快楽天 2000年10月号
レヴュ担当 | 吉本松明 |
久遠永遠 |
人妻姫 かるま龍狼 |
吉本 | 6 | あいも変わらず際立ってくだらなくってよろしい。くだらなさは愛!くだらなさは喜び! |
久遠 | |||
エヴァーグリーン 米倉けんご |
吉本 | 8 | まず驚かされるのはその絵の上手さ。細やかな表情の描き分けの上手さよ。そしてエロの巧みさ。女性が主導権を握るエロのやらしさよ。加えて多重的なオハナシ。錯綜するラブの形をきちんと描き分けるのだから。エロまんがとしても、そうでないまんがとして見たときも、非常に高いレベルにあるといえよう。ごくごく面白い漫画。次にも期待。 |
久遠 | |||
さよならのポーズ 陽気婢 |
吉本 | 6 | つながりの強かった人と距離をおくのは大変、というオハナシ。陽気婢らしいリリカルな表現がよし。ネーム任せの傾向はいつものことだが。 |
久遠 | |||
阿佐ヶ谷腐れ酢学園 SABE |
吉本 | 7 | 成長しつつある日陰ちゃん。最近は本当にふっきれてきていて、肩の力の抜けたナイス作品を連発しているのがよろしい。 |
久遠 | |||
とおくしづかなうみのいろ 三浦靖冬(靖は旧字体) |
吉本 | 7 | 「お父さん」が作った施設の中で生活する子どもたち。彼らは「ソト」の世界では生きられないと言われている。子どもたちの安定した生活は、年かさの保護者役の二人が隠れてセックスするようになると、少しずつ崩れていく。世界の殻を破壊し、革命しようというメッセージが含まれているところに好感が持てる。そしてトーンの使用を抑え、線で画面を構築していくタイプの描き方もよし。後編に期待。 |
久遠 | |||
ああっ青春オナニスト 綾瀬さとみ |
吉本 | 5 | うーむ。別にエロ要素を無理やり入れる必要はないのでは?オハナシ自体は大馬鹿で好感が持てるのだが、この人の絵柄に、あるいはメンタリティに、モロのエロはなじまないように思えるのだが。YUGの例もあるのだから、「男少女まんが」で攻めるべきだと思うのだが。 |
久遠 | |||
楽しい夏休み2000▽ 町野変丸▽ |
吉本 | 5 | 相変わらず笑わせてくれるので逆にコメントが難しい。 |
久遠 | |||
よりみち 夏蜜柑 |
吉本 | 7 | 夏蜜柑はいい。的確に私のツボをついてくれる。まずは画面や展開から見出すことのできるゆったりとした時間。もちろん空疎に見える部分もあるわけだが、空疎があるからこそ意味を充填することができるわけであって。そして節度あるエロ描写。黒のレースの下着、というところはノーマルなエロとしても通じるのだが、その展開が。派手に汁だらけになって疲れちゃうセックスもいいものだが、乾いた、「からっぽ」を抱えたセックスもまた魂に訴えるものを持っている。 |
久遠 | |||
ガラス 神寺千寿 |
吉本 | 7 | 原理的に別れを含み込んだ関係。それを設定するのはズルくもあるのだが、やりようによっては随分「痛く」もできる。もちろん神寺はそれができるだけのお話を語りえるのであって。 |
久遠 | |||
天界公路 琴吹かづき |
吉本 | 5 | まさにクライマックス。テンポよく連続掲載してほしいものだが。 |
久遠 | |||
炎天下の3連戦 ポヨ=ナマステ |
吉本 | 5 | あー、いいですなあ。最後にこうした脳のネジが外れていくようなまんがってのは。編集の上手さを感じるところ。 |
久遠 |
<総評>
吉本 | 新人を育てようとしているのがよい。しかも二人ともレベルが高い。それも編集方針がしっかりしていることの結果であろう。この調子でハイセンスにやって欲しいもの。 |
久遠 |
<ベスト>
吉本 | 「エヴァーグリーン」は多分永世ベストレベルなので除外。ここは三浦靖冬「とおくしづかなうみのいろ」にしよう。閉鎖された世界を上手く描いていることと、絵柄の静謐さに惹かれる。 |
久遠 |
Last-Update: Thursday, 13-Nov-2014 09:16:08 JST