2000年8月下旬

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2000年8月28日(月)

OURs LITE 10月号   少年画報社 <漫画・雑誌> 305円

 まあ世の中にはわかりやすい漫画も必要ですが、その一方で読者の心にどこか引っかかる作品も必要だと思います。思うにこの雑誌はそのあたりを志向しているのではないか、と考えてしまいます。それはたまたま掲載される作品がそうした傾向を持っているだけなのかも知れませんが、そうした作家に発表の場を与え、雑誌としてそうした傾向を積極的に取り込んでいこうという姿勢が見られるのが好ましいところです。今回でいうならあめかすりとTAGRO、そして石田敦子さまがそれに当たるでしょうか。小学生の性に目覚める頃を実話タッチで描くTAGROは、寝たふりをしてこっそりと女子の発育をのぞき見ているエロ先生という有り難くない存在を描くことによって、我々の心を引っかけています。また身体がどんどん欠落していく自動人形を描くあめかすりは、欠落と過剰な補充を描くことによって、その背後にせつせつと流れる孤独を照らし出しています。ただこうした傾向とエンターテイメントを志向する作品との間にちょっとしたギャップが生じているのも事実のように思います。うまくバランスを取ってほしいものですが。
 ただひとつ間違いないのは、こうした「引っかけ」は現在絶対に見落としてはならないものであることです。すべての作品がこれを持つ必要はないわけですが、「引っかけ」を持つことによって、現在、まさにいま我々が接している社会=世界のさまが明らかになってきますし、そこにある我々の「生」(性かも)も浮き彫りにされると思います。それを描き出すことに、現在の漫画が持っている文化的ポテンシャルがあるのだと思いますし、「表現すること」そのものの力もあるのだと思います。それゆえにこのことに自覚的な作家と作品には強い共感と、一種の尊敬の念を覚えるというわけです。
 …ということで、TAGRO先生、今度はくだらない話でもしましょう。

フラミンゴ 10月号   三和出版 <漫画・雑誌> 743円

 長く続いたこの雑誌もとうとう終わり。今号で本当に終わりです。ただ作家の多くは後継雑誌「アイラ(仮)」に引き継がれるとのことなので、今度はそちらに注目していきたいと思っています。本当にご苦労さまでした。休刊にあわせるように、作品はそれぞれなかなかにハイテンション。天竺浪人「便器」はやや絵が荒れているところ/甘口になってしまったところはありますが一応終わっていますし(それに単行本で描き足されるでしょうし)、蜈蚣Melibeはきちんと一話完結している有機人形ものを読ませてくれます。駕籠真太郎はさらに悪意のこもった作品を見せてくれますし(戦車の描き方のぞんざいさは芸術的)、しのざき嶺は得意の人体改造ものを見せてくれます。気になるのは純田可奈江の「M」。きわめて正統派のボンデージ&ディシプリンもので、きちきちに緊縛されて「墜ちて」いく女性の様を迫力ある筆致で描いています。最後にきてこれですから侮れません。ただ一つ残念なのは海明寺裕「奴隷立國」がやや中途半端な形で終わってしまったことでしょうか。しかも単行本にならないといいますし。K9世界の一つの到達点となるべきこの作品がこうした形で終わってしまうのは残念きわまりないところです。まあ、もう我々はK9世界に触れてしまい、その内面にK9世界を「作って」しまったので、別にそう悲しまなくてもいいように思います。足りなければ妄想すればいいのですから。

少年エースA 10月号   角川書店 <漫画・雑誌> 419円

 端正な絵と内容のギャップに惹かれる「Anne・Freaks」、ハイテンションが心地よい「余の名はズシオ」、2話完結ものという構造をあらわにしつつある「低俗霊DAYDREAM」、もう涅槃的領域に達している「桃ちゃん先生」と、惹かれる作品が多くなってます。いい案配。その中でもやはり目立つのは「成恵の世界」と「ジェット☆レンチ☆デイズ」ですか。「成恵」はもう中学生らしさが炸裂しまくり。得てして中学生ものは「中学生日記」的になってしまいがちですが、中学生の持っている良い側面に着目し、甘酸っぱいテイストをうまく付与しているのがタマラン感じです。こ、交際しよう!「ジェット…」の方は、まあ言ってみちゃあ「すげこま君」…いや「みすてないでデイジー」なのですが、それが持っていた良さをきちんと受け継いでいます。「デイジー」のアニメには本当に泣きましたよ。「宇宙人になりたい」ってところに。いやホント。

マガジンZ 10月号   講談社 <漫画・雑誌> 457円

 やっぱり「ヴァルナス」ですってば。絵柄のアツさ、明かされていく謎、広がっていくオハナシ、意外な展開…。これこれこれ、という感じでしょうか。現在こうしたテイストを持った作品が少ないこともあって訴えかける作品になっていると思います。大風呂敷ばんざい!「おたく先生」も相変わらず健在。教員免許「ガンダム」ですか…。「宝島」とか「イデオン」とかないんでしょうかねえ。驚いたのは伊藤洋行の登場。これまた懐かしい、と思いきや、絵柄は実に現代的。勉強してますねえ。「生き残ってやるぞ」という強い力を感じます。加えて「JING」が載っている…。幸せな雑誌です。S/N比は高かったりはしますが。

電撃大王 10月号   メディアワークス/角川書店 <漫画・雑誌> 590円

 これは簡単。「ダークウィスパー」「DOLL MASTER」「あずまんが大王」。競泳水着(スクール水着?)焼け残りにビキニ、という神楽さん…細かい、細かすぎる!この繊細さこそ「あずまんが大王」の徳目といえましょう。特に説明がないのもよし!

コミックガム 10月号   ワニブックス <漫画・雑誌> 590円

 「一騎当千」には呆れ果てたものです。現代になぜか蘇る(…)三国志の英雄たち、なぜか女性に転生してしまうむくつけき男たち、ちちは見せてもちくびは見せないという展開…。もうすっかり脳が溶けてしまっています。読者の脳も溶けちまうというわけです。猫!後は当然とも言うべき「エンブリヲンロード」「まほろまてぃっく」「月詠」といったところでしょうか。トバルカイン隊長、不思議少女とテコ入れシーンを交えながらも、内容は際立って切実な「エンブリヲンロード」。一生懸命描いている様が感じられてぐっと来ます。

ホビージャパン 10月号   ホビージャパン <立体・雑誌> 743円

 特集は「プラモ狂四郎」。今こそかきいれ時なのでしょうが、別にここまでガンダムにこだわらなくても…などと思ってしまいます。まあ「モデグラ」の見事な負け犬っぷりに比べればマシなのかも知れませんが。それにしても次のMGはラルグフとEz-8ですか。グフはずっと待ち望んでいたものだったので嬉しい感じです。

HGUC ガンダムGP-01   バンダイ <立体> 特価1140円

 もちろんまだ組んではいませんが。部分的にですがフレーム構造が取り入れられ、ミニMGという様相を呈しています。パーツの小ささの割に部品数が多いのが。これからHGUCが面白くなりそうですね…。

レオパルト2 A5   田宮模型 <立体> 特価2300円

 以前からユザワヤで特価販売して気になりまくっていたのですが、ラスト1個だったので購入。なぜためらっていたかというと、ミリタリーものは塗装しなくちゃダメじゃないですか。エアブラシとか買わなくちゃダメじゃないですか。ずっと前石川に「積んどけばいいじゃん」と言われたのでそれを思い出したので買ったのですが…はっ、石川の影響が!いかんいかん!

 ティア関係&単行本はまた明日以降。無理の利かない歳になってきたのですかね…。

いちばん上


2000年8月27日(日)

ティア関係は宅配便で送ってしまったので明日以降。

アフタヌーン 10月号   講談社 <漫画・雑誌> 476円

 とにかくドキドキさせられるのは「ミルククローゼット」。連載わずか8回目にして世界滅亡ですか。あまりにドラスティックな展開に唸らされてしまいます。後は秋山晟「天の回廊」が新連載。最初から仕上げが間に合っていないページがあったりしてやや危惧を抱いてしまいますが、繊細な線は高く評価されてしかるべきでしょう。次のオハナシに期待。四季賞系は岡田謙児の「ブルーグレー」が掲載されています。トーンを使わずに線だけで構成された画面にまずは嘆息するところです。そしてちょっと舌足らずなところこそありますが痛いオハナシ。良くできた作品です。

キューティーコミック 10月号   宝島社 <漫画・雑誌> 476円

 何はともあれ「ハチミツとクローバー」。小玉サイズのスイカが普通サイズに見えてしまうはぐちゃんのかわいらしさったら。一見小道具扱い(!)でありながらも、ちゃーんと見せるべきところは見せる。そんなはぐちゃんに森田先輩はじめ全員萌えてしまう訳ですな。あとは山本ルンルンの新連載が始まっているのが好ましいところ。やっと連載ですか。ネタもいつもの通りブラッキー。いい感じです。

Chara 10月号   徳間書店 <漫画・雑誌> 552円

 そりゃやっぱりまずはTONO先生の「カルバニア物語」でしょう。愛とか恋とかを越えて結びあうライアンとエキューの関係。これは是非女性のフェミニズム論者に論じてほしい作品だと思います。絶対的に画期的。それから藤たまき「ラバーズエコー」。線がやや雑多な印象がありますが、それが味になっている。いい作品だと思います。ですが何より、そう何より、素晴らしいのは辻よしみ「能瀬くんは大迷惑!!」。酔って大胆になったJr.(女の子バージョン)の可愛らしさにすっかり悩殺されまくりですよ??

サンデーGX 9月号   小学館 <漫画・雑誌> 410円

 「スプリガン」をメインに据えて、揺るぎなき体制を作ろうとしている一方で、なかなかに意欲的な誌面展開をしていると思います。たとえば吉崎観音「TOY Girl」。とにかく徹底的に金をかけて、「現実的に」魔法/メカ少女を実現させてしまおうという…そのネタが面白いのもさることながら、吉崎を使うというそのこと自体が興味深いことだと思います。また今回は伊藤明弘が登場。展開が早すぎて目が回ってしまうところがありますが、それは徳目でもあったりします。新人登用に積極的なのも興味深いところです。今回は米田清史「ひかり神舞」と光永康則「トラフィッカー」の二本。どちらも正統派の少年〜青年漫画となっており、大化けするとはいえないかも知れませんが、きちんと読める丁寧な作品だと思います。編集の眼力を感じるところです。

OURs LITE 10月号   少年画報社 <漫画・雑誌> 305円

 えー、犬上すくね先生、今日はどうもありがとうございました。こちらも励みになるというものです。疲れ果てたのでまた明日きちんとレビューを書くことにしたいと思います。

いちばん上


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Last-Update: Thursday, 13-Nov-2014 09:16:49 JST