快楽天 2000年1月号

ブラッディサンタ

かるま龍狼

吉本   一見ガチンコのエロなのだが、描きたいポイントは男くさいサンタの方にあり。かるまのセクシュアリティの広さを如実に感じさせる。いいわ。6
久遠    
愛してやる

朔ユキ蔵
吉本 女子高生を好きになってしまい、身も心もメロメロになっていく奥さんの話。「なぜ私は出会ってしまったの?」その問いは理性では回答できないものであるために、悲痛な叫びとなって読者を打つ。朔のお得意のパターンではあるが、痛いことには変わりがない。おお汝、永遠を志向するものよ!
久遠    
阿佐谷腐れ酢学園

SABE
吉本 二段構えのオチが静かに読者を笑わせる。出来あがりきった作品世界に酔う。
久遠    
Paranoid

華沢れな
吉本 少々登場人物同士の関係が錯綜してきたようで。だがオハナシはまとまりを見せ始めている。「ニコ・セッズ」(小野塚)と共通するような独占欲がキーになっているというわけか。痛い展開を期待。
久遠    
愛でたいあのコ

神寺千寿
吉本 またも登場。一見わかりやすいロリっ子のようでいて、実は攻めの女の子を描くとは。絵柄だけでも十分勝負できそうなのに(この絵柄でくっだらないオハナシを描いても人気が出そうなのに)、一枚上を行こうとしている。惜しむらくは絵柄とオハナシのバランスがもうひとつといったところか。期待できる作家。
久遠    
スクール

OKAMA
吉本 「畑を耕すみたいにたくさんしたのね」というセリフが衝撃。オトコの悲哀を感じてしまう。所詮オトコは種でしかなく、大地が無ければ花咲くことはない。それは同様に女性にも言えることだが、オトコのひたむきさに比べると、いかに女性はアプリオリに豊穣なことか。OKAMAの最近の作品はそんな哲学的思考へとつながっていくように思う。思うに、この「哲学」は、グイド(マストロヤンニ)が抱いていたものと同様ではないか?
久遠    
UNA NUOVA

伊藤真美
吉本 さすがはモリガン萌えの伊藤先生と言えましょうか。暗闇に巣くうものが修道女の体を借りて現出するというシーケンスには、心の暗黒面を強く揺さぶられる。闇はいいねぇ。
久遠    
天界公路

琴吹かづき
吉本    
久遠    
しくしくどっぴゅん▽

町野変丸
吉本 「いつものヤツ」に比べると、オチが更に人を食っていてよし。
久遠    
THE SPRING GHOST LOVE STORY

森永みるく
吉本 3年前の原稿の再録ですか。昔も今も骨抜きは変わらないのですね。
久遠    
男根平次

加藤礼次郎
吉本 うむ。上手いことまとめてくれました。映画的に盛り上がる「大きなオハナシ」に、それにふさわしい結末をつける。そしてディティールは限りなくくだらない。大人のオシゴトですな。
久遠    

<総評>

吉本 さりげなくレベルの高い作品を集めている。いつもの調子でいるようで、実は一つ一つの作品は読み応えがある。この調子で頑張ってほしいもの。
久遠  

<ベスト>

吉本 朔。かれ(?)の作品全体にいえることであるが、「問いの不可能性」が非常に痛く読者へ突きつけられるところがよい。そう、人間は斯くも非・理性的だ。
久遠  

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