岡田斗司夫は「BT」において、「本宮ひろしは数限りない駄作を書いているから、たまにある傑作が光るのだ」と書いていた。影があるからこそ光がある。面白い連載の裏には(時期が重ならない場合もあるが)ごくごくしょーもない、つまらない連載がある。この作品はまさに「新さん」の影。訳わからなくなった人物の関係、ぶっ飛びすぎの設定。途中で収拾をあきらめたことがありありと分かるストーリー。掛け値なしの大駄作で、全然面白くない。これはひょっとしてわざとやってるのかもしれない。世紀の(悪)意図的大駄作映画「119」(竹中直人)のように。まァ泉昌之の単行本で、本当に面白いといえるのは一冊のうちの2〜3編といったところだから、一冊全部傑作の「新さん」とあわせると半半で、アベレージは逆に高くなるから、こんなものでいいのかもしれない。大ファンの私でも、これはちょっと失敗。