月曜日 午前10:15〜10:30
水曜日 午前10:15〜10:30
対象 障害児学級・養護学校(小学部)
私が教育テレビの凄さに目覚めたのは、この番組によってであった。OPCGのしょぼさに騙されてはいけない。登場キャラクタであるグルグルの不気味さ(全身着ぐるみなのだが、顔面だけ中に入っている人の素顔が露出しているのだ…目玉と鼻をくっつけてはいるが)に怖れをなしてもいけない。つまらん(対象が対象だから仕方ないが)前半の寸劇にあきれてもいけない。障害児向け、だからといって偏見を抱いてもいけない。とにかく全部見てみることを強力に薦める。なぜなら、この番組の素晴らしさは、後半のストレッチマンにこそあるからなのだ。
全身を黄色いタイツで包み、頭はとんがっている…というその風貌にも吃驚(呆れ)させられるが、その活動が凄いのだ。ストレッチをすることで、体内に「ストレッチパワー」を充満させること、これがストレッチマンの正義なのだ。
中央がストレッチマン。てんでんバラバラの方向を向いている子供たちに注目。後方「黒い人」はにせストレッチマン。
一昨年度までのストレッチマンは、ブルーホリゾントを使ったチープな合成で、一人のお子様にストレッチの稽古をつける、というものであった。当然、見栄えはかなりみすぼらしく、見るべきところはストレッチマン本人の「凄さ」に留まっていた。ところが昨年度から、状況は一変した。野外ロケを行うようになり、まさに特撮ファンブッたまげのものになったのだ。
全国各地の養護学校を襲う怪人。演じているのはその養護学校の先生。「先生」という職業が持つイメージをすべて崩壊させるような、何か「線」が数十本くらいブッちぎれたような先生の怪演に、逃げ惑う障害を持った生徒たち…そこでストレッチマンの登場だ。子供たちのピンチを救うため、ストレッチマンは子供たちと一緒にストレッチをする。そして貯まったストレッチパワーをもって、ストレッチマンは怪人をやっつける。「ピンチになったときはまた、我が輩を呼べ」。テーマソングと共に去っていくストレッチマン…
当然のことながら、画像の撮りかたは古典的な特撮番組を踏襲している。ロングからアップ、あおり。そしていつもの決めポーズ。よほど特撮に精通していないと、あるいはよほど特撮に思い入れを持っていないと、これだけのことはできまい。特撮・合成は予算の関係からかビデオによるが、そこにこもっているスタッフたちの思い入れ(および、悪ノリ)は尋常のものではない。加えて「理解ある」先生方の怪演。至高の特撮番組が、ここに成立しているのだ。怪人たちのネーミングからも、それをうかがうことができる。肩凝り怪人カタンバ(二人組)、虚脱怪人ダルクナールはくしゃく(まだ若い先生)、ダラダラ怪人ダラキバ(演ずるのはきば先生)、やる気を吸い取る掃除機怪人スイトール、そして定番のにせストレッチマン…特撮ファンよ、こんな所にこっそり名作があるぞ!これに注目せんでどうする!