2002年6月(1)

2002/06/02(Sun) ・・・とりこ
「FRONT」バックナンバーフェア ミニレポート

■月刊「FRONT」バックナンバーフェア
(於:ジュンク堂池袋店/1F雑誌コーナー:5/1〜5/31)

バックナンバーフェア、覗いてきました。この雑誌、表紙の写真がダイナミックでカッコいいので、端から見ていくだけで、結構楽しかったです。過去10年・120冊分の、壁いっぱいの表紙群、圧巻でした。(台風特集とか、好みだったなあ…)

ワタシが入手した号をご紹介します。
(発行:(財)リバーフロント整備センター/公式バックナンバー情報→ コチラ)

◆1994年9月号 
「特集:水の架空動物園 河童・龍・人魚の文化誌」

「グラビア 水棲架空生物大博覧会」では、「河童の手」「河童のミイラ」「人魚のミイラ」の鮮明な写真が。一般も閲覧できるのかな、こんなの? てかこんなにクリアな写真載せていいの…??

「河童を育む風土を歩く 遠野紀行」「水の神のフォークロア 河童と日本人の、順当な記事も楽しく読めますが、
「スリムな龍たち 飛翔の為の聖獣」(武田雅哉)では、先ず「龍はどうやって飛ぶか」の考察から入り、「龍とドラゴン、両者を並べて考える事は楽しいが、西洋のドラゴンに当たるものが東洋の龍、といった前提を持ち出すことは、物事をつまらなくする危険性も持ち合わせる」と続くのです。ホホウ。

更に、 「人魚のイメージの裏と表 向こう向きの殺意」(別役実)では、「人魚の魅力は女体と魚体のコラージュという危ういバランスが故に、『女体の美しさ』『魚体の醜さ』を過剰にする」とし、1822年のロンドンの見世物市で人気を博した「日本製の人魚」は、従来美しいとされてきた人魚が「醜かった」ことが逆に「リアリズム」を産んだ、とします。

また、この号では連載「土木に生きた男たち」(第9回)で長与専斎を扱っていて、岩倉使節団に加わった氏が「衛生思想」を日本に持ち帰り("Gesundheitpflege"に「衛生」の訳語を充てた)、後に下水道整備に携わったことの紹介記事があります。

更に、久間十義氏による紀行文も。読みドコロ満載。

◆1996年3月号 「特集:海賊 侵略と略奪の裏側」

なんと30/78ページ、誌面の大半を海賊特集が占めております。乗っ取りだ! サスガ・海賊(?!)

巻頭の 「世界海賊列伝」(小島敦夫) は、海洋交易民族の支配の一形態としての「海賊支配」を、順を追って俯瞰していくもの。 「契約社会としての海賊業」(コラム欄)等も面白いです。

編集部による 「ヴィジュアル版 海賊・帆船史年表 もナイス資料です。海賊関連/海洋史/船舶技術、で色変える親切設計。
そして以下、標題を裏切らない充実の記事。
「カリブ海の黄昏 ジョリー・ロジャーと大海賊の終焉」(増田義郎) 「海賊の日常生活 ヴァイキングの世界」(谷口幸男)
「倭寇 アジアを震撼させた海賊の虚実」(宇田川武久)
「現代海賊事情 アジアの海賊は、今」(門田修)

執筆担当各氏のご著書を当たれば、より詳しい資料があるのは明らかで、要は「駆け足」的ではあるかも。でもやっぱり「買い」です、コレ。大体、表紙がドレイクの「黄金の牝鹿」号(復元だけど…)の勇姿よ。もう・カッコいいんだから。

(その後、この号は店頭販売分、売切れてました。サスガ。)

2002/06/05(Wed) ・・・とりこ
リヴィエラを撃て

●高村薫「リヴィエラを撃て」/新潮文庫/初出1992年

高村薫を語り出せば、それはもう色々とイロイロですが( 久しぶりの新刊が出た! 読まなきゃ〜※なんか謎めいてるけど、でも「青年」とくるからには…)、高村ビギナーには先ずはコレよね、と思って、先日送った宅急便に「リヴィエラを撃て」、入れときました。>イカちゃん。

「リヴィエラ」と言えばシンクレアさん(※とりこ贔屓キャラの名前)ですが(とり的には)、(美形(とりこ脳内では絶対。)でピアニスト。)、一体、どこが良いのか?

そりゃアナタ、ジャックとの絡みが良いのです。
ダーラム候との云々は言うに及ばず。ああうっとり…ラブ…。 (※ジャック:主役。少年ぽい硬さを残す。 ダーラム候:シンクレアの旧友。イイ奴。ぼんぼんで妻帯者。)

無論、ミステリとしても、とても面白いよ。てか・ゴメンよ、ロクでもない読み方で。茶化してるけど、ホントのとこ、ハードでストイックで美しいのよ。怜悧で硬質な高村さんの筆致でこそ語られうる・この熱。「冷徹でストイックな理性の下にたわめられたもの」、抑制の美学のカッコ良さ。ハードボイルドという奴だ。

少女マンガが連載初回で某行為に到るのは許さん、禁止! とか、先日飲んだ時盛り上がったですが、高村作品の登場人物たち、彼らはね、何もしない(いや・するけど)。でも、しない。そして何も言わない。「言う」行為で何かを既定しない。 でも、それは「在る」わけで、その「在りよう」は、視えるのです。既定されずとも。そんなにも判りやすい癖に「しない」し「言わない」んだ・彼ら。くううう。 ※いやまあ、作品によってはイロイロあったりもするけど。それはそれでまた。ハハ。

「照柿」「地を這う虫」では、抑えっぷりが「渋い」印象に繋がりますが、「リヴィエラ」は「渋さ」と呼ぶには若い印象があるな。主役(ジャック)が若者だからかな。痛々しくて良いよー。

粗筋…ええと、スパイ小説です。若き工作員ジャックが主人公で、IRA絡みで、爆弾テロ(う・まだヤバイかな)で、主に英国、そしてちょっぴり日本が舞台。イカちゃんの守備範囲外とは思うケド、けど案外・お気に召すかも。なんてね。

2002/06/06(Thu) ・・・とりこ
90年代SF傑作選(上)

●「90年代SF傑作選(上)」
山岸真編/ハヤカワ文庫SF/2002年

タイトル通り、1990年代に発表された海外SF「傑作」選集で、上下あわせて22本掲載されてます。初訳は6本。オトクです(特に下巻は面白いです)。 ちなみに92年、つまり10年前に出た「80年代…」てのもあって、そちらも、大変オトク。もし・ご興味のある向きには、ぜひ併読をオススメしたいです。

ところで・某所より「考課評に参加してね」メールいただきました。 で、SF−マガジン同様、点つけてます。エラそうでスミマセン。

◆「サモリオンとジェリービーンズ」
ニール・スティーヴンスン…+2

サモリオンてのは、E−マネーみたいなモノ。ユメ(架空)のお金の正体は、カラフルポップな、甘い甘いジェリービーンズ。…って、カワイイ…バブリーだ…イメージだけで大喜び。
先日の宅急便に、同作者の「スノウ・クラッシュ」も入れときました。スティーヴンスンがイカちゃんのお気に召す方に、ジェリービーンズ、一袋賭けるよ。

◆「コロンビヤード」スティーヴン・バクスター…+0
ジュール=ベルヌの小説が実は、という世界のお話(歴史改変SF)です。

◆「エウロパのスパイ」アレステア・レナルズ…+2
スパイモノ、つまりミステリ風味で、オチは、読めちゃうかも…でも海洋モノでしかもコワイ。特にラスト。面白く読みました。
1990年前後の「花ゆめ」読者は、設定に清水玲子「竜の眠る星」を思い出すのでは。

◆「フラッシュバック」ダン・シモンズ…+1
似たアイデアは既に知ってて、でも読まされてしまいます。日本の扱い方とか、世相とか90年代っぽかったです。

◆「魂はみずからの社会を選ぶ」コニー・ウィリス…+1
だーっはっはっ。(涙を拭く)おっかしー。 ホントは英文学教養がないと楽しめない筈なのですが、訳注という強い味方がついてます。安心安心。

◆「バーナス鉱山全景図」ショーン・ウィリアムズ…+2
上巻ではコレが一番好きです。M・エンデっぽいです。
SFとしてどう・とかそんなリクツ、ゴメンなさい、褪せてしまいます。深く深く惑星の中心へ降りていく。憔悴した目の鉱夫たち。どこまでもただ降りて行く。戻れなくなる。「ああ。そうか。」と判ってしまう、夢(悪夢)とはそういうものです。暗く・ファンタジック。吸い込まれそうです。

◆「オルドヴァイ峡谷七景」マイク・レズニック…+0
レズニックを読むと毎回思うのですが、今回もまた・「温故知新」てコトバの似合う作品でした。「キリンヤガ」大好きなので、アフリカが出てきて大喜び。

◆「永遠に、とアヒルはいった」ジョナサン・レセム…+2
要は人間のバックアップを取るお話なんですが、ハイテクをおバカに使うのであります。でも、そのバカバカしさが、なんか「ありそー」なのでした。
茶化して書かれてますが、ホントは「叶うはずのない「かもしれなかった」を「代りにやってもらう」お話」、なのかも。
そう思って読み返すと、一滴ホドの、切なさがアリ。かも。(?)

◆「わが家のサッカーボール」イアン・R・マクラウド…+1
眼帯をした小型犬…いえ、イカジジイ(イカスじじい/イカ好みのジジイ)が登場します。やんちゃなボクもいるよ。しかし、ヒデエハナシだ。いいのかそれで。そりゃあオカアサンビョーキになるわな…コレも、イカちゃんに読んでほしいかも。

◆「存在の系譜」デイヴィッド・ブリン…+1
ヒロインの心理が、女子の眼で見て、ナチュラルかどうか微妙に保証できないと言うか。でもまあ・SFでミライノヒトなんだからと思えば、別に。
ブラックホールを扱ったSF的アイデアは、大変大変・おもしろかったです。黒を超えた赤、というのは説得力があるです。

◆「羊飼い衛星」アレン・スティール…+0
レンアイ小説です。夫婦でも片思い・な。しかも、老夫婦。爺さん、ちっとも懲りてないのです。マウスでお絵かきする身としては、物語中のツールは、実に羨ましいです…

◆「80年代サイバーパンク終結宣言」ブルース・スターリング
採点対象外ですが、コレもナイスでした。(点つけるなら+2) 「終結」てワリに全然しぼんでなくて、むしろアジテート。 まあ、原題は「Cyberpunk in the Nineties」だし(いい訳だと思います)。

※下巻は、明日書きます。

2002/06/06(Thu) ・・・とりこ
90年代SF傑作選(下)

●「90年代SF傑作選(下)」
山岸真編/ハヤカワ文庫SF/2002年

昨日の続きです。

◆「マックたち」テリー・ビッスン…+0
ホロコーストのドキュメント映画「ショアー」のようなツクリです (インタビューで繋いで、輪郭を囲う事で浮かび上がらせる仕掛け)

◆「ホームズ、最後の事件ふたたび」
ロバート・J・ソウヤー…+1

「歴史改変SF」に偏見がある向きに、無理やりにでも読ませるとイイと思います。あと、ソウヤーを恐竜SFだけのヒトだと思ってる向きにも読ませるとイイと思う。ホームズ、格好イイ。 (何せホームズなので、カッコ良すぎるくらいで丁度よし)

◆「理解」テッド・チャン…+3
対決場面、息詰る迫力! …スーパーサイヤ人同士の対決っぽくもありましたが (つまり、スゴすぎる)。 彼らの戦い、可視ではないだろうから(もしかしてただ向かい合ってるだけ?)映像化するとスゴク面白い(つーか苦労する)だろうなあ。
オチに、もう、深く深く首肯してしまったです。そりゃあ無敵だわ。あと、彼でなくヤツが主役、ってのもいいなあ。

◆「誕生日」エスター・M・フリズナー…+0
そういう反省のし方(させ方)もあるのか…アタシそんな目に遭いたくないな。効き目、ありそう(チガウ)。

◆「フローティング・ドッグズ」イアン・マクドナルド…+1
マクドナルド、ワタシにはややメロウ&センチメンタル過ぎるようで、素直にイイと思ったのって「キリマンジャロへ」位でしたが、これは、音楽的で哀しくて、よかったです。本来命の宿らない何かにふと宿る小さな命(意識)、みたいなのがお好みの向きには、多分たまらんものがありそうです。

◆「標準ローソク」ジャック・マクデヴィット…+1
やあ、90年代でもこういう作品がありなんですね。嬉しくなります。キャラ立て(特に奥さん)が古めかしいカンジで、でもそこがまたいいです。主役の天文学者氏の不器用さ、回想場面の胸を焦がす様、イイです。大きな望遠鏡。夜空への憧れ。「標準ローソク」とは、地学で言う「示準化石」みたいなモノのことでした。うーん・ロマンだ。

◆「人間の血液に蠢く蛇」ジェイムズ・アラン・ガードナー…+2
短いですが、濃いです。3話構成ですが、繋がり方も各話の落ちもそれぞれ面白く、ラストも印象的でした。出だしからまさかこんな展開になるとは思わなかったです。「ポリティカル」だ。特に3話目、勤め人に訴えそう。こういうアホはどこにでもいる。

◆「ルミナス」グレッグ・イーガン…+3
「人類の数学的アイディンティティに迫る」(解説引用) って、? ナニ? な惹句ですが、ホントウにそうでありました。スリル&サスペンスで冒険活劇なタタカウ数学。スゲー。読みながらイロイロ考えました。うーん、コレは「使える」よ(って、何に使うか判らんけど)。面白かったです。

◆「棺」ロバート・リード…+2
壮大だ。そんなアホな。しかし絵的だ。つい思い浮かべてしまいます。(アレに似てるとか言うと一言でネタばれするのでナニも言えません…)

◆「ダンシング・オン・エア」ナンシー・クレス…+1
出だしがいいです。
読み易いし、SFを意識させずにどんどん読ませる、一般にもアピールしそうな「ポリティカルSF」です。

ワタシが母でなく「娘」の立場だからかもですが、有能なお母さん(主役)、出来がおよろしくて、デボラ(娘)、ちょっとかわいそう。 要は、宮部みゆきかしら・と期待してたら(語り手もアレですし)、実は槇村●とるだったのよ…(※しかも最近の)。←バレエを題材にした小説なので、余計そんな印象かも。でもなあ。勿体無いなあ…

エンジェルがとにかくラブリーで。邪悪ババア&スーパー曾孫もナイスコンビ。 キャロラインとエンジェル、いつの間にか仲良くなってて、つまんないな。(それって・ジェラシー?)
ヤバイと判ってても、後先を考えず…って人が後を絶たない、「ありそー」なイヤな未来図は良かったです。

2002/06/09(Sun) ・・・とりこ
「小説すばる 6月号 ロボット小説特集」

■「小説すばる 6月号  奇想天外!ロボット小説大特集
/集英社

6月19-25日に、福岡で開催されるロボカップ。とは「ロボットによるサッカー大会」のコトなのですが、これに連動してロボット小説特集が組まれてます(勿論、ロボカップの記事もあります)。一般公開の入場料1000円ですって。や…安い…イイなあ…

◆瀬名秀明「亜希への扉」
言うまでもなく、ハインライン「夏への扉」へのオマージュ。
ところで。
冒頭、ちっこいロボがみかん箱に「捨て」られてて・それでそいつの名がクリスマスっていうんですが…勿論・みかん箱には拾って下さい書いてある…そう言やアレって猫の話だった…アキって、ズバリ、「秋」??(いやそれは判ってるんですが)…あのう・もしかして山もつく? アタクシの気のせい??

ロボット連作、コレで一応シリーズ終了のようです。連作、いつか纏めて感想書こうと思ってたので、作品への感想はこの次書きます。 「2001」所収の「ハル」+雑誌掲載4本、でいいのかな。

◆安孫子武丸「秘宝館で会いましょう」
そんな真剣に語るようなアレでなく、肩の力を抜いて、軽く楽しめるお話です。設定がちょっと未来で、秘宝館が、例えば現在ワレワレが衛生博覧会に抱いている様なイメージで描かれてて楽しかったです。

◆倉阪鬼一郎「ロボットは怒る」
ダメ編集者と引きこもり作家の生死を賭けた愛憎劇(大嘘)。挿絵、マッチしてていい味でした(何しろ浅賀行雄さんなので)

◆菅弘江「カフェ・コッペリア」
好きになった相手は、人工知能なのかも…友人のレンアイ相談に乗る主人公・ことカナタ君。彼はAIの「チューリングテスト」(AIかニンゲンか見分ける為のテスト)関係で働いていて、人間とAIを隔てるものはナニか、に、最近ちょっと不安を抱いたりしてる。

チューリングテストとか言われても、ピンとこないですが、例えばデンワで悩み相談をしてくるヤツがいて、延々3時間ほど相談に乗ってやっていい加減ウンザリしてるような時、「もうロボット的反応してるよな、自分」なんて思ったりするわけです。深刻そうに相槌打ちつつ、手元で足の爪切ってたりね。(コラ)
だから、主人公の不安は判る。所詮ニンゲン関係だってちょっと複雑化したサインの交換にすぎないのでは、という。オレでなくてAIでもいいんじゃないかとか。自分もそうじゃん・とか。

自分の思うような反応をくれる存在に恋する、って何となく判る。ので、キカイをかわいく思うことも、まあ、可能である気もする。(でも、2年くらい前に出た「フ●ービー」って喋るアレは、ダメだったなあ、ワタシは…)

そのようなキモチが人工生命に向かう時「それってグロテスクだよな」と言う、コレ一見判るようで判らなくて、ちょっと考えてしまいました。「バカだよなオレ」とか「ヤツは気が狂ってる」とか・なら判る。「他人の目から見たらただの機械」と恋に落ちる(例えば手塚の火の鳥のチヒロちゃんとか)、それを客観視するとき、「グロ」ってコトバが何故そこに来るのか、が、今ひとつ腑に落ちないのでありました。

◆乙一「陽だまりの詩(シ)」
乙一、ダイ好きで、だから書くともう「誉める」しか手が残ってないのですが…今回は、ロボが人間感情を学んでいく物語です。そりゃ泣かせ入ってるし、こういうスムーズな「学習」なんて有得ないだろうし、都合良すぎな展開もあるですが、でも、こう丁寧に情感をなぞってこられてはかなわんです。「陽だまり」(タイトル)と「待つ」時間のたゆたいが、いいです。

◆「ブックガイド ロボット小説の現在・過去・未来」
海外編を大森望氏、国内編を瀬名氏がご担当。海外編の方は、コレだけ短い(6P)中にたっぷり詰め込んでありつつ・本の筋もちゃんと判る上・読むのにラクという・実にスーパーなワザが。その上ちゃんとラッカーに紙幅を割いてある(ウェアシリーズ、3冊とも表紙写真掲載)。
国内編は漫画=アトム、異形コレクション「ロボットの夜」、「アイ・アム」「かめくん」、ときて森博嗣に行って(中略)ガンダムに言及し、倉阪「BAD」、そして最後に「猫の地球儀」が強くオススメされるのでありました。コ…コレをロボ小説と(いえ・ちゃんと「ロボットはあくまで脇役だが」って書いてあるけど)。…ふえー、やるなあ。

ついでに、 ◆五條瑛「君の夢は、もう見ない」
読みきりが1本入ってたので。
これ読む限りだと、結構、純でキラキラしいような印象でした。もう何本か読んでみますね。さてさてどんなだろう。楽しみ!

2002/06/10(Mon) ・・・とりこ
少林サッカー

●「少林サッカー」…周星馳監督/公開中

画面一杯に迫りくるボール! 空気摩擦で炎が燃え上がり! キーパーの手袋がぶすぶすと黒煙を上げ! FWの激しい突っ込みに敵方のDFが遥か後方へ弾き飛ばされる! このフィールドは一体何メートルあるんだ! 極端な遠近感! 地響きを呼ぶキック! ちょっとそれ反則なのでは! 何故ボールは無事なままなのか! 

現代日本で生活してれば、大概の日本人は「ドコかで知ってる光景(於:マンガ)」。
波うつ芝生、シュート前に空中で激しく回転するエースストライカー、そういった「マンガだから可能」な筈の「ありえない光景」が…いやあ・CGってスバラシイね。観て・そして驚いて。開いた口がふさがるヒマ、なかったです。いやー凄かった。

更に、女子キャラの扱いが一筋縄じゃないのでした。ある意味予想通りなんだけど・でも予想を超えたわ←…アタクシが甘かった。なんつーか、ハートがあるのもイイよん(笑)。

あと、実はコレ「ギャラクシー・クエスト」好きのツボ…つまり「ウソが本当になるお話」、の亜流、とも言える。かも。
「ホントウ」になって、それで果たして幸せなのかナゾなあたり(でも作中人物たちはとりあえず幸せなカンジ)、イカちゃん漫画に通じておる。かも。←言いたい放題だな・それ。

「単に人物のカオがヘン」とか「むさいオっさんがむさいままカッコ良く登場するがソレはヤハリむさい! でもどアップ!」とか、なんか小学生のようなギャグが満載です(笑)。
でもアタマでビール瓶をあんなに割るのは(幾ら鉄の頭とは言え)ちょっと痛そうでした。イヤン。 まあ・香港映画だからね!

総勢15人でぞろぞろ観に行ったのですが、先日のSFセミナー「や●いとアニパロの部屋」にてご活躍の、A井さまもおいででした。コメントを一部お借りして、シメといたします。

「やおいだ! 近親相姦愛ですよ!」

A井さま・えぐすぎますよ…←ええいもう・我こそはと自負するやおいっこ、必見! (…ウソです……)

2002/06/13(Thu) ・・・とりこ
瀬名秀明「ロボット」連作

●瀬名秀明「ロボット」連作

瀬名秀明さんの、ロボット一連作を纏めてご紹介。 多分この5本だと思うのですが、全作追いきれてなかったら済みません。でもまあ、近々(今秋?)単行本化するみたいですね。

◆「ハル」 /「2001」/日本SF作家クラブ編/早川書房/2001
人間の動作をごく細部までリアルに再現出来る「コピーロボット」が登場。妻のさりげない動作までを正確になぞるロボット(コピー)と妻(本体)の両者を眼前に並べたとき、外側はまったく似ていないのに立ち上がる「似ている」感。
の・もたらす「不気味さ」。

前半〜中盤の「似ている」ことが感動ではなく、気持ち悪さ・恐怖を生む、ホラーっぽい展開は面白いです。この恐怖は理解できる。
知人の双子を見ててホントそう思いますが、「コワイ程似てるよね」と言っても、ニンゲンの場合、その「不可思議さ」は魅力でとどまる「怖さ」だと思います。

でもそれが機械の仕業として生み出される時、現出するであろう不信感・キモチ悪さ。それは、きっと、本当に、コワイ、筈だ……のに・後半においてこの「怖さ」、解題が成されぬまま物語が終わってしまうのです。ちょっとはぐらかされたような気持ちに。

安易な結論づけより誠実かも、とも思われますので、難しいなあ。 物語的には、破綻はないかもですが…

◆「夏のロボット」 /「小説すばる 2001年9月号」掲載
子供の頃、幾度も通った博物館。たった一度バス停で出会った、日に焼けた麦藁帽子の男性。夏の、白く強い日差し、懐かしい記憶がふと蘇り、…

「八月の博物館」もう大名作と思っているワタクシは、このテイストには弱いな。5作中ではコレが一番好きかも。「八月」は男の子ですがこちらは女の子による夏の追憶。男性への茫漠とした憧れのあたりが、うふふ・でした。記憶を現実世界で追いかけるトコは、ちょっとミステリー風味。
ロボとニンゲンが混ざり合った風景(新しい関係性)への問題提起は、面白いです。それにSETI計画が絡んでくる…そうそう、再読して思い出しました。これを読んで、ワタシは昨夏SETI@Homeを自宅マシンに導入したんでした。

◆「アトムの子」 /「文芸春秋 2002年1月号」掲載
老境にさしかかったロボット研究者が主人公。
いつかアトムを自分の手で作る、という積年のユメを、今なお抱く主人公。未来世界において老朽化した、宝塚市の手塚記念館が舞台です。

◆「見護るものたち」 /「文芸春秋 2002年5月号」掲載
女の子、ロボ、イヌ、地雷、と要素が多い力作です。阪神大震災、9.11も絡んでいて、研究者が「現実」を目の前にしたとき、自己の非力さをただ噛み締めるしかない無念さのあたり、読ませます。

末尾で謝辞の捧げられている田所諭氏(神戸大学)の研究成果は「子供の科学 2002年6月号」(※)でも取り上げられています(ライター・斉藤勝司)。併読を強くオススメ。災害現場で働くレスキューロボット(自律ロボット)の第一人者で、作中の地雷撤去ロボのモデル(であると思われるロボ)も、写真入りで詳しく紹介されてます。
※…5月号ではロボカップ特集(前述の田所教授はロボカップのレスキュートーナメントで実行委員長をお勤めだとか)、6月号にはロボデックス2002の記事もあります。

◆「亜紀への扉」 /「小説すばる 2002年6月号」掲載
実は、上記の「見護るものたち」と裏表構造、な仕掛けが(それ言いたくてこんなに引っ張ってきた…)。内容は、軽いタッチのラブストーリー、かな? 先日ご紹介したように「夏への扉」のオマージュなのでした。

以上5本、連作と呼ぶには、ホントはバラつきがある気も(単行本になったら印象チガウかも・ですが)。ただ、先日のSFセミナー東部屋での最大論点であった「ポリティカルであろう」と言う試みは、5本全てに示されています。これらは全部、社会の中にロボが混ざってきたときどうよ、って言うお話だ。

通低する「人間とロボットの関係性への考察」は、「SFと現実社会との関わりへの試み」、とも読めます。全体の印象は、ちょっと何だかでこぼこ、というかあまり滑らかではない気も。するかも。



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