快楽天 99年11月号

向こう岸の少年

朔ユキ蔵
吉本 うむ。朔らしい観念的なオハナシ。十分にエロい状況を作り出しておいて、それを必然的に登場人物の「こころの変化」につなげてゆく。下手をすれば簡単に説教臭くなるタイプの作劇方法(夜羽を見よ)だが、そこは微妙なバランス感覚とざっくりした線で切り抜ける。今後が実に期待できる作家だ。
久遠    
妄想つとむ

かるま龍狼
吉本 ぽっちゃり、ちゅうかブーデーの女の子を出してくる、っていうのはいいですな。願わくば妄想のグラマーな女の子とヤっちゃうのではなく、ブーデー女の子が積極的にエロに関わってくると面白かったのだが。この人のセクシュアリティの広さを示すためにも。
久遠    
スクール

OKAMA
吉本 そして結局物語は終わらないわけですね。ところで本格的に青年誌に進出ですか?
久遠    
阿佐谷腐れ酢学園

SABE
吉本 出来上がった世界で繰り広げられるオハナシは、得てして「閉じて」しまいがちだが、この作品の場合は登場するキャラクタに非常に強い「アク」が付与されているので、ずっと面白く読める。そして何よりブルマーに対する強い愛が感じられる。いいですなぁ。
久遠    
カモク・ハカナク

神寺千寿
吉本 こうゆう「手首なし・足首なし」という絵柄が受け入れられるのはいわば必然。とくにこの快楽天では。その一方で比較的骨のあるオハナシを展開するのがよいではないですか。読みづらーい、という大きな欠点はあるが、今後伸びる作家であろう。
久遠    
メア

森永みるく
吉本 早く片づけるべきですな。
久遠    
Paranoid

華沢れな
吉本 着着と計画的に進められる死の描写。なかなか緊張感の高いサイコ・サスペンスものになっているようで。芸の幅が広がっているのは好ましいところ。
久遠    
知らぬは…

板場広し
吉本 板場らしいくだらないオハナシ。そんなに知識のない女はいないってーの!及第点レベルの作品なのだが、どことなくセクシュアリティとの乖離が感じられ、どこかそらぞらしい雰囲気が感じられるのが欠点か。
久遠    
天界公路

琴吹かづき
吉本 宮沢賢治『永訣の朝』ですか。ちょっとした引用ながら実に効果的に響いてくることだ。オハナシ自体もかなり進んできているので注目されるところ。
久遠    
カリスマ気象予報士

ポヨ=ナマステ
吉本 やはり快楽天の雰囲気には合っていないように思えるが、オハナシの展開などはやはり「快楽天イズム」が感じられる。人を喰った展開は面白い。次はエロですな。
久遠    
男根平次

加藤礼次郎
吉本 映画的展開は流石。それを支えている加藤の筆力にも注目する必要がある。そして一方で限りなく盛り上がる女相撲!ニヤニヤしながら原作を書いている中野の姿が目に浮かぶようだ。
久遠    

<総評>

吉本 今回も確実な編集。そこそこ楽しめはする。ただもう少し「抜けた」ところも欲しいように思う。みるく先生、板場などもっと「抜ける」ことのできる作家を抱えているのだから、下手に使わないようにすべきだと思うのだが。
久遠  

<ベスト>

吉本 一見有りがちなぷに絵のようでいて、随分とオハナシがハードな「カモク・ハカナク」にしよう。ここにある異質な要素どうしの節合は実に興味深い。
久遠  

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