キューティーコミック2000年10月号
レヴュ担当 | 吉本松明 |
山田千里 |
コンパでGO!! オーツカヒロキ |
吉本 | 6 | モロ男に餓えまくっているあすかとなるみ。ぜんぜんカッコよくないハト男(趣味・マジック)がカッコよくなる展開。そして実は幽霊??唖然とするようなメチャクチャな展開が好ましい。 |
山田 | |||
ノリオ青春日記 オーツカヒロキ |
吉本 | 5 | で、今回もモヨコは落とすというわけですか。いいじゃん、別にモヨコに頼らなくったって。今のままでも結構面白いし、そのほうが類似雑誌との差別化も図れるし。まあそれはともかく、ネタはいつものオーツカ風味で面白い。 |
山田 | |||
地獄のサラミちゃん 朝倉世界一 |
吉本 | 4 | お母さんが見つかってオハナシが動き出す、と。やっぱりシリアス展開は反対なのだが、まあそういう方向もあっていいかと。 |
山田 | |||
アノミー・カンガルー 海埜ゆうこ |
吉本 | 5 | 冷静になって通して読んでみると、これがまあなんとも素晴らしい猫的オハナシ。結局サイコな芸術家はただのダシだという…。だがそうしたへっぽこ極まりないオハナシを「読ませて」しまうだけの手腕があるのが興味深い。オハナシを練ればさらに化ける可能性があるわけであって。 |
山田 | |||
BOYS 美 アンビシャス 竹田やよい |
吉本 | 6 | 「いいよなおまえはのんきで!」退廃の美学はすぐにお腹いっぱいになってしまうのが欠点。永遠に勘違いしつづけることのできる人は幸いである。…ということをチクリと指摘しているのが微笑ましいところ。「エラはりすぎ」 |
山田 | |||
悲しき玩具 桃生薬子 |
吉本 | 4 | ブラコンの妹に付けこんで楽をする兄。兄に振り回される妹の心の動きを描いているのだが、もう少し妹のおかれた状況に切実さがほしいように思う。兄の存在が他人で代用可能な程度では、オハナシの痛さが随分弱いように思うのだ。この絵柄、この雰囲気ならばもっともっと痛いオハナシを描くべきだと思うのだが。ただ見たところ随分と若そうな人なので、今後伸びる可能性は秘めていると思う。頑張れ! |
山田 | |||
ハチミツとクローバー 羽海野チカ |
吉本 | 9 | 小玉サイズのスイカが通常サイズに見えてしまうはぐちゃん。ほとんど小道具扱いのはぐちゃん。そして〆るところはきちんとシメる。このさじ加減の上手さよ。もうひとついいのは骨格を感じさせる男性の描き方。そうした基本的な絵のうまさが、全体をきちんとまとめているところも見逃せない。森田先輩、あんたって人は!! |
山田 | |||
ユカとまーくん 大倉かおり |
吉本 | 6 | 忍者が登場することによって、全体の構造がなんだかもの凄いものになっているのが微笑ましい。まったく場を荒らすだけで、本筋とは関係ないキャラクターなのだが、漫画全体を異次元の世界に叩き込んでいる。どうやりゃこういうキャラクタを考えられるわけ?…ということで次回もこういうおかしなキャラクタを希望。 |
山田 | |||
フジロックバカ2000 大倉かおり |
吉本 | 6 | ピーカンの青空の下聴くソニック・ユースってのは羨ましい。ああ、私もこういう一次情報を手に入れないとな… |
山田 | |||
ガーリーハイパーズ 藤末さくら |
吉本 | 4 | 結局何も始まらないし、何も終わらないのだけれども、それをひとつの作品に仕上げてしまう手腕はいいと思う。ただ、予定調和をぶちこわすような、何らかの力強さも欲しいとは思うのだが。 |
山田 | |||
星とシャンプー 栗生つぶら |
吉本 | 7 | 描かれているのはひどく単純な感情の動き。「いなくならないで」という。一言でも言い切れてしまうような感情でもあるが、栗生はそれを実に執拗に繰り返す。そのことによって、感情の動きがいかに強いものであったか、そしてその切実さが痛いほど伝わってくる。栗生特有の空間の使い方の上手さが、喪失にともなう空虚を上手くあらわしているのもよい。やはり才能を感じる。 |
山田 | |||
そどむ 小野塚カホリ |
吉本 | 7 | 今回は柿崎の番外編。「しなくても死んだりしないのに なんで人が欲しくなるんだろ」と。そこにすべての謎があるのだよ! |
山田 | |||
薔薇色のみっちゃん 大久保ニュー |
吉本 | 7 | 今回は馬場ちゃん(男っぽい)が主人公の番外編。馬場ちゃんをダシにしまくって可愛い男客をゲットせんとするみっちゃんと店長(男)の面白いこと。大久保味炸裂の好篇。 |
山田 | |||
石榴 コダマユキ |
吉本 | 7 | 両方とも遠恋の二人。結婚は遠恋相手としようと思っているが、今は目の前にいる相手が大切…。方法論、絵柄ともにキリコの影響を感じるが、石榴というメタファを使って、互いの関係を暗示しているのが非常によろしい。描かれている女性が20代後半を感じさせるのもなんだか妙にリアル。キリコと違ってリアリティに向かおうという姿勢は新しいと思う。ぜひとも次回作を読んでみたいところ。 |
山田 | |||
いつかきっと いわみえいこ |
吉本 | 7 | うむ。ようやくオハナシにリアルがからむようになってきている。修行の成果が現れてきている。まだまだ作ったようなオハナシであるという感じはするが、それでもそのオハナシをリアリティをもって語ることができるようになっているのだから、大きな進歩であるといえよう。この調子この調子。 |
山田 | |||
ピロリ池から徒歩5分 花小金井正幸 |
吉本 | 4 | この6ページを見ただけでは、この人が本気なのかギャグなのかがいまいち見分けがつかない。本気だったら痛いよなあ…。 |
山田 | |||
肉じゃがやめろ! 黒田硫黄 |
吉本 | 6 | 描いてあるものがうまそうなのに加えて、漫画的ヒキが!なんてあぶらの乗った連載なんだ! |
山田 | |||
シトラス学園 山本ルンルン |
吉本 | 7 | 因果応報。可愛い絵柄でブラックなネタ、というルンルン本来の味が十分に出ている。この調子で連載を続けて欲しいもの。 |
山田 | |||
最近どうよ? 耕野裕子 |
吉本 | 4 | ようやく濃いラインナップから抜け出してきたようで… |
山田 | |||
LOVE HOUSE 橋本ライカ |
吉本 | 6 | どこかすっとぼけたような印象の絵と展開こそライカの魅力、と思っていたら、一途さ、頑固さもあったとは。みんなに進められてもガンとしてバイトを続けようとするめぐみのさまがなんだか宜しい。 |
山田 | |||
今夜もねむれない かわごえさちこ |
吉本 | 2 | いま死んで欲しい女流作家は、倉田真由美といのうえさきこです。この二人ホントーに自覚がなくってすごくやな感じ。 |
山田 | |||
inspired by カノン やまだないと |
吉本 | 5 | 「愛、愛しかない」とボブ・ディランは歌いましたとさ。マルーンの背景が美しい。 |
山田 |
<総評>
吉本 | 今回もモヨコは落ち。次回予告にもなし。これは売上げという点ではマイナスなのだろうが、モヨコがいなくても十分に面白いんじゃない?羽海野、大倉、栗生、ライカとよくまとまっているし。加えてよい新人をどしどし登用しているのが好ましい。とくにコダマユキは伸びる予感大。新人中心に攻めていってもいいのでは? |
山田 |
<ベスト>
吉本 | ちょっとこの人を侮りすぎていたようです。栗生つぶら「星とシャンプー」 |
山田 |
Last-Update: Thursday, 13-Nov-2014 09:16:00 JST