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スティーヴ・ライヒ
Nonesuch 7559-79430-2




 最近再評価著しい(らしい−テクノとの関係で)、ミニマルの代表者スティーヴ・ライヒの最新作。「ザ・ケイヴ」で見せたような言葉のミニマル運用と、「テヒリーム」で見せた歌の響きの対位法的進行がうまく合わさった1曲目「プロバーブ」。マリンバ2台の恐るべきかけあい「ナゴヤ・マリンバ」。ミニマル要素が後退し、よりドラマ性が高くなった3曲目「シティ・ライフ」。「テヒリーム」に期待した人はちょっと失望かもしれないが、どれも音楽的にはよく出来ている。特に凄い(恐ろしい)のは「ナゴヤ・マリンバ」。私はさいたま芸術劇場での来日公演を聞きにいったのだが、右から左から入ってくる二つの旋律に完全にアルタード・ステーツに入った。バリのガムランなんかもそうなのだが、よく計算されて作られたミニマルは人の意識を間違いなく変成させる。映画「リリー・マルレーン」でもあった。リリー・マルレーンのサビだけを延々と聞かせて拷問するという奴が(オタクなあなたには「同じ曲ばっかで気が狂う〜!」という方が分かるかな?)。ミニマルは拷問にも洗脳にも容易に転用可能だ。いまは無邪気に楽しんでるが、そのうち笑っていられなくなるときがくるかな…なんてらしくもなく思ってしまったことだよ。



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