ヤングキングアワーズ99年6月号
さくらのうみ 大石まさる |
吉本 | 7 | やや大石がもつペンによる線の美しさがスポイルされているようにも思うが、こうした味のある線というのも悪くはない。ただぶつ切り感が強いので、もう少し尺を長めにとった作品が読みたい。短編よりもややまとまった(16ページ程度?)オハナシのほうがよいと思う。 |
久遠 | 7 | 何故にカラーなんのに鉛筆なんだあっ.。まあ新たな試みではあるね。 | |
音羽 | 6 | 桜の花びらが舞っている場面が凄く印象的で良いね〜。急に桜の木々が現れた感じが良い感じで表現されてるね。 | |
ジオブリーダーズ 伊藤明弘 |
吉本 | 7 | うむ。相変わらず女性観が間違いまくっていてよい。ただこの間違い方は「エグザクソン」とは違い、フェミニストからの批判を受けにくいであろう。オハナシが少しづつ明らかになってきているのも面白い。ついには核か。 |
久遠 | 7 | 男屋か・・・。こんなの描かれちゃあ、もう絶対ジオブリのエロパロをやろうたあ思わないだろうねえ、山秋、平耕。 | |
音羽 | 8 | 相変わらず、エピソードの出だしはいきなりアクションから入るね〜。おかげで、話を把握するのにやや手間取るが、小気味よいアクションのおかげもあって、ストーリーの中に自然と引き込まれていくな〜。入江の行動もどんどん怪しくなってくし、ますます眼がはなせないな。 | |
エクセルサーガ 六道神士 |
吉本 | 7 | 一見スジに関係ないようなキャラクタを出しておいて、実は大きく関わってくるという手法は悪くないと思う。「ことば通りに曲解する」というネタはけっこう面白いので、今後も使ってくるのではなかろうか。 |
久遠 | 7 | 何故だろう、このごろエクセルにかつてのパワーが感じられない。もっとインテリやくざっぽくなくっちゃ。 | |
音羽 | 7 | 出だしから、思わず爆笑してしまった。新キャラもいい味だしてるね〜。各キャラの個性もしっかりと描き分けられているし、ますます良い感じになってきたな。それにしても、骨格は反則だと思うぞ・・・ | |
コミックマスターJ 田畑/余湖 |
吉本 | 9 | …はは、ぷはははは。「ダイオージャ」のエピソードを思い出す。映画しか産業のない星の映画はそのリアリズムから大ヒットを博していた。何故ならエキストラが死ぬシーンでは「本当に」エキストラを殺していたから…というものだ。今回は漫画の文脈から離れ、オハナシがカリカチュアライズされすぎているきらいがあるが、アツさは相当なもの。「リアリズムの追及」はときに滑稽だ。そしてリアリティが成立しづらいところでリアリティを追及するという転倒した姿勢がさらに面白さを加える。 |
久遠 | 10 | 何か語ることがあろうか?語れようか。この美しい漫画に。 | |
音羽 | 5 | 凄まじい屋敷だな・・・美しいというより、悪趣味にしか見えないような気もするが・・・ | |
妖の寄る家 宇河弘樹 |
吉本 | 6 | 一見すると「文車館来訪記」に似ているように思われるが、宇河らしいそこはかとないへっぽこ感が良く出ている。新谷明弘を倍くらい洗練させたが、アクが抜けきってない感じといえようか。 |
久遠 | 7 | ・・・市松人形だったら、あなたを殺していたでしょう。よかったね、猫と下駄で。 | |
音羽 | 7 | 良い感じだね〜。ところで、こまのしっぽって何処からでてるんだろ・・・ | |
こねこしょったこ 大石まさる |
吉本 | 8 | 「スネコタンパコ」? うむ。大石がもっている少女信仰はやはり本物であった。あからさまに少女への帰依を示すことは、えてして薄っぺらな作品を導きがちであるが、大石の場合は少女信仰にテレがないので爽やかな作品が成立する。このサイズの作品を是非とも量産して欲しいものである。 |
久遠 | 6 | これを映画化したら、一体何匹の罪のない可愛い仔猫ちゃんが川の藻屑に消えるのだろうか。 | |
音羽 | 3 | う〜ん・・・なんだかな〜・・・パッとしないな〜。日常と非日常の組み合わせが上手くいってないのかもな〜。 | |
うさぎちゃんでCue! 佐野タカシ |
吉本 | 7 | 最近は「Aika」のようにパンモロ傾向が強いのが気になる。パンは常にチラでなければならぬ。常に見えるようでは有難味が薄れるではないか。ただ、徹底してお馬鹿をやろうといういつもの姿勢はよいよい。 |
久遠 | 6 | っつーかいっつもパンモロ?とほほ。 | |
音羽 | 7 | 相変わらず、読者サービスに精をだしてるね〜。ありがちな、シリアスバトルの連続、みたいな展開にならずに、このまま、のんびりサービス路線でいって欲しいね。 | |
トライガン・マキシマム 内藤泰弘 |
吉本 | 8 | 常に悲しみを背負ったヴァッシュの描写にはぶれがなく、力がある。一瞬挿入される回想は上質の映画がもたらす感動のように美しく、素晴らしい。 |
久遠 | 8 | っそっかー、テレビ版ではあかされなかったプリンセスメーカーの会社はこーゆーオチがついていた訳か。うむ。 | |
音羽 | 7 | シリアスな、良い展開のあとに、ギャグでちょっと一息・・・良いね〜。 | |
ブルヴァール 日生かおる |
吉本 | 0!! | やっぱりやってくれたよ。車に「パトリックさん」と名前をつけて「デートする」(ちゅうかただ乗るだけ)という感性。車を「この子おなかが減っている」(ちゅうかガス欠)と表現させてしまう感性。あまりにも、あまりにも「真っ白」である。それが女性的感覚?絶対に違う。現実との連関をもたず、根拠なき幻想に依拠したくなる気持ちは分からなくもないが、それに無批判に「乗って」しまうことは、創作者としてきわめて怠慢である。この手の表現は*有害*でさえあるので(リアルからの遊離を再生産する)、非常に苛立たしい。 |
久遠 | 4 | 夜の運転は、対向車がよくわかる反面、道がよく見えなくて精神が摩耗しました。 | |
音羽 | 3 | だから何だというのだ・・・とりあえず、次のエピソードのためのつなぎか?もう少し、読めるストーリーや構成を考えて欲しい物だ・・・ | |
KAZAN 宮尾岳 |
吉本 | 5 | わかってはいたことだがあんまり安易に仲間にしちゃいかんだろ。ただ、少年漫画としてはきわめて盛り上がってきている。次が楽しみ。 |
久遠 | 5 | なんだよ、やっぱり仲間になってんじゃねーか。って18才だったのか。100才くらいかと思ってた。 | |
音羽 | 2 | ご都合主義で仲間が増えたか・・・寄り道を増やさずに、もっとすんなりと話を進めて欲しいのだが・・・月刊誌なんだし・・・ | |
Silent Kitchen 犬上すくね |
吉本 | 7 | くだらないといえばくだらないのだが、地に足のついた等身大のラブが描かれていて心地好い。やや骨抜き入っているか。 |
久遠 | 6 | 何故にコミティアに来ないのDEATHか?うるるー。 | |
音羽 | 5 | アホらし・・・でも、なんとなくほのぼのしてて良いね〜。 | |
だいらんど がぁさん |
吉本 | 8 | クライマックスに近づくにつれてオハナシはより深く、根源的になってゆく。がぁさんの着地点やいかに。 |
久遠 | 7 | ここまで名作になるとは・・・。初めあまり目をかけていなかった自分が情けないぜ。 | |
音羽 | 7 | いよいよ夜の国か〜。いったい、どんな結末が待ってるのか楽しみだな!!まさか、この後、さらに別の世界に飛ばされて・・・とかって展開はないよな? | |
泣かせ屋繁盛記 樹るう |
吉本 | 5 | 社会的に感じる怒りは分かるが、無差別に復讐する、というのはよろしくないように思う。ラストでやや救われてはいるが。作品そのものはちょっと漫画寄りにすぎるように思う。 |
久遠 | 4 | 黄色信号は、「アクセルを踏め」だろっ、当然。 | |
音羽 | 4 | アホだ・・・とことんアホだ・・・ | |
LOAN WOLF 山田秋太郎 |
吉本 | 6 | 借金があれば取り立て人がいるのは当然。それを上手く漫画的に描いている。取り立て人の人件費のほうが取り立て額よりかかるのでは?という突っ込みはなし! |
久遠 | 6 | きちんと毎号載っているのに、未だに連載という実感がわきません。相棒が不定期だと苦労するね。 | |
音羽 | 7 | モリから借金を取り立てるんだったら、強制労働でもさせた方が早そうだよな・・・ | |
夜の燈火と日向のにおい 鬼魔あづさ |
吉本 | 5 | 今月もふんわりふわふわ。何も起こらず何も終わらず。それはそれでよし。 |
久遠 | - | 公園で遊んだ直後から腕が痛くなりました。もう年DEATHか? | |
音羽 | 5 | どうせなら扉はもっとサービスしてほしかったな〜。内容は・・・ま、いいか・・・ |
<総評>
吉本 | 連載陣の調子がいいので非常に良質に感じる。加えて大石の2作掲載、宇河の短編など、ちょっと気を引くナイスな作品もある。この調子この調子。 |
久遠 | うわーい来月はやまむらが載るんだー。エンブリオンなんか描いてないで、もっとこっちを描けよなあ。 |
音羽 | 良いね〜。活気があるね〜。これで、休載癖の付いてる某作者をなんとかすればさらに活気づくはずなのだが・・・。それと、できればスペオペものの新連載でも欲しいところだな。 |
<ベスト>
吉本 | カットバックの美しさに息を呑んだ「トライガン・マキシマム」にするべし。単なるオタク的文脈を軽々乗り越えるこの力。 |
久遠 | コミックマスターJを選ばない人の気が知れません。 |
音羽 | 派手に笑わせてくれた、「エクセルサーガ」にしようかな。 |