天竺浪人
「星に願いを」
全2巻 ワニマガジン ワニマガジンコミックス
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表題作「星に願いを」は、ワニマガジンの激漫に連載された長編作品。天竺浪人としては「薊の子ら」以来の長編となる。
●上巻
ISBN:ISBN4-89829-323-9 C9979 本体価格:505円
初版発行:97/07/01 判型:B6
タイトル | 初出 |
星に願いを |
第一話 飛来 | 激漫96年1号 |
第二話 濁流 | 激漫96年2号 |
第三話 星のかけら | 激漫96年3号 |
第四話 侵入 | 激漫96年4号 |
第五話 甘露 | 激漫96年5号 |
第六話 暴露 | 激漫96年6号 |
夢想家 | エロトピア97年6月号 |
タマシイのゆくえ | エロトピア97年4月号 |
上巻では姉・美月と肉体関係にあり、女教師を性の奴隷としている高校生・高槻圭吾が、ある日近くの河原に落ちた隕石の、隕石孔から謎の鉱物を拾いあげる。そこから発せられた光によって圭吾は操られていく、という展開。この隕石孔から発見した物体がキーになるようなのだが、この巻ではまだ核心部には迫っていない。それよりも、女教師の調教に明け暮れるのがメイン。美月と一緒になって、センセイを陥れていくさまはかなりいやらしい。
それからこの巻では併録の短編も面白い。
まず、「夢想家」はいつでも女とヤれる状況にありながら、童貞でさまざまなことを想像しながら悶々としている状況を楽しむ学生のお話。ねじ曲がった欲望と視点が楽しい。
それから「タマシイのゆくえ」は幻想的な短編。魂だけが肉体から遊離(離魂)したまま、身体に戻れなくなった少女。離魂した状態のまま世界をさすらう彼女は、実は現代の人々は皆、タマシイをどこかに垂れ流してきて肉体の欲望のままに生きているだけだと気づく。救いのない展開ながらも最後はちょっとだけ希望を残して、消えるように美しく終わっていく佳作。
●下巻
ISBN:ISBN4-89829-362-9 C9979 本体価格:505円
初版発行:98/10/01 判型:B6
タイトル | 初出 |
星に願いを |
第七話 旅人 ツーリスト | 激漫97年7号 |
第八話 狂宴 | 激漫97年8号 |
第九話 石 | 激漫97年9号 |
第十話 箱の中 | 激漫97年10号 |
第十一話 過去よりの声 | 激漫97年11号 |
第十二話 ふたり | 激漫98年12号 |
第十三話 みゆき | 激漫98年13号 |
第十四話 符号 | 激漫98年14号 |
最終話 6月の花嫁 7月の花嫁 | 激漫98年15号 |
「星に願いを」完結編。まずは、女教師・早坂理絵が徹底的に凌辱されていくシーンがすごい。生徒たちのにょきにょきとそそりたった男根に囲まれて、貪欲な獣の貌を見せる理絵。ちんちんの描き方は非常にリアルで、なおかつたくさん出てくるので男根党にはたまらない。
そんな理絵の姿を見つめる高槻圭吾の目は異様なまでに冷めきっている。本当は独占欲が強いはずの圭吾が、なぜ理絵をほかの男子生徒に凌辱させておいて冷淡でいられるのか? 圭吾に哀しく屈折した愛を注ぎ理絵に嫉妬を抱いていた、圭吾の姉・美月はその様子をいぶかしく思う。実は圭吾は隕石からの採取物によって半ば操られていたのだが……。
その後、圭吾と美月の子供時代、母の悲劇的な死などが語られ、物語は悲劇的なクライマックスへ向けてひた走る。隕石うんぬんの設定はさほど生きてはいないが、全般に流れる陰鬱なムードと閉塞感、SEX描写の濃厚さなどなど、読みごたえはバッチリ。