コミックビーム 2000年10月号

レヴュ担当 吉本松明
久遠永遠
音羽平八

弥次喜多 in DEEP

しりあがり寿
吉本 イノチの暴走として現れる破壊神ヤジさんと、鳥男の転生として現れるもうひとりの神。神にさえなっていく弥次さん喜多さんのさまに畏怖の念をおぼえる。神の領域を目指すとは!
久遠 む、きちんとゲソピン君(仮)がでてきますね。あんまり違和感無く登場するかと思ったけど、結構目立ちますなぁ。
音羽 奈落の底に落ちていったけどダイジョブなのかな?どうやって復活するんだ?
敷居の住人

志村貴子
吉本 サイン会、行ってきましたよ。なるほどこういう人がこの漫画を描いていたのですね。おとなしそうな人だったので納得。だからこそちあきを「いじくりまわせる」のだな、と。サイン会の厳戒態勢はちょっと、と思ったが、この人なら仕方ないかな、と。今回はくるみちゃんがカギ。下手をすればちあきにとって「都合のよい」存在になってしまうくるみちゃんを、芯のとおった、そう一筋縄じゃいかない存在として描いているのが興味深い。
久遠 エー、最終回は、その回に登場したどうでも良いような女とちあきがくっつくというのはどうでしょうか?
音羽 なんか・・・凄いかも・・・普通の日常的だけど、ありえないような状態だからいいのかな?
100万円!ベガスくん

肉柱ミゲル
吉本 いやあ面白い。すっかりミゲルらしい味を身につけ、滑らなくなってきている。お話が実に他愛無いのも微笑ましい。「100万円」という概念上の存在を、まさに実体のあるようなものとして操作しているのであるから。
久遠 問答無用で金城武と名前が付いているのがいい感じ。
音羽 相変わらずつまらないなぁ。
LAZREZ

TKD/竹谷
吉本 登場するシリアルキラーがちょっとステロタイプ的なのが残念だが、団地という殺伐としきった場所にはふさわしい。それを説得力のある絵が補強する。いい連載。そしてマンガ的なヒキも十分。次回が楽しみ。
久遠 いやあ、団地って怖いですね。近所の団地でも毎日のようにこんな猟奇事件が起きているんだろうなぁ。
音羽 いいね〜。さらに混沌としてきたね〜。ヤマザキの真意も気になるし、眼が離せないな〜。
夜は千の眼を持つ

上野顕太郎
吉本 わからない人のために説明しておくと、貸本漫画がその最盛期を迎えたのは昭和35年ごろ。あなた生まれたばっかりじゃん…。
久遠 少々観念的になりすぎですか?デジャヴ?
音羽 1 なんじゃこりゃ〜〜。
BAMBi

カネコアツシ
吉本 さらに明かされるA作たちの過去。バンビがあのような性格に育ったのもさもありなんという感じ。そうしたところが説得力をもって描かれているのがよい。
久遠 映画化の続報はないんですか?
音羽 なるほど。そういう経緯だったのか。で、どうまとめるのかな?
釣れんボーイ

いましろたかし
吉本 いままである程度ヒマシロ≠いましろという演出がなされていたわけだが、今回のヒマシロの喜びはいましろ本人の喜びでもある。そこで読者は混乱し、いましろの術中にはまるわけだ。今回も快調。
久遠 前の方にあると違和感有るなあ。実生活エッセイ漫画?
音羽 見事なまでの小市民ってとこかなぁ。
非国民

ハーツ&マインズ
吉本 最後まで人を食ったようなオハナシ。最終回とは残念なことであるが、ま、「カウントダウン」もあるし。
久遠 アメリカにいそうだね、こうゆう人。
音羽 はぁ・・・こんなのまだ続けるのか?
橋無醫院

林光默
吉本 ジン・ガグの逆襲。明かされるキョウイの過去。そしてオハナシはバンジュン・ウォンホのもとへと糾われていく。高まりまくる緊張感と静謐で美しい画面。こりゃ面白い。
久遠 これを読むと、ソーダが飲みたくなります。
音羽 上手いこと話を収束させるねぇ。これでもう少し解りやすければなぁ。
テルオとマサル

市橋俊介
吉本 一部サイトで大好評とあるが、当サイトでも大好評。少なくとも私。といいますかこのマンガをほめぬわけには行かぬ、という感じでしょうか。今回は可哀想な教育実習生が登場。マサルに対して親身に接しようとするが、そんなことはまったく意に介さないマサルという描写が毒的で素晴らしい。世の中の倫理だとかオヤクソクだとかを一切すっ飛ばした二人には快哉を叫ばざるを得ませぬ。最後にゾーンの名前がチラッと出てくるが、そういえばこのマンガのテンションの高さはゾーンの「濃縮音楽」と共通するものを持っているように思う。ナパーム・デス!山塚EYE!拷問天国!
久遠 最高です。スズメ蜂です。死にます。
音羽 慣れとは怖いものだなぁ。
カウントダウン

ダークマスター/泉レッドマン
吉本 そして泉晴紀ですか…。オハナシとしては暗ーく、陰鬱になってしまうようなもの。「ロンリネス(そういや単行本は?)」を思い出す。漫画としての完成度やヒキという点では目を引くところがないように思うが、まだまだ1話。きっとオトナの心にグッとくるような痛いオハナシにしてくれるに違いない。楽しみにしてますぜ、師匠。
久遠 カリブマーレイですか?っていうか、ビームの原作は全てカリブマーレイと言うことに決定!
音羽 つまらんなぁ。
おさんぽ大王

須藤真澄
吉本 ノナカという人は、本当にこの漫画で描かれているような人なのですね。肉声を聞いて納得した次第なり。
久遠 ドリャクエ、ムービーへぼいですね。
音羽 なんかアホらしいけど、面白いぞ。タイムリーなネタでもあるしね。
SEX☆MACHINE

ヒロモト森一
吉本 掘られることによってパワーを出すと思われていたSEX☆MACHINEのZERO。しかし今度は掘り返す。この「上下の転回」が面白い。エロさよりもパワーを感じさせる圧倒的迫力に惹かれる。
久遠 ZEROに対抗するために折口先生の愛機を探し出すんですね?
音羽 滅茶苦茶だな〜。ま、面白そうだからいいかな。
恋の門

羽生生純
吉本 そうそう。門は一度徹底的にヘコまされないとダメ。だがそれはおそらく羽生生自身が通過してきた道。一方でヘコまされる門の姿に快哉を叫びながらも、それを描いてしまう/(展開上)描かざるを得ない羽生生のさまにつよい切なさを感じる。個人の美意識はどのようなモードもレベルも取りえる。しかし他人に「わかる」ように表現しなければ、それはゼロに等しい。…現在のおたく的文化全体に対する強烈なアンチ・テーゼ!
久遠 お話が廻りますね。っていうか、共倒れタイプ?
音羽 漫画をやめて何を始めるのだ?どうせなら二人で組んで漫画でも描かないのかなぁ。
東京☆カイシャイン

タイム涼介
吉本 この人独自の「接続の方法」がまだつかめないので、すんなり入ってこない感じ。でもやはり「この場所になければならない」ことはよくわかる。いいこと書けなくて申し訳ないですね…。
久遠 オチが読めたのが残念。ロンリネスも単行本になってないのに、なっちゃうんですね・・・。
音羽 DNA鑑定って意外にお金かかるんだよな〜。
砂ぼうず

うすね正俊
吉本 オアシス政府に対する反政府活動に本格的に組み込まれようとする砂ぼうず。夏子の容赦のない警戒が面白い。「大きなオハナシ」でクライマックスに至るのか?
久遠 どうしてヤヲイではあんなにスンナリ入りますか?
音羽 今度はクーデターか。なかなか楽しそうじゃないか〜。
真・女神転生カーン

柳澤一明
吉本 うーん、他の作品のテンションが高い分、メディアミックスを旨とするこの作品は不利になっているように思う。「メガテン」に頼らない展開を…といっても無理か。
久遠 PS2で、真女神転生の3がでるんだっけ?楽しみですな。
音羽 今回はなんとなく女神転生っぽくていいねぇ。それにしても、悪魔合体はどうしたのだ。あれが無いと女神転生っぽくないぞ。
オールナイトライブ

鈴木みそ
吉本 いざ子どもの教育問題となるとナーバスになってしまう二人のさまが可笑しい。漫画的オチもついているし。
久遠 O村はやっぱりO村でしたね。遠目で見てもバッチシ解りましたな。
音羽 教育なんてなるようにしかならない気もするがなぁ。ま、世の中思い道理にはいかなしな。
死霊狩り

平井/梁
吉本 何度もいうようだが、サブルーチン的オハナシはあんまり長くしない方がいいと思うのだが。それよりもオハナシの本筋をはやめに進めた方がいいと思う。オハナシが尽きたら新作を考えればいいんです!
久遠 王道漫画がこんなに後ろですか・・・。いっそのこと幻魔大戦もリメイクしてくれい。
音羽 単純に、ゾンビーが現れてそれを倒すっていう展開からは脱却したね。少しはバトルじゃなくてストーリーで楽しませてくれるのかな?
サルぽんち

鈴木マサカズ
吉本 これこれこれ。直接物事の本質を語ろうとすることは、もしそれが本質をついていたとしても、現在では胡散臭い行為だ。それに気づいているのだから侮れない。
久遠 マザー3デスか・・・。糸井が飽きちゃったんだよ。穴も掘ってないし。
音羽 なんか、今回はミョーにシビアだな。
てきぱきワーキン▽ラブFX

竹本泉
吉本 以前も同じようなネタをやっていたが、こうしたセンス・オブ・ワンダーにあふれた(あるいは問答無用ともいうが)作品は好ましい。もっとやってくださいよ。
久遠 なんでこんなに後ろなの?もしかしてアンケート最下位?集英社方式?
音羽 小人さんが寝てる間に仕事やってくれたら楽で良いのになぁ〜。
サヨナラ チビ

金平守人
吉本 「2ちゃん」でTAGROのことを多乳漫画家と書いている人がいたが、何年前の情報デスカ?ところでこの作品、金平の文芸的な要素が現れていて非常に興味深い。じゅうぶんにこの手の作品を描く能力を持っているとにらんでいたが、まさにその通りだったとは。この作品自体いつもの悪意の産物である可能性もあるが、少なくとも作品単体で見たときには、絵柄、内容ともに非常によくまとまっている。たまにでもいいので、この手の作品をまた載せてほしいもの。
久遠 ティア☆スター?
音羽 お?なんかまともっぽいな。どちらかと言えば、いつものようなアホなものを描いて欲しいが。

<総評>

吉本 ちょっとした連載陣の入れ替えが興味深い。マニア受けともちょっと違った、オトナ向けの選択といえようか。鮪オーケストラにしろ仲能健児にしろ、元々ビームにはそうした作品を受け入れる素地がある。あまりこの手の作品が増えすぎるのも考え物だが、オコサマに対してきちんと主張しようという作品があってもいいように思う。今月も面白さは上々。
久遠 書店で取り扱われる量が減ってきているのですか?あんま見かけなくなってきましたねぇ・・・。ちょっち、不安ですよ?あと、エンターブレインのロゴ、格好悪い。
音羽 アグレッシブでいいね〜。ただ、ミョーな方へと走りすぎてるのもいるなぁ。ま、それでバランス取れてるのかもね。

<ベスト>

吉本 まさにこれを待っていた、という感じの「サヨナラ チビ」。
久遠 テルオとマサルじゃないか?
音羽 混乱と混沌のひしめく「LAZREZ」にするかな〜。

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Last-Update: Thursday, 13-Nov-2014 09:15:54 JST