ガロ 2000年7月号
レヴュ担当 | 吉本松明 |
久遠永遠 |
ねこぢるうどん ねこぢるy |
吉本 | 7 | 山野思想炸裂。天罰とはそもそも理不尽なもの。「やまのかみさま」はそれが正面に出た秀作だったわけだが、この一連のシリーズではそれがさらにパワーアップしている。 |
久遠 | |||
天食 泉昌之 |
吉本 | 8 | 昔懐かしい「夜行」のセルフ・本歌取りといった作品。ミスター本郷がメニューで悩む、というのはいつものネタなのだが、「夜行」の構造をうまく復活させて、実にニヤリとさせる内容になっている。やっぱり面白いや。 |
久遠 | |||
下町の太陽、アイコ十六歳 駕籠真太郎 |
吉本 | 7 | 満を持しての登場?とにかく「ガロ」という場にこれほど似合うとは思えなかった。ネタはいつもの愛子ものながら、「コットン」や「フラミンゴ」のものに比べてヨリ一般的なものになっている。広い読者に訴える秀作。 |
久遠 | |||
身を横たえて 津野裕子 |
吉本 | 9 | …最近の津野裕子は、以前はバックグラウンドとして機能していたセクシャルなアレゴリーを前面に押し出しているので、まったくもって目が離せない。甘がみ、ニンフォマニアという表象、かてて加えてレダの彫像!私をどうしようというのですか? |
久遠 | |||
天国に結ぶ恋 大越孝太郎 |
吉本 | 7 | 関東大震災の結果外界へとさまよい出る虹彦とののこ…ページ数が少なく展開が遅いのが残念だが、独特の暗さと絵の美しさは相変わらず。次に期待。 |
久遠 | |||
悪食女定子 菅野修 |
吉本 | 2 | この人の悪いところは、自らの置かれている状況を自分に即して解釈しているところ。「Jポップの作詞します」だと?よくもまあ臆面もなく! |
久遠 | |||
大阪ダンジョン 川崎ゆきお |
吉本 | 9 | 川崎の危険なところは、作家本人は間違いなく「こっち側」にしっかりと立っているところ。こっち側に立っているために、ぽっかりと口をあけて待っている「向こう側」が魅力的に見えるのである。行ってみたいと思いませんか?大阪城近くにあるという理念上の猟奇王のアジトに。行ってみたいと思いませんか?地下に広がる忍者の隠れ谷に。 |
久遠 | |||
招く猫 やまだ紫 |
吉本 | 7 | 恋は遠い日の花火ではない、ということか。 |
久遠 | |||
ヨーチA QBB |
吉本 | 6 | QBBのもう一方の側の代表といえる作品。一方とは?「幼稚なOTONA」に決まってるじゃないですか。 |
久遠 | |||
ゴーゴーエロス 浅井麻里 |
吉本 | 6 | 巻末4コマで気になっていた作品がマルチページで登場ですか。何がいいかといえば女性の欲望があけすけに描かれていること。精液のにおいで興奮しちゃうあたりがなんだか燃えるっす。 |
久遠 | |||
黄色いライカ 中山蛙 |
吉本 | 5 | 「ガロカメラ」の一部という扱いがなんだか可哀想な気が。でも流石にカメラ漫画としてよくできている。ライカっていいですなあ。名作「ライカ伝」を思い出すので。 |
久遠 | |||
ちゃらいぜ!吉田くん スージー甘金 |
吉本 | 5 | そうですか。 |
久遠 | |||
この街は狂ってる!! 蛭子能収 |
吉本 | 4 | まじめにページは埋めているが、内容はいつものとおり。それはそれで良しといえよう。この雑誌において蛭子は欠かせない存在なのだから。 |
久遠 | |||
産院ミドリゴ キクチヒロノリ |
吉本 | 6 | ネンターイットさまの存在は、作品を破壊する恐れが…。だが最初から「そんなものなかった」と考えると実に心地いいかもしれない。うんこまみれの漫画。 |
久遠 | |||
テロル 三本美治 |
吉本 | 8 | いやあ、暴力くらいで革命ができると考えるのは随分甘い考えですよ。ただそれを叫んでみたくなる人はいるもの。特に自分の存在がわからない人は。元ネタがかなり明らかではあるものの、内容的には興味深いネタ。 |
久遠 | |||
日曜大学校 みぎわパン |
吉本 | 6 | みぎわの夢ものは本当に怖くてイヤです。 |
久遠 | |||
漂流教師 パルコキノシタ |
吉本 | 0 | はぁ?これ以上害毒を撒き散らすのは止めてくれない?結局何が言いたいわけ?教育の問題点をただ挙げるだけだったらその辺のオッサンにだってできる。仮にも教職経験があるなら、もっと地に足のついた議論をすべきじゃないの?大切なのは「何をするか」じゃないの?とにかく何が許せないかというと、自分の教職経験を特権化しているところ。経験があるからといって適当なことを語ることが許されるわけではない。人間としての真摯さを疑うような作品。読者をナメるのもいい加減にしてくれない? |
久遠 | |||
恐怖博士の花嫁 逆柱いみり |
吉本 | 10 | 「若者の世界」がつのだじろう風というのがイヤすぎではないか。そして哀れすぎるカッパ女工たち!イマジネーションの世界はまだまだ大丈夫ということが確認されるようなナイス作品。 |
久遠 | |||
いぬちゃんの20世紀 加藤賢崇 |
吉本 | 6 | 語り口からワスピーター的賢崇先生の人柄が伝わってくるのがよい。 |
久遠 |
<総評>
吉本 | 一部勘違いした作品があるものの、駕籠の登場や泉昌之の健在などでかなり面白く読める。特に駕籠は実に雑誌の雰囲気にマッチしており違和感がない。ガロはこういう才能を発掘する場だったはず。かなり雑誌として整ってきたので、今後は新人登用も頑張ってほしいもの。 |
久遠 |
<ベスト>
吉本 | やはり健在を思い知らされる「天食」にしよう。真面目と不真面目の無理やりなフュージョンこそ泉昌之の面白さなり。 |
久遠 |
Last-Update: Thursday, 13-Nov-2014 09:16:06 JST