阿部潤(ABJ)
Jun Abe
the山田家
全7巻(小学館)。ヤングサンデー掲載作品
オススメ漫画トップページに戻る
最近のギャグ漫画の中では、俺的オススメ度がかなり高い作品。
この作品は父・戸無(トム)、母・花子、息子・みちるの3人家族が巻き起こす騒動を描いた作品。といっても、あまり外部に迷惑をかけることなく、騒動はだいたい山田家内部で終始する。トムは普段は肉体労働者系で星一徹似の容貌を持っているのだが、酒を呑むとたちまち2頭身になり顔も子供になる。花子は美人なのだが、性格はムチャクチャ。この二人が、「マカロニほうれん荘」のひじかたとしぞうときんどーさん的役割を果たし、みちるが沖田そーじ役割を担う。
いつもムチャクチャやっている夫婦に加え、みちるのガールフレンド(らしきもの)である田中が火に油を注ぐように異常な行動をする。
「the山田家」の一番の魅力は、山田夫妻の脈絡も突拍子もない奇矯な行動にある。とくに母・花子の血管ぶちきれそうなほどのテンションの高さは特筆もの。さらにくるくると変わる表情(これがまたへんな顔になる)も実におかしい。また、ときどき出てくる端役たちも十分に異常で面白い。先ほど「マカロニほうれん荘」を引き合いに出したが、あそこまでのパワフルさはないものの、こちらにはこちらの味があってすごく笑える。2作品を比べることにあんまり意味はないけど、異常さ、次の展開の予想しにくさではタメを張るかもしれない。
ここまで書いてくるとヘンな漫画にしか思えないかもしれないし、実際にヘンな漫画ではある。でも、それでありながら山田家なりの家庭愛をきっちり描いている。というよりも、常人には理解できない変人の抑え切れないほどの家庭愛の噴出が、奇怪な行動となって現れているといったほうがいいだろう。そういう意味で、笑えるんだけど同時に心暖まったりもするのである。
ちょっと線が硬めで淡白な感じもする絵柄なので、雑誌の中では比較的目立たないほうなのだが、ヤングサンデーを読んでいる人はぜひ読み逃さないようにしてほしい。また、ヤングサンデーを読んでない人は単行本をぜひぜひチェックすべし。
●単行本データ
巻数 | ISBNコード | 初版発行 | 価格 |
1 | ISBN4-09-151851-6 C9979 | 1996/12/05 | 918円 |
2 | ISBN4-09-151852-4 C9979 | 1997/06/05 | 920円 |
3 | ISBN4-09-151853-2 C9979 | 1997/12/05 | 920円 |
4 | ISBN4-09-151854-0 C9979 | 1998/08/05 | 920円 |
5 | ISBN4-09-151855-9 C9979 | 1999/01/05 | 920円 |
6 | ISBN4-09-151856-7 C9979 | 1999/08/05 | 876円+税 |
7 | ISBN4-09-151857-5 C9979 | 2000/03/05 | 876円+税 |