2000年10月22日(日)
Chara 12月号 | 徳間書店 | <漫画・雑誌> | 552円 |
「カルバニア」「能瀬くん」目当てに定期購読しているのですが、他のボーイズものもなかなか。巻頭を飾るのは菅野×二宮の「毎日晴天!」。女系キャラであるところの秀と真弓に萌え!真弓に至っては女物の浴衣をきちんと着こなしてしまうのですから鼻血ものです。あざといといえばあざとすぎるのですが、皿まできちんと食べようとしている覚悟に惹かれます。それから竹美家らら「言わせないでねっ!」が始まってます。これはまた正統派のファンタジイ。間違って地球に生まれてしまった月の国の王子様を捜しに出かけるでこぼこコンビ。だけど着地に失敗し、クレープ屋を営む双子の車を壊してしまう。どうやらこの双子が王子様らしいのだが…、というオハナシです。こういう可愛い絵もいいものです。当然「カルバニア」と「能瀬くん」は素晴らしいです。「カルバニア」はマスカレードのオハナシ。前回のような全体のオハナシの進展はないのですが、TONO先生らしいヒネリが加わっていていい感じです。なんてったってライアンがいいです。全く説明がなくてもライアンだと分かってしまうのですから。そして「能瀬くん」。能瀬龍子ちゃん(!)の「雌力(めすぢから)」に読者もメロメロになってしまうというわけで。発彦お父さんのジェンダー的にちょっと無神経な発言は気になるところですが、まあ龍子ちゃんが可愛いので全く許されるのです。カラーページの龍子ちゃんが別人?そんな細かいことを気にする人は嫌いです!
プロレタリア文学はものすごい | 荒俣宏 | 平凡社新書 | <一般> | 680円 |
アリャマタコリャマタ先生の新作です。プロレタリア文学といえば、今までは階級闘争を背後に含み込んだ、カタい作品だと思われてきました。しかしアリャマタ先生はそれを現在の目から読み直し、それが持つ「生の(性の)エネルギー」を描き出していきます。そしてそれが過剰へとつながり、「ものすごい」ものになっていくさまを描きます。曰く「プロレタリア文学は最高に恐ろしいホラー小説であったし、プロレタリア文学は最高にエロティックなセックス小説であったし、プロレタリア文学は謎が謎を呼ぶ探偵小説であったし、プロレタリア文学は科学時代を風刺するSF小説であったし、プロレタリア文学は立川文庫にも負けないチャンバラ武勇伝であったし、プロレタリア文学はこれ以上望めぬほど冷たく事実をあらわにした露悪小説だったからである。こんなに面白いエンターテイメントは他にありえない。」(29ページ)そしてプロレタリア文学の「面白さ」を描き出す一方で、それが持っていたまっとうな社会変革性にも触れています。今まで固定化された視点で読まれていたものを、全く別の視点から読み直そうとする。それは「みるく」の出発点と共通するものがあります。最近の「みるく」はちょっとカタくなりすぎていた感があります。この原点に戻らなくちゃならないな、と痛感した次第です。
死なう団事件 | 保坂正康 | 角川文庫 | <一般> | 619円 |
昭和12年、5人の青年が、「死のう!」と叫んで一斉に皇居近辺で自決をはかりました。俗に言う「死なう団事件」です。詳しい日本史の教科書には載ってますね。この本はその事件についてのルポルタージュです。既存の宗教権威に反旗をひるがえした日蓮宗系統の宗教団体が、いかに自壊していったかを描くものです。「死のう団」というネーミングに惹かれて買ってみました。当時の閉塞状況と現在の魂の閉塞状況には共通点があるところ。あまり現在、とくにオウムなどのカルト集団に引きつけて考えるのはどうかとも思いますが、現在の状況に対して示唆的な本であることは変わりないでしょう。
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