文藝
1997年 春号
河出書房新社 刊



 いやー、変だ、こりゃ。表紙は小島真由美。古屋兎丸のマンガ(2P)、井上三太インタヴュ、飴屋法水の渋沢談義、コラムのテーマはエヴァンゲリオン…などなど、今風のサブカル要素をこれでもか、と取り上げてはいる。何といっても村崎百郎の小説まで載っているのだ。ところが何ともちぐはぐなのよ、これが。いっそのこと徹底的にサブカル系にしちまえばいいのだろうが、そうではなく以前からの形の小説なども沢山載っている。ヴィジュアル的につまらないことつまらないこと。それに、全体に統一がとれた形にもなっていない。それは特集が6つもあることからも窺えよう。「以前からの小説誌にサブカル要素を取り入れて若者にも受けるようにしましたよ。これで低迷する小説分野に若者を取り戻しますよ」というきわめて安易な編集方針がモロに露呈されていてグニャグニャ。あと2号と見たが、どうか?
 まあ逆につぶれてしまうぐらいがあとで高値を呼ぶからいいかもしれない。それに、これくらいのメンツがそろっているなら、いかに編集がぐちゃぐちゃだろうと、つまんなかろうと、「買わねばならない」ことには変わりがない。あるいは次号からはもっと徹底するかもしれない。いろんな意味でのめっけもの。

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