フラミンゴ 99年10月号

響破(ひび)

影夢優

吉本 フラミンゴに今まで欠けていたソフトタッチの絵柄。眼鏡&年少者セックスという分かりやすい表象。なのに「望まれない」近親相姦というダークなシチュエーション。フラミンゴのこれからの可能性を示すかもしれない作品。何となれば特殊系だけでは遠からずジリ貧になるに違いないから。
久遠    
Crumpet

しのざき嶺

吉本 とにかく精神的に疲れていることが強力にうかがえる内容。中身もさることながら扉のテンションの低さには恐怖さえ覚える。このあたりの顛末は夏コミ発売のかれの同人誌に詳しいが、ファンとしては心配なところこの上なし。死にゃしないだろうが、作品が「死んで」しまうかもしれないから。先生!あなたの作品を待っている人が少なくともここにいます!元気を出してください!
久遠    
渇望

るもいじゅん

吉本 娘さんを出してくることによって展開がやや煩雑になったような。仕方のないことだが無理矢理なエロの挿入も辛いところ。もう少しオハナシとエロの融合を計るべきでは。ただ、女性にしか味わえない「産みの苦しみ」と「子どもに対する裏腹な感覚」が描かれているのは評価できるところ。ところで…え、これで終わり?
久遠    
puppy love

海明寺裕

吉本 「戦後民主主義」によってイヌの存在は隠蔽されてきた、という描写は、現在の新保守主義的傾向とやや結びつきながらも、結果として作品世界を深めている。ひょっとしたら、我々の住むこの世界でも、戦後民主主義によってイヌは「隠されて」いるのかもしれないのだから。この現実世界とK9世界を重ね合わせることで、海明寺先生は我々の「現実」をも侵犯し始める。ますます脳がゆらぐ展開だ。
久遠    
夏の終わりの身体検査

鋭利菊

吉本 相変わらずトバしてます、鋭利先生。不条理かつ不可解な展開はまさに必然。かれが描こうとするものは、すでに扉で描かれてしまっているのだから。それは何?小学生の全裸、ソックスのみ、ランドセル。扉で全て終わっている漫画というのも珍しい。
もうひとつ、かれが「現実世界」に対して抱いているルサンチマンにも注目する必要がある。かれは積極的・意図的に道徳を破壊しようとする。そこにあるのはゴブリン同様の心の動きだ。屈折してますなぁ。まぁブタ箱に入っていたのだから仕方ないが。
久遠    
精服シリーズ 格闘技ストリート編

1ROO

吉本 この人の場合バックボーンとか精神性とかを語ってもかなり無駄。かれは職人的に自らのフェティッシュを紡ぎ出してゆく。ここではあえて精神性は削ぎ取られているといえる。その姿は実にすがすがしい。
久遠    
楽しい夏休み▽

町野変丸

吉本 快楽天、萬福星、皆同じタイトルやんかー!!!
久遠    
私の罪はアナタノツミ

白井薫範

吉本 今までのPシリーズは、常にPからの視点で語られてきた。しかし今回はPの飼い主からの視点。嗜虐する側が抱く複雑な心理が描かれて実に興味深い。人体改造したPを「死ぬまで飼う」というファンタジイを、どこまで現実に引き寄せて描くのか。期待したいところ。
久遠    
輝ける青春の光

駕籠真太郎

吉本 巨人兵シリーズは終わりで、完全に愛子シリーズですか。多次元宇宙から愛子を呼び出して従軍慰安婦にし、一稼ぎするなんていうシチュエーションはゾクゾクくるではないですか。そして何故か節合されるなにわ的要素。完全に人を喰いまくった展開は素晴らしいの一言。作者があの癖のある顔でニヤニヤしながら描いている様子が目に浮かぶようだ。
久遠    
バージェスの乙女たち

蜈蚣Melibe

吉本 引っ張るねぇ、フェラチオアスカ。と思ったらよもやこういうつながりになるとは。ちゃんと考えていたわけですね、Melibe先生!
久遠    
束縛

海野やよい

吉本 なんでもかんでも「彼が言うから」ですませてしまう女。彼の言うまま女教師にもなってしまう。全てを彼にゆだねていると…というオハナシ。女教師がマゾに墜ちてゆくのではなく、彼がいうから女教師になるという主体性の皆無さがよいではないですか。そのまんま「O嬢の物語」ですなぁ。近代的理性が求められるその分、それに反対・逆行する行為は快楽をもたらす。
久遠    

<総評>

吉本 これまでの停滞を抜け出して、少しづつ変わってきていることが感じられる。新しい「血」を入れることが必要であったことが良く分かる。作品の傾向もこれからは変えていかないと、販売戦略上きついのではなかろうか。これまでの「とにかく濃い」フラミンゴがなくなってしまうのは残念なことではあるが。
久遠  

<ベスト>

吉本 ロリという分かりやすい表象に上手くフラミンゴ味を付け加えることに成功している「響破(ひび)」にしよう。眼鏡っ子基本点もあるしな!
久遠  

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