フラミンゴ 2000年4月号

アルコールラムプの銀河鉄道

しろみかずひさ
吉本 随分久しぶりの「アルコールラムプ」の新作。内容は痛く、辛い。ファム・ファタルである茉里香にアンビバレントな態度を取る/取らざるを得ない主人公。そこに圧倒的な絶望が生じ、そして物語が生まれる。そうしたきつい選択を行うしろみの姿に動かされる。たった4ページだが、力強い作品である。
久遠    
母娘

海野やよい
吉本 母娘そろって調教される物語。微笑ましい(?)露出プレイが展開されていてよろしい。人間は可塑性の高い存在で、調教されればどのようなものにでも変化しうるのだが、恐らくマゾに関しては「調教しなくてもマゾになってしまう」人もいるのだろうと思う。やよい先生の作品は常にそれを感じさせるところがよい。
久遠    
puppy Love

海明寺裕
吉本 これにて最終回。今回は「外国の」イヌの話が語られる。K9世界はもはや地球全体を覆っているのだ。それは「ヤプー」のEHS世界と同様、宇宙全体にK9世界が広がりうることを意味する。シェアードワールドにして、海明寺先生のみならず、多くの人がK9世界を描けるようにすると面白いのだが。今回はずっと謎であった、「イヌと性欲」という大問題が解明されている。ムツゴロウさんによると、動物をてなづけるには性的に興奮させることが一番だというが、それと逆の構図がヒトとイヌの間にあるとは。素晴らしい!
久遠    
おとなちゃれんじほっぷん

るもいじゅん
吉本 これも今回で終わり。今回は14歳の男の子がいぢめられます。いやあ、少年受けっていいですなあ。妙にテンションの高いデタラメなノリがギャグとして非常に宜しかったので、ちょっと残念なところ。
久遠    
喫茶室プレッセン

霜方降造
吉本 今回はお菓子の「原料」になる人をリクルートする、というオハナシ。この喫茶店では体液を「シロップ」にするのだ。「コクがあるのにまろやか」な味なんだそうで。特殊ですなあ。絵がもう少し整理されれば、という印象。
久遠    
とんにゃん

白井薫範
吉本 「畜舎」で「牛」として飼われるとんにゃん。基本的構造は『O嬢の物語』なのだが、薫範先生の感じるところはそんなところにはなく、うしぢちであるところが面白いところ。
久遠    
ウハウハ男子寮

山下うり
吉本 これまた特殊。丸々と太ったおばさんが男子寮の人たちの悩みを解決する…というオハナシ。好きなんですな、プランパーが。
久遠    
穴男

町野変丸
吉本 穴に落ちたゆみこちゃんが脱出するためには、穴の側面に「はえている」穴男の精液の圧力が必要、というオハナシ。いつもながらの発想の柔軟さには感服。
久遠    
バージェスの乙女たち

蜈蚣Melibe
吉本 アノマロカリスの力でオーディンを倒すバージェス。これも終末に向けてオハナシを畳みに入っている。それにしても…あの「BURST」って雑誌、何なの?
久遠    
いじめ…て、

みみずしき
吉本 先輩にいじめられ、ついには体育館で浣腸までされてしまう娘さん。単にいじめるだけ、というところに限定しているところが思慮深いといえよう。
久遠    
ザ・検査

鋭利菊
吉本 「ワレメちゃんを」「性器を」「縦筋を」…もう頭が下がります。途中でオハナシを投げ出しているのもまた美しい。
久遠    
おさるさんと私

童門冬児
吉本 息抜きとして機能させようとしているのか。
久遠    
先生と授業中

上藤政樹
吉本 昔懐かしいタイプのエロ漫画。おっとりしたタイプの先生を生徒がさんざんに…というもの。オチが投げやりで、フェミニストからきつく攻撃されそうなものなのが微笑ましい。
久遠    
LOVE

しのざき嶺
吉本 体臭がきつく、おりものも多いOL。その性癖は特殊。食便全開の展開なれど、その背後にあるのは「私を理解してほしい」という切実な気持ち。嶺先生の最近の作品に良く見られるモチーフ。切ない。
久遠    

<総評>

吉本 こちらの方でも休刊がアナウンスされている。いつ休刊かは明示されていないが、休刊は決定した様子。残念なところ。後継誌に期待したい。ただ編集方針が「Bondage&Discipline」からずれまくっていたのも事実。それが良かったわけだが、それはまたついてこれない人を増やすことにもつながったであろう。今後は編集方針を固めるべきであろう。
久遠  

<ベスト>

吉本 しろみ。ほんのわずかのページなれど、強い絶望と悲しみを感じさせるところが凄い。それは恐らくしろみ本人の切なさを反映しているのであろう。私小説的漫画の到達点のひとつといえようか。
久遠  

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Last-Update: Thursday, 13-Nov-2014 09:16:02 JST