実写映画化されるらしいけど、こんな濃い表情できる人っているのかしらん。阿部潤の読切「こんにちはーい」前編が掲載。いきなり現れた、自分ルールにより「北原まみが好きな男」。エキセントリックな性格の彼がなんか活躍するヘンなラブコメ。テンションは高めだ。けっこう面白い。

【雑誌】モーニング 1/2+8 No.3+4(合併) 講談社 B5中
 井上雄彦「バガボンド」。武蔵対柳生の戦いが盛り上がってきていてまた面白くなってきた。なるほど、こういうふうにあの宮本武蔵の技ができてくるわけね。カッコイイじゃないですか。沖田かえる「親子アイニク」。オープン秀作シリーズの読切。別居中の父親に会いに行く大学生の娘のお話だが、丸みのあるイキイキとした絵柄がなかなか魅力的。いかにも大学生っぽい青春な恋愛話部分も出てくるし、イタズラっぽさのあるヒロインの表情もいい。適度にヒネリの利いたお話が作れているし、絵に特徴があって、キャラ作りもうまい。わりとコンスタントに面白い作品描いていけそうな人でこれからに期待が持てそう。タイトルの「アイニク」は「会いに行く」にひっかけてるのかな。

【雑誌】ヤングジャンプ 1/11+18 No.3+4(合併) 集英社 B5中
 出たー! 新連載、高橋陽一「キャプテン翼 ROAD TO 2002」!! あのトンデモサッカー漫画が帰ってきた。今度は大空翼がヨーロッパへ移籍するらしいけど、派手好きな高橋先生のこと、イタリアが本命、対抗はスペインと見た。山口譲司「BOiNG」。最終回だったが、最後まで下らなくて立派だった。そしてなかなかグッドな締めくくり。これは単行本揃えなきゃなあ。

【雑誌】週刊少年チャンピオン 1/15+18 No.4+5(合併) 秋田書店 B5平
 浜岡賢次「浦安鉄筋家族」。春巻による「スパルタンX」的でへなちょこなお話。今回はダイナミックな展開こそないけど、春巻のキャラが立ちまくっているおかげですごく良かった。「ホーイ」「フォー」「ちょー」など、語尾がリズミカルでテンポが良いのがかなり利いているホーイ。うういずみ「2×2」が最終回。双子の兄弟と双子の姉妹の学園ラブコメ&ギャグって感じのお話だったが、けっこう好きだった。なんかとても楽しそうで良かった。ラストはきっちり爽やかで、良い締めくくり方だったと思う。あと、八神健「ななか6/17」、伯林「しゅーまっは」の萌えコメディ2発は今回も良いね。楠本哲「満天の星」もハードな展開を見せてて面白いし、週刊少年チャンピオンはこのところなんだか充実している。ショートギャグもけっこうなもんだし、あとは手堅く読ませる野球かサッカーといったメジャースポーツが題材のスポーツものがあると、かなりいいバランスな感じ。


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