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「フェミニズムセックスマシーン」
■著者名:砂 (すな)
■出版社:太田出版
■シリーズ:OHTA COMICS
■価格:本体1000円+税
■判型:B6
■ネット書店で購入:
Amazon.co.jp
/
楽天ブックス
■収録作品…… ( )内初出
「キャンペーンガール涼子」(ホットミルク 1998年9月号)
「キャンペーンガール」(MANGA EROTICS 1999年 VOL.2)
「セクスパレイト」(MANGA EROTICS 1999年 VOL.1)
「ハーモニープレイ」(ホットミルク 1999年12月号)
「BOXES」(MANGA EROTICS 1999年 VOL.3)
「まわりみち」(零式 1999年 VOL.9)
「ピアシング」(ホットミルク 1998年11月号)
「探偵」(ホットミルク 1999年1月号)
いろいろ変わった作品が見られるエロ漫画界においても、ひときわ異彩を放つ砂の単行本。マッチョな絵柄からしてもう普通のエロ漫画とは一線を画しているが、強烈なセリフの連打がすさまじい。MANGA EROTICSあたりでズガンとショックを受けた人も多いだろう。砂の漫画について語るときは、ついついセリフの一例を引用したくなってしまうのだが、今回もまた引用してしまう。「
オオッ、ナイスピストンッ! イエーッ、ファックマイケツッ! ウーイェーッ、ビッグチンポッ ユーズマイケツハーダ!
」。こんなのがぶっといフォントで、1ページぶち抜きのコマに5個も10個もぶちまけられるのである。一つ一つの言葉選びのセンスはもちろんだが、下品ワードだけで埋め尽くされた長文のフキダシの連発は、絵ヅラとしてギチギチに密度が濃い。恐るべきハイテンションぶりにぶん回される。
さらにこの下品ワードと壮絶なコントラストを描く哲学的アプローチ。下劣さと哲学という、最も対極的なようでいて実は近しいものであるかもしれない二つの珍妙な取り合わせが、ナイスなハーモニーを描き脳髄をわしづかみする。中でも公衆便所のような一室の壁に女の尻だけが突き出されていて、男は肉欲を満たし、ケツ以外の部分は別室にある女性はそちらで好き勝手なことをしているという、セックスを分離(セパレート)して機能のみを抽出した売春を行う人々を描く「セクスパレイト」が発想の奇抜さといい、ラストの構図といい最もよくできていると感じた。
ただ、個人的には雑誌で全作品既読であり、すでに強烈なインパクトを受けてしまった後だったので、雑誌で読んだときほどには面白く感じなかった。これはおそらく判型の問題もあろう。できればB5以上の判型で読みたかった。視界に対して占める面積が広ければ広いほど、この作風はインパクトを増す。
とはいえ、初めて読むひとはおそらく後頭部を殴られたかのような激しいカルチャーショックを受けるだろう。ここで語られる思想的なことは、分からなかったとしてもたぶん問題ない。おそらくは自らを賢いと自認する読者への目くらまし的な意味も含んでいるのであろうから。とにかく最初はグラグラと感性をゆさぶる作風に身を任せ、素直に面白がれば良い。エロ漫画界、いや漫画界広しといえども、ここまで個性的でかつビシバシ仕掛けてきている漫画はそう多くない。何かを切り拓くことができるかもしれない可能性を存分に秘めている。このノリにもだいぶ慣れてきたので、そろそろ次の仕掛けにも期待したい。きっとこれからもまた何かしでかしてくれるだろう。
■出版社:太田出版
■シリーズ:OHTA COMICS
■価格:本体1000円+税
■判型:B6
■ネット書店で購入:Amazon.co.jp / 楽天ブックス
■収録作品…… ( )内初出
「キャンペーンガール涼子」(ホットミルク 1998年9月号)
「キャンペーンガール」(MANGA EROTICS 1999年 VOL.2)
「セクスパレイト」(MANGA EROTICS 1999年 VOL.1)
「ハーモニープレイ」(ホットミルク 1999年12月号)
「BOXES」(MANGA EROTICS 1999年 VOL.3)
「まわりみち」(零式 1999年 VOL.9)
「ピアシング」(ホットミルク 1998年11月号)
「探偵」(ホットミルク 1999年1月号)
いろいろ変わった作品が見られるエロ漫画界においても、ひときわ異彩を放つ砂の単行本。マッチョな絵柄からしてもう普通のエロ漫画とは一線を画しているが、強烈なセリフの連打がすさまじい。MANGA EROTICSあたりでズガンとショックを受けた人も多いだろう。砂の漫画について語るときは、ついついセリフの一例を引用したくなってしまうのだが、今回もまた引用してしまう。「オオッ、ナイスピストンッ! イエーッ、ファックマイケツッ! ウーイェーッ、ビッグチンポッ ユーズマイケツハーダ!」。こんなのがぶっといフォントで、1ページぶち抜きのコマに5個も10個もぶちまけられるのである。一つ一つの言葉選びのセンスはもちろんだが、下品ワードだけで埋め尽くされた長文のフキダシの連発は、絵ヅラとしてギチギチに密度が濃い。恐るべきハイテンションぶりにぶん回される。
さらにこの下品ワードと壮絶なコントラストを描く哲学的アプローチ。下劣さと哲学という、最も対極的なようでいて実は近しいものであるかもしれない二つの珍妙な取り合わせが、ナイスなハーモニーを描き脳髄をわしづかみする。中でも公衆便所のような一室の壁に女の尻だけが突き出されていて、男は肉欲を満たし、ケツ以外の部分は別室にある女性はそちらで好き勝手なことをしているという、セックスを分離(セパレート)して機能のみを抽出した売春を行う人々を描く「セクスパレイト」が発想の奇抜さといい、ラストの構図といい最もよくできていると感じた。
ただ、個人的には雑誌で全作品既読であり、すでに強烈なインパクトを受けてしまった後だったので、雑誌で読んだときほどには面白く感じなかった。これはおそらく判型の問題もあろう。できればB5以上の判型で読みたかった。視界に対して占める面積が広ければ広いほど、この作風はインパクトを増す。
とはいえ、初めて読むひとはおそらく後頭部を殴られたかのような激しいカルチャーショックを受けるだろう。ここで語られる思想的なことは、分からなかったとしてもたぶん問題ない。おそらくは自らを賢いと自認する読者への目くらまし的な意味も含んでいるのであろうから。とにかく最初はグラグラと感性をゆさぶる作風に身を任せ、素直に面白がれば良い。エロ漫画界、いや漫画界広しといえども、ここまで個性的でかつビシバシ仕掛けてきている漫画はそう多くない。何かを切り拓くことができるかもしれない可能性を存分に秘めている。このノリにもだいぶ慣れてきたので、そろそろ次の仕掛けにも期待したい。きっとこれからもまた何かしでかしてくれるだろう。