OHPトップ > オスマントップ > 2006年11月の日記より
このページは、「OHPの日記から、その月に読んだ単行本の中でオススメのものをピックアップする」というコーナーです。文章の中身は、すべて日記からのコピー&ぺーストです。加筆・改稿等は原則として行っていません。
なお、ここで取り上げる単行本は「その月の日記で取り上げたもの」です。「その月に発売されたもの」ではありません。だから古い本でも入ってくることがあります。ピックアップした単行本は多少分類してますが、これはあくまでページを見やすくするための便宜上の分類です。かなり適当に割り振ってますのであんまり気にしないでください。あとシリーズものの途中の巻は、取り上げないことが多いです。
▼強くオススメ
【単行本】「実録!関東昭和軍」1巻 田中誠 講談社 B6 [bk1][Amzn]
これはけっこう面白い。甲子園に出るためだったら暴力はなんでもあり。とにかく軍隊式の精神注入を是とし、徹底的に部員をしごきまくる高校の野球部の様子を描いていくという作品。これがもう、高校野球のくせしてさわやかミラクルってな雰囲気は全然ナシ。もうとにかく下世話で卑劣で暴力的。校長は悪徳経営のために甲子園出場を狙い、監督・コーチはボーナス目当て。グラウンド内外を問わず、部員たちは監督・コーチにぶんなぐられまくり、部員たちも上級生が下級生を鬼のようにこき使う。殴るわ蹴るわ尻バットはするわ。言葉のほうもとにかくムチャクチャで、下級生は虫以下の扱い。
てなわけで実にムチャクチャで、「おおきく振りかぶって」みたいなさわやか青春漫画とは対極的なのだが、これがアクが強くてすごく楽しい。あとこの作品でいいのが、部員たちは人間的な扱いはされず、シゴキまくられ殴られ蹴られ、メシも満足に食えないという状況なのに、それがジメジメ陰湿な感じにはならない点。田中誠のコミカルな絵柄、軽妙な語り口のおかげで、それがきちんと笑えるギャグになってる。語りのテンポがいいのでスルスル読めるのも良いところ。
さすがに「実録!」ってのは嘘だろうとは思いつつ、「実際の高校野球でも似たようなことはちょっとはやってるんだろうなあ」みたいなことも感じる。でも上記のようにギャグとしてやってるので、「高校野球の暗部をえぐる」「現代野球へのアンチテーゼ」みたいな重苦しさはみじんもない。なんだか「バカとバカがやってるんだからこんなもんでいっかー」「もっとやれー」と、すごく野次馬的な感覚で楽しめるのが素晴らしいです。
【単行本】「涙そうそう」 作:吉田紀子+画:山田秀樹 幻冬舎コミックス A5 [bk1][Amzn]
コミックバーズに1〜2話が掲載されて続きを楽しみにしていた作品。「涙そうそう」というと歌のイメージが強いが、この作品がバーズに掲載されたときは、思いのほか良い作品に仕上がっていたのでけっこう驚かされた。
お話のほうは、兄が沖縄本島に引っ越したことで離れ離れになった血のつながらない兄妹が、4年の歳月を置いて再会。高校生になってすっかりキレイに成長していた妹に兄は驚きを隠せず。その後、二人は一緒に住み始める。以前からお互いに相手を最も身近な存在としていつくしみあっていた二人だが、成長したことで男女の意識も芽生え、さらに兄には本島でできた彼女がいたこともあり、しだいにその関係はギクシャクしていくようになる。
本作でなんといっても良いのが、漫画化を担当した山田秀樹の作画。スッキリと洗練された絵柄だが、線に力強さもあり、キラキラした輝きを感じさせる実に鮮烈で爽やかな絵柄となっている。この絵で描かれるキャラたちも魅力的で、とくに妹のカオルはハツラツとしていてフレッシュな魅力に満ちている。この娘さんが兄を「兄ィニィ」と呼んで慕う様子はなんとも愛くるしく、萌えゴコロも激しく刺激してくるものがある。
ストーリーのほうは1〜2話はとてもいい。兄妹が一緒に暮らす日々を楽しく、鮮やかに描き出していて、青春ストーリーとして申し分のない出来。恋愛感情が募っていく様子にも心華やぐものあり。ただ単行本になって追加された3〜4話については展開を急ぎすぎな感がある。妹を自分できちんと養っていくために料理屋を開こうと頑張る兄が、悪徳業者にだまされてそれまでの開店費用を全部失ってしまうあたりまではいいのだが、その後のくだりについては急展開すぎて違和感がある。苦い展開自体はありだと思うけど、できればもうちょっとページ数を使ってお話をうまく落とし込んで欲しかったところ。
とはいえ山田秀樹の実力については、この作品を見ただけでも十分感じ取れる。絵は一級品。キャラクターは魅力的だし、漫画的に読みづらい部分もなく、かなりイイ線をいっている。お話のフィニッシュで物足りない部分はあるものの、ぜひチェックしておきたい作家さんといえる。せっかくだからこれっきりとはいわず、何か連載とか始めてみてくれないもんでしょうか。バーズで無理ならほかのところでもいいんで。
▼一般
【単行本】「密林少年 −Jungle Boy−」1巻 深谷陽 集英社 B6 [bk1][Amzn]
これはなかなか読みごたえのある作品。ポル・ポト政権下のカンボジアにおいて、戦争をするために育てられた少年兵・アキラの生き様を描いた物語。現在カンボジアで地雷除去の仕事に充実している、実在の人物、アキ・ラーの体験を元にしたお話なのだが、カンボジアの密林をずっと出ることなく、どちらが正しいとも分からない戦争の中でずっと生きていかなければならなかった少年の物語はかなり凄絶。満足な食事もさせてもらえず、あるときは大人の兵隊の代わりに地雷原を先導する役割を強要される。もちろん普通の子供のように遊ぶこともできない。敵を殺すために地雷を仕掛け、いつ敵兵が襲ってくるかも分からない緊張感の中で夜を過ごす。そんな現実の重さ、人間の命の軽さに圧倒される。深谷陽はアジアものを得意とする作家だが、その中でもこれはかなりハードでヘヴィーな作品。「戦争を知らない子供たち」とは真逆の「戦争しか知らない子供たち」の物語。ドスンと響く読みごたえのある力作です。
【単行本】「おたくの娘さん」1巻 すたひろ 角川書店 B6 [bk1][Amzn]
すたひろBOXにて連載されていたWeb漫画がドラゴンエイジでの雑誌連載になり、単行本も刊行。なかなかかわいい絵柄でほのぼのする楽しい一作。
お話のほうは、ずぶずぶのオタク生活一直線だった主人公の住むアパートに、ある日突然小学生の女の子が訪ねてくるところからスタート。この娘さんは、主人公が高校生のころに憧れていた先輩女子と一度だけしちゃったときにできた子供であるとの由。彼女が借金で生活が苦しくなったため、娘さんだけ主人公の元に預けるといいだし、アパートに転がり込んで来たという構図。で、主人公のほうはエロ漫画は描くわエロゲはやるわ、部屋は漫画やエロゲばかりだわということでたいへんなんだけど、一緒に暮らすうちにだんだんなじんできて、親子としての絆が構築されていく……という感じになっていく。
てなわけでオタクのあんちゃんに、突然子供が出来ちゃったらどうなるか、という話なんだけど、これがきちんと面白い。作画はスッキリしていて暖かみもあるし、ドタバタ感とほのぼの感が共存するお話も微笑ましくて楽しい。娘さんもけっこうしっかり者でありつつ、子供らしさも残しててかわいいし。Web漫画は話題性が勝負という部分もあるので、即興性のあるネタ的漫画が多いんじゃないかと思うけど、この作品についてはきっちりホームドラマを作って見せようというタイプの作品なので、雑誌連載として読んでもまったく違和感なし。作画レベルも十分高いし、好感の持てる一作です。なおWebのほうでも1〜10話、14話でも読めるんで、どんな作品か知りたい人はそちらで試し読みしてみるとよろしいのではないかと。
【単行本】「キレルくん」1巻 五島慶彰 秋田書店 新書判 [bk1][Amzn]
週刊少年チャンピオンでやってるギャグ漫画。新鋭の作品で、絵柄的にはまだあんまり洗練されておらず、さほど目立つタイプではないものの、これはけっこう面白い。
主人公はかつては伝説的な不良校と呼ばれた「ジェノサイド学園」に通う少年・キレルくん。彼は普段はへにょへにょした温厚な少年なのだが、悪事を見かけるとすぐブチキレる。ちゃんと挨拶しない、遅刻する、ゴミを捨てる、廊下を走る。こんな行為のすべてに対して彼は即ギレ。で、キレると彼は最強の男と化し、相手が誰であろうとかまわず殴る蹴るの暴虐の限りを尽くす。そんなキレルくん怖さに、ジェノサイド学園の風紀はすっかり品行方正になってしまい、ヘンなバランスの上に学園の平和が維持されていくのでありました……。
というのが大まかなあらすじ。この作品ではとにかくキレルくんのキレっぷりが面白い。いってること自体は至極ごもっとも。反論しようがないのだけど、キレっぷりが極端すぎて、周囲の人たちはヒキまくり。みんなが腫れ物に触るようにキレルくんに接している様子が実にユーモラス。キレルくんの普段の姿と、キレたときの落差も強烈。あとキレルくんがキレるポイントが、周囲の人たちにはけっこう分からなくて、意外なところでシメられてしまうのも面白い。あとそんなキレルくんに惚れてしまった元不良女子のさやかも、萌えキャラってほどではないが見てて微笑ましい。カラッとした勢いのギャグをやりつつほのぼの感もあるし、けっこう気に入ってる作品です。ちゃんと売れて2巻も出してくれるといいなあ。
【単行本】「ヨルムンガンド」1巻 高橋慶太郎 小学館 B6 [bk1][Amzn]
なかなかカッチョいい一作。ヒロインであるココ・ヘクマティアルは、あらゆる武器を取り扱う女性武器商人。その元に、武器を憎みつつ、それを誰よりもうまく使いこなす少年兵・ヨナが転がり込み、ココのチームの一因として活躍していく。というわけで戦争や紛争など、武器を取り扱う物騒な局面で、息詰まるやり取りと派手なアクションが繰り広げられていく物語。高橋慶太郎といえば、以前アフタヌーン系で「Ordinary±」を連載していた作家で、そのころからシャープな絵柄には定評があったが、本作ではさらにキレが増した感じ。ツリ目で妖艶な雰囲気を漂わせているけど、愛敬もあるココのキャラが魅力的だし、ヨナ少年もけっこうかわいらしい。あとココのチームの個性的なメンツも見てて楽しい。戦闘やアクション自体はハードだけど、そこかしこに差し挟まれる茶目っ気やユーモアが、いい感じの潤滑油となっている。まずはいい感じで滑り出しているといえるのでは。先行きも楽しみ。
【単行本】「スマッシュ!」1巻 咲香里 講談社 新書判 [bk1][Amzn]
「やまとの羽根」で、自身のバドミントン大好きぶりを世に知らしめた咲香里によるバド漫画の新作。口はきけないけどものすごくバドミントンが上手な女の子に出会った主人公の少年・翔太が、その出会いをきっかけに、どんどん奥深いバドミントンの世界に魅了されていくという物語。健全なスポ根漫画を爽やかで瑞々しい絵柄で描き、なおかつラブコメもからめてくるという構成は、ソツなく整っている。実際に読んでみてもきっちり楽しめる内容に仕上がっているし、作者がバドミントンをすごく好きなんだな〜ということが伝わってくる。ただ難をいえば、週刊少年マガジン連載作品にしてはちょっと大人しいというか、型破りな部分がない。主人公の翔太にしても天然で、無色透明すぎる感じがするし。よく出来てはいるのだけどもう一つ押しが弱い。作者の思い入れはすごくよく分かるだけに、そこはちと惜しいところではあります。
【単行本】「つぶらら」1巻 山名沢湖 双葉社 B6 [bk1][Amzn]
学校では「クールビューティ」というイメージが定着しているけど、実は女の子アイドルグループ「キャラメル☆エンジェル」が好きで好きでしょうがない女子・つぶらさん。彼女が、キャラ☆エンの番組を見るためいろいろ頑張ってるうちに、その行為がポジティブに誤解されていき学校の人気者になっていっちゃう……という感じでお話が進展。このお話は、山名沢湖作品の中でも取り分けドタバタコメディ色が強く、かなーり明るく楽しく進んでいる。あとキリリとした容姿のわりに、アイドル好きでかわいいところの多い、つぶらさんの表情を愛でるといったあたりがお楽しみ。まあ今までの作品よりもだいぶテンション高めな点にはいくぶん戸惑うかもしれないけど、カラッと明るく、気楽に読めるかわいい作品です。
▼エロ漫画
【単行本】「ひみつの犬神コココちゃん」 掘骨砕三 茜新社 A5 [Amzn]
表紙からしてキテるなあ……。どういう絵柄かと申しますと、女の子二人が座っていて、片方の女の子は制服をはだけた半裸。その上を巨大なめくじがはいずっているという絵柄でございます。こんな表紙だけに内容もいかにも掘骨チックなものとなっている。
ヒロインである犬里咲子ちゃんのクラスメイトのコココちゃんは、魔法使いを自称する女の子。実際に彼女は魔法の力を持っていて、不思議な虫をもぐもぐ食べるとおまんこから魔法の卵を生む。その卵の力を使った女の子たちが、虫と融合してエッチなことをする。その虫たちというのが、なめくじだったりくもだったり団子虫だったり。そのほかではハエとか、虫以外にもこうもりとかかえるとか。しかもちゃんと元の生物の質感は残したままで合体してるんで、その手のネタに弱い人はたぶんまったく受けつけない。でも掘骨砕三の絵自体はたいへんかわいく、虫と合体した少女らが愛情たっぷりに睦み合う、独自の甘いグロキュートなエロ世界が構築されている。
今回は続きモノということもあって、咲子ちゃんとなめくじ少女となったその親友のこよりちゃんのラブラブぶりもしっかり描けているし、そのほかのキャラのエピソードも、ビジュアル面はもちろんお話としても楽しめる。女の子と異生物の融合具合、配分比率についても掘骨砕三ならでは。このデザインセンスはすっばらしいよねえ。耐性のある人にしかオススメはしないけど、好きな人ならたまらない。やっぱこの人はスッゲえなあと思います。
【単行本】「小悪魔と仔羊と子猫たち」 De 晋遊舎 A5 [Amzn]
にゅーあきば.comでも取り上げたDeの初単行本。そちらでも述べているとおり、この人はとにかく絵がカワイイ。最近の萌え系の絵師の中では、かなりイイ線いってる作家だと思う。目とほっぺたの白の入れ方に特徴があり、スッキリしていながらちょっと淡いタッチがなかなかに面白い。女の子たちは腰が細くてお尻がちっちゃく、ボディラインがしなやか。恥じらったり甘えたり、はにゃ〜んふにゃ〜んと喘ぎまくる表情は実に萌え度が高いです。
キャラはまあ基本的にはロリ系。といっても幼女ではなく、少女なあたり。ツンデレ系を中心に、かわいいキャラが揃ってるし、メイド、妹、スク水、ツインテール、猫耳などなど、萌えギミックもふんだんに配置してあってこちらも目に楽しい。お話のほうも基本的には女の子たちがエッチなイタズラ的なことをされて感じまくっちゃうという感じ。ラブラブで甘ったるいけど、絵柄がシャレているおかげでしつこくなりすぎない。ってなわけでなかなか良い作風の持ち主だし、安定感もありそうなんで楽しみなところであります。
【単行本】「夢のおもちゃ工場」 駕籠真太郎 三和出版 A5 [Amzn]
駕籠真太郎らしい奇想あふれる短編集。発行元が変態モノの殿堂、三和出版だけあって、人体改造ネタ、死体いじりネタ、うんこやら痔瘻やら、なんでもオッケー。それを駕籠真太郎テイストで、軽々とナンセンスギャグとしていじりまくっているのはさすが。まあ淡々とやってる感じはあるし、駕籠真太郎作品に慣れてる人には「いつものアレ」という感じかもしれないけど、やはりこのセンスは唯一無二なんで見応えはあります。あとこの人の作品読むと思うけど、内臓だのぐちゃぐちゃな傷痕だの人体断面図だの排泄物だのを描くのが、すごくうまいですよねえ。
【単行本】「ろーぷれ 〜ぬめりの中の小宇宙〜」 大見武士 少年画報社 B6 [bk1][Amzn]
ローション好きを公言する大見武士が、ローションにこだわって描いた一作。お話のほうは、ボトル入りのローションが6室構成のアパートの各部屋を転々としていき、各部屋の住人たちがローションを使って気持ちいいエッチをしちゃうというもの。1話完結なのでメインとなるキャラは各話で交代。共通項はローションということで、完全にローションが主役となっている。
で、これがかなりエロい。女体にローションがとろーりと塗り込まれて、おっぱいやおしりなどなどが、ぬめりに包まれててらてらと輝く様子をしっかり描写。ローションのぬめりと滑りを利用して、女体が揉みしごかれているさまは、かなりグッとくるものがある。乳が根本のほうからきゅるきゅる搾られ、ぬめりできゅぽんっと手が外れてぷるぷる揺れるとか、ローションプレイならではのアクションを執拗に描いている。あとローションプレイの魅力としてはヌレスケがる。服が濡れて下着が透ける、下着が濡れて地肌が透ける転々といった点についてもしっかり押さえている。
キャラもけっこうかわいげあり。第2話のツンデレ系めがね女上司や、第4話の人妻さんなど、どのヒロインもなかなかいい感じ。大見武士のつるんとなめらかな質感のある絵柄も上々。お話のほうはラブラブな話が多い。というかローションで気持ちいいエッチをして満足して、恋人や夫婦の仲も円満……というのが定番パターン。なので後味も良く安心してエロを楽しむことができる。ローションの質感もいいし、何よりみんなすげー気持ち良さそうにエッチに耽っているのが良いです。
マークなしの単行本なんで局部はほぼ消されているのだけれども、この作品の場合はむしろ魅力はローションに包まれた肉体の部分なんで、局部消しはあんまり気にならず、十分にエロを堪能できた。てなわけでローション好きの方には、ぜひオススメしたい一作であります。ついでに最近はAmazonでもローションを売ってるのでペペローシヨンにでもリンクを貼ってみましょう。
【単行本】「恋するふくらみ」 うさくん 茜新社 A5 [Amzn]
うさくん3冊め。LO単行本しては2冊め。今回は限定ぱんつBOXは付いてないが、応募者全員サービスのオリジナル女児ぱんつは用意されている。
で、内容のほうですが、うさくん作品はやっぱりいい。うさくん独特の丸みのあるもこもこした感じの絵柄はすごくかわいげがあって、見てて楽しい。LO掲載ということで「しあわせももりんご」とは違ってわりとストレートにエロをやってる作品が多いのだけれども、毎回最終ページにちょっとしたおまけ漫画的なものがあってけっこう面白かったり、おでこフェチやらおしりぺちぺちプレイやら、なんか楽しげなことも毎回そこかしこに仕込まれているので、ただエロってだけでなく心がぱっと明るくなる。うさくん作品は、かわいいだけでなく、遊び心にあふれている点がすごくいい。なんか作者がすごく楽しそうに女の子やエロを描いているように見えるんですよ。こういう作品は、読んでいるほうもとても楽しい。
【単行本】「花粉少女注意報!」 小梅けいと ワニマガジン A5 [Amzn]
現在小梅けいとはアフタヌーンで「くじびきアンバランス」の漫画版を描いている、小梅けいとのエロ系では初となる単行本。エロ系では、読者の目を引き付けずにはおかないキュートかつ美麗なエロ絵を特徴としており、最近めっきり絵の艶も増している感じがある。とくにカラーページは美麗でとても華やか。また、エロ絵の上達具合も目を瞠るものがある。この単行本にはちょっと古めの作品が含まれており、それと比べると近作はエロ度が段違い。女体描写のむっちり感、ねばっこい体液描写、感じている女の子の表情の艶やかさなど、いずれもクオリティが高い。
ただ個人的には、あまり実用面でグッと来なかった。旧作については絵が今ほど色っぽくなってないから仕方ないとして、近作のカラー絵でも、もう一つ来ない。絵が明らかに好みなだけに、これはけっこう意外だった。まあ考えられる原因はいくつかある。まず近作が少ない点。それから基本的に明るめな話が多く、あまり淫猥な感じがしないこと。それからエロシーンが始まるとすぐ女の子がフルスロットルになっちゃってて、じりじり性感を高めて盛り上げていく過程がいまいち楽しめないかなーってのもある。一枚絵としてはすごくいいんだけど、ちょっときれいすぎるのかもしれませんな。とはいえこのカラー絵の美しさ、肌の色つやなどにはやはり注目すべきものがあるので、オススメはしておきます。
【単行本】「The Great Escape」 尾崎未来 コアマガジン A5 [Amzn]
すごく尻軽でヤリマンな女子高生・あいちゃんが主人公のエッチ漫画。あいちゃんは胸がIカップでしかもすごくかわいいので、周囲の男たちのエロ心を駆り立てまくりな女の子。彼氏はいるんだけど基本的にはすごく尻軽でヤリマン。ものすごく感じやすくて、乳首をいじられるや否やヘロヘロになり、彼氏以外の男とも実にお手軽にほいほいやってしまう。しかもやった後もものすごくカラッとしてて、相手の男のことはほっといて、彼氏の元にホイホイと駆けつけてしまって、残された男はボー然といった感じになってしまう。浮気したことへの罪悪感とかはまったくナッシング。心と身体は別物と割り切っている、とかいうのでもなく、なんか完全に思考が切り離されてる感じのノリの軽さが特徴。
個人的には淫乱系な女の子のお話ってあんまりグッと来なくて、多少身持ちは堅めにしていつつもそれを籠絡ってパターンが好きなんだけど、この作品に関してはけっこう良かった。明るすぎるほど明るいノリなんだけど、あいちゃんが身体をいじられて感じていき、いやよいやよも好きのうちでやっちゃう……って感じの描写がいちおうあるので、エロシーンにすんなり入っていける。普通これだけ明るいと淫猥な感じは出にくいんだけど、健康的でありながらも、しっかりエロっちいムードは作り出せているところがうまい。またエロ描写もけっこう丁寧。ちんこの形も良く、フェラチオしたりパイズリしたりといったシーンもなかなかに実用的。おっぱいもいい感じにエロい形をしておられる。てなわけで、しっかり使えて後腐れのない、良いオカズ系作品であろうかと思います。
【単行本】「妄獣」 天竺浪人 コアマガジン A5 [Amzn]
ここのところギャグっぽい作品も多かった天竺浪人だけど、今回の表題作「妄獣」はドロドロしたダークなエロスを展開。ヒロインは、容姿端麗で非の打ち所のない美人お嬢さま。彼女は陰では恋人の青年とドロドロの愛欲の日々を送る淫乱女だったのだが、放置SMプレイをしていた最中の彼女のところに、彼女のストーカーである変態男が侵入。ありとあらゆる変態プレイを彼女に教養し、お嬢さまは徹底的に汚されていく。そしてその中でお嬢さまは精神的に屈服し、責めを積極的に受け入れていくようになるのだが……。途中のプレイがどんどんハードになっていく様子はかなりエロいし、かつストーカー男の妄念の奥深さもなかなかの見もの。そしてラストの展開も一ひねりあり、美しい者を汚そうとするどす黒い情念を強く感じさせるものとなっている。ページ数も120ページ超あり、なかなか読みごたえのある一作。
また「爆弾少年」「立ち枯れの花」はギャグ風味もある作品。この2作では「爆弾少年」が好き。心の中のストレスが、本物の「爆弾」として顕在化する世界を舞台にしたお話。この世界ではストレスをため込まないために、どこでもかしこでもセックスをすることが奨励されているのだが、主人公の少年だけは断固セックスをしない。それが原因で人にも馬鹿にされ、爆弾はどんどん大きくなっていく。ほかのメンツが呼吸するかのように当たり前にセックスをやっている状況がシュールだし、なかなか面白いブラックジョーク作品に仕上がっている。
【単行本】「夕立が止む前に」 小暮マリコ ティーアイネット A5 [Amzn]
安定してかわいくてエロい。ジェームスほたて名義よりはこっちのほうがエロ度は濃厚。実に華やかな絵柄ながらも、エロシーンは汁気たっぷりでじゅくじゅく。女の子もそれぞれかわいく、巨乳やむっちりした胴体、お尻などもボリューム感十分。お話的には基本は和姦で、エロはハードにやりつつも、ラブラブで桃色な空気に満ちている。今回は女教師+男子生徒なお話が多いかな。でも同級生モノや幼なじみお姉さんものとかも装備。陵辱モノが少なくなった代わりに、ちょっとした出来事から感情の揺れ、恋愛感情の高まりなんぞも描かれてて、ラブラブ度は上がっている印象。手慣れた作風が仇になるのか個人的には見た目の派手さほどには勃たなかったりはするんだけど、エロもラブも濃厚にこなせる人なんで、読めば確実に楽しめるといった感じで汎用性は高いです。