ヤングキングアワーズ99年１月号

ヤングキングアワーズ99年1月号

小さな恋の戸惑い影崎由那	吉本	7	可愛い絵を描きながらうまく落とす。前回のようなダークな話も描ければ今回のようなお馬鹿な話も描ける。多彩で実力のある人だ。面白い。
	久遠	5	いままでどこぞで見たことのある人だと思ってきたが、そうか、Ｍａｙｂｅで原画描いてた人かあ。
	音羽	7	オチが良いよな～。やっぱり、人生、焦ってもしょうがないよな～。マイペースが一番だね♪
HELLSING 平野耕太	吉本	8	だからよォ、面白いんだからよォ、描けよ。忘れられないうちに。＊
	久遠	9	うおー、かっこいいぜ、アーカード。こーいう変身は初めて見るなあ。この分アンデルセン神父もパワーアップするんだろうなあ。
	音羽	7	何で銃で撃ち合うんだろ・・・アーカードとかのスピードだと剣で切った方がダメージが大きいんじゃないかな～。
Kazan 宮尾岳	吉本	6	懐かしい少年漫画の息吹をいまに伝える。徳間の遺産ここにあり。
	久遠	6	いままでこいつをエルシィだと思ってました。まあ、そう言うこともあるよね。
	音羽	6	棒術でも人を傷つけるような気もするが・・・
コミックマスターJ 田畑由秋／余湖裕輝	吉本	8	この作品が強烈な光を放っているのは、漫画を媒体とした人間同士のエゴのぶつかり合いがあるからであろう。カリカチュアライズされてはいるものの、そこには強いリアリティがあり、共感を生む。今回は「燃えペン」をやや思い出す内容だが、ラストの展開が泣ける。
	久遠	8	うむ。確実に「燃えよペン」に肩を並べたね。そう、これから清田先生は言ったはずだ。「時間が人を支配するのではない。人が時間を支配するのだ。」と。
	音羽	7	あのまま清田がこなかったらＪが描いてたのかな？
だいらんどがぁさん	吉本	9	本格的に骨太なテーマが見えてきた一方、ふぬけの極みにある描線はさらに磨きがかかっている。ピンポンパン？悪夢的な表現と力強いテーマの統合はえもいわれぬ味を持ち、読み手をうつ。実はここにも漫画の極北がある。
	久遠	8	突き抜けましたね。今まではこれといった味を持っていなかったのが、この「だいらんど」にて大爆発だね。やはり、ホラーに才能があるよ。
	音羽	5	なるほどね。全部で６の国があるわけだな。
ブルヴァール日生かおる	吉本	0	…その展開はないんでないの。ただ、別の視点から見ると、こうした「御都合のカタマリ」を作り出してしまう「こころのありさま」は興味深い。だからこの点数は単なる「１の下」を示すわけではない。
	久遠	5	そーですかー。はいー。ぜんぜんー、はなしがー、みえませんー。熱心に読んでいなかったからかね。
	音羽	3	なんだか訳が分からなくなってるな～。もうちょっとすっきりとまとめて欲しいな～。
夜の燈火と日向のにおい鬼魔あづさ	吉本	5	思えば現在エロ漫画世界に広まっている「抽象化の動き」は、この人から本格化したのかも知れない。オハナシは他愛無いのひとことだが、その描線の背後には「なにか」が潜んでいる。
	久遠	6	・・・ジェンダーの問題ですか？まあ、今は手術とかもできるし・・。
	音羽	8	なんかいいな～。絵がさわやかだからサラっと読めるけど、現実に置き換えて考えると恐ろしい環境だな・・・
トライガン・マキシマム内藤泰弘	吉本	8.5	うーん！思わずうなってしまう描写。おちゃらけに逃げるときがあるように見受けられるが、やはりこの人は内面に熱いソウルと悲しみの心、そして理性に還元できない「深淵」を持っている。強い作品だ。
	久遠	8	演出がうまいなあ。ところでウルフウッドは男塾で言うところの富樫か虎丸ですか？
	音羽	6	心理的な描写が良い感じなのだが、やや解りづらいな～。もっと客観的で状況がわかる絵を上手いことはさんでほしいな～。
ジオブリーダーズ伊藤明弘	吉本	7	相変わらずの畳みかけるような描写。ピンチの連続。カンプピストル。わかっていらっしゃる。
	久遠	8	最高ＤＥＡＴＨ。入江。かっこいー。この話は完全に入江の話だねえ。
	音羽	8	センサーってのは非常にデリケートだから十分注意を払うのにな～。厳重にプロテクトかけるものじゃないかな～。それと、ＤＡＸ－１ってリミッターが無いのか？停電起こす前に線が焼き切れたりしないのかな～。
うさぎちゃんで Cue! 佐野タカシ	吉本	5	ストーリーの展開上仕方ないことではあるが、やはり骨抜き度が足りない！足りない！シリアス展開反対（涙）！！
	久遠	7	佐野タカシ先生の年賀状が、このうさぎちゃんでＣｕｅでなかったら、俺様ちゃんは暴れます。いやむしろ、暴れさせて。
	音羽	6	美守が覚醒しても耳は無くならないのね・・・
みやなのどんぐ－蒼－大石まさる	吉本	9.5	前回に比べ線が格段に繊細になっている。そして田舎の生活を一方で冷静に受け止めながらも、もう一方でそこにある現代的な「希望」を描いたオハナシ。錬成のされかたにはまさにおそるべきものがある。後半の展開がやや駆け足なのが残念だが、きわめて完成された作品である。
	久遠	7	緑が大事なのもわかります。でもある意味、スキー場も大事です。潰していいスキー場は加山雄三スキー場ぐらいです。
	音羽	8	ほのぼのしてていいな～。田舎って休暇に行くには良いけど住むとなるといろいろと大変だろうな～。
シード・マン樹るう	吉本	7	絵柄にやや洗練されていないところが見受けられるが、オハナシは徹底して馬鹿志向で実に実に好もしい。いや、馬鹿を引き受けるのは大変なのだ。この人は力強く馬鹿を引き受けている。頼もしい作品だ。この調子でもう一本！
	久遠	6	食用サクランボの木って、普通の桜の木とちがうんじゃなかったけ？まあ、バカだから、良しとしよう。
	音羽	7	ここまでくだらないと笑えるよな～。
Little Friend 竿尾悟	吉本	6.5	線をもう少し鍛錬する必要があるように見受けられるが、絵にある独特の癖は今後伸びることを窺わせる。オハナシが大石とかぶってしまったのが残念。成長の期待大。
	久遠	6	うーん、新人故にどこかで見たことのある絵というのは仕方がないことなのかもしれん。まあ、お話的には及第点を与えられるし、これからが楽しみではある。ところでこの女の子の声は林原めぐみですか？
	音羽	7	なかなか良い感じの世界観だな～。読み切りじゃなくて連載にならないかな～。
コスプレ刑事きもと稲葉	吉本	3	何たることか。典型的アニメ絵はもう古くなってしまっている。オハナシもテンションの高いアワーズでは辛すぎる。
	久遠	4	はあ、さいざんすか。はあ、まあ、代原だしねえ。
	音羽	5	コスプレしておとり捜査っていかにも点数稼ぎって感じだよな～。犯罪の予防より検挙率を上げてるわけだからな～。そういった意味では非現実的な設定だがどことなく警察らしさが出てるかもな～。

＜総評＞

吉本	「抜けた」作品はまさに水際立った出来。感嘆するばかりだ。同じように優れた作品が多く載っている快楽天と比べても「抜けかた」が際立って見える。それはおそらく点数の低い作品がよい引き立て役になっているからだろう。平均点以上を満遍無くそろえる快楽天の弱点はここに明らかになる。馬鹿なオハナシに積極的に取り組んでいるのも見逃せないところだ。メリハリがあるのだ。
久遠	今月はいいとこついてるんだけど、物足りない。六道も、やまむらも無いのなんてロードのいないパーティーみたいなものだ。（ＷＩＺ）
音羽	どうせなら表紙だけじゃなくポスターもＨＥＬＬＳＩＮＧにして欲しかったな～。

＜ベスト＞

吉本	大石も捨て難いのだが、ここはやはり「節合」の妙味あふれた「だいらんど」にしよう。じつはビルドゥングス・ロマンになっているところがミソだ。
久遠	そりゃあ、ヘルシングでしょう。でも、アーカードが格好いいのは当然なので今回の一番は、眼鏡さん達でしょう。
音羽	今後に期待する意味も込めて「Ｌｉｔｔｌｅ　Ｆｒｉｅｎｄ」にしよかな。

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＊素晴らしい漫画家の条件は二つある。ひとつは良い作品を描くこと。もうひとつは量産すること。良い漫画を描けても量産できない奴は、結局印象は薄くなってしまう。手塚や石ノ森、藤子といった大御所はみな信じられない量の作品を残してきた。だからこそいまでも語り継がれ、感動を呼ぶのだ。いまの作家でも仕事量が多い人ほど、心に残るような仕事をしている。冬目景先生を筆頭に、唐沢なをき、長野のりこ、しりあがり寿、天竺浪人などなど。逆の例は枚挙に暇がないが、鶴謙や大友克洋、江口寿史などが典型か。無論数を描く人がイコール良い漫画家であるわけではないが、数撃ちゃ当たるのとおり、よい作品を描く可能性は広がる。本宮ひろしを参照せよ。