キューティーコミック99年4月号

好きさ 好きさ 好きさ
小野塚カホリ
吉本 前作のような鬼気迫るような迫力はないものの、とりあえずはその分量に圧倒される。なんてったって描くのだから凄い、この人は。それも一定水準を保ちつつなのだから驚きは倍加する。「エルティーンコミックス」に描かなくなったのはやや残念ではあるが…
久遠    
保険室のまりあ様
下地のりこ
吉本 連載2回目にしてこの位置とは、今までCCにいかに「くだらないギャグ」「息抜きの場」が足りなかったかが、示されている。
久遠    
ラブマスターX
安野モヨコ
吉本 ハミオが空を飛ぶ、というあたりの描写が、「ほんとう」なのか妄想なのか分からないところが評価できる。思い込み、の存在(臨在)が明らかになるからだ。願わくば魔術合戦にならないように。
久遠    
ラブリー!
桜沢エリカ
吉本 堕落してしまった魂をいまさらどうこう言っても仕方はないのだが、80年代後半あれだけきらめくような作品を作り出していた作家がこうなってしまうとは。痛切の極みである。プチブル的保守主義を憎むぜ!!
久遠    
地獄のサラミちゃん
朝倉世界一
吉本 実は一番安心して読める作品かもしれない。つまんないといやあつまんないのだが、そのつまんなさも実に安定している。
久遠    
愛ラブSHOCK!
オーツカヒロキ
吉本 一見すっかりシュークリーム系になっちまったように見えたが、実は上手く「タンポン系漫画」の罠を逃れている。この人の徳目は実は少年漫画であるところにある。「イマドキの少女漫画」の殻を被っていながら実はゴリゴリの少年漫画なのだ。その奇妙な節合に魅力があるのだ。面白いじゃあないですか。
久遠    
夢の温度
南Q太
吉本 ………
なんというテンションの高さか。沈黙がもっとも雄弁になる瞬間は存在するが、この漫画は全体がそうした瞬間を切り出すことによって作られている。オハナシも袋小路に向かっていって次の展開が楽しみになる。どうしちゃったんだい、Qちゃん?あまりに凄い出来ではないですか。
久遠    
3Dマテリアル
藤末さくら
吉本 前回のオハナシの続きだ、と気づいたのは最後のページでした。
久遠    
ルーシーはダイヤをもって空へ
かわかみじゅんこ
吉本 あからさまなビートルズからの引用はページ数に免じて許そう。
内容はかなり整理されていて、今までの混乱状況とは大きく異なっている。かの女特有の絵の伸びやかさと美しさが存分に発揮されている。そして大胆な誇張と省略が心地好い。
久遠    
南瓜とマヨネーズ
魚喃キリコ
吉本 泥沼にはまってゆく二人の様子がきわめて淡々と描かれているところが実に面白い。現代によみがえった赤色エレジーとでもいえましょうか。ただもう少し現代風の味付けがしてあってもいいように思うのだが。
久遠    
ロウテンション ラブ
海埜ゆうこ
吉本 こうしたありきたりなラブロマンスが箸休めとして機能しているところに、この雑誌の魅力がある。漫画としての評価は…
久遠    

<総評>

吉本 先月号ほどの凄みはないものの、今月もテンションが高くて楽しめる。特定の年代の女子だけに読ませておくのはもったいない内容だ。異種格闘技戦とでもいえる漫画が載っているのも興味深いところ。
久遠  

<ベスト>

吉本 電車の中で思わず爆笑してしまったオーツカヒロキにしよう。見くびっていたが面白いですぜ、この人は。
久遠  

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