快楽天 99年8月号
Paranoid 華沢れな |
吉本 | 6 | もちろんマンガなのだから、時間軸や空間軸をごっちゃにすることは容易。ただそこにあるべき「リアリティをいかに崩すか」はなかなか難しいところ。その点現実と幻想の区別をつかなくしているここでの演出はかなり優れている。やや職人芸的ではあるが… |
久遠 | 5 | そうですか。なぜDDRでは最高クラスの難しさなのに、BMではノーマルクラスなのですか?ってそれはパラノイアでんがな。 | |
ゴローダイナマイ! かるま龍狼 |
吉本 | 5 | スターシステムの採用は、キャラクタの組み合わせによる新たな展開を可能にするという点で悪いものではない。しかしここではキャラクタ同士の組み合わせばかりに注意が行ってしまっているように思う。もっとフェティッシュにやんなきゃ。 |
久遠 | 5 | あれ?戦隊モノが出て来るんじゃなかったの? | |
阿佐ヶ谷腐れ酢学園 SABE |
吉本 | 7 | Qちゃんとの別居がばねになっているのか、結構テンションの高い展開になっている。ただ残念なのはサイボーグ美少女が出てこない点。 |
久遠 | 6 | なんでハシラがFLATなんだよ!SABEが描いてるかと思ったじゃないか。 | |
LAD:UNA 伊藤真美 |
吉本 | 6 | ノッてるね、伊藤先生。内から沸き起こってくるエナジーをそのまま画面にぶつけたかのような展開は好もしいところ。ただそのエナジーの温度が高すぎて、イマイチ分かりにくくなっているのも事実。 |
久遠 | 7 | ディーラとかゆう云々ってゆう台詞はわかりづらいですね。ってゆうか、クスリねたは地上波で流せませんよ。 | |
花のドラキュラっ娘 ピロンタン |
吉本 | 5 | ピロンタン=オーツカヒロキ説は私のなかでやや後退したものの、両者のベースになっているものがきわめて共通していることは間違いない。格ゲー的世界認識、である。世界の見方も格ゲー的に加速してゆき、どんな不自然なキャラクタが登場しても別に何ということはない、そうした世界感覚である。その原点に、あるいはもっとも極北にヒコロウがいるというわけだ。 |
久遠 | 5 | ってゆうか、モヨコにゃあって何度言わせるんだヨォ。テメエは同人で戦略用グラップラーでも描いてろヨォ。 | |
気ままでいいじゃん 宇佐美渉 |
吉本 | 5 | 良くも悪くも上手くまとまっている。もう少し派手に壊れても良いのではないか。 |
久遠 | 2 | そうですか。 | |
スクール OKAMA |
吉本 | 7 | 前回の展開でオハナシが収束するかと思ったら、今回はまたも拡大の方向へ。どうなっちょるんじゃ。ただエロさはこの数回格段に向上している。 ここで私はこの作品が「8 1/2」的に終わることを確信せり。いや多分そうなるって。一見無秩序に登場してきたあまたの女性キャラは、最終回のフォークダンス(?)の伏線なのだよ。 |
久遠 | 6 | もう駄目death。広げた風呂敷は破って棄てましょう。 | |
ハジキコマチ 道満清明 |
吉本 | 8 | ドウマンの本当の魅力はナンセンスや不条理劇にあり。きちんと筋道のたったオハナシは誰にだって描ける。しかし筋道のぶっ壊れた作品をバランス良く成立させるのは実はきわめて難しく、天才を必要とする。彼の場合はその天才を持っているし、抽象化された絵柄も不条理劇の成立に大きく寄与している。さっぱりだ! |
久遠 | 7 | いままで一度もヒゲを見ていません。これは許されますか? | |
愛すべき人 ポヨ=ナマステ |
吉本 | 5 | 勢いはさすがに良いですな。ただしオハナシの構造はまだ甘く、線もまだまだ堅いように思う。とにかくどんどん作品を発表すべきであろう。 |
久遠 | 6 | なかなか壊れてますね。オチは読め読めだけど。 | |
C.C.C. 大塚ぽてと |
吉本 | 6 | 駄目ですよ、ぽてと先生。ひとりエッチじゃ馬鹿ばかしさが足りないじゃないですか。今回も水晶玉の精という気が狂ってるとしか思えないキャラクタが登場し、途中まではかなり良かったのであるが、最後でひとりエッチになっちゃうのが残念。 |
久遠 | 8 | ははははは。乾いた笑いが顔を支配するぜ。ってゆうか、最高。 | |
君の愛は僕の罪 EMYeMDMA |
吉本 | 2 | やってくれました。抑圧された(と思い込んでいる)自意識は暴走し、無限に拡大する。そしてそれは完全に読者を「置いてゆく」ことになる。いや、ここではすでに置いてゆくとかゆかないのレベルではなく、かなりヤバい領域にまで達している。もうこの人、二度と漫画を描くことはないのではなかろうか。いや描かなくてもいいが。ともあれこの作品においてみられる狂気のほとばしりはきわめて着目すべき点を持っている。キチキチ! |
久遠 | 7 | ポエットさーん。わーい、ガイキチだー。 |
<総評>
吉本 | はっきり言ってポヨ=ナマステの線はこの雑誌に似合わないから切ったほうがいいって。…ではなく。 最近少しずつ雑誌の傾向が変わってきているように思う。世代交替が始まっているようなのだ。20代後半から30代になろうとしている人々の間から、20代前半、下手をすれば10代の作家が台頭してきている。それはポヨ=ナマステとピロンタンの二人。この傾向はこれからもどんどん広がってゆくのではなかろうか。 |
久遠 | 小振りですねえ。少々パワーダウンか?まあ、来月に期待かなあ。 |
<ベスト>
吉本 | エロさ、という点では「スクール」。ヤバさ、という点では「君の愛は僕の罪」。だがここはやっぱりとび抜けているドウマンセイマン「ハジキコマチ」にしよう。さっぱりだ! |
久遠 | えーっと、俺様ちゃんの知り合いのが載ってる快楽どん。 |
<付記>
しばたたかひろさんの指摘によると、ポヨ=ナマステは20代前半ではないとのこと。ピロンタンも単行本『必殺!!地獄拳法』によると20代後半の様子。また思いこみで文章を書いてしまいお恥ずかしい限り。加えてピロンタンはこの単行本によるとまず間違いなくオーツカヒロキである様子。さっぱりだ!!