はじめ人間ゴン

月曜〜金曜 午前8:50〜9:00


 ドリアン助川のOPを何とかしろ、ってのは置いといて。

 これは10分のアニメの帯番組。タイトルからも分かるとおり「ギャートルズ」*1のリメイク。だが、「ギャートルズ」の特徴であった、「叫び声が岩になる」ってのは少ないし、かあちゃんは片乳はみ出しではない。ヒネモグラも出てこないし。「じゃあギャートルズじゃないじゃん」と思うだろう。確かに以前のものとは大きく違うし、そんなに爆発的な面白さを持っているというわけでもない。ではなぜ取り上げるか、というと、シリーズ構成&脚本が、「天才」浦沢義雄なのだ。

浦沢を知らない人には、こう言えば分かるだろうか。

 …そう。伝説のフジテレビ日曜朝のブッ飛び系の特撮番組を作っていた人なのだ。そして最近ではなんと戦隊もの、「カーレンジャー」を手がけ、一部カルト的ファンを熱狂させたものの、あまりのシュールさ加減に賛否両論引き起こしまくった人なのだ。

 まあ、「忍たま」でもそうだったのだが、ことにNHKのアニメにおいては素ン晴らしい「浦沢節」(麻婆豆腐にあこがれていた豆腐が、冷やっこにされたことを恨んで人間に復讐したり、「カーレンジャーピザ」をホントに作ってみたり…みたいなムチャクチャなやつ)は少ない。が、それに通じる、シュールな、あまりにもシュールなボケ(器物が生命を得る、というアニミズムが特徴)は、アニメにおいても散見される。そこに「浦沢マニヤ」はうならされてしまうのである。

 ところで、最近始まった「はれときどきぶた」でも、浦沢は脚本&シリーズ構成として携わっている。こちらは原作が有名な(?)アシッド系ということもあり、かなり浦沢節が炸裂している。アニメなのでちと「変さ」が足りない*2きらいはあるが、くれよん何とかと違って、下品ではなく、可愛さとシュールさと面白さが共存している。未見の人はぜひ一見をお勧めする。


*1 「ギャートルズ」とはいっても、原作の園山俊二の漫画からこのタイトルがついていたわけではなく、当時ビートルズが流行していたためこのタイトルがついたという。だから「ギャートルズ」にこだわる必要もない、というわけだ。

*2 「浦沢節」の面白いところは、普通の生活なら絶対にありえないことが、いとも簡単に起こってしまうところにある。そしてその面白さは、特撮でイメージそのまんまをやってしまうところにある。例えば「豆腐が人間を襲う」というシチュエーションは、アニメならある程度あたり前と受け取られよう(それが最初から持つフィクション性により)。ところが浦沢はそれを実写の特撮で、「吊り」などを駆使してそのまんまをやってしまうのだ。これはあまりにも「変」である。そこにシュールさが生じ、面白さが生まれるのだ。分からん人は「カーレンジャー」のビデオでも見て勉強すること!