●吉本 | 載っている漫画のレベルは軒並み高く、外れは少ない。漫画の量、質共にかなり高度で読んでいて嬉しくなる。おそらくこの原因はサブカル志向を大幅にそぎ落とした結果であろう。サブカル勝負は別でやり、「アックス」のほうは徹底的に漫画で勝負したほうがよいのではないか。 |
●久遠 | うむ。今回は面白いなあ。今月はガロがないだけ面白みが増すなあ。いままでなんかすかんかったけど、このレベルが続くといい塩梅なんだが。 |
吉本松明 | 久遠永遠 | |||
立派な魚 逆柱いみり |
7 | 非常に濃厚なアシッド感。今までのいみりのやり方とは違った、強められた無意識を感じる。願わくば本当にアシッドなりハッパなりに頼ったものでなければ良いのだが。もしそうしたサプリメントが一切ない状態で、この境地に達したのなら凄いのだが。 | 7 | リゼルギン酸ジエチルアミド。きっと切手にしか見えないんだよ。 |
五匹の生活 花輪和一 |
8.5 | 行き場のない欲望と圧倒的な閉塞感。テレビも見れるし雑誌も読める、食事もまあ悪くない。刑務所というところも悪くない…などと思ってはいけない。「どこにも行けない」「どこに行くことも許されない」ことが刑務所の真のつらいところなのだ。今までの漫画では決して味わうことのできなかった「ホンモノ」の迫力。とにかく凄い作品。 | 8 | ビューってなんだ?説明がいっさいないのもまた良し。楽しみが食事だけじゃあ、入る気はせんな。 |
土蜘蛛草紙 秋山亜由子 |
7 | 書き直したものとあってかやや線が荒れているのが残念。しかし虫の生態を記したコラム漫画は、スタンス、絵ともに人を喰っていて実によろしい。定期的な掲載を望む。 | 5 | 尼僧がちゃんと尼そぎだ。 |
黒寿司十八番 根本敬 |
4 | とにかくヒドく作る、という方法論には「アヴァンギャルド者」としてじつに共感できるものがある。漫画も本格的にコンセプチュアル・アートの時代に入ったのか。しかし内容は狙い通り(?)実に酷い。わざとだからいいんだけどさぁ、やれんよ、ホンマ。 | 4 | うーん、なんかなあ。言葉遊びにでもはまっているのかなあ。 |
双子のオヤジ しりあがり寿 |
8.5 | 生命とはシステムである。部分が全体を構成し全体が部分を形づくる。どれか一つのピースが欠けたところでそれはもうシステムとは言えなくなる。このようにここでの問いは非常に深いが、しりあがりはそれを実に軽やかに、瓢瓢とギャグ仕立てにしている。実は「弥次喜多」よりも深い連載かもしれない。 | 8 | 悲しい、悲しい話だ。しかし、オヤジのヤオイ合戦とは。 |
健全な青少年の育成 東陽片岡 |
7 | 作家先生に献身的につき従う、気の弱そうなダウナー系の書生が哀しくも可笑しい。手込めにまでされちまうんだもの。 | 7 | この二人はどういう関係なんだ?76ページの1コマ目の間が何とも言えずいい感じだ。 |
東京ゾンビ 花くまゆうさく |
8 | たしかにオハナシはジャンプ系ではある。しかしそこで描かれている喪失感はきわめて深く、人の心をうつ。花くまの大化けに愕然。辛い、切ない! | 6 | ジャンプテイストだなあ。こんな時代になったのに、金持ちが幅を利かすというのはなあ。 |
ジンバルロック 古泉智浩 |
7.5 | 前回の作品は「こころ」がこもっていなかったので酷評したが、今回は、ほう、なかなかよいではないですか。どこにでもありそうな日常から逃避せずに、ありのままを描こうとする姿勢にうたれる。日常にきちんと立脚しているところに感動の秘訣がある。評価大幅見直し。 | 7 | 爆発っダメ人間っ、て感じがよい。俺様ちゃんの学校の英語のテストもこんなのだったらなあ。 |
ワイルド マウンテン ライフ 本秀康 |
7 | 「何じゃそりゃ」系の落ちではあるが、この作品のポイントはそうしたオハナシにはない。町長スガの、思い出だけに逃避するダメダメな生き方が見どころなのだ。 | 6 | うおうっ、白桃スカッシュ。あなどれんぜサンガリアさすが関西企業だぜ。 |
ダイエット! 土橋とし子 |
6 | この人の漫画を読むのも久しぶり。主人公のデブ女が怪獣のごとく巨大に描かれているところがとても微笑ましく、よいよい。 | 4 | なんかほんとにこんな女いそうで怖いなあ。 |
イップ君の思い出 谷弘児 |
7 | …セレファイス…そして世界は彩りを失う。 | 7 | メルヒェンだねえ。いいねえ。こんな世界で生きていきたいなあ。 |
富士を描く 三本義治 |
8 | まずは復活を寿ごう。その徹底的にうずめ尽くされた空間、デッサンという概念を超越しさりきったぶっ飛んだ絵は、お世辞にも見やすいとは言い難い。はっきり言って何が描かれているかすら判別しづらい状況だ。またオハナシもかなり尻切れ蜻蛉で、全体的に未完成という感覚を強く受ける。しかし…しかしだ。ここにある圧倒的な勢いは、他の作家には真似のできないものであろう。エラン・ヴィタル。かれはテクニックや書き込みと無縁なスタンスにいるがため、その分強力な生命力を表現しうる。 | 5 | コマ割の割にネームが多い。読みつらさは根本敬に匹敵する。 |
クルクルキーキー キクチヒロノリ他 |
4 | うーむ、やる気が感じられないなぁ。ガロのほうもそうだったが、何かあったのか? | 3 | うーん、いまいち。 |
バンロッホ 井口真吾 |
6 | 洗練された線と画面構成には感服する。また、巧みに現在のネットワーク世界の要素を取り入れているのも評価できる。しかし、「Zちゃん」全体を通じて言えることであるが、訴えかけんとするものがフラワー・チルドレン的クサい理想主義なので、その点で思想的に相容れなくなってしまう。昔よりはかなりよくなっているが。 | 4 | 頭の方に凄いのばっかだったので、ここいらはもう疲れた。 |
オートロ 河井克夫 |
7 | この人も手法が確立されてきたようで、明らかな確信犯となってきている。今回は貸本漫画か!「ブレーメン」が消滅した分、こっちで頑張って欲しい。 | 5 | やはりそう言うオチできたか。今回は、絵に力はいってるなあ。 |
LIFE アヤイアキコ |
4 | サンフランシスコの革命は5人の友と見た夢さ。空回り、上滑り。84年の黒人暴動は日本にとっては対岸の火事。リアルを喚起しない「つながっていない」物語はやはり弱い。 | 3 | えーとっ、そう言えばこのようなものもありましたね。 |
●吉本 | 解放されることが許されない欲望が上手く描かれた「五匹の生活」にしよう。 |
●久遠 | ちびまるこちゃんでいうところの、ブルジョワのおぼっちゃまの人。 |