2001年6月24日(日)
スカルマン 7(完結) | 石ノ森章太郎&島本和彦 | メディアファクトリー |
<漫画・単行本> |
514円 |
これにて完結。飛岡ライダーが登場する6巻までは順調に盛り上がっていたのですが、改めて単行本で読むと尻つぼみの巻が強いように思います。おそらくは何らかの事情があったのでしょう。打ち切りもしくは作者の事情が。
ただ、考えてみると、巨匠の作品にしてもこのような尻切れトンボであたふたと終わらせた作品は限りなくあったはずです。この作品は巨匠の魂と技術を手に「降ろして」描かれていた作品だったわけですが、そう考えるとこの終わり方も実に巨匠・石ノ森っぽいように思います。惜しいと言えば惜しいのですが、これはこれで鬼気迫るものであるといえましょう。
アフタヌーン 8月号 | 講談社 |
<漫画・雑誌> |
457円 |
もう次に挙げる「少年エース」より薄くなってしまったのですね。はあ…。実際のところひぐちアサ「ヤサシイワタシ」と桜玉吉「なげやり」、そして四季賞(もしくは読み切り)しかマジメに読んでいません。
今回の四季賞関係作品は五代英輔「君の声がききたい」。田舎の高校に東京から転校してきた女の子(唯我独尊タイプ)と、地元の男の子(エスケープ常習)のそれとない心のふれあいを描いています。絵柄はややざっくりとしていますし、描きたいことに比べると尺が足りないように思いますが、ポイントはきちんと押さえていますし、背伸びしようとあがく高校生のさまがきちんと描かれています。次回作が非常に待ち遠しくなるタイプの作品といえましょう。この人「コミック昭和40年会」に参加してるんですね。松沢呉一の「ショートカッツ」にも参加しているとか。今度タコシェに行ってチェックしてみようと思います。
少年エース 8月号 | 角川書店 |
<漫画・雑誌> |
419円 |
伯林「鳥人間コンテスト」が載ってます。「しゅーまっは」が実に快調であるために、タイムリーな人選といえましょう。それにしても鳥人間ってこれですかい!あとは大和田秀樹「警死庁24時」、夏元雅人「ガバメンツ」あたりがピンときたところです。
マガジンZ 8月号 | 講談社 |
<漫画・雑誌> |
547円 |
アツい、アツいですなあ。もちろん「熱い/厚い」ですよ。厚いためにS/N比は高いわけですが、とにかく熱い作品は実にグッと来るものがあります。初っぱなから村枝賢一「仮面ライダーSpirits」ですから。今回はXライダー(2回目)なんですが、まったくオリジナルのオハナシでありながらちゃんと「あの時代の」熱さ、そして巨匠の熱さを再現しているのですから恐れ入ります。血圧が上がるというものです。続いては島崎譲「征神記ヴァルナス」。実は○○だった、というヴァルナスの生まれ、強大な敵との戦い…。ご都合主義な展開もまたアツいというものです。それから長谷川裕一「クロノアイズ」。やったあ!本格的にタイムトラベル&スペオペになってきており、極度にオハナシが大きくなっているところが素晴らしいです。この調子で「マップス」に匹敵する大風呂敷を広げて欲しいものです。だって…他にここまで風呂敷を広げる人はいないではないですか。熱いといえば徳光康之「濃爆おたく先生」も忘れられません。ジオン勝利のための妄想、という「基準点」を見いだしたために、妄想が説得力を持つこと持つこと。「クッ…クローーーーバーーーーー!」やっぱ面白いです。
もうひとつ、この雑誌の特徴として、一方で昔ながらの少年漫画&メディアミックスの萌え漫画中心に展開していきながら、絵に独特の力を持つ人を積極的に登用していることがあげられます。今までの例としては「カルドセプト」のかねこしんや、「KOBJ」の熊倉裕一、「魔剣X」の林田球が挙げられると思いますが、先月からの連載「幽形聖境クークラ」の御船麻砥もその流れにあると思います。なんとも独特な絵柄世界。スラヴという舞台設定も新鮮です。これは今後注目していきたいと思います。
ガム 8月号 | ワニブックス |
<漫画・雑誌> |
590円 |
萌え漫画とメディアミックス漫画が猖獗を極めるなかで、この雑誌はかなり独自な位置を占めるといえるのではないでしょうか。もちろんぢたま(某)「まほろまてぃっく」をはじめとしたメディアミックス作品はあるわけですが、漫画単体として楽しめ、かつオハナシに骨がある作品で固めているように思えるものですから。有馬啓太郎「月詠」、やまむらはじめ「エンブリヲン・ロード」がそれに当たるでしょう。また「他のどの作品にも似ていない」作品を載せているのもいいですね。もちろん「プースー」に決まってるじゃないですか。ポップな絵柄でブラックなオハナシ。これだけでも買う価値があるってものです。その一方で注目しているのがひのきいでろう「W-Face」。柔らかい女性的な描線に惹かれます。
ガンダムエース vol.001 | 角川書店 |
<漫画・雑誌> |
619円 |
最初から最後まで全部ガンダムのまんが雑誌です。発刊ペースは季刊。目玉は安彦良和によるファーストガンダムのコミカライズ。この企画のために大河原邦夫があらたにガンダムやザクのデザインを書き起こしているというのですから恐れ入ります。内容は安彦自身がインタビューで語っている通り、アニメ版エヴァに対する貞本版エヴァ、といった感じになっています。最初にサイド7に進入するザクは2個小隊になってますし、アムロはガンダムに乗る前からガンダムのことについて大まかな情報を手に入れていた…といった違いがありますから。実際のまんがの内容は、これが非常に面白いんですね。もちろん原作としているアニメの第一話の出来がひどく良いこともあるのですが、それをちゃんと漫画として、緊張感あるものとしてまとめています。流石にファーストガンダムの画面構成に決定的な役割を果たしていただけのことはあります。次回が楽しみすぎ!他に漫画は大和田秀樹「ガンダムさん」、北爪宏幸「若き彗星の肖像」、介錯「ジオン少女物語」が掲載されており、加えてやまむらはじめのイラストエッセイがついています。やまむらのガンダム信奉はよく知られているところですので、適切な人選といえましょう。北爪の作品は映画版に基づき、ミネバをア・バオア・クーから脱出させようと尽力するシャアの姿を描いています。ジオングを失ったあと、シャアは再びゲルググに乗るという…ミナカ・ユンカースが頭を抱えている姿が目に浮かぶようです。
まあ、実は最大の目玉は介錯先生の作品ではないか、と思います。少女ばかりで編成されたモビルスーツ隊…。この作品を読むためだけでも買う価値あり、と断言しましょう。介錯先生、アンタ最低だよ。ホント。もちろんだからこそ最高なんです。
2001年6月22日(金)
家族のそれから | ひぐちアサ | 講談社 |
<漫画・単行本> |
505円 |
「アフタヌーン」に4回連載された「家族のそれから」に、四季賞受賞作の大作「ゆくところ」を加えたものです。とにかく「ゆくところ」(アフタヌーン98年8月号)には衝撃を受けたものです。長いといえば長すぎるのですが、その長さを生かしてゆっくりと近づき、わかりあっていくホモの少年とノンケの少年の魂を描いているのですから。セックスはできないけど、辛い気持ちは分かるよな、という。そうした微妙な関係にドラマがあるわけです。そして「家族のそれから」。女手一つで育ててくれた母を失った兄と妹。二人きりになるかと思いきや、母の死の直前に彼女と結婚した男(26歳)が家に居続ける。死の痛手から立ち直りきれず、いつも泣いてばかりの男。上手く関係を築くことができず、ぎくしゃくする「一家」…というものです。これまたひどくぎこちない作品です。絵柄の面でも展開の面でも。ですがそうであるために、現実のままならなさという「リアルさ」が描き出されるのですね、リアルとは距離を置いた絵柄でありながら。このリアルに対する冷徹な視点が、この人の特徴であり、徳目なのだと思います。それにしても絵柄の質といい、カリカチュアライズの方法といい、有川祐と共通点を持っているよなあ…。
ヤサシイワタシ#1 | ひぐちアサ | 講談社 |
<漫画・単行本> |
505円 |
現在も連載中の作品をまとめたものです。舞台は大学の写真部。複雑な家庭環境を抱え、男を求めながらも長続きしない弥恵と、高校までテニスに打ち込み、全国大会の決勝まで進みながらも故障によって断念した芹生の関係を描く作品です。弥恵は自他共に認めるやっかいな女で、こころの揺れを押さえることができず、加えて写真部の中でも外でも精算しきれない過去の関係を抱えています。彼女はそれを認識していますが、どうにもならない状況に陥っています。一方で芹生の方は彼女に振り回されつつも、とりあえず正直に彼女との恋愛に向き合おうとします。オハナシといえば基本的にそれだけなのですが、当然甘さと切なさがひっきりなしに訪れることになります。構造としては木尾士目「五年生」によく似ているのですが、この作品はヤエが徹底的に地雷的な女として描かれているために…その分ずっと切ない女として描かれているために…、よりイタイオハナシになるわけです。
前述の「家族のそれから」に比べると、随分まんがとしてこなれてきていることが分かります。大学のサークル活動や、それに伴う恋愛といった甘酸っぱい(=共感を得られやすい)要素もありますし。前2作を踏まえ、漫画家として大きく伸びていっていることが見てとれます。もちろんそこには彼女(に違いないと思いますが)独特の「ままならないリアルさ」が現れてくるわけです。痛い、痛い作品ですが、だからこそいい作品なのだと思います。これは期待大の作品。
Chara 8月号 | 徳間書店 |
<漫画・雑誌> |
552円 |
菅野彰&二宮悦巳による「毎日晴天」の新シリーズ、「子供は止まらない」が始まってますね。結局男ばかりで住むことになった阿蘇芳と大河たち兄弟。収入源が大河の給料しかないためにまわりの人たちは心配するが…という展開です。徹底的に女を排除しようとする構造がアリアリとうかがえてナイスです。そして末っ子真弓の甘えるさまときたら。ふ、甘え、か…(遠い目)。続いては山田ユギ(それにしても仕事量多いよなぁ)「働きません!」。このところのユギ先生はギャグが冴えてるので、読んでいてニヤニヤしてしまうのがいいですなあ。それにしても女(とオカマ)の使い方の上手いこと!これだけのハイペースでレベルの高い作品を量産するのですから凄いです。そして辻よしみ「能瀬くんは大迷惑!」。ジョウイとファイアの帰還をうけて、今回もたあちゃんの雌ぢからは炸裂しまくり。上目遣いで涙をためたたあちゃんに、わたくし陥落しましたよ!
2001年6月21日(木)
ななか6/17 2 | 八神健 | 秋田書店 |
<漫画・単行本> |
390円 |
いやあ、いいですなあ。上手い具合に骨抜きにされます。いつも口を全開にして笑ってるななかちゃんに萌え!ところでこの作品、単に「萌え」だけで構成されているわけではないところが興味深いところです。ねんじに惚れているゆり子が活躍することによって、繊細なこころの動きが描かれるのですね。クールな17歳の七華と6歳のななかを描き分けているのもいいのですが、ゆり子の描き方もまた「魂がこもってて」いいのですね。それにしてもこの作品がチャンピオン連載だとは…。
ウルトラジャンプ 7月号 |
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集英社 |
<漫画・雑誌> |
410円 |
中平正彦「破壊魔定光」はやっぱり面白いですね。カラーページにはやはり不思議な印象を覚えますが。コオネって黒人じゃなかったの?あとは介錯「魔法少女猫(まじかるにゃんにゃん)たると」でしょうか。読むたびにIQが10ずつ下がっていくような気がします。読者に対してもこれだけの影響力を及ぼすのですから、作者は…まあ、申しますまい。
ヤングアニマル No.13 |
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白泉社 |
<漫画・雑誌> |
248円 |
氷室芹夏「月紅」が始まっています。グラマーな女子高生(ヤクザの娘)が超人的な戦闘力を発揮する…という売れ線要素にあふれてますが、描き方はさすがに手慣れたもの。服の上からもエロスが香り立つ、とでもいうのでしょうか。それから田中ユタカ「愛人」。人は常に自らの手を汚しながら生きているのですが(それはすべての生物に共通することですが)、現在はそのことはすっかり「存在しないこと」になっているかのようです。そうしたひとの驕りに、田中の言葉は鋭い刃を突き立てます。「世界はひとごろしの夢でできている」と。ずいぶん多くの作品に対して私は言葉を見つけ、その良さを語ってきましたが、この作品については言葉を失ってしまいます。それだけこの作品が訴えていることは深く、重い事柄なのだと思います。
電撃大王 8月号 |
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メディアワークス/角川書店 |
<漫画・雑誌> |
590円 |
「ガンパレ」「シスプリ」「こみパ」「フィギュア17」と、今一番オタクの間で盛り上がっている作品を漫画にしているところが凄まじいですね。またもとのメディアとは異なった展開にしているところもあったりして、漫画は漫画として読めるようにしているのも侮れません。まったくソツのない、押さえるべきところを100%押さえたメディアミックスといえましょう。で、私としてはいつものように栗林伸祐「まにぃロード」と井原裕士「ドールマスター」を評価したいところです。どちらもちょっと古くさい絵柄で「萌え」にチャレンジしてるところがいいんですね。オハナシも両方とも骨太で、かつオリジナルのものですし。メディアミックスの大海に浮かぶオリジナルの孤島、という印象ですね。
アワーズライト 8月号 |
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少年画報社 |
<漫画・雑誌> |
362円 |
今月もすっげえ面白いですね。大石まさるはもう描かなくていいと思いますが、最初から犬上すくね「恋愛ディストーション」が飛ばしまくること!まほ先生に惚れる(今度は)男の出現によって揺らぐ二人の関係…と思いきや、実はポイントは最後のコマにあるとは。ぐさりと来たことですよ。続いておがきちか「エビアンワンダー」。描きたいものを描いている、ということが伝わってくるようですね。さりげなくフレデリカの過去を描く演出も流石です。そして山名沢湖「電話線」、石田敦子「純粋!デート倶楽部」で、女の抱く男には見えない面を描き出し、水原賢治「紺碧の國」で青くっさい青春ドラマを展開する。このあたりまでのドライブ感はかなりのものがあると思います。続いては騎崎サブゼロ「溺れずノ市」。いかにも創作系といった繊細な線と圧倒的な画面構成。きわめて丁寧に描き込まれた線。圧倒的な絵柄にオハナシがやや負けているきらいこそありますが、もの凄く気合いが入っていることがありありと伝わってきます。そして…そうそして、あびゅうきょ「『ぜ』は絶望の『ぜ』」。Q:何が描きたいの?A:女の子。Q:何が描きたいの?A:絶望。という内容です(なんじゃそりゃ)。とにかくあとは死ぬしかないんですが、でも生きてしまうんです。そのブザマさに乾杯しようではありませんか。ビバダメ人間!で、いつものように小野寺浩二「妄想戦士ヤマモト」が上手くまとめています。最近はちょっとたるんでいた感のあったこの作品ですが、今回はダメオタクを更正させようとする女性が登場して緊張感が激・高まっています。オタクは恋愛状況に陥ったとき、果たして趣味を貫徹するのか?それとも愛を選ぶのか?という究極の選択を行っているのが面白いところです。私だったらどうするでしょうかねぇ。あ、オタクの女性と恋愛すればいいのか!
ホビージャパン 8月号 |
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ホビージャパン |
<立体・雑誌> |
743円 |
…それにしても随分早売りですなあ。フライング購入なので簡単に。特集は一年戦争・パート2で、予想通りジオングがメインです。今度の新製品はMG陸ジム、MGキュベレイ、そして吃驚のHGUC****だそうで。信者がウザいあの作品をHCUCにするとは…。あとはエルガイムを性懲りもなく売ろうとしているのが小癪ですね。ネタがないからといって、アニメとしてダメだった昔の作品に頼ろうとするのは、縮小再生産にしかならないと思うんですがねぇ。今のアニメにも立体化したら面白いものは山ほどあると思うんですがね。「アルジェントソーマ」のロボとか、ジーンシャフトとか。あとは石田敦子「ふわふわカタログ」次回最終回とのこと。ガーン!「ふわカタ」がなくなってしまったら、ボクはどうやって生きていけばいいのですか!
Last-Update: Thursday, 13-Nov-2014 09:16:52 JST