キューティーコミック99年8月号
バッファロー5人娘 安野モヨコ |
吉本 | 7 | 意外や意外、「ファースター・プシキャット」を思わせる西部劇もの。しかもよりフィクション寄りの、漫画漫画した内容。これじゃ…と一瞬思うが、だが実は女性の自由を訴えかけるジェンダー・スタディ漫画になっている。流石は一筋縄ではいかないといったところか。テンションも高くてよし。 |
久遠 | |||
地獄のサラミちゃん 朝倉世界一 |
吉本 | 5 | サラミちゃんがスマートになってきているのが微笑ましい。人気を反映しているといったところか。ギャグを一人で支えるのは辛かろうに。 |
久遠 | |||
そどむ 小野塚カホリ |
吉本 | 7 | 超箱入りのお嬢様と暗い過去を持っていそうな男の子のボーイ・ミーツ・ガールもの。第一話なので軽く始まっているが、「ニコ・セッズ」のように暗ーくなりそうで期待大。思わせ振りな伏線がそれを裏づけている。 |
久遠 | |||
天使の回廊 藤末さくら |
吉本 | 7 | ちょっとした挫折から人生の意味をまったく失ってしまう女。そしてヤクと男にすがる…。今までの腑抜け作品に比べると、実に作者自身の心の動きが反映されていて「読める」。ただ残念なのは小野塚、キリコ、Q太と一緒の雑誌に載ってしまっている点。もっと絶望的になっちゃうような展開を希望。 |
久遠 | |||
びねつ いわみえいこ |
吉本 | 3 | 想像しただけのオハナシでは、迫力は生じない。 |
久遠 | |||
ラブリー! 桜沢エリカ |
吉本 | 0 | はい。もう完全に「通り越して」しまいました。エグザクソンなんかと同様に。私も気分がふさいだらおしゃれしてすべてを忘れることにします。 |
久遠 | |||
はこにわTALK 下地のりこ |
吉本 | 4 | エッセイ漫画も悪くないが、くだらないギャグ4コマも読みたいところ。 |
久遠 | |||
夢の温度 南Q太 |
吉本 | 9 | 母親に縛られるがゆえに生徒に逃げ道を求める年増の(とはいえ28だが)女教師。その状況にリアリティを与えるのは実に日常に立脚した田舎の風景。おそらくはQちゃんが実際に体験してきたであろう田舎とその息吹。オハナシはフィクションなのであろうが、リアリティがある分非常に深みが増している。それ以前にオハナシそのものが持つ重層性にも着目する必要があるだろう。うーん!うなるしかない! |
久遠 | |||
ホモとサピエンス。 室田朋美 |
吉本 | 5 | 援交を絡めてディープな展開を狙っているようだが、べつにただの馬鹿漫画でいいんじゃないの、と思う。だってディープなものは他にいくらでもあるのだから。この雑誌には。 |
久遠 | |||
りんごミント かわかみじゅんこ |
吉本 | 8 | かわかみにしては普通の漫画。もっとアヴァンギャルドでもいいじゃないか、とも思うが、こうした既存の漫画の文脈に従った漫画でも繊細さを忘れないところが素晴らしい。「少女ケニヤ」も買ったしな! |
久遠 | |||
南瓜とマヨネーズ 魚喃キリコ |
吉本 | 8 | 空白の多いコマの使い方は、そこに日常と異なった時間が流れていることを暗示している。もともとキリコが良く使う方法ではあるが、別れ話というシチュエーションをうまく演出することに成功している。原理上ハッピーエンドがありえないオハナシもじつに良い。上手くまとまった名作になることが期待される。 |
久遠 |
<総評>
吉本 | 大型連載の終了に伴い、パワーダウンするかと思わせたがとんでもない。今月もテンションの高いこと高いこと。やはり有力な作家をそろえたところに勝因がある。本当にこの雑誌は読める。 |
久遠 |
<ベスト>
吉本 | 田舎の美しい情景をやり切れない閉塞感に結びつける力技には唸らざるを得ない。Qちゃんに決まっておろうが。 |
久遠 |