アフタヌーンシーズン増刊1号

女子高生2000

遠藤浩輝

吉本 今この原稿はスミスを聞きながら書いてます。私も高校生時代、モリシーには随分お世話になりました。日本海側の曇り空の下、ホットハウス・フラワーズを聞きながら、吉祥寺のライブハウスにあこがれていたものです。いざ吉祥寺に住むことになってみると、予想との落差に驚いたりもしましたが。私は田舎を捨てました。そして今は立派なヒネたオタクです。
久遠    
暗闇坂

高河ゆん
吉本 うむ。女の欲望が実にビビッドに現れている。高河といえばそうした生の欲望にオブラートをかけて提示するという印象が強かったのだが、この作品ではオブラートなしで、ガチンコで攻めてきている。「妖精事件」にもすでに現れていたところだが。錯綜する「セックスしてえ」という思いがじつに興味深い。
久遠    
ジャンキージェントルマン

小原愼司
吉本 「リボンの騎士」に続いてまたも予告編ですか!うひゃあ、フラストレーションがたまる!早く作品を!!
久遠    
Sprichworter Buch

駒井悠
吉本 おお!本格ショタものですか。オタクである駒井のことを考えるときわめて必然ではあるが、なんか「覚悟」しているみたいでいつものヤツよりはよい。ネタは相変わらずだが…
久遠    
G組のG

新右衛門
吉本 ちょっとだけ笑えます。
久遠    
Gun Smith Cats

園田健一
吉本 イエーイ。園健好調なり。随分間が空いているにもかかわらず全く同じノリで描いているところが微笑ましいでないの。内容?どうでもいいです。
久遠    
緑の座

漆原友紀
吉本 四季賞受賞作では今ひとつ曖昧だった「蟲」の存在が整理され提示されているのがよろしい。そしてオハナシは人間や生命の「根源」にまで向かってゆく。廉子、という少女を通じて、大きな生命の流れが語られる。やや大上段に構えすぎか、という気がしないでもないが、描線によって、そして納得のゆく展開によって、オハナシは心に染みてゆく。シリーズで読んでみたい作品。
久遠    
Position

芦奈野ひとし
吉本 美しいカラーの画面で語られる、それとない非日常。芦奈野のセンスの良さがよーく現れている。実はインコの少女って!
久遠    
みどろヶ池に修羅を見た

沙村広明
吉本 紀行漫画もなかなか面白いもので。沙村はかなりの諧謔精神の持ち主なのでこういう方向でも生きていけそうな雰囲気。
久遠    
哀愁のシマキマン

もみじ拓
吉本 アドゥレセンス特有のドキドキ感に無理矢理宇宙生命体をくっつけるこのなんだか微笑ましいバランス感覚が良い。このままだとギャグなのだが、最後にはぼっかりとした「喪失の悲しみ」を付け加えている。一見ハタンしているようでつじつまを合わせる、というこの手法は良いではないか。アドゥレセンスは喪失の季節。そうして僕らは大人になる。
久遠    
12ピコグラム
山本一宏
吉本   ギャグ
久遠    
オススメのカワイイ
林実日子
吉本   ギャグ
久遠    
激走!しろまたクリニック
いそやこんぶ
吉本   ギャグ
久遠    
ニャニャドヤラ
烏屋さと志
吉本   ギャグ
久遠    
いつかサソリに
長崎順一
吉本   ギャグ
久遠    
ろくぶんのいち

くさかしげあき
吉本 援助交際をしている女子高生と医大生のカップル。医大生は女子高生の母親に買われている。虚無感という巨大な怪物と戦う女子高生、罪悪感という怪獣と戦う母親。家では完璧な娘を演じる女子高生、だが両親は離婚問題でもめている。キッチンドランカーになる母親、ストーカーにつきまとわれる女子高生。暗い話がてんこ盛りである。だが、そうした暗い話を乗り越えて、人と人との絆が生まれてゆく。少しづつではあるが着実に。その背後にある「人間への信頼」にうたれる。今流行りのタイプの描線もぶっきらぼうながらそれを演出している。次の作品も読んでみたくなる。
久遠    
めもり星人

フクヤジョウジ
吉本 幼い頃「UFOを見た」と信じている少年、それにうんざりしている幼なじみの女の子。そんな二人の前に帽子をかぶり、タバコをくわえた女の子が現れる…というオハナシ。全体的には良いのだが、どこか引っかかる。描線がどうにも80年代を引きずっているのだ。あるいは少年漫画に寄りすぎているともいえる。ファンタジイはファンタジイなのだが、どうにも「都合の良いファンタジイ」という感じなのだ。みいむというトリックスターの存在も実に微妙。名前がひらがな書きなのが古くさいじゃないか。その「古さ」をどれだけ現代性と結びつけてゆけるかが今後の課題となろう。
久遠    

<総評>

吉本 四季賞作家の発表の場/ベテランの息抜き、といった編集方針が見え隠れする。前者にフォーカスしてくれると有り難いのだが。ただでさえアフタヌーンのアヴァンギャルディアはなくなっているのだから。売るためにベテランの作品が必要なのはよく分かるところなので、この方針を批判はしないが、バランスを取るようにして欲しいと願うところだ。
久遠  

<ベスト>

吉本 漆原友紀の「緑の座」にしよう。モノクロなのに圧倒的な緑のイメージが浮かぶ。そして読者のこころは深い緑の奥底へと誘われてゆく。
久遠  

Back