「死ぬなミミズ」 フランス書院 全1巻 ISBN:ISBN4-8296-7711-2 C0079 価格:本体777円 初版発行:93/05/10 判型:A5・モノクロのみ 塔山森としては初の単行本。なかなか面白い短編が多い。とくに好きなのは「崑崙南華楼の想い出」「甲州街道はもう秋なのさ」「Kのトラック」「夜の伯爵」といったところ。 「崑崙南華楼の想い出」は熱に浮かされた女子大生が薄れ行く意識の中でゼミの同級生にやられまくるという話。夢か現か判然としない展開が魅力。「甲州街道はもう秋なのさ」は東京汚物団という団体に姫がさらわれてやられまくっているところを象に乗った騎士が助けに行くという不条理なお話。「Kのトラック」は水泳選手たちがやりまくる話だが、二人ともほとんど表情も変えずに、日常会話でもするような感じでセックスしているところが不条理な感じで面白い。「夜の伯爵」は書生二人が伯爵のお嬢さんをボディガードする話だが、これまたヘンな展開でステキだ。とくにラストの唐突な〆がいい味。 ●収録
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「誘ってあげる」 フランス書院 全1巻 ISBN:ISBN4-8296-7375-3 C0179 価格:本体438円 初版発行:98/05/31 判型:文庫・モノクロのみ 「こんな娘といいな」と同時発売。基本的には「死ぬなミミズ」の再録である。文庫サイズなので「死ぬなミミズ」を持っている人は手を出すかどうか迷うところだが、こちらには「プノンペンの秋」「鶏男」の2作も併せて収録されていて、ファンはやっぱり買わざるを得ない。 「プノンペンの秋」は自堕落に生活する男二人と女一人の三人組が、酒を呑んだりSEXしたりして、だらだらとした日常を送る、というお話。お話はあってなきがごとしではあるのだが、それでも読ませてしまうところがさすが。「鶏男」はどことも知れぬ土地で、来る日も来る日もセックスと鶏の世話をしながら暮らす家族の話。夢のようにつかみどころのない世界で、幻惑的なお話が淡々と進む。 |