OURs LITE 2000年11月号
レヴュ担当 | 吉本松明 |
音羽平八 | |
久遠永遠 |
サニー・ザ・トリッパー おがきちか |
吉本 | 5 | お願いですから、短期集中でもいいですから、連載をしてください!!細切れのイメージを繋げた形式じゃあ訴求力が弱くって。 |
音羽 | |||
久遠 | |||
いばら姫のおやつ 石田敦子 |
吉本 | 10 | たった3回で終わり?と思わなくもないが、だらだら続けるよりはよっぽどいいかも。来月からは新しいシリーズになるとのことだし。内容は非常に痛い。知花がほとんどフリークスとして描かれていること、すなわち構造的に「欠如」を抱えていることが、「その先」を上手く描き出すための上手い伏線になっている。そして本当に癒されることとは何か、ということを、まったくの逃げなしに描いている。その辺の下手な「癒し系」より、どれだけ強く訴えてくることか。アニメーターとしての石田さまにも感服しまくっていたが、漫画においてもこの人は記憶されつづける人になるであろう。 |
音羽 | |||
久遠 | |||
暴流愚
芦田豊雄 |
吉本 | 7.5 | …そして芦田ですか。オハナシは人斬り以蔵と対決する長身・赤毛・碧眼の男・暴流愚というもの。命をかけた斬り合いの一方、実はアウトサイダーとして心を通わせあっている以蔵と暴流愚というオハナシは、実に時代劇的でいいじゃあないですか。そしてまったくアクションシーンに重点を当てた演出と展開。芦田が一面で求めているであろう骨っぽさが存分に現れている。確かに漫画的表現の面ではややぎこちないところがあるが(効果線・集中線など)、全体の構成がそれをカバーしている。ぜひとも次回作が読みたい。ところで高橋良輔とウリふたつというのは本当ですか? |
音羽 | |||
久遠 | |||
恋愛ディストーション 犬上すくね |
吉本 | 7 | まほ先生を問い詰める友達二人、そして描かれる江戸川とまほ先生の関係の深まり…。今回は直接ソレにつながるネタがないので骨抜き度はそれほどではないものの、しっかりと恋愛そのものに着目している点には変わりなし。いい仕事です。加えて男どものノーテンキなこと…なんだか見透かされているようで首筋がもぞもぞしますわ。ネタ出しは大変だろうが、このペースで頑張って欲しいもの。 |
音羽 | |||
久遠 | |||
結びの杜 森見明日 |
吉本 | 5 | これはこれで悪くない、実に森見らしい作品。腑抜け具合(もちろん褒め言葉)も十分だし、オハナシが他愛無いのもマイナスにはならない。ただ雑誌全体としてみたときには、ちょーっと浮き気味かな、という気がする。事実に取材する方向、というのはいかがか。 |
音羽 | |||
久遠 | |||
素敵なラブリーボーイ 伊藤伸平 |
吉本 | 7 | しょっぱなから悪意丸出しで実にいい感じ。何か凄さを感じるのだけれど、どうにもそれを文章にできないのがもどかしい!ひとつ言えるのは、この作品はこの5年間の伊藤の代表作になるであろうということ。女の子の群集劇として成立しているのもミソか。 |
音羽 | |||
久遠 | |||
はす向かいの真琴ちゃん オオシマ/猪原 |
吉本 | 8 | オオシマと猪原の役割分担がどうなっているのかちょっと分からないが、ポップな絵柄と練られたネームに感服。何よりハイエンド系(懐かしい)の絵柄で骨太のオハナシを構成しているのが面白いじゃないの。かつてのハイエンド論争で更科修一郎が敗北した理由は二つあると思う。ひとつは絵柄がその時点での漫画の「スタンダード」から隔絶していたこと。もうひとつはオハナシの深みが足りなかったこと。だが今になって「ハイエンド的」要素をもった絵柄は一般化し、この作品においてはオハナシも(かつての基準からしても)読めるものになっている。ハイエンドはここに来て実質を持った「流れ」になっているのではなかろうか。是非ともこのタッグで次回作をお願いしたいところ。 |
音羽 | |||
久遠 | |||
ひねもすヨメ日記 ひぐちきみこ |
吉本 | 「のんきなカード地獄」に微笑。私も「カード整理収納ファイル」を買おうかな。6 | |
音羽 | |||
久遠 | |||
紺碧の國 水原賢治 |
吉本 | 7 | 本当は強いのだけれども、幼馴染の女の子に強く言われたためにその力を見せない少年・カイ。カイはひどいイジメに逢うが、それに慫慂として従う…。流石は中学生漫画家・水原。中学生らしさをきわめてリリカルに描いている。そしてイジメというテーマに対して逃げなく描いているのが好ましい。派手さはないかも知れないが、じわりと来るタイプの作品。丁寧な仕事。 |
音羽 | |||
久遠 | |||
スナオちゃんとオバケ国 TAGRO |
吉本 | 5 | やりたいことの多さに比べてページ数が足りないような。最近のTAGROによく見られる詰め込みすぎが見られる。ディティールにこだわるのもいいが、シンプルな構成もいいのではなかろうか? |
音羽 | |||
久遠 | |||
あかるい農村 比古地朔弥 |
吉本 | 5 | とても「けだもののように」「神様ゆるして」と同じ作者の作品とは思えない。だがいい感じに肩の力が抜けており、ホノボノした印象があるところは評価したい。一服の清涼剤。 |
音羽 | |||
久遠 | |||
KAZAN 宮尾岳 |
吉本 | 7 | さらに明かされていく謎。少年漫画的盛り上がりは素晴らしい。ただ、アツく盛り上がるタイプの作品がこれしかないのは気になるところ。早いうちにこの手の少年漫画的要素を保った作品を導入すべきではなかろうか。 |
音羽 | |||
久遠 | |||
上を向いて歩こう 神谷ゆうじ |
吉本 | 6 | 4コマ。どことなく「あずまんが大王」に通じる間の取り方があり、楽しめる。先がないことが前提の掲載(代原?)なのがちょっと残念な感じ。 |
音羽 | |||
久遠 | |||
妄想戦士ヤマモト 小野寺浩二 |
吉本 | 8 | 転校生、といった瞬間に半分以上展開がヨメるのが楽しい。「やっぱりそうか」と予想が当たることの楽しさよ。そしてそれを裏切られるのがまた楽しい。世の中には上には上がいるということか!ヤマモト負けてるじゃないか! |
音羽 | |||
久遠 | |||
WAKE UP! どざむら |
吉本 | 5 | 他人とカップルになり付き合うということは、当然譲り合うということ。この作品ではそうした根源的なところにアプローチしようとしているのが面白い。随分と重いテーマを扱うようになったではないか。その点は喜ばしい。ただ、まだまだ「そんなの当たり前じゃん?」という印象が否めないのも確か。もう一押し、という印象。 |
音羽 | |||
久遠 |
<総評>
吉本 | ちょっと保留 |
音羽 | |
久遠 |
<ベスト>
吉本 | 伊藤伸平。自分の文章力のなさを痛感するところ。なんでこんなにいいんだろう。何が隠されているんだろう。 |
音羽 | |
久遠 |
Last-Update: Thursday, 13-Nov-2014 09:16:10 JST