コミックビーム 2000年1月号

幽玄漫玉日記

桜玉吉
吉本 まだ先月号を引きずっているようで。なんだかしょっぱなからテンションが低くて(逆の意味で高くて)怖いくらい。抽象画の世界という感じ。作家と編集が本気でケンカし、ぶつかり合っている様子を正直に示しているのは実に心地よいではないか。
久遠 ページを開けて、ぶっ飛びましたよ!ところで玉吉は、ホントウに娘に「しあわせのかたち」なんて読ませテンのか?
音羽 すべては計算の内なのだろうか?ちなみに、引っ越しはどうなったのかな? 
おさんぽ大王

須藤真澄
吉本 ですからね、先生。ファンタジイを描いてくださいよ。そうすれば原稿不足に悩む必要はないのですから。ていうか多くの人はそれを待っていると思うのですが。
久遠 じゃあ来年は、「ナナカド町」の再販に、「振り袖いちま」の完全版だ!あ、当然「アクアリウム」も。アスペクトで。
音羽 来年は良い年になるかなぁ〜・・・ 
死霊狩り

平井/梁
吉本 高い緊迫感。迫力ある画面構成。これでまた急展開するのですか。どこまでテンションが高まるのですか。
久遠 およ?原作では、あの女(名前忘れた)も居たはずだが?むう、まあ、良い。次は、幻魔にとりついたゾンビーだ!
音羽 あいかわらず、見せ方が上手いね〜。この先どんな感じになるのかな?ゾンビーとの戦闘シーンばかりって事は無いよね? 
敷居の住人

志村貴子
吉本 またも、またもなんだかやりきれない展開。どうしてここまで面白いのだろう?それは恐らく二重の構造がここにあるからだろう。多くの人が通過するであろう青年期のもどかしさをビビッドに描いていることが第一。そしてそれを天空から志村貴子がもてあそんでいることが第二。われわれは志村の共犯者なのだ!
久遠 おーい、先生の彼女は?あえて、出さないのか?それにしてもテンション高いなあ。
音羽 窮屈な日常から抜け出す手段として、旅ってのも良いものかもな〜。 
サルぽんち

鈴木マサカズ
吉本 くだらねえ漫画ですこと。「おさる感覚」は良く出ているように思う。ただ、ビームではも少し、というところですか。
久遠 そうか、このパターンで行くんだね。頑張れ。
音羽 う〜む・・・以外に悪くないのかも・・・ちょっと期待してみるかな。 
真・女神転生カーン

柳澤一明
吉本 急展開、第三の混沌と出会うノブ。…私には何のことだかさっぱりわかりませぬが、盛り上がっていることはわかるザマス。
久遠 お?てっきりちびスケの方がユミの転生だと思ったのに。っていうか、少々無理がきていないかい?
音羽 ユウがボスキャラになるのかな? 
彼女とデート

有川祐

吉本 「もっと深く…」
一見さらりとした青春絵巻を描きながらも、オハナシはどんどん深淵へと向かって行く。そこに微妙なバランスが生じているのが極めて美しい。何ですか、この深まり方は?
久遠 むほー!八神の、八神の目が笑っていない!恐い!恐すぎるよ!来月が、待ちどうしい!
音羽 話のテンポが少し速すぎる気もするな〜。もっとゆがみやすれ違いを深くえぐっていったほうが良いと思うのだが。 
オールナイトライブ

鈴木みそ
吉本 鈴木の欠点は、1作ごとにスタンスががらりと変わるところだ。ルポ漫画もあればSFもあり。面食らうところしきりである。ま、これがこの人の特徴であり徳目でもあるのだが。今回はネタとしては環境ホルモンを扱っているので卑近な感じがするが、まあ楽しめたと思う。
久遠 あれ?なんか普通に終わった・・・みんなはこんなのを待っていたわけではないと思うのだが。
音羽 冴えないな〜。 
砂ぼうず

うすね正俊
吉本 砂ぼうずの「悪」の面が炸裂していてとてもよろしい。そして子砂もどんどん図太くなっているところが微笑ましい。現代のピカレスクロマン。それをへらへら笑って楽しむことの愉悦!
久遠 これだよ!これ!こんな砂ぼを待っていたんだ!このところ低調だったのが一気に振り払われたよ!
音羽 小物は小物らしく地道に生きてれば良いというわけだな。無理をして大物に近づこうとしても無駄だよな〜。格の違いってのは如何ともしがたいからな〜 
恋の門

羽生生純
吉本 羽生生得意のファインアート系の展開でもう一波乱起こすつもりか。それにしてもこの女のセリフ「大地の聖霊とポッピズムが…」に羽生生のアンビバレンスが感じられるではないか!カラーページの抽象性に戦慄。やはりテンション高し。
久遠 まいりました。
音羽 調子にのって、もてあそばれて、ぼろぼろになって恋乃の所に舞い戻ってくるって展開になるのだろうか?まさか、そんな安直な話にはならないだろうな〜。 
てきぱきワーキン▽ラブ

竹本泉
吉本 エダルトのオハナシなので大腑抜けモードを期待していたのだが…こうした思念的なオハナシもできるのですね!竹本先生!期待はずれ&意外な側面に驚愕。
久遠 エダルトなのに、低調。それはエダルトがモテモテでないから?ほのーん。
音羽 慣れとは恐ろしいものだな。 
誰が地球を救ったか

松山花子
吉本 いかにもな現代少女漫画風描線。駆け足すぎの展開。だが毒のあるラストと魅力的な人物描写には「これから」を感じさせる。次回作を早期に載せるべし。ところできなみなみは?新作はまだ?カット描いている場合じゃ…
久遠 を?懐かしい!以前、ビームで賞を取った人だよね!ギャグだっていうのが良いじゃあありませんか。
音羽 なんじゃこれは? 
東京カイシャイン

タイム涼介
吉本 作者のテンションが下がっていては、読者を惹きつけることは難しいだろう。魂削れ!
久遠 いいのか、こんなネタ。でも、ネーミング、絶妙。
音羽 慣れとは恐い物だ・・・この絵柄にも下品さにも慣れつつあるのだから・・・ 
BAMBi

カネコアツシ
吉本 緊迫感の高い闘争シーン。バンビの見る幻覚。次第に明かされる謎。終末に向かって一直線! 
久遠 終息に向かってますねえ。実はこのガキは超天才なんですね?
音羽 ここまで来て、いがいとひっぱるな〜。もっとも、あっさりと終わられても面白くは無いのだが。 
夜は千の眼を持つ

上野顕太郎
吉本 いやね、ネタはわかっちゃいたのですよ。わかっては。でも笑わされてしまったわけですね。この意図的&確信犯的な「人食い」!やはりうえけんは食えない人だ。
久遠 やりやがったな!やるんじゃないかとは思っていたが、ホントにやるとは・・・しょうがないねえ・・・
音羽 訳がわからないです・・・ 
あこがれ

入江喜和
吉本 銭湯の番台に座るおっかないおばちゃん、別名雷おばさん。銭湯にくるハラボテのアジア系女性にあからさまな差別意識を抱いており…と、いきなりヤバめのネタを持ってくるのでハラハラさせられる。だがこう、きちんと「落として」くれるのですな。心温まる、本当の意味で心温まる作品。こうした作品を載せるビームって本当に凄いよなあ。
久遠 銭湯かぁ。大分行ってないなあ。8月くらいか?最後に行ったのは。うーん、温泉にでも行きたいなあ。
音羽 旅行とかをテーマにして描いた方が良いように思えるのだが、いかがなものだろうか? 
弥次喜多 in Deep

しりあがり寿
吉本 入江に続いて、ですか。限りない石段の果てには蓮華座があり、そこで仏になるオカマは限りなく美しい。死を見つめ、生を見つめるしりあがりにしか到達できない絵の境地。これを毎回やってるのだから…
久遠 ホントに逝ってしまうのではないだろうか、しりあがり先生は。もうどうなるのでしょうか。
音羽 ホトケって・・・死んでしまうわけでは無いよな? 
まじない女のトマトソース

三好銀
吉本 夫に失踪された女。時折訪ねてくる夫の従兄弟。二人は夫の失踪をネタに策略を練る。なんといっても「夫が帰ってこない」のが良いではないですか。静謐な画面が逆に雄弁である良い例ではなかろうか。もっと作品発表を。
久遠 ブルーベリージャムが食べたい。まあ、トマトソースも良いけど。
音羽 絵柄もストーリーも淡泊でつかみ所が無い感じだな〜。 
釣れんボーイ

いましろたかし
吉本 これまた凄い脳内麻薬分泌作品。完全に無意識ダダもれ状態になっている。釣りに行っても、マキエ団子を作っていても、完全にアルタード・ステイツに到達している。ヤバすぎ!漫画のことなど一言も出てこないところもヤバい。
久遠 このところ、釣りゲームをやっていたからなあ・・・なんか、つらくなってくるな・・・
音羽 釣り師とは生き方か〜・・・なんか解る気がするな〜。 
BAD TRIPPERS

鮪オーケストラ
吉本 きちんと終わらせてくれました。このカッコよさは注目されねばならない。早く単行本を。
久遠 やっぱ、乗り切らないままでしたねえ。残念でしたねえ。
音羽 最後までクールに決めてくれたね〜。やっぱりこうでなくっちゃね。 
期末試験前也

新谷明弘
吉本 不意の登場だが内容はとても良い。「もちろん われわれ人類は単細胞生物であるから」なんてところがイイじゃないですか。そして分裂のためには他のDNAを取りこまねばならないってところも。すげえエロティックなオハナシじゃないですか。
久遠 単細胞だったのか!じゃあ、なんでエロ本なんて読んでるんだ!
音羽 よくわからぬが・・・なんかいいな〜。 
ひろみ☆いっぱいいっぱい

金平守人
吉本 実は金平はこうした現実に即さないオハナシのほうが良いのではなかろうか。モノローグで語られているところがよろしい。こっち系で攻めて欲しいもの。
久遠   投げやりに見えても、ホントは考えて描いているんだろうなあ・・・大変だなあ・・・
音羽 面白いかも・・・ 

<総評>

吉本 連載陣のハイテンションに加えて、ゲスト&新人の漫画も面白い。どうなっているんですか?読みきりや最終回が高得点をマークするのではなく、普通のオハナシが高得点をマークしているところも注目すべきところ。皆が高みを目指すシナジー効果が生まれているように思う。もっと売れてもおかしくないと思うのだが…。
久遠 テンション高すぎ!参りました!この調子じゃ、2000年は安泰か?
音羽 イマイチ活気が足りないな〜。こんな調子じゃ20世紀最後の年に消滅なんて事になりかねないぞ。

<ベスト>

吉本 難しいところだが、ここはあえて「期末試験前也」にしよう。実に細かく世界設定がなされているところに注目。扉の試験範囲も、英語の教科書も、すべて世界を演出するための小道具になっているのだ。第二の「K9」、第三の「ヤプー」になる可能性をこの作品は秘めているぞ!!
久遠 「恋の門」に決定。悶えたし。
音羽 「砂ぼうず」かな・・・

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