オス単:2004年9月の日記より


 このページは、「OHPの日記から、その月に読んだ単行本の中でオススメのものをピックアップする」というコーナーです。文章の中身は、すべて日記からのコピー&ぺーストです。加筆・改稿等は原則として行っていません

 なお、ここで取り上げる単行本は「その月の日記で取り上げたもの」です。「その月に発売されたもの」ではありません。だから古い本でも入ってくることがあります。ピックアップした単行本は多少分類してますが、これはあくまでページを見やすくするための便宜上の分類です。かなり適当に割り振ってますのであんまり気にしないでください。あとシリーズものの途中の巻は、取り上げないことが多いです。


▼強くオススメ

【単行本】「愛人[AI-REN]」5巻 田中ユタカ 白泉社 B6 [bk1][Amzn]

 前の巻が出てからすでに3年近くが過ぎたが、ようやく待望の最終巻が発売。雑誌掲載時から大幅改稿をしているという話だったので、もしかしたらそのころのノリに戻れないでいるのでは……などと心配していたが、それは杞憂でした。

 あらすじを改めて書いておくと、イクルという名の死を間近に迎えた少年と、死期の迫った人間と最後のときを過ごすために与えられる擬似的な恋人、人造遺伝子人間「愛人」(あいれん。AI-REN)の少女・あいの、短くも愛にあふれた生活を描いていくというもの。この第5巻で描かれるのは、彼らが過ごした最後の一時と、彼らが残したものについて。二人の生活はとても短く儚かったが、眩しい輝きに満ちている。

 田中ユタカはこれまでも数々の初体験物語を描いてきたその筋の名手的な作家だが、それが渾身の力を込めて描き綴った愛の物語は、あまりにもピュアであまりにも鮮烈で、心に強く焼きついてくる。まあ早い話、感動した。甘さも爽やかさも、切なさも哀しさも最大級で、なんだかもう知らず知らずのうちに泣けてきてしまう。田中ユタカは本当に一芸の人だと思う。作家生活の中でその一芸を磨きに磨き、そして得たすべてのものを、この一作に注入して見せてくれた。「この人はこの作品を描くためにここまでやってきたんだな」と素直に思える。相手のことを「好き」「愛している」と思う純粋な気持ちが、ここまでダイレクトに伝わってくる作品はそうそうない。立派な仕事でした。拍手。

【単行本】「リング」1巻 島袋光年 集英社 B6 [bk1][Amzn]

 島袋光年の復帰第一作は、「リング」という架空のスポーツをモチーフにしたスポ根モノ。これは面白いと思う。まず「リング」のルールだが、これは大ざっぱにいって輪投げ+バスケという感じの競技だと思っていい。バスケでいえばボールに当たるものが直径30cmくらいの輪になっていて、ゴールは2メートルくらいありそうなポール。7人ずつのチームで相手側の陣地の向こうにあるポールまで輪を運び、ハメれば得点というルール。

 オリジナルスポーツものというと、まずはルールを説明するのが面倒だったりするのだが、この競技の場合はバスケとほぼ同等なので理解がしやすい。それからその説明を一気にしないで、まず主人公である花形夏(通称サマー)と同級生のあんちゃんの1対1での輪の奪い合いゲームみたいなので概要をつかませ、そこから輪部の紅白戦と入っていく過程で細かなルールを説明していくという形。漫画としての読みやすさはさすが週刊少年誌育ちって感じだし、すんなり入っていけた。

 それからスポーツとしてのアクションが面白い。バスケ的なフットワーク、フェイントなどが駆使されるほか、輪を投げるアクションがフリスビーに近いものがあり、ポーズ的にけっこう決まっている。ポールにハメるさいのアクションはダンクあり、ロングシュートあり。また輪だけ転がしておいて、自分は相手を避けて走り、その先で輪を回収するとか、サッカーっぽい動きも織り交ぜる。輪ならではのバックスピンなどのアクションもあり、トリッキーかつダイナミック。相手方ポールにハメた輪は、競技時間中はそのままにしておくので、得点の経過がヴィジュアルで分かるという点もユニーク。これ読んでいると、実際にリングをプレイしてみたくなってくる。島袋光年らしいギャグもしっかり入ってるし、今後より大きな大会などが描かれるとかなり熱血した展開にもなっていきそう。個人的にはけっこう期待してます。

【単行本】「無敵鉄姫スピンちゃん」 大亜門 集英社 新書判 [bk1][Amzn]

 連載のほうはあえなく打ち切りになってしまったが、これは面白いギャグ漫画だった。エロエロなロボットである「エロボット」の開発を生涯の夢としているマッドサイエンティストなエロジジイとその製作物たる少女型ロボットのスピンちゃん(エロ機能はとりあえずなし)、そしてジジイの孫娘の3人が織り成すドタバタギャグ。これがもう本当にドタバタしてて良かった。ジジイの邪な欲求の具現化である発明、テンポ良く繰り出されるギャグ、鋭いツッコミなどなど、ギャグのキレの良さが目立った。それからいろいろ出てくるオタクネタ。過去のジャンプ漫画をスルッと大胆にパロディしたり、目からビームで他社の雑誌が出てきたり、デブオタをギャグとしていじったり。でもその料理の仕方はけっこうカラッとしてて、あまりベタベタいやらしい感じにならない点も良かった。絵柄も愛敬があってなかなかカワイイ。近年のジャンプギャグ漫画の中ではかなり気に入っていた作品だったので、短命に終わってしまったのは残念。ちょっとオタクネタが細かかったので、お子様層のウケが良くなかったのかなあと気もしなくはないが、何にせよセンスのいい人だとは思うんで次回作にも期待したい。あー、あと連載前の読切版が収録されなかったのも残念なので、こちらも次回作の単行本あたりで収録されたりするといいなあなどと夢想します。

【単行本】「村上かつら短編集」1巻 村上かつら 小学館 B6 [bk1][Amzn]

 長年待ち続けた短編集がついに。第1巻には「天使の噛み傷」「かさぶた」「99夏あたし15歳」「さよなら奇跡」「はるの/よるの/ようだ」が掲載。

 とくに印象的なのはデビュー作「はるの/よるの/ようだ」。これは今読んでもすごくゾクゾクした。主人公の大学生男子のもとに、小学校6年生のころに半年間だけ自分の家に居候したことのある女の子から手紙が来て、7年ぶりに会うことに。といっても彼女は別に美人でもなんでもなく、ロマンチックな話にはなりようがないことは最初から分かっていた。しかし中途半端な気持ちで会う気になった彼に対し、彼女が示した態度は、みっともないことはみっともないけれど、ありったけの気持ちがこもったカッコよいものだった。このころの村上かつらは絵はぎこちないけれど、心情描写はすでに一級品。この女子が、涙をこぼしながらも笑い、昔から続いていた気持ちに別れを告げるシーンは強く心に響くものがあってとても印象的だった。

 また「天使の噛み傷」もいい。同級生のちょっと気になる女の子は、実はフェラチオをすることと引き換えに男の家を渡り歩く生活を続けていて……というお話。無残に打ち砕かれる幻想、しかしそれでも残る彼女への想い。苦い青春模様を、苦いままでありながら美しく描いた佳作。このほかの3作についても短編ながらしっかりした読みごたえがある。絵がうまいわけではないけれど漫画的に読みやすく、しっかりと伝えるべきものを持っていて、語る力が非常に強い。この人は優れた作家だと思う。ぜひ2巻も出してもらいたい。なお、この短編集と「CUE」1巻を両方買うと、著者直筆入り未発表作ブックレットが抽選で100名に当たるプレゼントに応募できるとのこと。これは欲しいなあ。

【単行本】「若さでムンムン」 山田参助 太田出版 A5 [bk1][Amzn]

 祝・単行本化。むくつけき男たちがからみあう、ガチンコホモ漫画を「さぶ」誌上などで描いていた山田参助の初単行本。自分はコミティアに行ったときにちょくちょく同人誌を買っていたんだけど、その独特の男世界に毎度シビれていたものでした。山田参助はまず絵が達者。線自体は整理されててわりとシンプルなんだけど、造形が実にしっかり。んでもって顔がいい。男の純情ここにありって感じの、なんだかい〜い顔してるんだよね。そんな男たちがからむ。相手の男根を口に含み、一生懸命気持ち良くさせようとする。その必死な表情がなんともいい。本人としては不本意かもしれないけど、たしかにロマンポルノテイストっつーか、70年代80年代的というか。石立鉄男とか、ああいう男くさくて憎めないタイプのキャラクターをしっかり描けていると思うんですな。

 この単行本のメインとなっているのは、「若さでムンムン」全8話。奥村という高校2年生男子が、親友のマユズミ、そしてそのいとこの重政の企てにより、からみあう男世界に引きずりこまれていくという青春物語。重政が全裸になり、自分のちんちんに急須を吊るしてお茶を出してくるシーンあたりはインパクト絶大。また「十代の性典」は、タマってむんむんしている高校男子二人が、いつか異性とやるときのための予行練習として、フェラチオを試し合っているという状況を描いたお話。

 ガチンコのホモ漫画ではあるので「うえ〜」と思う人もいるかもしれないんだけど、実はこれが意外と気楽に読める。基本的に山田参助のタッチ自体はサバサバしてるし、独特の愛敬があってユーモラス。ソノ気がない人でも「すげ〜」とか思いつつ楽しんで読めちゃう。帯の推薦文を雁須磨子や志村貴子が書いていることからも分かるとおり、毛むくじゃら系ながら、けっこう女子でも大丈夫。そのことは創作系がメインのコミティアでも、独特の人気を(たぶん)博していたことからも伺える。今回の「若さでムンムン」も良いのだけど、個人的には単行本未収録の短編に好きな作品が多い。例えば父子家庭に育った息子が父の日を迎え、わびしい生活を送っている父をなんとか喜ばそうと、フェラチオの贈り物をする話とか。そういう独特のちょっと間が抜けた人情味のあるお話作りとかが良かったりする。いずれそういった作品群も単行本にしてほしいもんですなあ。


▼一般

【単行本】「CUE」1巻 村上かつら 小学館 B6 [bk1][Amzn]

 こちらは現在ビッグコミックスピリッツで連載中の最新作。故障のため中学生活を1年残しながら、部活のハンドボールは諦めなくてはならなくなった少年・竹田。彼が同級生の少女・伊藤さんによって演劇部に誘われて、じょじょにその道に引き込まれていく……という内容。第1巻の段階ではまだ彼が本格的に演劇を始めるまでには至っていないが、竹田の中に役者としての素質の片鱗は見え隠れしている。なかなか本格的に演劇モノをやろうとしているようで、先が気になる展開。

【単行本】「僕と君の間に」1巻 鈴木央 集英社 B6 [bk1][Amzn]

 「ライジングインパクト」の鈴木央が、現在ウルトラジャンプで連載中の作品。「ヘヴン」と呼ばれる四方を滝に囲まれて閉鎖された平和な土地が、時と共に衰亡のときを迎え、ただ一人残された少年・ホークが幼なじみの少女・セルマとの思い出を胸に、外の世界をめぐる旅に出るというお話。第1話でこれまで「ヘヴン」の人々がなぜ外に出ていけなかったのかという秘密が、セルマの悲劇と合わせて語られ、2話からホークの本格的な冒険がスタート。その後、ホークは荒野を一人旅するダリアというお姉さんと出会い、行を共にするようになる。

 というわけでちびっちゃいが天才技術士である少年ホークと、美人だけどやたら強くてガサツなダリアの本格冒険ファンタジーといった感じでお話は進行。まだお話は序盤だけど滑り出しは順調。まずキャラクターが魅力的。女の子と見間違うようなホークは上品でちまちましててカワイイし、ダリアさんも美人。鈴木央らしく背景の描き込みなどがしっかりしてて、未来風のファンタジー世界をしっかり構築できている。とりあえず読者を引き込む道具立てはできていると思うので、あとはどのようにお話を転がしていくかが楽しみな作品。

【単行本】「月のパルス」1巻 くらもちふさこ 集英社 新書判 [bk1][Amzn]

 いつのころからか、霊的なモノ(?)が見えるようになってしまったお金持ちの家の少年・遊馬宇太郎くんが主人公。その彼がかよっている眼科で出会った少女・紀朱子、そして朱子の友達である宇太郎と似た雰囲気を持つ少女・ツキちゃん。この3人を中心として展開していく恋愛ストーリー。最初は霊的なモノの話がわりと大きめに扱われるのかと思ったけど、意外とコレはガチンコで直球ど真ん中なラブ・ストーリーなのかな。直感力に優れた朱子、スピリチュアルな面で宇太郎と通じ合うところがありそうなツキちゃん。この二人がどのような感じでお話を引っ張っていくのか気になる。まず第1巻は肩慣らしって感じもあるんで、そこらへんの人間関係を頭に入れつつ、今後の展開を見ていきたいところ。

【単行本】「デ・ジ・キャラット 〜でじこだにょ〜」 コゲどんぼ ジャイブ B6 [bk1][Amzn]

 季刊デ・ジ・キャラットで連載された、コゲどんぼによるでじこ漫画。アニメ版の「デ・ジ・キャラットにょ」に沿った内容となっている。季刊デ・ジ・キャラットがおしまいになってコミック・デ・ジ・キャラットにリニューアルされることもあって連載終了、連載的には駆け足。でじこがまねきねこ商店街にやってきて、居候して、うさだと出会って、りんなとみけが出てきて……といったところでおしまい。ちょっとボリューム的には物足りないかなあという感じになってしまったけど、でじこ世界が好きな人なら楽しめるんじゃないでしょうか。あーでもほっけみりんが出てきてないのは残念だなあ。

【単行本】「オレンジでりばりぃ」1巻 作:ボヘミアンK+画:宗我部としのり ジャイブ B6 [bk1][Amzn]

 COMICラッシュで連載中のカーリング部漫画。中学を卒業した後、北海道の学校に行ってしまった親友に勧められて、カーリングにチャレンジしようと思った少女・白河実穂が主人公。学校にはカーリング部は実はなかったのだが、元フィギュアスケートの女王&アイスホッケーの名選手だった強烈な先輩コンビとの出会いにより、バタバタと部創立、メンバー集めて、練習開始〜と相成っていく。今のところカーリングのほうは練習場が確保できず、開店前の銭湯を使ってやってたりとするのでなんともいえないけれども、宗我部としのりらしく女の子はたいへんカワイイです。とくに主人公の実穂。健康的なお色気シーンがいろいろ。ガムの「あまえないでよっ!!」もそうだけど、宗我部としのりはこういう非エロ系雑誌でサービスシーンの多い作品を描くのがバッチリはまってると思う。作品としても、とりあえず楽しい部活モノになっていきそうな感じ。

【単行本】「フェアリーアイドルかのん」1巻 袴田めら ポプラ社 新書判 [bk1][Amzn]

 袴田めらの商業初単行本。歌が大好きな小学生3人組かのん、まりか、こだまが、人間の歌のハーモニーをエネルギーにしている妖精さんアルトと一緒に、アイドルを目指すというお話。袴田めらの作品は同人誌で何度も読んでいるけど、作風の違いにはちょっと驚き。同人誌のときはクールというかおすまししている感じがあってそこが良いところでもあったのだけど、本作はプレコミックブンブン掲載ということもあって、ずいぶん子供向けに振ってきている。絵のほうも明るくキュートでロリっちくなっている。ストーリー面では幼年向けではあるけれど、まあ女の子たちが楽しそうに歌っている様子はカワイイし、メルヘンチックでもある。びっくりするようなところはないけど手堅くまとめてる感じ。

【単行本】「ゴージャスめし」 弘兼憲史+倉田真由美 講談社 A5 [bk1][Amzn]

 弘兼憲史と倉田真由美、それからゲストや編集部の面々が、毎回一人頭5万円だかするようなゴージャス極まりないものを喰らいに行くというシリーズ。出てくるものは頭に全部「超高級」とつくようなものばかり。出てきたものの中でとくに印象に残ったのは第一話の日本一高いステーキ屋「あらがわ」のステーキ。なんかもう果てしなくうまそうで羨ましいこと限りなし。そのほかにもふぐ尽しだのスッポン尽しだの松茸尽しだの、一生モノ的な料理がズラリ。「お前らだけイイもん食いやがって……」「俺にも食わせろコンニャロー」という気持ちは当然湧いてくるのだが、しかし、自分はまず行くことがないであろうゴージャスな世界がそこにあるということを示していただいたことはありがたいななどと思ってしまう連載でもあった。こういうの読むと、やっぱり世の中金だな、と思う。それがすべてとはいわないけど、お金が開いてくれる世界っていうのは確かにあるんでしょう。想像の範疇を越えていたりはしますが。

【単行本】「フィラメント 漆原友紀作品集」 漆原友紀 講談社 B6 [bk1][Amzn]

 志摩冬青名義時代の単行本「バイオ・ルミネッセンス」から抜粋した短編プラス「岬でバスを降りたひと」「迷宮猫」を主録した短編集。こうやって見ると漆原友紀の作風ってずいぶん変わっているんだなと改めて思う。「バイオ・ルミネッセンス」のころの作品は、繊細で詩情を感じさせてくれるが、いずれも短く、ストーリー的にもゆらゆらしてていささかつかみどころがない。漆原友紀になってからのほうが、コマ割がオーソドックスになり、断然読みやすくなっている。ストーリーのほうもハッキリとした志向性を持っていて分かりやすい。志摩冬青時代のも悪くはないが、やはりそこからステップアップしてくれたことを素直に喜びたい。


▼エロ漫画

【単行本】「オナペッチュ」 RIKI コアマガジン A5 [Amzn]

 最近かなり注目しているバカエロ漫画のニュースター、RIKIの初単行本。この人の作品を見ていると、特殊進化した萌えエロ描写をゴチャッと寄せ集めたみたいな感じで、すごく興味深い。まず作画だが、これはかなり「萌え系」。作者ホームページを見ても、それは分かっていただけると思う(それにしてもこの単行本宣伝ページの写真はスゴイな……)。でもってカラーページは「エロゲ塗り」でかなり華やか。女の子は可憐でぷりんぷりん。でもおちんちん描写は血管がぶちぶち浮きまくり。だからといってリアル志向かといえばそうでもなく、デフォルメが利きまくっている。具体的にいうと茎の部分が血管ピキピキなのに対し、亀頭部分は超ピカピカ。そのピカピカっぷりは素晴らしいほどで、キラキラ光るハイライトが画面のあっちゃこっちゃに乱舞する、シャイニング棒。状態。そこからの液の噴出もドビュー、ドビューという感じで華々しい。

 そしてセリフも特徴的。みさくらなんこつばりに激しくて、ぐずぐずに崩れまくっている。「ふにゃあああぁあ♥」「にゃあぁうん♥ あにゃにゃあ♥」「「んにゃー♥」「らいしゅきぃー♥ らいしゅきぃー♥」「ユイのオッパイにきちぇっきちぇっ」「ドピュドピュ♥ オチンチーン♥」「あちゅーい♥ オチンチーン♥」……とまあ全編こんな感じで、入力してるだけで頭がトロけてきそうになっちゃうほど。こういうのはエロゲーからのフィードバックもたぶんあるのかもしれない。エロゲーの場合は、グラフィックの枚数を少なくする関係上、声を当てて、セリフをあり得ないような激しいものにするといったところがあるし。あと乳首もとにかく浮く。どんな厚い服でも大丈夫。セーラー服の上から乳首の形だけでなく、乳輪の色まで透け出ちゃうくらい。で、ストーリーのほうは見事なまでにバカで、スコーンと中身がなかったりするあたりも素晴らしい。

 あと作者のあとがきとか見ると、こちらも見事に頭悪そう。「RIKIちゃんは楽しいエッチマンガがだーいしゅきー。いえーい。お天気は晴れてる日も、雨の日もしゅきー。」とか。なんかもう期待に違わぬキャラで、見ててうれしくなった。実はけっこう頭のいい人なのかもしれないが、天然かもしれない。そこらへんはよく分からない。でもタイヘン面白い人であることは確かだと思う。収録作の「ネコまんこ」の解説で「みんなが大好きなモノをいっぱい入れたマンガを描こーっ!!」ってなことをいってるけど、それで猫耳で体操服、ブルマ、黒のニーソックス姿にエプロンを着けた、お兄ちゃんのお母さん代わりをしている妹が、イケメンのお兄ちゃんとエッチをするなんて話を描いちゃうあたり、なんだかすごいと思う。いやー本当に楽しいです。

【単行本】「若葉といっしょ」 ほしのふうた 東京三世社 A5 [Amzn]

 ほしのふうた最新刊。今回もとてもかわいいなあ。とくにお気に入りなのは表題作「若葉といっしょ」。カワイイ女の子の若葉ちゃんと、寝言で彼女の名前を呼びつつ見悶えちゃう少年・匠くん、それから匠をそそのかして一緒に若葉にエッチなことをしちゃうサトルくん。3人の少年少女がからみ合うエッチ話。3人とも子供らしくたいへん無邪気で、カラッとしているのがとてもいい。あと実はお互いに好き合っている若葉と匠のドキドキ模様も微笑ましい。あとサトルがからんでくると、若葉もけっこうエッチになっちゃって、これはこれでまた。ほしのふうたらしさが非常によく出た一作。「夏草のささやき」は、花火大会の夜に開放的な気分になった女の子が、浴衣をはだけて草原でくるくる回る光景がなんともよろしいです。読んでてにこにこできるようなかわいい作品が揃ってて満足しました。

【単行本】「ぷにねえ」 BENNY’S 晋遊舎 A5 [Amzn]

 お姉さんとか、友達のお母さんとか、お手伝いさんとか、年上のおねいさん系の話が中心。エロ的には比較的ソフトながら(BENNY’Sにしては多人数モノとかもないし)、いずれもほわわわ〜んと包み込んでくるような感じが出てて良い。おっとりとした顔つきの包容力ありそうで、甘えたくなるようなヒロインが多くて、しっかりエロをやりつつ癒し系でもある。この人らしいふよふよした女体描写も冴えていて、お話にしっかりマッチ。表紙のおねいさんの表情とかもいいですなあ。

【単行本】「若葉マリッジ」 北河トウタ 少年画報社 B6 [bk1][Amzn]

 ヤングキングの短期集中連載が単行本化。結婚式直前になって突然失踪した姉の代わりに、女子高生の若葉が代理で新婚生活を営むことに……というハラハラドキドキストーリー。若葉は最初はイヤがっていたものの、だんだん優しい姉の夫に恋心を抱くようになっていく。若葉が初々しくて、一生懸命な様子がなかなかにかわいく、ちょっぴりエッチな演出も眼福感あり。ラストの締めくくりも爽やかで良い具合だった。あと読切作品だった「ジャーマネ!!」も収録。北河トウタの絵はそんなにゴチャゴチャしてないけど、かわいくてしっかりエッチで好き。


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