岡崎二郎

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■作家名:岡崎二郎(おかざき・じろう)
■作家名でオンライン書店を検索: bk1 / Amazon.co.jp / eS!BOOKS

▼更新情報
2003/05/02 「ファミリーペットSUNちゃん!」追加
2003/03/31 「アフター0」オーサーズ・セレクション版10巻の情報を追加
2003/03/22 「緑の黙示録」追加
2003/03/04 「アフター0」オーサーズ・セレクション版9巻の情報を追加

  SFショートショートの名手。あんまり多作な作家ではないんだけど、その分1作1作をコツコツと描いている感じ。地味な作風ではあるが、一つ一つの話に工夫が凝らされていて、非常に面白い。なんだか読んでいて心暖まる、ほっとする作品が多い。星新一とかが好きな人はきっと好きになれるんじゃないかと思う。

 絵はうまい、というわけではないんだけど、下手でもない。丁寧に描き込まれた独自の画風を持っている。漫画の内容を面白く読ませる絵なんだから、やっぱりうまいというべきなんだろう。絵が独特であるためにちょっと敬遠しがちかもしれないが、ぜひぜひ読んでいただきたい。1冊読めばきっとほかのも読みたくなると思う。
 未読の人はまず「アフター0」から読み始めることをお勧めする。全6巻だけど、基本的に1話完結なので、そのうちの1冊だけを読むというのでも大丈夫。古本屋かなんかで試しに買ってみてほしい。


▼コミックスリスト

「ファミリーペットSUNちゃん!」1巻 小学館 B6

「ファミリーペットSUNちゃん!」  とある平凡な家庭にやってきた、人間の言葉を解するふてぶてしい&ユーモラスなオオサンショウウオのサンちゃん。彼と一緒に暮らしていくうちに、それまでも仲の良かった一家の絆はさらに強くなっていく……というペット&ファミリードラマ。たいへんほのぼの落ち着いた作品。派手に面白いってタイプの作品ではないけれど、手持ちぶさたなときとかに気がつくと読み返しているといったタイプの作品かな。岡崎二郎作品には珍しく「キャラクターもの」という色合いが強め。

ISBN初版年月日価格購入
14-09-184694-7 C99792003/06/01505円+税[bk1][Amzn]


アフター0

アフター0  岡崎二郎の代表作といえるSFショートショートの傑作。小学館から全6巻で発売され、一度は絶版になったが2002年になってそれまで未収録だった作品も含む「ビッグコミックス オーサーズ・セレクション」版が発売され復活した。詳しいデータは「アフター0」ページのほうに示す。

「緑の黙示録」 講談社 B6 [bk1][Amzn]

「緑の黙示録」 ■シリーズ:アフタヌーンKC317
■初版発行:2003/03/22
■ISBN:4-06-314317-1
■価格:533円+税

 木と話すことができる特殊能力を持った少女が、その能力が縁でさまざまな事件に遭遇していくという物語。岡崎二郎としては初めてアフタヌーンで掲載された作品だが、内容はいつも通りの岡崎節。植物学の知識をさまざまに織り込みながら、ミステリー仕立てのお話を組み立てている。

 この作品における植物についての描写でキーとなっているのが、「植物も動物たちと同じように、なんらかの手段でお互いに意志を伝え合っているのではないか」という命題。そしてその伝達力により、人間たちともさまざまに関わりを持ってくる。動物を使って自然の素晴らしさみたいなものを描く作品はけっこうあるが、植物についてこういう、一歩踏み込んだアイデアを持ち込んだ作品はなかなか珍しい。安易に「植物! エコロジイ〜」ってな感じで安易に結論づけるような一発ネタで終わることはなく、回数を重ねるにつれて内容も深めてきている。しかもお話としてもちゃんと読ませるものにまとめ上げているあたり、その腕前にはさすがとうならざるを得ない。「1巻」」という表示がないのでこれで終わっちゃうかもしれないけど、植物というテーマはこれからも掘り下げていってくれるとうれしい。

「トワイライト・ミュージアム 岡崎二郎作品集(1)」 小学館 全1巻 新書判

「トワイライト・ミュージアム」 ■シリーズ:ビッグゴールドコミックス
■初版発行:1994/07/20
■ISBN:4-09-189091-1 C0379
■価格:670円

 短編集。基本的には「アフター0」と大してノリは変わらないSFショート・ショート。どの作品も面白いのでお勧めできる。ビッグゴールドコミックスは金色の背表紙で新書判。普通の漫画単行本とは若干体裁が違うので、書店の棚では探しやすいと思う。この単行本がまだ書店に置いてあるかどうかは別として。

 この本の中でとくに気に入っているのは「黥面上のアリア」と「遙かなる孤島」。いずれもラストでのひねりがあり、しかもちょっぴりじーんとさせてくれる。ここらへんは岡崎二郎のほかの作品にも共通していえることだけど。

■収録
「契約」「機械仕掛けのジャングル」「星の訪問者」「手の上の友人」「滝の神」「ミッシング・ライフ」「幸せの十円玉」「勝利の神」「幸福アレルギー」「ハイテクの背徳」「黥面上のアリア」「二つの山の物語」「遥かなる孤島」「城壁」

※2003年に、単行本初収録作品数本を加えて、「アフター0」オーサーズ・セレクション版9〜10巻として復刻。

「時の添乗員」 小学館 B6

「時の添乗員」  岡崎二郎作品はいいな、としみじみ思った。この作品は、自分が戻ってみたいと思う過去のある一点にお客さんを連れていくというツアーを提供している旅行代理店を訪れる人々の物語。過去に戻る理由は人によってさまざま。少年のころ恋していたひとの今は覚えていない一言を聞くためであったり、かつて親友と共に綴った交換日記を探すためだったり。過去を訪れることによって取り戻す記憶や新たに知る事実は、おおむねスケールとしてはちっちゃなものだ。それだけに忘れてしまいがちではあるが、それぞれの人間にとってはかけがえのないことだったりする。そしてそのドラマを丹念に追いかけて、一つの物語としてまとめる腕前は絶妙。改めて読んでみたら、どのお話もジーンとくるものばかりで感心してしまった。岡崎二郎といえばSFという言葉が思い浮かぶけれども、そこにはいつだって暖かい人情味がある。地味ではあるけれども粒揃い。本当に良心的だ。

ISBN初版年月日価格購入
14-09-186351-5 C99792002/04/01505円+税[bk1][Amzn]


「国立博物館物語」 小学館 全3巻 B6 [bk1]

「国立博物館物語」  東京は上野のはずれ、国立新東京博物館。ここには人工知能を極限まで発達させた超弩級スーパーニューロチップ、「スーパーE」を使用したコンピュータがある。その中では白亜紀の生態系を完全にシミュレートし、そこから生物がどのように進化していくかを再現しようとする実験が行われていた。そのヴァーチャル空間には人間を送り込むこともできるが、この空間への適応度は体験によって個人差がある。大半の人はこの空間の中で思うように動けないのだが、研究員の森高弥生だけは適性に優れており、このヴァーチャル空間を自由に歩き回れた。その能力を生かして彼女は、恐竜の時代を体験し、生物のふしぎに迫っていく。
 このスーパーEで起こるさまざまな出来事が、物語の大きな軸である。数々の恐竜たちが生まれ進化し、滅びていくさまを見ながら弥生たちはさまざまな教訓などを読み取っていく。また、スーパーEの外で生物たちを観察しながらの短いエピソードもふんだんに差し挟まれる。どちらのお話も、知識をうまく物語に結びつけていて、きっちりショートショートとしてまとまっている。なおかつ押しつけがましくない慎ましやかな読後感は岡崎二郎の本領といった感。
「ひみつ」シリーズやNHKの生物番組を観るようなワクワク感がある一作。

巻数ISBNコード初版発行価格
1ISBN4-09-184601-7 C997997/11/01510
2ISBN4-09-184602-5 C997998/11/01510
3ISBN4-09-184603-3 C997999/09/01505


「Neko2 小学館・ビッグコミックス B6

「Neko2」  赤ん坊のころから、家の飼い猫の乳を呑んで育ちネコ語を身に付けた少女・亜紀が主人公。彼女の周りのネコたちが起こす騒動を描いた作品。ネコ語を話す少女をフィルタにすることによって、ネコをうまいこと擬人化している。岡崎二郎らしく、一編一編きっちりと心暖まるオチをつけてくるところはさすが。どの話を読んでものどかで楽しめる。

 作品には直接関係ないけど、前から思っていたのだが漫画家ってネコ好きな人が多いような気がする。あんまり外に出られない職業なだけにイヌよりもネコがいいってことなんだろうか。

第1巻
ISBN:4-09-184691-2 C9979 価格:本体486円 初版発行:1998/04/01
(収録)第1章「ニャー!!」 / 第2章「僕は捨てネコ」 / 第3章「ネコ語習得法」 / 第4章「ある芸術家の憂鬱」 / 第5章「黒ネコラック」 / 第6章「オリの中のモンスター」 / 第7章「雄ネコたちの挽歌」

第2巻
ISBN:4-09-184692-0 C9979 価格:本体505円 初版発行:2000/03/01
(収録)第1章「チビネコ物語」 / 第2章「多摩丘動物園の事件簿」 / 第3章「多摩丘市の一番”熱”い日」 / 第4章「頭上の敵」 / 第5章「美こそはすべて」 / 第6章「深夜の大冒険」 / 第7章「幻の銀ネズミ」 / 第8章「幸せ見つけた!」

「大平面の小さな罪」 小学館 B6

「大平面の小さな罪」 ■シリーズ:ビッグコミックスBC4221
■ISBN:4-09-184331-6 C9979
■価格:500円

 広告代理店勤務の宇田川の前に突如として現れた「平面管理委員会行動局員」を名乗る女性セーナ。平面管理委員会とはこの世のすべての平面を管理する組織で、例えば印刷物の文字などがきちんと文字として見ることができるのも、彼らの組織がきちんと見えるように管理しているからだという。セーナと宇田川はコンビを組み、さまざまな事件を解決していく……。

 以上が大まかなストーリー。「平面管理委員会」ってところが、SFっぽい。俺としては、「アフター0」とか「トワイライト・ミュージアム」のような一話完結型のほうが好きだが、こういうのも悪くない。セーナと宇田川という主人公はいるものの、一話一話は独立して読めるし。

■収録  「大平面の小さな罪」 Phase1〜7
Phase1「セーナ」
Phase2「ミン」
Phase3「サミーラ」
Phase4「サキ」
Phase5「リベリカ」
Phase6「ライオット」
Phase7「セーナ再び」