キューティーコミック2000年3月号
バッファロー5人娘 安野モヨコ |
吉本 | 6 | 男にすがろうとするキャンディ。あれ?と思うが、キャンディだけのオハナシではない。だから5人娘ということか。 |
久遠 | |||
かわいい くしゃみ 粟生つぶら |
吉本 | 7 | 猫のような可愛いくしゃみをすることが今年の目標の女の子。いまつき合っているカレに微妙な後ろめたさを感じている。だが…というオハナシ。前向きでいいじゃないですか。少女漫画的、といってもいい線の繊細さがいい感じ。 |
久遠 | |||
strawberry shortcakes 魚喃キリコ |
吉本 | 7 | 長い同棲生活を経て、現在は同性と同居しているイラストレーター(女)。同居人から、昔の同性相手のついていた嘘を聞かされる。そして過食症になる女。ひゃあ。凄くナマナマしいじゃないですか。キリコのインタヴュに出てきたオハナシにかなり近いので、凄絶さすら感じる。 |
久遠 | |||
そどむ 小野塚カホリ |
吉本 | 7 | …なるほど。最初からソドミーを描くことが目的だったというわけなのですね。あんな可愛い始まり方だったのに!でもちゃんとセクシャルな面で攻めるのではなく、心のスキマを攻める方法を採っているのが素晴らしいじゃないですか。里香子は勝てるのか?楽しみなところ。 |
久遠 | |||
地獄のサラミちゃん 朝倉世界一 |
吉本 | 4 | 微笑ましいですね。違った形でのギャグの補充が欲しいところ、という気もする。 |
久遠 | |||
ガーリーハイパーズ 藤末さくら |
吉本 | 4 | うーん。オハナシを多様にすることで読者を引きつける手はあると思うのだが、そのオハナシに説得力がないとちと辛いと思う。 |
久遠 | |||
最近どうよ? おおひなたごう |
吉本 | 5 | 2ページのリレー漫画。次号は兎丸先生だってさ。いつも思うのだがこの人脈のスジの良さには唸らされる。ま、何ということはない漫画なのだが。 |
久遠 | |||
蜜の味 海埜ゆうこ |
吉本 | 6 | いっぺんふられた相手に逆に告られる…揺れる女心。このわやくちゃ加減はいいでしょう。もっと深い行き違い、対立も見てみたいようだが。ああ、男ってなんて勝手なのだろう。ちょっとパワーダウン?? |
久遠 | |||
おしえて 朔田浩美 |
吉本 | 5 | 自殺志願者とサーファーのオハナシ。サーファーの説得に自殺志願者は生への希望を取り戻す。直接的な表現なのだが、生の希望や実感を間接的に描いているところに希望がもてる。もっと深まったオハナシもできる人なのだろう。期待。 |
久遠 | |||
コーヒーアンドシガレッチョ 加賀マヒル |
吉本 | 5 | まったくもって何故の改名か。姓が変わるような行動でも取られたのだろうか?ところで随分久しぶりの登場なので全然前の話を覚えていないのが辛いところ。甘口よのう。 |
久遠 | |||
冷蔵庫女 岡崎京子 |
吉本 | 8 | やっぱり面白いのですな、岡崎は。80年代末から90年代頭にかけての「時代性」(それはすでにノスタルジアの対象になっている)をここまでうまく掬い上げた人はいないのであろう。私自身の生の経験を直接揺さぶるような感覚。だから岡崎は積極的に評価されなくてはならないと考える。その一方で、岡崎は積極的に卒業されなければならないとも考える。彼女の持っているリアリティを引きずることは、「いま、ここにいる」我々のリアリティが、過去の解釈図式にしたがって違ったものになってしまう危険性を招来するからだ。今我々に求められているのは、彼女を神格化したりすることではなく、彼女を読みなおし、そこから新しい一歩を踏み出す事ではなかろうか。なぁ?SWITCH?その点でここでの再録は嫌味がなくてよろしい。 |
久遠 | |||
雨の降る国 おかざき真里 |
吉本 | 10 | 離れに住んでいる兄妹。妹の部屋を通らないと兄の部屋には行けない構造。久美は不登校の加也(妹)の部屋に、プリントを届けたりするために通っている。二人の関係は一線を越え、そして兄もそれに巻き込まれようとする。一貫して雨が降っているという描写にグッと来るではないか。そして微妙な視線の表現。直接的な表現を排除し、欲情した視線だけで屈折したエロスをあらわしているのだからただ者ではない。簡単な方向に向かってしまう危険性も持ってはいるが、まったく目が離せない作品であることには変わりがない。テンション高し!! |
久遠 | |||
ひめきみ いわみえいこ |
吉本 | 4 | 慣れてくると、このダルな感覚が心地よくなってくる。ちょっと怖い気もするがまぁいいか、と思う。 |
久遠 |
<総評>
吉本 | 最初は「?」と思った巻末の長尺掲載だが、今回のこれは凄いじゃないですか。まとめて読むべき作品をまとめて収録する。雑誌としては難しかったであろう課題を簡単にクリアしているのがいいじゃないですか。人気増→増ページをこのように使うとは。編集の良心を感じる。オハナシづくりがまだまだ、と感じる人もいなくはないが、きちんと描ける人をきちんと取りあげているのもよろしい。いい雑誌です。 |
久遠 |
<ベスト>
吉本 | 緊張感が無限に高まる「雨の降る国」にしよう。流石はフャンロード出身!!単行本も集めなくてはならない。 |
久遠 |