私が持っているゾーン関係のCDは以下の通り。赤字で示してある名前はアルバムの名義。基本的にそれぞれの名義の発売順に並べてある。
(青土社「ユリイカ」1997年1月号、ジョン・ゾーン特集を参考にしました。)
トイズファクトリーの(怒)SMシリーズ(笑)第一弾。比較的分かりやすい(?)ハードコア。最初の絶叫にはつい失笑してしまうが、ゾーン氏はそんなことお見通しなんだろうなあ。
ハードコア第二弾。これもなかなかハードで笑わせてくれる。
91年3月渋谷ラ・ママで行われたライヴを収録。ジャケットの、M男につばを吐き掛ける女王様の写真は荒木経惟。灰野敬二が参加して非常にテンションの高いサウンドになっている。
スタジオ録音の「濃縮音楽」+そのアンビエントバージョン+大阪でのライヴの3枚組の大作。日本版とむこう版のジャケットが大分違うため、間違って両方買ってしまったという嫌な記憶を持つアルバム。
すっかり「グラン・ギニョール」に入ってるものと同内容だと思ってたら、何曲かこっちの方が多かったので慌てて買った…つもりだったが、どうしても見つかりやがらぬ。どこへやったのだろう?まあ、それはいいが、はじめて聴いた当初はショックを受けた…というより、大笑いしたものだ。ナパーム・デスは笑わずに聞けたのだが、何故だ?
ゾーン/フリゼール/ホーヴィッツ/フリス/バロン/アイのメンバーの中から数人で、インプロヴァイゼーションバトルを行う、という内容。それぞれの曲は数分と短いのだが、このメンバーではそう簡単にはいかない。緊張感溢れる一枚。
オリジナル曲「グラン・ギニョール」に加え、ドビュッシー、スクリャービン、ラッスス、アイヴス、メシアンの曲をカヴァ(?)している。暗黒世界を満喫できる素晴らしいアルバム。おまけとして「拷問天国」が(サブセット版だけど)付いてくる。実にお得なアルバム。ジャケ写は布施英利がメジャーにしちゃったけど、買った当時は非常にショックを受けたものだ。
凌遅処死とは、清朝で行われていた、生きながらにして体を切り刻み、死にいたらしめる処刑法。このアルバムはそれに捧げられている。とにかくジャケ写が素晴らしい。宦官たちに切り刻まれてる男の姿なんだものなあ(この写真は「トンデモ超変態系」などいくつかのディープ系の本で見ることができる。バタイユもインスパイアされたんだってさ)。内容も実にノイジーで超音波いっぱいで素晴らしい。脳をかきむしられるような感覚。
うって変わってこちらはポップ。「ああききやすいおんがくでとてもいいものをかったなあ」と最初は思ったのだが、次第に山塚EYEが…このエスカレート感は、漫☆画太郎の名作「エスカレーション」に匹敵する。
ファッキン水島新司…ではない。いきなりジャケがベルメール。もう方向性が分かるってものだ。19世紀末の快楽と退廃のたゆたう世界が現出する。これに合うのはEでもLでもコケインでもない。阿片だ。
かなりダンサブルな内容でちょっと吃驚。クレズマーだから当然かもしれないが。ちなみに「マサダ」とは、イスラエルの民が(確か)ローマの侵攻を防ぐためにこもった城塞の名。何年もの間包囲を受け、食料を断たれたユダヤの民は結局全員自決した…んじゃなかったかなあ。確かそんな映画を見たような気がする。
ヤマンタカEYEとゾーンのデュオ。ボアのアルバムに近いような印象を受ける。EYEのヴォーカルの使い方がボアに近いし、ゾーンの音楽もボアのアルバムに良く見られる「なごみ感」を醸し出しているからだ。凄いアヴァンギャルドなのだが、なじみやすい一枚。
これもヤマンタカEYEとゾーンのデュオプロジェクト。ただし内容はユダヤの古楽。レコードノイズにのせて展開される古いユダヤの旋律。ヤマンタカEYEのヴォーカルがそれにかぶさり、朽ち果てた廃屋から見つかったようなレコードを聴いているような錯覚にとらわれる。EYEのヴォーカルの関わり方が以前のように「楽器」ではなく、「歌」であるところが面白い。
玖保キリコのジャケが違和感を感じるが、内容としてはかなりマッチしている。「良く分からんが、楽しそう」というもの。スタジオ・バージョンとライヴ・バージョンの2枚組。
ジャケ写がいきなり死体写真というのが目を引くが、それよりもイイのはケースを開けた時。丸尾くんの絵がどーんと現れて爆笑間違いなし。さすがは日本通のゾーン氏ですな。このアルバムは言うまでもなく後のネイキッド・シティーの活動につながっていく。山塚EYEのヴォーカルも冴える!
ゾーンが作曲した映画音楽と、エンリオ・モリコーネに対するオマージュ。
「シリアス・ミュージック」寄りの展開を見せるが、突然ノイズ/ハードコアが入るなど、聴くものの予定調和感覚を見事に(良い意味で)裏切ってくれる。ジャン・ジュネの「泥棒日記」へのオマージュだが、内容は実に現代のアヴァンギャルド的。"Elegy"というタイトルが実に意味深い。ペルトやグレツキ、メシアンとの関連を連想させる。
1938年11月9日の夜から10日の朝にかけて、ドイツ全土で組織的な暴力的ユダヤ人排斥暴動が起こった。もちろんこれはナチスによって組織されたもので、多くのシナゴーグや、ユダヤ人商店が焼き討ちされた。この時街路に散らばったガラスの破片を見て、ゲッベルスは「まるで水晶のようだ」と言ったという。この事から、この事件は「水晶の夜」といわれるようになった。このアルバムは、「水晶の夜=クリスタル・ナハト」にインスパイアされたもの。レンツェに負けずとも劣らない脳みそかきむしり音楽。ユダヤの叫びが聞こえてきそう…てのは大袈裟だが、確かにゾーンの何らかの目的が聞こえるような気はする。「このアルバムには超音波が含まれており、頭痛、耳鳴りを引き起こすことがある。繰り返して聞くと回復不能の聴力障害を起こすことがある」と書いてあるのが御愛敬。私はこのアルバムを目覚し代わりに愛用していた。これは効くわ!
1曲目はバスドラのみを使ったアンビエント。2曲目は「グラン・ギニョール」を彷彿させるダーク系のミニマル/アンビエント。ストリングスとパーカッションのみを使って、静かに、ミニマルに曲が進行していくのだが、その響きはどうも世紀末的暗さ/切なさを感じさせる。アグネス・マーティン(良く知らない)に捧げられている。
ウォルター・ヒルの名無しの映画のために作られた音楽。
デレク・ベイリー、ジョージ・ルイス、ジョン・ゾーンの連名。
完璧なディスコグラフィーはこちらを参照のこと。テキストオンリーだが、曲名や参加アーティストまで網羅している。
→http://www.nwu.edu/WNUR/jazz/artists/zorn.john/discog.html