キューティーコミック99年6月号
ラブマスターX 安野モヨコ |
吉本 | 9 | さあ、謎が明らかになってきたぞ!!「恋とは神経症の一種である」よくぞ言った!!それを私は待っていた!でも人は恋に落ちざるを得ないのだ!!この「どうにもならなさ」の中に、われわれ人間は生きている。 |
久遠 | |||
地獄のサラミちゃん 朝倉世界一 |
吉本 | 5 | ヘンテコなほのぼの話は必要ない。気軽に読める分人気が出るのは分かる(まわりがまわりだから)のだが、だからこそメッセージ性や一貫したストーリーは不要であるように思う。 |
久遠 | |||
CUTIE BEAST 三原ミツカズ |
吉本 | 6 | うーむ。確かにミツカズげでデスげで悪くはないのだが、もう少し突っ込んだオハナシになるのではないだろうか?「集積回路のヒマワリ」でわれらを震撼させたような。気軽なギャグもいいといえばいいのだが、描ける能力があるのに使わないのはもったいない。 |
久遠 | |||
ラブリー! 桜沢エリカ |
吉本 | 3 | 何も考えずに読める、という点では優れているかもしれない。 |
久遠 | |||
夢の温度 南Q太 |
吉本 | 8 | 描写の方向を変えることによって、一層強い「田舎の閉塞感」を描くことに成功している。件の主人公の恋の行く末さえも予感させる。描写の力たるや実に強い。 |
久遠 | |||
ホモとサピエンス 室田朋美 |
吉本 | 4 | …あまりに微笑ましい作品。少女ラブ漫画としてみると、マ、及第点でしょう。しかしなにぶん鬼気迫る作品の多いこの雑誌では… |
久遠 | |||
ひめきみ いわみえいこ |
吉本 | 3 | もう二枚くらい皮がむける必要がありそうな感じ。もっと自我をさらけ出してもばちはあたるまいて。 |
久遠 | |||
南瓜とマヨネーズ 魚喃キリコ |
吉本 | 8 | 閉塞状況に陥ったときひとは、どうしても簡単な解決を志向してしまうもの。しかしそれが上手くゆくことはきわめてまれである。それを分かっていながらキリコは低い方、低い方へと登場人物を流して行く。その筆に妥協はなし! |
久遠 | |||
夏になれば 彼らは 小野塚カホリ |
吉本 | 6 | 「花粉航海」のテンションに比べるとどうしても低いのは否めないが、何といっても枚数の多さがよい。脂が乗っているうちにどんどん描くという姿勢にはエールを送りたい。 |
久遠 | |||
さよなら子供たち 山田あやこ |
吉本 | 8 | 絵柄に強くキリコ/Q太の影響を感じるが、オハナシは実にパーソナルなもので、読んでいてゾクゾクさせられる。普通なら覆い隠してしまうような「自分の」こころとからだの乖離感覚を覗き見られることが面白いのだ。低年齢のセックスという目を引くシチュエーションではなく、その「秘め事」性が面白い。次はどうなることやら。 |
久遠 | |||
CLOSE CLOTHS 中野サトミ |
吉本 | 5 | 超タイニーな「バカとゴッホ」。向かっているベクトルは同じだがこうも内容が異なるとは。非常に興味深い。ちょっと尻切れのきらいはあるがオハナシとしてはまあまあ。微笑ましくなる作品である。 |
久遠 |
<総評>
吉本 | 相変わらずグッと来る作品とそうでない作品の差が激しい。ただグッとくる作品ばかりだったらお腹いっぱいになりすぎるのも事実。この程度でよいのかもしれない。ただ問題は「ラブマスターX」が終わった後。この作品が強烈に雑誌を引っ張っている構造を見直す必要があるかもしれない。 |
久遠 |
<ベスト>
吉本 | 今後に期待して山田あやこ、としようかとも思ったが、やはり「ラブマスターX」しかあるまい。 |
久遠 |