モーニングマグナム増刊11号(99年10月発売)

MAKOTO

郷田マモラ
吉本 漫画4/姿勢2 郷田自身を悪い作家だとは思わない。だがこの雑誌に郷田を持ってくるのは、はっきり言って大きな後退だ。郷田のようなオハナシの傾向性(きちんと予定調和的にまとまる/ハートウォーミング)、そして完成された方法論は、雑誌に安定性をもたらす。しかしそれは一方で、アヴァンギャルド性を放棄することも意味する。連載じゃないだろ、連載じゃ。郷田を載せる以前にもっと載せるべき作家がいるだろう?
久遠    
雪の峠

岩明均
吉本 実はより高いレベルの世代間抗争であった、というオチには感服。よーくまとまっているじゃないか。ところで…上杉謙信は?
久遠    
ネオデビルマン
MK23の女

風忍
吉本 身内からの登場はケン・イシカワに次いで二人目か。ケンとアプローチが全く異なるのが面白い。一時期のスピリチュアリズムは影を潜めているが、背後に脈々と流れている。そしてデビルマンというシチュエーションを使い、うまく「風忍の漫画」を描いている。ま、それが漫画として面白いか面白くないかは別問題なのだが、雰囲気はよい。
久遠    
オスならなんでも!

倉田真由美
吉本 一つづつでも一本の漫画になりそうなネタを二本立てにしているのはやはり贅沢。いやあやはり相手を見つけるのは大変なのDeathね。
久遠    
サトラレ

佐藤マコト
吉本 魅力ある描線。オハナシはちょっと「作りすぎ」の感が強いが、まあSF的によくまとまっている。思念が流れ出してしまい、周りの人々にまるわかりになってしまう存在=サトラレ。簡単にネタになる設定だが、うまくヒネリを加えて読めるオハナシを作り出している。次で真価が分かるでしょう。
久遠    
ちひろ

安田弘之
吉本 …このオハナシ単体としてはつじつまがあっているのだが、今までの「ちひろ」とキャラクタ造形がちょっと異なっているような。もっと世間から距離を持っているキャラじゃなかったっけ?
久遠    
ミキ命!!

清田聡
吉本 すっかりユンボのマサのオハナシになっているようで。下層肉体労働者はどうしたのだ?だが相変わらずネタとしては下層なのが良い。
久遠    
文車来訪記

冬目景
吉本 徐々に明かされるイアンの過去。やはり緊張感が高くて宜しい。碧眼の市松人形という設定が生きること。
久遠    
フローラ

夢野一子
吉本 きれいな描線と幻想的なオハナシ。良くできた短編であるといえましょう。ただ小さくまとまりすぎの印象も。もうちょいどろどろしていてもいいか、と思わせる。
久遠    
バカとゴッホ

加藤伸吉
吉本 やさぐれパワー爆発。ゴッホをデコスケに取られた怒りは我々も共有しているぞ!次の展開が楽しみな作品。
久遠    
そのワケは。

サラ・イイネス
吉本 大阪人のバイタリティには頭が下がります。
久遠    
Lonely aqua Angel

寺西徹記
吉本 トーンを使わない画面構成はそれだけでよし。もの凄く時間がかかっていそうな丁寧な画面には頭が下がる。オハナシがちと弱い感があるが、絵のアドバンテージは強い。次回作に期待。
久遠    
ダブルブッキング

妹尾朝子
吉本 実体験に基づいているであろうオハナシは良いのだが、絵がね。山本貴嗣が怒り狂いそうな構図じゃないDeathか?下手に夢を見せない方が…話田家…。
久遠    
お母さんといっそ

松田洋子
吉本 …あれ?「Paint it Blue」じゃなかったっけ?どっちでもいいことだが。内容的には例の「イヤーな感じ」がビビドに現れていて良し。
久遠    
派犬社員ケンイチ

タイム涼介
吉本 そうすか。
久遠    
雨太

正木秀尚
吉本 雨の中でセックスする二人の姿は非常に美しい。気取りすぎの画風がうまくリリカルに昇華されている。照れずに徹底的にやって欲しいもの。
久遠    
さいぱら

田中たけひこ
吉本 何ともいえずコミティア的作品。ティア作家だったっけ?絵柄の独特な癖が宜しい。ネタはもうちょっと、という感じではあるが、連続掲載で伸びよう。
久遠    
社宅の人

山本深雪
吉本 最初から志が限りなく低いのに加えて、ネタそのものもヤな意味でドメスチック。竹書房に行け、竹書房に。
久遠    

<総評>

吉本 やはり前衛的路線は長続きしなかったようで。「アワーズ」との差別化を図るという意味で、ティア的な要素から脱却する必要があるのは分かるのだが、脱却の仕方がこうもつまらないとは。編集が出ていった、ってのは案外本当だったかも。
久遠  

<ベスト>

吉本 漫画的「引き」が心地よい「バカとゴッホ」にしよう。デコスケ!
久遠  

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