作：高橋三千綱＋画：きくち正太
Story：Michitsuna Takahashi＋Art：Shota Kikuchi
ブル田さん
全6巻（講談社）。モーニング掲載作品
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熱くて面白い野球漫画。とくに序盤が面白かったのだが、惜しまれつつもモーニング 98年9/3 No.38にて連載終了。原作者、高橋三千綱によると打ち切りだったらしい。
娘と野球とファンを愛する野球人、東京エッグス所属の「恐怖の五番打者」白石三郎。そのすべてを打ち砕く豪快な打棒は、ファンに大きな夢を与え続けている。そんなある日、彼の家の庭に、突然空から謎の犬、「ブル田さん」が落ちてくる。正直いって、このブル田さん、役割がよく分からない。なんかすごい力を持っていそうな感じもするのだが、今のところ白石三郎の迫力、男気に圧倒されるばかりだ。全体の印象としては細野不二彦の「愛しのバットマン」をさらに力強く、さらに感動的にした感じ。
もちろんストーリーも面白いのだが、この面白さはきくち正太の絵に負うところも非常に大きい。
きくち正太は今まで原作付きで描いたことはなかったらしいが、原作がついたことでより作画に専念でき、独特のダイナミックな画風が生きているように思える。力強いプレイシーン、気持ちよく抜けていく日常のさりげない一コマ、実に素晴らしい。
第1巻は病気の少年のため東京エッグスのクリンナップ三人衆が活躍する話と、東京エッグスの四番打者にして「ミスタープロ野球」梅崎が残りの人生を息子に捧げるため現役を退く話。どちらも白石が豪快に手向けのホームランを放つ。その力強い描写、圧倒的な構図、演出、ページをめくるたびに鳥肌がゾワゾワと立つ。見開きや1ページぶち抜きなども効果的に使われていて、すごくかっこいい。まさに男の世界だ。
白石のホームランの場面は当然だが、第1巻では梅崎もかっこいい。バットをほうり投げて雄叫びをあげるシーン、そして白石にすべてを託してベンチに戻っていく見開き。プロの野球はこうあってほしい。
こういう素晴らしい表現に出会えると、「こんな面白い漫画を読めてよかった」という思いに包まれて、涙が出そうになる。やっぱり面白い漫画って最高だ。
●単行本データ
| 巻数 | ISBNコード | 初版発行 | 本体価格 |
|---|
| 1 | ISBN4-06-328545-6 C9979 | 97/10/23 | 505円 |
| 2 | ISBN4-06-328558-8 C9979 | 98/01/23 | 505円 |
| 3 | ISBN4-06-328572-3 C9979 | 98/04/23 | 505円 |
| 4 | ISBN4-06-328590-1 C9979 | 98/07/23 | 505円 |
| 5 | ISBN4-06-328593-6 C9979 | 98/08/21 | 505円 |
| 6 | ISBN4-06-328598-7 C9979 | 98/09/22 | 505円 |