キューティーコミック99年5月号
ラブ・マスターX 安野モヨコ |
吉本 | 8 | 錯綜したラブの謎に対して、答えを出そうと決意し、行動するナオの姿は神々しくすらある。毒を抜いただけの存在ハミオがそれにどれだけ応えられるかは多いに疑問であるが。もはや現代の哲学を乗り越えつつあるようだ。 |
久遠 | |||
地獄のサラミちゃん 朝倉世界一 |
吉本 | 3 | ほのぼのはあんまり似合わない。 |
久遠 | |||
マークシェイキとポテト ザ フライ 小野塚カホリ |
吉本 | 6 | 今回はいつものような鋭さがあまり感じられず、職人芸的な作品となっている。量産のし過ぎか。まあこれだけ仕事をしているのだからこういう回があってもいいだろう。ただ榎本ナリコがいうような「女の体内の暗さ」=「どこまで続くか分からないヴァギナの深淵」の感覚は良く出ているように思う。 |
久遠 | |||
ひめきみ いわみえいこ |
吉本 | 3 | ギャグのつもりなのだろうがちっともギャグに見えない。独特のへっぽこ感覚はあるのだが、滑っているような… |
久遠 | |||
ラブリー! 桜沢エリカ |
吉本 | 2 | 完全に職人になってしまったのか、エリカは。やれませんなあ、本当に。ありきたりな恋のやり取りなんて読んでいて全く面白くない。どうせハッピーエンドにしかならないんだろう? |
久遠 | |||
夢の温度 南Q太 |
吉本 | 8 | 超然とした中学生を描くことで逆に「中学生らしさ」を上手く演出していて凄い…と思っていたら、なんとも突拍子もない展開。どうなることやら。 |
久遠 | |||
ワレワレハ かわかみじゅんこ |
吉本 | 10 | ……… なるほど。今までの一見訳の分からない展開はすべてこの最終回への布石であったのか。あらまほしき甘口の漫画的表現をストイックに、かつ丁寧/徹底的に排した画面構成。カットバックとモンタージュの大胆な導入。手法としては完全にアヴァンギャルド映画のそれだ。かといって中身が破綻しているわけでもない。何とも恐るべき作品であることよ。そして読み手を「つまづかせる」ことによって、新たなドラマトゥルギーを作り出している。心底感服した久しぶりの作品。やっぱり凄い、この人は。 |
久遠 | |||
3Dマテリアル 藤末さくら |
吉本 | 5 | おずおずとしたコンピュータの導入が微笑ましい。かなり突っ込んだオハナシは好感が持てるが、ほかの作品に比べると残念ながら弱いといわざるを得ない。ほかが強すぎるから酷ではあるのだが。 |
久遠 | |||
南瓜とマヨネーズ 魚喃キリコ |
吉本 | 7 | あああ。更に出口なし。「同棲時代」を全くトレースしたかのような絶望的な展開。きっとニヤニヤしながら描いているに違いない。そして読み手はずんずん暗くなる。そこがイイの。イイのだ! |
久遠 | |||
星のカケラに愛を願おう 海埜ゆうこ |
吉本 | 4 | この作品も迫力が足りない。雑誌の性質を考えると必要なタイプの作品なのだが、いかんせんほかの作品のテンションが高すぎるので損をしている。 |
久遠 | |||
ニュー・ワールド 大久保ニュー |
吉本 | 5 | うーん!最後にふぬけ話になっちまったか!これは惜しい。どこか世の中を達観していたところにこの人の作品の面白さがあると思っていたのだが。次回作に期待するしかないか。 |
久遠 |
<総評>
吉本 | 今回も物凄い出来。オコサマだけに読ませておいては本当にいかん。 |
久遠 |
<ベスト>
吉本 | 漫画表現は新しいステージに入っている、ということを無理矢理実感させられた「ワレワレハ」にするほかない。これは本当にぶったまげる作品である。「読まないことは許されない」(水木風) |
久遠 |