OHPトップ > オスマントップ > 2005年6月の日記より
このページは、「OHPの日記から、その月に読んだ単行本の中でオススメのものをピックアップする」というコーナーです。文章の中身は、すべて日記からのコピー&ぺーストです。加筆・改稿等は原則として行っていません。
なお、ここで取り上げる単行本は「その月の日記で取り上げたもの」です。「その月に発売されたもの」ではありません。だから古い本でも入ってくることがあります。ピックアップした単行本は多少分類してますが、これはあくまでページを見やすくするための便宜上の分類です。かなり適当に割り振ってますのであんまり気にしないでください。あとシリーズものの途中の巻は、取り上げないことが多いです。
▼強くオススメ
【単行本】「モーティヴ −原動機− リフュールド」1巻 一色登希彦 少年画報社 B6 [bk1][Amzn]
ヤングキングでの連載時から一貫して良いといってきましたが、ついに第1巻発売で、心置きなくオススメできるようになりました。非常にアツく、血潮のたぎるバイク漫画。転倒事故をきっかけ、いやいいわけとして一度はバイクレースから身を引いた男・坪井道隆が、ふとしたことからまたレースの世界に戻ることを決意。自分がかつて失ってしまったものを取り戻すべく、またそのときは行き着けなかった場所を目指して、ひたむきな情熱をぶつけていくという物語。
前作「ダービージョッキー」もそうだったけど、一色登希彦の作風はテンションが高い。普段は心の奥底に潜んでいるような情熱が、時間をかけてふつふつと沸き上がり、ある一点でガッと爆発する、そんなシーンを描かせると抜群。作画・描線は一見ラフなようにも見えるが、内にこもろうとしない、外に向かって迸っていくエネルギーに満ちている。抑えつけていた欲望とその発露。鬱屈と爆発を鮮やかに対比させ、とてもドラマチックに描き出してくる。バイクと真剣に向き合うにつれ、凄みを増していく主人公らの表情の描写も実にイイ。
メジャー感もしっかりある作品ながら、単純な熱血バイク漫画というだけではなく、どこかクレイジーな、暗黒面もはらんでいるかのような熱情を克明に描き出していて、なんともいえない凄みも醸し出している。とても面白いし、作者がすごくノリノリで描いているのも伝わってくる。現在最も続きを楽しみにしている連載の一つ。オススメです。
【単行本】「トランスルーセント 彼女は半透明」1巻 岡本一広 メディアファクトリー B6 [Amzn]
コミックフラッパーで描いている新鋭の初単行本なんだけど、これはいいですよ。個人的にはかなりオススメ。お話のほうは、「透明病」と呼ばれる身体がどんどん透明になっていってしまう奇病に悩まされている中学生の女の子・白山しずかさん、そして彼女と真剣に向かい合い励ますボーイフレンドの唯見くんの青春ストーリーとして展開される。
設定としては一見奇抜ながらも、作品の雰囲気、描写は落ち着いていてる。そして自分の身体が透明になっていってしまうことで、どうしようもない不安に襲われている白山さんの心情の描写は繊細で秀逸。「あたし……本当にここにいるのかなあ……」という呟きからは、彼女の心細さがひしひしと伝わってきて、思わず胸が締めつけられる。しかしこの作品がとても後味の良い、暖かいお話に仕上がっているのは、ちょっと馬鹿だけどいつも一生懸命白山さんのことを見つめている唯見くんの存在が大きい。ヘンな言い方かもしれないが、彼女が「見えない」という事実を真っ正面から見つめて、日々の出来事を一緒に喜び、一緒に悲しむ彼の姿に、白山さんだけでなく読むほうも救われる。二人ともまっすぐないい少年少女なので、二人が笑顔だと素直に「ああ良かったなあ」と思える。
岡本一広は、絵的にはまだこなれてない部分もある。でもこの着想、ストーリーの構成力、優しい雰囲気作りなどなど、見るべきところも多く、作風は丁寧。総じて親しみやすくて愛敬のあるキャラクター作りができているのもいい。今後の成長にも期待したい一人。コミックフラッパーは本当に玉石混淆な雑誌ではあるけれど、こういう魅力ある新鋭を発掘してきてくれるので、やはり目が離せない。
【単行本】「さくらの境」1巻 竹本泉 メディアファクトリー B6 [bk1][Amzn]
コミックフラッパーで連載中の、ほのぼの百合漫画。親の海外移住がきっかけで、母方の叔母の家で暮らすことになった主人公のさくらだが、叔母のたまこちゃんも海外へ長期の旅行に出かけてしまい、入れ替わりに同じ年頃の女の子二人が転がり込んでくることに。その妹のほうであるニ子、通称ふたちゃんは学校では普段は超優等生なのだが、さくらには妙になついてしまい、ごろごろ甘えてくるようになる。かくして女の子3人+飼い猫10匹の、ほのぼのドタバタ生活が始まったのでした……というストーリー。
この作品で楽しいのは、やっぱりふたちゃんのものすごい甘えっぷり。さくらにホットケーキを作ってくれとねだるところから始まり、その後は登校時に手をつないでくるわ、お風呂も寝るのも一緒、おはようやおやすみのチュウまでしだす始末。なんだかんだで、さくらもそのぺースに巻き込まれていって、そのイチャイチャぶりはなんとも甘やか。でも竹本泉らしく、ベタベタした恋愛やエッチっぽい方向にまったくいかず、あくまでそれが平和な日常の一環として、自然に展開されていくのでいやったらしいところがない。そのふんわりとした甘いトキメキ感に、心がとても華やぐ。なかなかええ感じの作品であると思います。
【単行本】「ファミリーレストラン」 雁須磨子 太田出版 A5 [bk1][Amzn]
雁須磨子作品はいつもながら読んでいて楽しい。今回は、とあるファミレスに勤務するお姉さんの生活をのほほんと描写。別にラブコメとかになるでなく、身体にしみつくファミレス臭の話とか、ファミレスのクーラーが故障して暑かっただとか。ユニークな着眼点からスタートし、ゆるゆるとしたぺースのまま、ツッコミなしのボケっぱなしでお話を構成してっちゃうスタイルはこの人ならでは。別に癒し系ってわけでもないんだろうけど、このゆるさは読んでいてすごく気持ちがいい。相変わらず面白い人だなあと思います。あとこの単行本には短編「へるもんじゃあるまいし」も収録されている。
【単行本】「ひかりのまち」 浅野いにお 小学館 B6 [bk1][Amzn]
東京近郊の清潔で日当たりの良い平和なニュータウン「ひかりのまち」に住む人たちの人間ドラマを描いていくという内容。浅野いにおといえば、よしもとよしともにも似た、スカシた感じの作風の持ち主。オシャレっぽさ、サブカルっぽさを嫌う人には忌避されがちなところはあるものの、収録されているお話の完成度はとても高いし、作画についてもうまい。とくにこの作品集の中では、他人が自殺するときの最後を見届ける「見届け屋」という商売をこっそりやっている少年・タスクと、彼と仲良くしている女子高生ハル子のつながりを描いた一連のエピソードが印象に残る。甘さと苦さの同居する青春物語を、クールな筆致で描き出す実力は確かなもの。コンスタントに作品を発表し続けて、実力を着実に伸ばしてるなあという感じがします。
▼一般
【単行本】「もてね!?」 甘詰留太 白泉社 B6 [bk1][Amzn]
子供のころから、ウザくなるほど主人公にベタベタくっついてきていた幼なじみの女の子が、突然別の男との婚約を発表。それを機会に二人の関係は動き始めて……という青春恋愛ストーリー。寝取られ系の要素を含んだ濃厚なエロ描写も織り交ぜつつ、青臭い恋愛激を展開。甘詰留太らしく、感情表現がとても濃い目で、最終的には激しく甘い内容に仕上がった。エロシーンが濃すぎる点がアンバランスに感じられるきらいはあるものの、ヒロインである操の表情なんかは非常にイキイキ。とくに彼女が友達の美晴に本当の気持ちを問い質されたときに見せた、泣き顔まじりの笑顔がとても印象的。甘詰留太は良い表情を描ける人なので、多少バランス的には崩れても、要所要所は締まる。
【単行本】「特務咆哮艦ユミハリ」1巻 富沢ひとし 幻冬舎コミックス B6 [bk1][Amzn]
大正二十三年のある日、正一という妹思いの少年が乗っていた船が鎧武者に襲われるが、そこに「ユミハリ」と呼ばれる謎の軍艦が出現。正一らはそこに収監される。その後、さまざまな時代の人々が入り混じった戦闘が繰り広げられていく。富沢ひとしらしい異形で怪物チックなキャラが続々出てきて、なんだか怪しい雰囲気でお話は推移。ちょっとお話の全貌がつかみづらく、主人公キャラもいくぶん弱いかなとは思うものの、うまくすれば面白くなるかな? なお連載はWebコミック GENZO。
▼エロ漫画
【単行本】「セクハラマン」1巻 ながしま超助 双葉社 B6 [bk1][Amzn]
いやー、ながしま超助って本当に素晴らしい! まずこのタイトル。ちょっとないくらいのストレートさ加減。この時点でまず感服した。そして内容の馬鹿馬鹿しさたるや、筆舌に尽しがたい。主人公はとある会社の新入社員なのだが、それがかつて年商百億の会社を作り上げた祖父の残した経営指南書に従って、ビジネスの世界でのし上がっていくという内容なんだけど、この設定が凄い。この経営指南書は一見白紙のように見えるが、特定のタンパク質、つまり精液をかけると文字が浮き出てくる仕組み。そして教える内容は「出世するにはOLの尻を撫でろ!」みたいな感じの、セクハラ的ノウハウばかり。それに従って主人公はセクハラ三昧な会社生活を送っていくのだが、OLさんのほうもやたら都合良くて、胸を揉めば谷間から機密事項が記録されたディスクが出てくるわ、尻をなでればお局OLが懐柔されるわ、もうムチャクチャ。
しかも普通これだけセクハラしまくって男にばかり都合のいいお話をやったら、多少不愉快になったりもしようものだが、ながしま超助の作品ってそういうところが全然ない。どうやったって誰も本気にしそうにないレベルで妄想を繰り広げているだけだし、あまりにも突き抜けるくらい馬鹿っぽくて、まったく嫌味にならない。この清々しさ、おめでたさは特筆ものだと思う。あの独特の絵柄のおかげってのもあると思う。女性キャラがみんな、いかにも漫画的にぼいんぼいんで実在の人物っぽさを感じさせないし、男のほうのだらしないスケベ面も憎めない。こういう作品を描ける人ってそうそういない。マジで天才だと思う。
【単行本】「Newmanoid CAM」 うろたん フランス書院 A5 [Amzn]
いやーエロいですね。ものすごく間を置いてのときどき掲載(掲載誌はパピポ)なので、単行本化まで3年かかってしまったけれども、最初のほうの作画もあんまり今と変わってない感じ。お話のほうは、性犯罪の増加に対抗する切り札として生み出された、人と獣の遺伝子を組み合わせた新造人間「ニューマノイド」の婦警であるキャムが、事件に巻き込まれてエッチな目に遭う……というモノ。正直なところストーリー的なヒキは弱くて、まああってなきがごとしなのだが、描写のエロさがそれをカバー。
絵は華やかな萌え系でライトな味わいなのだが、エロ描写はねっとり。とくに舌の動きやら液体のねっとり感なんかが秀逸。手をつかわずに口だけでジッパーをおろしてちんちんをくわえさせるといった、エロっちい描写が新鮮。あと舌をちょっと出して、それをぴとぴと押しつけて感じのフェラチオシーンとかも気持ち良さげ。全般に舌先とか、乳首のあたりとか、「先端」部分の描写が艶めかしくて、萌え風味とエロさがしっかり両立できているのがいい。キャムが天然ボケ系なキャラなんで比較的コミカルに展開するが、やってることはけっこうハード。キャムと悪人とかのからみは、だいたいが多人数プレイ。あっちからもこっちからもちんちんにょきにょき状態で、口といわず胸といわず犯しまくり。表情のトロケっぷりとかも良く、しっかりヌケる実用度たっぷりな作品に仕上がっていると思います。
【単行本】「わたしの肢躰」 みかん(R) コアマガジン A5 [Amzn]
3冊目の単行本。みかん(R)の魅力はやっぱり絵。胸板が薄くてお尻が小さくて、ほっぺたはふっくら。美少女エロ漫画系の絵でありながら、写実的な風味もしっかり残し、架空の世界の少女たちの質感を生々しく感じさせてくれる。清純さ純粋さみたいなものを描き出せるからこそ、それが汚されたときの切なさがしみるというか。
最近のみかん(R)はけっこう甘甘なラブコメチックな作品も描くようになってきたが、このころはまだ苦くて痛々しいお話もけっこうあり。「逃避Type」なんかは、親の離婚以来頭がおかしくなり、奇声を発したりヘンな行動をとるようになった少女が、周囲の悪意にさらされていく中で決定的に崩壊していくという内容。こういう、よくありそうでいて残酷なお話を、ありありと描き出してしまう作風はクールでシビア。あとかなりイッちゃったキモオタと、いかにも眩しい美少女がからむようなお話が多め。とはいえ、素直になれなかった少年少女がくっつく「素直になれたら」みたいな、甘酸っぱい爽やかなお話もあったりする。作品ごとにテイストが違って雑然としているともいえるが、クオリティはいずれも高い。ロリ系の作家の中でも異色で目をひく存在。
【単行本】「ミルクママ」 ゆきやなぎ 富士美出版 A5 [Amzn]
いつもながらゆきやなぎの絵はエロい。線がシンプルかつメリハリが効いててパッと目に飛び込んで来るし、表情や肉体のボリューム感、くびれ具合もグッとくる。ゴチャゴチャ描き込むわけではないのに、艶めかしくて良いです。ちょうど良い具合にAmazonのリンクのところに表紙写真もあるので、どういう絵なのかはそちらを見れば確認できるかと思います。
なお今回の収録作品は、母乳の出るお母さんとその息子さんのエッチな生活を描いた「ミルクママ」全3話がメインで、そのほか「ひとつ屋根の下で」、「秘密♥練習曲」、「さよならキャンディータイム」、おさななじみの姉妹どんぶり「スイートスイート♥ホーム」。「さよならキャンディータイム」は、キャンディータイム休刊時に掲載された作品で、コンビニ店員のキャンディーちゃんという女の子を、消え行く雑誌になぞらえて描いたちょっとユニークな作品。個人的には「ミルクママ」がヒロインの成熟度合いからいって好みだが、自分の嗜好的には人妻モノは好きでも実母ものはそんなでもなかったり。あと母乳プレイもあんまりピンと来なかったりする。どうせかけるならもっとねっとりした液体のほうが。
【単行本】「F-mode」 高岡基文 ヒット出版社 A5 [Amzn]
このサイトでもよく書いているとおり、自分は巨乳好きです。そんな自分的に「とても良い乳だなあ」と思うのが、高岡基文の描く乳。サイズ、重量感、張り、柔らかさなど、自分的ツボにかなりヒットする。また、多人数プレイ→快楽の流れがわりとスムーズなのもこれまた自分好み。おくち系のシーンでの、ヒロインの口のもごもご具合とかもグッとくる。ストーリー面では正直あまり大したことはない。ご都合主義ではあるし奇をてらうわけでもない。ただその分、エロを楽しむうえでジャマになるものがなく、あとくされもナッシング。適度なアニメ絵っぽさも良いと思う。エロを求めて読んでいる美少女漫画なので、むちゃくちゃリアルである必然性は薄いし、むしろこういったいかにもな絵柄のほうが好ましい。というわけでこと「エロ漫画での実用」という観点においては、自分内ではかなり評価の高い作家さんです。