「キャプテン」に載っていた陽気婢の作品。なぜ「1」ではなく「2」かというと、「1」は結構良くできた佳作なのだ。
主人公、マオの一族は、実は宇宙からやってきた宇宙人の子孫。数の少なくなった彼らは、交配のチャンスを増やすために、性を自由に選べるようになった。どちらの性になるかは、「ドキドキ感」による。好きな女の子のことを思ってドキドキしたり、好きな女の子に近づいたりすると男性になるのだ。逆もまた然り。こういうところに注目するところが偉いよなあ。で、「1」のオハナシは、コロコロ変わる性別に戸惑いながら、好きな女の子と両思いになるマオ「君」を、微笑ましくも心温まる視線で描いている。ちうがくせーのかわいい恋愛のいいとこだけを嫌味なく抜き出して、きれいにまとめた完成度の高い話になっているのだ。両性併せ持ったマオも実に魅力的に描かれているし。アンドロギュノス/ヘルマプロディトスの魅力。
で、「2」はどうなるか、というと… 高校に入学することになったマオは、全寮制の厳格な女子校に行かなくてはならなくなった彼女と一緒にいるために、女性となって(結構フレキシブルなのだ)寮に入ることになる。そこで、次期生徒会長選挙の候補に担ぎ出されたり、同室の女の子は重度の百合だったり、「実は男ではないか?」と疑われたり……するのだが、オハナシが最初から、そういきなり、ハタンをきたす。話の筋すらよお分からんものと成り果てるのだ。いったい何があったやら。それでいて絵はあまり荒れていないのだから面白い/恐ろしい。
この程度のハタンはまあそう珍しいことではない。じゃんぷだけでもいろいろ例を挙げられるし。しかし、二冊並べてみたときに、ここまで鮮やかなコントラストを見せる作品は珍しい。天国と地獄。実に趣深いではないか。
ぜひ二冊とも読むことをお勧めする。そして、その背後にあった混乱とハタンに、想いを寄せて欲しいものである。