2000年5月29日(月)
…全然治りません。寝てないせいもあるのですが。タイトルのみでカンベンしてください。肺がひゅーひゅー言ってますよ!?
彼女とデート | 有川祐 | エンターブレイン | <漫画・単行本> | 620円 |
激しくて変 | V.A. | 光彩書房 | <漫画・アンソロ> | 876円 |
登場作家は、町田ひらく、ゼロの者、亜宮美亜、玉置勉強、MASAAKI、早見純(!)、町野変丸、遠藤りさを、司人形、危険思想。編集人は多田在良。とりあえず買っとけ、という感じ。
少女少年V | やぶうち優 | 小学館 | <漫画・単行本> | 486円 |
この瞬間からやぶうち先生は「少女主義の神」になることが決定しました。
君の声がする | 生嶋美弥 | 芳文社 | <漫画・単行本> | 562円 |
「花音」はいいねぇ…ってことで。
プチフラワー 7月号 | 小学館 | <漫画・雑誌> | 467円 |
赤石路代…。
田宮模型の仕事 | 田宮俊作 | 文芸春秋・文春文庫 | <文庫> | 524円 |
面白いです。ドキドキします。優れた本です。
2000年5月25日(木)
…うー。体調悪いです。でも寝てる時間がないです。泣き言は言いたくないのですがちょっとだけ、言い訳させてくださいね。
ウェンディ | 松元次郎 | 太田出版 | <漫画・単行本> | 1400円 |
現世に絶望する少女愛実。そんな彼女の前に夜な夜な現れる怪しい男。かれはピーターと名乗り、一緒に「ネバーランド」に行こうと誘う。一度はかれを拒絶する愛実だが、再び襲う辛い経験に、自らネバーランドに行くことを選択する。そこは欲望がすべての世界。人間の純化された欲望の…。圧倒的な情報量の多さとスピード感。独特の癖のある人物の描き方。ちょっと甘口なれど納得のオハナシ。頭が下がる作品です。モーニング連載時から注目していたので、待望の発売といえましょう。表紙だけでなく、是非中身を読んで買ってほしいと思います。
メザスヒカリノサキニアルモノ若しくはパラダイス | 松本大洋 | フリースタイル | <戯曲> | 1500円 |
劇団「黒テント」のために書かれた戯曲です。なんてったって松本大洋ですよ、タイヨウ!漫画じゃないと文句を付ける人もいるかも知れませんが、じーっくり読んでみてください。できれば何もない部屋で、なんの音もない部屋で。見えてきませんか?気障な椿が、生活に追われる梅田が、突然眠りに落ちる桜井が、鉄砲を放つ菊池が。そしてこの作品の中核をなし、松本大洋作品のなかで常に特権的な地位を与えられる「聖なる存在」、フーちゃんの存在が見えてきませんか?そう、この作品は漫画という体裁は取っていませんが、あくまで松本大洋らしい作品なのです。見ているところ、描こうとしているところに変わりはありません。そして対象に対する暖かい視線も。漫画が読みてえ!という気分も高まりますが、これはこれで心に染みる作品だと思います。ファンならずとも是非。
マガジンZ 7月号 | 講談社 | <漫画・雑誌> | 円 | |
コミックガム 7月号 | ワニマガジン社 | <漫画・雑誌> | 円 | |
アフタヌーン 7月号 | 講談社 | <漫画・雑誌> | 円 | |
少年エースA 7月号 | 角川書店 | <漫画・雑誌> | 円 |
ちょっとカンベンしてください…
ホビージャパン 7月号 | ホビージャパン | <立体・雑誌> | 円 |
特集は「SDガンダム」。無理にガンダムにしなくても、と思うのですが。吃驚するニュースがいくつか。次のMGはサザビーですか!しかも値段は8000円!そしてアオシマから「リヴァイアス」のプラモが出るんですか?しかもヴァイア艦全部?正気の沙汰とは思えませんが、全部買いますとも!
2000年5月24日(水)
ネオンテトラ | かわかみじゅんこ | 飛鳥新社 | <漫画・単行本> | 981円 |
予告はされていたもののちょっと遅れていた本です。どこからこれだけの原稿を…?と思ったら、「少女革命」や「エルティーンコミック」の初期に描いたものなどが中心になってます。いやあ、やっぱり多才な人だ、と感心するところです。『ワレワレハ』シリーズに連なる「ブルガリア」。オーツカヒロキを思わせるオカマと友だちの女を描いた「息もふれあうぐらいにね!!」。エロ寄りの諸作品。そして「ヤングロゼ」に掲載された骨のある中編。掲載作品の収録時期が95年から、とちょっと古いので、絵柄的にはおとなしさを感じますが、オハナシは深いです。一見ギャグ風の作品でも、ちょっと違ったところから攻める。そのヒネリが面白いと思います。
ひまあり | 上野顕太郎 | 講談社 | <漫画・単行本> | 円 |
「…ヒマだからな!」ってのは今では懐かしいような。「固い言葉」のネタには大笑いです。いちばん固そうな俳優?アーネスト・ボーグナインに決まってるじゃないですか、と思ったら案の定出てきたので一本取られたね、という感じです。
愛ラブSHOCK!! | オーツカヒロキ | 宝島社 | <漫画・単行本> | 686円 |
「これが初の単行本です」って、先生!先生には『必殺!地獄拳法』という素晴らしい単行本があるじゃあないですか。ともあれ。ニューハーフ(テンション高い)のマオにつきまとわれるカイジ、ってのを基本に、前半はハイスピードなギャグを、後半はマオの夢を描くのが中心になってます。可愛く描かれるマオ(サオ付き)がすべてをぶっ飛ばしていく前半のドライブ感はもの凄いものがあります。後半ちょっと説教臭くなってしまうのが残念ですが、テンションの高さには変わりなし。昨今載らぬ時がない、というのも頷けるところなり。ちなみに「キューティーコミック」にはじめて載った作品「Panic Kids」も載っており、オーツカという作家がいかにして女性向けの語り口を獲得していったのかわかるようになってます。大事にしてますなあ。
キューティーコミック 7月号 | 宝島社 | <漫画・雑誌> | 476円 |
硫黄!硫黄!黒田硫黄警報発令!ファンは見逃してはなりませんよ。今回の「最近どうよ?」は黒田硫黄。内容は吃驚するようなものです。好きな人は即座に買って読め、ちゅう感じでしょうか。そして次はうえけん?キューティーコミックにうえけんですか?どうなっているんですか?????
ところで。内容的には少しづつ変化してきていっているように思います。連載作品の移動など、いろんな面で不穏な噂を聞かなくもないのですが、私は結構いい方向に進んでいるんじゃないか、と思っています。以前のCCではあまり目立たなかった存在を上手くアクセントに使い、雑誌全体としては面白いものになっていると思いますから。モヨコ、カホリはなにを書く必要があろうか、というくらい安定して読ませてくれますし、栗生つぶら、橋本ライカはきちんと自分の世界を構築してます。男の子が超童顔女顔かわいい超年上の男先生にホレる、というオーツカヒロキも面白いですし、正面からのホモネタをぶつけてくる大久保ニューも楽しめます。かわかみじゅんこは「ワレワレハ」に出てきた歯医者のたまこ先生を描いた作品で、作品世界をぐいぐいと広げていこうとする試みは凄いと思います。特に気になったのがいわみえいこと羽海野チカ。いわみはやっぱりストーリーテリングがたどたどしいのですが、何処か引っかかる例の味。深みがないようであるような感覚は注目すべきだと言えましょう。羽海野の「ハチミツとクローバー」は、先月の第一話からかなりテンションが高かったのですが、「ちっちゃい女の子」を全面に出すことによって(そしてみんな彼女にホレるわけだ!)オハナシが錯綜していく。面白いじゃあないですか。次もこの調子でお願いしますわい。
2000年5月21日(日)
ジンバルロック | 古泉智浩 | 青林工藝社 | <漫画・単行本> | 1000円 |
舞台は田舎のレベルの低い田んぼの真ん中の高校。主人公は左官屋の次男。大学に行くことを目指すわけでもなく、部活に熱中するわけでもなく、ゲーセンでカツアゲされたり、セックスだけを目当てにブス女とつき合ってみたり。とにかくしょうもない田舎の高校生の「青春」が描かれています。「オレ達が剣道をやっているのは ただなんとなくだ」。テナ訳で、この作品は少年漫画的な盛り上がりとかドラマトゥルギーといったものとは完全に一線を画した漫画になっています。ですが、決してそれはこの漫画がつまらないことを意味するわけではありません。日常的なしょうもなさに徹底的に依拠しているために、この作品は強いリアリティと共感を生みます。そして、登場するキャラクタたちがいちいち「その辺にいそうな」存在であるために、かえって強いファンタジイ性が生まれているのです。酒に酔っぱらって宇宙人を見る主人公の親父。強い追い風のなかで自転車を走らせる主人公達。彼らは「田舎」という社会構造の中にしっかりととらわれて、一生を終えることが決定しています。ですがそうであるからこそ、彼らの抱くファンタジイが、切なく読者の胸をうつのです。この作品の構造と面白さは高野文子『黄色い本』に通じるものがあります。舞台が同じ新潟県下越地方である、ということもありますし。ちなみに「ジンバルロック」とは、無重量状態において宇宙船などが制御不能になる状態、転じて3Dソフトで関節の動きが制御不能になる状態のことを指すようです。
へろみの夏休み | キクチヒロノリ | 青林堂 | <漫画・単行本> | 980円 |
「アックス」に掲載された『クルクルキーキー』を中心としていますが、他は長戸ガロの掲載作品やその他のイラスト仕事などを集めたもので、ヒッジョーに雑多な印象を受けます。もはやなにが描いてあるかすらわからない状態なのですね。幻であった『新世紀アダム好キーUFOげだつマン』の第一話(日系どんちゃんと改名・最高)、これは懐かしい手塚ガロでのデビュー作などが載ってはいたりするのですが。で、もちろん、それがいいんです。脳と手が直結したような「キクチ・マンダラ」。論理性とか漫画らしさとかはどうでもいいんです。
フルーツMIX | 後藤羽矢子 | 竹書房 | <漫画・単行本> | 562円 |
以前から気になっていた人の新作です。少女漫画の文法と「美少女漫画」の文法が上手く結合した、というんでしょうか、大きな目を軸にした少女漫画的な顔の描き方と、美少女漫画的なエロ描写が一緒になっているところがソソルのですね。ちょっと引いてみると変に感じるところもあるのですが、今はこういった描写の方が普通なのだと思います。やわらかい描線、という点では共通してますし。タマラン!特にお気に入りなのは巻頭の「センタクイタ」。みにちちの女の子が「洗濯板」と言われ、彼氏との初エッチにとまどいを見せるというオハナシなのですが、これが絵だけで見ると強度なロリ漫画の世界。少女漫画的な顔の描き方が幼さを強く感じさせるのですね。他の作品もそのアンバランスさが魅力になっています。チェックすべき作家がまたひとり増えた、といったところです。
フラミンゴ 7月号 | 三和出版 | <漫画・雑誌> | 743円 |
いよいよ終わりが近いフラミンゴ。ですが内容はやっぱり濃厚です。白井薫範、海野やよい、しのざき嶺といつものメンバーがコンスタントに高いレベルの作品を発表する一方、新しい取り組みを見せている人もいます。海明寺裕はよりK9世界を発展させて読者を幻惑し、特殊度が昨今強烈に高まっている霜方降造は濃厚すぎる作品を発表し、蜈蚣Melibeは「バージェス」と毛色の異なった作品を発表し、るもいじゅんは「おとなちゃれんじ」シリーズでデタラメに攻める。やっぱり面白いですわ。
アングラインターネット裏用語辞典 | 栗林彰・編 | フォレスト出版 | <一般書> | 1600円 |
私もこういう稼業をやっているものですから、結構UG系の話題には詳しいつもりだったのですが、まだまだだということが思い知らされました。その名の通りUG系でよく使われる言葉を集めたものなのですが、ここまで膨大になっていたとは。300ページにわたってその手の言葉が列挙されているのは壮観です。「IPアドレス」「Cookie」などの一般的なコンピュータ用語もありますが(もちろんUGに関係ある範囲で取りあげられてます)、「鳥」「串」「垢」「尻」「厨房」から「東鳩」「炉里」に至るまで取りあげられてます。読み物としてもヒッジョーに面白いです。
もう一つ私が面白いな、と思うのは、こうしたUGな場所でも、一定の秩序が形成され、統一された用語が使われることです。キタネー闘争の結果、何らかの秩序が形成されているのですね。PingボムやOOB攻撃(古い)の応酬の結果、痛い目を見た連中が秩序を作っていく。多分、この過程に、新しいネットワーク社会の合意形成の仕組みが現れているのだと思います。なにげに重要な本だと思います。
Last-Update: Thursday, 13-Nov-2014 09:16:48 JST