2002年8月

2002/08/1(Thu) ・・・とりこ
世界最大の恐竜博2002見学レポート(その1)

■「世界最大の恐竜博2002」 (→公式HP)

幕張メッセで開催中の「世界最大の恐竜博2002」を観てきました。(見学日:2002年7月21日)
個人的にみどころだった展示など、簡単にご紹介してみます。

◆オススメ展示

・ アロサウルス(全身骨格)…(第2展示室)
・ セイスモサウルス(全身骨格)…(第4展示室)
・ スーパーサウルス(座骨、肩甲烏口骨ホカ)…(第4展示室)
・ 日本出土の恐竜化石群…(第4展示室)
・ アフリカの恐竜…(第4展示室)
・ 羽毛と尾羽を持つ恐竜…(第6展示室)

※本文は、 こちらです。


2002/08/4(Sun) ・・・とりこ
「恐竜」
●デービット・ランバート「恐竜 児童図書館・科学の部屋 別巻
増田孝一郎・小野和子訳/評論社/1981年

先日、「恐竜が好きって、なんでまた?」という超直球なツッコミを受けてしまいました。

うーーーん。確かに…
説明を試みましたが、これがナカナカ難しい…発端は弟がファンで、ってアレでしたが、もっと前から興味はあったし。
SFファンは、恐竜属性と天体属性で2分できるらしい(と聞きました)。 なら、私って恐竜属性? …天体属性の方がかっこいいような…うう…(ちょっと悔しい)。

ビジュアルは原点だと思います。やっぱカッコイイじゃん。「大きさ」+「爬虫類」という判りやすい魅力、迫力、説得力。子供に人気なのもこの辺じゃないかなあ。

ホネを観る楽しみもあります(骨格標本て、美しいとおもう)。

それから、昔、西欧で化石は「神様が天地創造の際にお造りになった生物の、失敗作の残骸」という解釈をされてたらしいですが (有名なエピソード)、サスガ絶滅しただけあって、絶滅するだろコリャ。としか言い様のない、へんてこりんでグロテスクで不恰好でアンバランスな有様。トゲがあったり鎧があったり。首が長かったり。ホントにこんな出鱈目なのが生きて動いてたのか? と思うと不思議だし、面白いと思う。(※…多少の不恰好さは、研究の不備もあるかもですが…)

骨を手がかりに復元を立ち上げて行く過程や、地層の堆積物、後背地、そういったものから生息状況を推理したり、の謎解きも面白いと思います。皮膚やウロコや足跡や、胃石とか糞石とか、巣とか、そういった生活痕跡も面白いし。

タイムマシンがない以上、「ホントはどんなか」は確かめようがない。しかしホネはある。だからとりあえず、ウソではない。
石、という厳然たる「本当さ」。どんなに出鱈目に見えてもそれがリアルにリアルであった世界があった・のかもしれない。
このへん、きっと自分的にヒットなんだろうと思います。

時を経て石になる、という不思議さ。
そしてそれが「地べた(或いは、崖とか)を掘り返すと出てくるものである」というのも、なんだか本能的に誘われるものがある。気がする。そして、掘り出されるまでは、どこかにじっと埋まっている、というのもまた良い。

どうでしょう・そう思いませんかお客さん…!

個人的にトドメとして今回の標題(大判の図鑑)の存在が、強烈にある。と思います。
1985年の夏休み、上野の国立科学博物館の「恐竜イグアノドン展」にて、母が買ってくれました。当時2900円。お母さんどうも有難う。今も大事にしてます。

表紙イラストのウロコ描写のカッコ良さに始まり、全体に子供向けじゃない印象の本です。媚がないというか、スポイルの為の砂糖が入ってないというか。お遊びじゃなくてホントの話なんだな、という印象が強く、たいそう憧れました(弟らもまったく同じことを言うので、多分この図鑑はすごくいい図鑑なのだと思います)。
「マジメに面白い」ことへの憧れ、というか。オトナっぽい匂いがしました。今見てもカッコイイ、いい本だと思います。

時折、「子供向け図鑑」(図鑑に限りませんが)にカンチガイなコンセプトを感じることがあります。子供に理解しうる、ということのはきちがえにはいつでも腹が立つな。大体、子供の頃だって、そういう本て、見分けついてた。と思います。

勿論、子供向けのスバラシイ図鑑も多く、それらを眺めるのは、今も大好きです。ちょっと前流行った「本好きへの百の質問」に「辞書読んだことありますが」って質問がありましたが、辞書も面白いけど、図鑑ってのもまた、相当面白いと思います。絵入りのセツメイを眺めるのは実に楽しい。


2002/08/5(Mon) ・・・とりこ
「es(エス)」
●オリバー・ヒルシュビーゲル監督「es(エス)」 (公式HP)

観たのはちょっと前ですが、感想書きあぐねてました。そろそろ落ち着いたので書いてみます。 (あと、やっとシゴトも落ち着いてきたし。←このところしんどかった)

よく出来た映画です。既に色々受賞してますが、当然と思われます。例えばNHK教育chで丸ごと放映してもよし、場面切りとって語学番組の聞き取り教材に使ってもよいし、といった印象。役者さんは皆演技達者だし、ドイツ映画らしい隙のない造りで、ある意味文句つけようがありません。

でも、いいエイガだ、観るといいよ! とはオススメしにくい…わざわざ休みの日に人間のダークネスについて思い知らされたくないヒト(そんな必要もなく日常いろいろ疲れてるし・とか)も多いと思う…とりあえず「娯楽」ではないと思います。 それに、これ観たからと言って何か変われるかというと、どうなんだろう…

ズバリ言えば、救いがないのでした。現実てものを直視すれば、それはただの真実にすぎないのですが、でもそれにまっすぐ顔を向けていて、観客はそこから逃げられない。ムリヤリにでも作り手の意図する部分に連れて行かれる。誰にでも、この狂気の可能性は、ある。

簡単なあらすじ。新聞の公募で、ある程度の報酬と引き換えに、心理実験の参加者を集めるわけです。外部と切り離した環境におき、ランダムな2グループに分けてロールプレイ(看守と投獄者の役割分担)させ、心理的圧力を加え、集団心理を観察しよう、という実験が…

…実験、の筈が…。

そういう映画です。

もっと恐くなる筈を、上手く逸らしてあるな、とも感じました。
中盤、それまでのメンタルな圧力が血生臭い系のひどさに転調します。矢継ぎ早でスピーディ、雪だるま式にひどくなる、転げ落ちるような暴力性、ショック強いです。相当気持ち悪くなりました。でも本当は、前半の流れが続くことの方が、多分、観る者のココロに、あまり良くない。本気で怖くなってしまって、一瞬、中座も考えたんですが(ホントに)、流れが変わったことで逆に観続けられた印象でした。「あんな強引な展開はありえない、あれはお話だ」と思わせる「ウソっぽさ」として、観客のショックを軽減する装置としての暴力性、という気すらします。暴力のほうがまだ安心だよ。

主人公の恋人(女性)が、人間性の象徴となっています。アイスクリームのウェハースというか、冷えた体温を元に戻すような、緊張感を和らげるクッションとして効果的な挿入だと思います。でも、構成的には唯一の突っ込みドコロかも。主人公がしきりに回想する幻影の彼女に、実は現実との接点がある、てのは裏返し×裏返しでよし、って解釈も可能かも…でも「この人、何??」というカンジもちょっとある。

まあ、この暑さですが、観てサムくなることは請け合い。

※「ラン・ローラ・ラン」でローラの恋人役を演じたM・ブライプトロイの主演です。今回も相当宜しくてよ! ファンは必見。


2002/08/10(Sat) ・・・とりこ
「わたしは真悟」
●楳図かずお「わたしは真悟」 /小学館/全10巻/1982-84年/(現在は小学館文庫など)

何しろ楳図マンガなので、衝撃の連続です。色々と問題作ですが(「恐怖マンガ」と定義していいのか、良く判らない…)、実は恋愛マンガだったりもする。驚き倍増。しかもアナタ、小学生カップル! ※二人とも、正しい小学生です。そこもまた素晴らしい…!

いろいろ言いたいですが、勿体無いな…なるべく前知識少ない状態で、と思わせる作品でした。実はイカちゃんにお借りしました…何も言わないでくれてアリガトウ!!>イカちゃん

前半山場の東京タワーの場面からして、もう心臓バクバク…コドモ向けのようですが、コドモ泣いちゃうよ、こりゃ…。

独特のテンポ、緊張感、視野狭窄、伏線(かどうかよく判らない)引っ張り、「一瞬一瞬は筋が通っているようだが、全体を通して考えると、やはり色々と理不尽な悪夢」に似てるかも。
絵の力もとても強いです。緻密さとリアルさ、迫力と独特のムード、楳図といえば思い描くアレ。何にせよ、コドモ泣いちゃいそう。ひえー。

でも、主役二人は結構カワイイです。いや、カオが。レトロな造作って気もしますが、綺麗というか…特にヒロインのまりんちゃん。マジで。ロビン(と言う名の、やな毛唐が出てくる)、アンタ相当キライだけど、気持ちは判るわ! (←……。)

後半、地球が…人類が…と、どんどん壮大になっていきますが、それは例えば小学生が「ギョーカン休みに中庭に巨大な火の玉が降ってきてさ、そいで人類は死滅すんだぜ!」と言ったらそれが現実化した…! といった印象。
子供の想像力って、時折、彼らを取り巻く世界が狭く限られているが故に、抽出されるものの純度が非常に高く、オトナをはっとさせる説得力を備えてたりします。コドモ特有の短絡さ、リアリティを欠くまさにその部分が持つ、有無を言わせぬリアリティ、を思いました。

コンピュータに関するマジメな記述もまた驚きでした。これだけ展開はムセキニンなマンガ(?)なのに、その辺りにはたいへん責任感があると感じました。
また、恋愛と呼ぶには稚拙かもしれない、「好き」という感情の一連の絡み。慕わしい誰かへの執着。

壮大なあれこれとかは読んでお楽しみいただくのが一番だと思うのですが、どうしても言及したい、震えのくるようなテーマがありました。

「子供の時間が終わってしまう…!」←コレ。

ドミノ倒しの描写、読んでてなんだか半泣きでした。この感覚をワタクシは非常によく知っていて、でも、そんなこと、きっと誰もが知っているのでありましょう。この焦り。憔悴。タイムリミット感覚。何故そんなにも急ぐのだろう。だって、急がなきゃ、もうワタシ達、子供じゃなくなっちゃう! 
こんなところでこの感覚を眼前に差し出されるとは、思ってもみませんでした。やられました。

勿論、楳図マンガに期待される独特の「キャーーーッ」「ギャアーーーッ」という怖すぎる表現も盛沢山です。演出効果だけはありそうな流血やヒト死にとか。

なんかもう、ピラミッドとか前方後円墳とか、ああいった「どうやって作ったんだか後世の人間には計り知れないが、一目見れば一発でスゴイと知れる、存在するだけで説得力のカタマリ」、「神秘パワー溢れるダイナミックな人類の遺産」て具合のマンガでした。 てか、認定したいよ、人類の遺産に…。


2002/08/11(Sun) ・・・とりこ
「LOVELESS(ラブリス)」

●新井理恵「LOVELESS(ラブリス)」/全2巻/小学館/別コミFC/2001〜2

一見「少女マンガ」。その絵柄で、暴力とシモネタ過剰。ケッコウヒドくて、ケッペキなお年頃には反発感じたかも。だって「オカズ…(略)。要はズ○○タ」(※本文中はココ伏字になってないです)って脚注があったり。せ、せめて伏字にしようよー…
作者本人が穴埋めコラムで「どの雑誌に載っても浮く」とコメントしてますが、そうだろうなあ。 ビックリだよ。

でも、それらは、例えば、別に意図してないのに「下品〜」とあざ笑われてしまう「かもしれない」なら、あざ笑われてしまう前に自らめちゃめちゃにコワしてしまえ! と突っ張った結果、な雰囲気があります。シモネタがそこまで好きなのかというと、…いや、好きなのかもな…。まあいいや。

「感動」や「ちょっといい話」っぽさ、「アコガレ」等のある種の甘さにも同論理が働いてます。自己防衛というか予防線というか。ちょっとでも甘い気配のあるネタ、そんなキショクワルイもの、いっそ自ら塗り潰シテヤルワ! みたいな…。早稲田ちえ「NERVOUS VENUS」(講談社KC)の美少年コンビ「ゲッヒンズ」のよく使う、「下品なギャグネタで、ちょっと照れ隠しするお年頃!」ってアレらを20倍くらい攻撃的にすると、こんなになるのかな。(あちらも結構、攻撃的な筈なんだけどな…)

でもこれ、一種独特のすがすがしさもあります。色気に逃げないせいかな。

逃げないからと言って、破綻してイイのかというと、また別だろうとは思います。でもとにかくこのマンガは「イイ話っぽさの安っぽいベタツキ」みたいなものに、異様にケッペキで過敏なキモチのほうを、流れの破綻より、断・然・重視する作者によって描かれてるので、それらへの嫌悪にシンパシーを持ちうる読者は、多分、読んじゃうだろうと思います。ちょっと画面ウルサイけど。←それは、字がやたらと多いからだと思う…

偽善を嫌うピュアさが、イキオイ余って真っ黒にナリマシタ! かのような裏返りに満ち満ちたこのマンガ。好きなオンナノコに迫って、迫り方がヒドイ為、ストーカー呼ばわりされて散々な目に遭う男子が登場します。 でも、この男子が主役女子を好きなのだ、ってことに、読者は疑いを持たないと思います。ああコイツアホだな、とは思っても。ナゼこんな目に遭ってまで好き? この女どこが魅力? としか言いようのない理不尽な執着(恋着)は、その理不尽さ故に、なんかリアリティーあります。このまっしぐらさ。「スキ」の理不尽さ。

いいヒトという偽善皮を着るより、相手の好意にタカビー(アンタなんてけっ!)である正直さの方をまっとうする、ある意味男らしい女子。
が、欲望大暴走なアプローチを繰り返す、これまたある意味正直な男子。
を、がしげしと足蹴にする、この様。これだけゲヒンさ一杯なのに、実はたいへんケッペキなマンガだと思います。
あと、この男子、かつて一途とか純情と呼ばれてた偽善皮をかぶらず、懲りないストーカーとして堂々と妄想してます。悲惨なギャグも多いですが、妙に清清しいです。ヘンタイだけど健気というか。男らしいんだかそうでないんだか…

「だけど私は 女の子扱いされてドキドキするより
ムードがなくても
私と一緒にいるのを
楽しんでもらえるほうが 好き」
また別な箇所からの引用ですが。このケッペキさ。

全2巻です。結構キレイに、というか肯定的に終わってます。とってつけたようではありますが、あながちウソでもなさそう。妙なキボウの光が差しています。

「デコボコ3人娘のホットでスパイシー、ときにセンチな高校生活」「ドタバタ学園ラブコメ」(2巻・裏表紙より)…す、スパイシー? 激辛だよ…何度も吹き出してしまいました(特に1巻!)。


2002/08/20(Tue) ・・・とりこ
「さらば俺に血まなこ」
●おおひなたごう「さらば俺に血まなこ」/イースト・プレス/2002年

タイトルは「さらば」ですが、実はまだまだ連載中です(「ギターは苺でいっぱい」/TVBros./東京ニュース通信社)。

かつて「チャッピーと愉快な下僕ども」(ながいけん/ラポート/1988) ってマンガがありました。 当時中学生だったワタクシやイカちゃんに、どれほど新しいマンガだったことか…伝説的だよ(於「とりイカ」内)。ちなみに、チャッピーと同時に「コージ苑」がクラスで回ってたな〜…(追憶)。

「おやつ」感想で書いた「常識のボタンを一つ掛け違えることで生まれる笑い」、ナンセンスのもっていきかた、どこか「チャッピー」読んだときの印象と近いというか…。ので、ながいけんファンの方に特にオススメしたいです。ハイブローなのにどうにも呑気なトコとか。内的宇宙の王者・平口くんの妄想のブラックなおかしさとか、メロスでなくてセリヌンティウスが走っちゃうのを思い出させたりとか。

でも、いざながい作品と読み比べてみると(比べてみた。)「…やっぱ、似てない…」とも思ったり。どちらも、どちらかに似てるなんて安易に言わせない独自路線に溢れておるよ。画面は似てなくもないですが。

一番チガウのは「突き放し度」かも。「冷たすぎ」「ブラック」と感じる人もいるかな…「心当たりのあるナニカが、辛口ドライに抽出されてるが、ちゃんと笑えるように脚色されている」のがながい作品とすると、おおひなた作品は、「コレ、笑っちゃ可哀想?」って部分も、たまにあるかもです。

ただ、「意地悪く」嘲笑ったり、「あたたかな目線」でほのぼの笑いに方向付け、とか、それらだって「予定調和な定石」な訳で、そういうモノを端から引っくり返す、のがおおひなた式かと思います。こうくるかな、って気配はブラックであろうとほのぼのであろうと、他人事でも自分のことでも、片端から別路線へ掛け違えちゃえ、すべて「掛け違え」優先。
「誰のことも優先しない代わりに、誰のことも棚に上げてない」公平感(??)も、あるような。

あと、特に「おやつ」に顕著ですが、おおひなた作品て「おもろいヤツがいたら、そのまま好きにさせとく」感じがあります。
その「好きにさせといて邪魔しない」は、突き放しというより、独特の肯定感のような気がします。「ドラえもん」がユートピアなら、「おやつ」もユートピアだ。住人、皆どこかヘンだけど、彼ら、彼らなりに自分たちはフツウだと思ってるよ。

前述の「チャッピー」には、「ゴメス」というヘンテコハードボイルド・推理マンガ(「密室殺人事件が起こった! 被害者Aさんの傍に、何故か靴下が落ちていた…果たして事件のトリックは? 答は次頁! ってアレ。のパロディ)が登場しますが、「さら俺」では「えりあし警部」てのが出てきます。「おやつ」には「豆知識ダンディー」てキャラもいるよね!
「そんなヘンな事件起こんねーよ!」(…それって、事件か?)当然、推理もヘン。(…推理か?)そして、解決はそれでいいのか?? そんな具合にスバラシイですよ。

ホントウにおもろかったネタ、紹介回避してます。だって勿体無いもん。(バイトロボとか、信じてはいけないパソコン教室とか…、あかいひでかず可哀想過ぎ…てか、それ一体何味?? 何味であろうと…なんか、不味そうだよ!)
シリーズとはいえ、繋がりはあまりないので、初おおひなたマンガとしてイキナリこれ読んでも全然OKだと思います。

そうそう、谷川俊太郎の「生きる」って詩のパロディもあって(「いま生きているということ」…ってアレ)、パロディしつつも、でもちゃんと詩に対するリスペクト入ってんなー、と思いました。何じゃコリャ。ひえー、やるやる。


2002/08/21(Wed) ・・・とりこ
「翻訳夜話」
●村上春樹・柴田元幸「翻訳夜話」/文春新書/2000年

いっとき話題になってましたが、やっと読みました。
翻訳フォーラムが3回分、スベテ対話形式です。話題になっただけあって、お二人の翻訳への姿勢、何を重要視するか、など、ほんと判りやすいし、読み易かったです。←目の早い人なら、多分、2時間かからないと思うな…。

いまアーヴィングの新刊「第四の手」が出てますが、お二人の初の共同作業は、やはりアーヴィングの「熊を放つ」だったとか。村上氏は柴田サマより5つ年上、若き柴田サマには憧れの方だった、とか。お二人の関係に新しい発見が。(…って…)

一番の読みドコロは、ヤハリ、同一短編をお二人の競訳で読み比べできる点。柴田版オースター&村上春樹版オースター、柴田版カーヴァー&春樹版カーヴァー。巻末に、ちゃんと原文も掲載されてます。←嬉しいサービスですね、コレ。

春樹のオースター、柴田のカーヴァー、という、通常の逆バージョンの方が、ワタクシにはヒットでした。もう断然。
村上氏、本文中で幾度も「オースターは、自分には新しい発見がないので、あまり翻訳の作業として魅力を感じない」旨を述べておいでで、オースターファンとしては、こう「…何をコヤツめ…」とか思うわけです。(←アンタ何様…)でも、春樹版オースターのコトバ運びはとてもナチュラルで、まるで春樹作品のようでもあって、なるほど「発見がない」というのは、なんだかとても納得できたのでした。

まあ、村上氏には退屈でも、読者としては機会があれば、ぜひもっと…なんて思いました。やってくれなさそうだけど。オースターってかなり淡白な印象なのに、この本の柴田版を読むと、村上版に比して味付けが濃いのも驚きでした。柴田色、あるとは思ってたけど、実際、あるんだなあ。

逆に、柴田カーヴァーは春樹版のそれより気負いがなく、読者の想起するイメージに委ねるような感触で、シュールな作風のカーヴァーを読む際には、ワタクシには(自分のイメージを自由に立ち上げて行けるという点で)たいそう読み易く思われました。春樹版は、春樹解釈が濃いです。勿論、それをイイとお思いの方もあるでしょうし。

春樹版カーヴァーは訳しおろしでない上(1991年刊行の短編集からの再録)たったこの量で判断なんて、あまりに安易ですが、でも、本文中お二人が「翻訳とは愛だ! でもその愛が時に邪魔をするのだ!」と盛んに語っておられる、その弊害の一端を、ちょっぴり理解した、かも、という気がしました。そこが、狙いなのかも…?

3つ目の対話「若い翻訳者たち」の「参加者A」「B」としてご登場の方々、ちゃんと見るとアナタ、岸本佐知子さんに、畔柳和代さんに、坂口緑さんに…きゃー!(ミーハー)


2002/08/22(Thu) ・・・とりこ
しながわ水族館ミニレポ
●しながわ水族館 ミニレポート  (→公式サイト

「案外いいよ」と聞いてましたが、ナルホドでした。確かに、サ●シャインとは比較にならんね。混んでたけど、楽しかったです。
夏休み中は無休だとか。当日中は再入場も可能です。(←先日の恐●博では、コレでエライ目に遭った…)

◇イルカショー:
鴨川シーワールド等の、広いプールのショーとはスケール違いますが、行ったら観るのオススメです。都内で唯一のイルカショーらしいですし。 イルカって、賢くってかわいいなー。
立ち泳ぎしつつの「ご挨拶」(ひとしきり声(?)出してくれます)、バー越したり輪くぐりしたり、ボール遊び、ホカ色々。
観客席とプールに距離がないので、前席は、水しぶき結構かぶります。ちびっこたちが大喜びしてました。

◇大海原へのいざない/トンネル水槽:
大水槽を、上下から観る構成(下が「トンネル水槽」)。ここだけで100種、2500匹以上だとか。ひえー。
上から見下ろす、足元感覚の「大きいなあ」と、下から見上げて感じる「大きいなあ」は、思いのほか異なっていて、見応えあります。

◇ペンギンランド:
ペンギン達、相当バテバテでした。目がうつろ…ぼーっとしてた。大丈夫なのかなあ…まあ、当日も暑かったしね… 
ここ数日、朝夕だいぶ楽になりましたが、彼らも少しはラクになったのかな。(ちょっと心配…)

◇ふれあい広場:
「ヒトデに触ろう」コーナーがありました。

…ヒトデ、あんまり触感よくない…(←触ってみました)

◇特別展示「毒のある生き物たち」:
個人的には、ここの展示の毒生物より、通常展示の「オオカミウオ」って魚が一番怖そうに思いました。あ、通常展示といえばハリセンボン(怒ってなければ、針って寝てるんですね)も面白かったなあ。怒ってない姿って初めて観たかもです。…でも、怒ってるとこが観たいなあ…←コラ

…ええと、毒のコーナーには「エイに触ろう」企画もありました。モチロン触ってきましたよー。
感想→イカに似てました。お料理に使うナマのイカに…ぬるぬるクニクニ、美味しそうでした。(今後食材として認識してしまいそう。ああ、薄皮取って輪切りナドして、ボイルに、…)


2002/08/24(Sat) ・・・とりこ
S-Fマガジン9月号

●「S‐Fマガジン 2002年9月号」/早川書房

戦争SF特集。社会派なテーマですが、エッセイ特集「9.11同時多発テロに寄せて」(C・K・ラッシュ、B・スターリング、川又千秋)は、たいへん読みごたえがありました。今号一番の読みどころはここだと思う。読むことで、この事件を少し手近に引き寄せることが出来ると思います。ナマで判りやすい。スバラシイ。採点するなら+3。にしても、1月10日が無事に過ぎて良かったなあ…(いえ、冗談じゃなくて。)

◆「剣戟の響きも」ハリイ・ハリスン…+0
他の宇宙船に突撃して肉弾戦、シンプルで、そのシンプルさに強いメッセージ性がありました。女子が一切出てこない「オトコの世界」でした。

◆「スパイリーと漂流塊の女王」アレステア・レナルズ…+0
こちらは女性しか出てきません。ナルホド。田中光さんのたおやかな挿絵の為もあってか、マッチョ度が随分違います。不思議なものだなあ。
でも「ヤロウ」って名のキャラ、初め男性かと思いましたよ。(「野郎」なのかと…いや・マジでマジで)

◆「同時多発世界最終戦争」ジョージ・アレック・エフィンジャー…+1
タイトルどおりのお話でした。アナーキーさが筒井康隆みたいな印象でした。謄写版って、もはや(そのレトロさが)ファッショナブルな印象すら。

◆「私はいつも私」林譲治…+0
ワタクシは常々、自分には限界があり、しかしその限界こそが自分らしさを規定しているのだー、とかご都合主義なことを考えていて、まあ、そういうお話でした。(ネタバレしすぎ?)

◆「S.P.Q.R.」高野史緒…+0
先月号、後先考えず人に貸しちゃって、読むのに要らぬ苦労を…(マヌケ)。 このシリーズは初読で、今秋単行本に纏まるそうで、纏めて読むほうがいいかも…キャラに馴染みなくて残念でした。(てか、コレだけでは主役が一体何者なんだか…) ヒミツ会議、面白。てかこれ2c●のことか。あいたた…  後編は、だいぶ駆け足な印象でした。

◆「立便図」 (ことのはの海、カタシロノ庭)
田中啓文/藤原ヨウコウ…+0

ああ、田中啓文…でした(例の如くラスト一行に集約)。でも、別に挿絵は要らない気が。
田中啓文作品て、いつも脳内で唱えつつ読むのですが(だってそれも重要なお楽しみの一つだし)、今回は意図的に音読不可にしてあるのかも。


2002/08/24(SUT)・・・ヤマナ
さらば俺に血まなこ
おおひなたごう「さらば俺に血まなこ」(2002/イースト・プレス)

「これを読まずして何を読む(何も読まない)!」と、オビの言葉からしてイカしたおおひなたごう最新刊。

「TV Bros.」を購入していた頃は夫と私、どちらが先に「俺に血まなこ」を読むかで激しいバトルが繰り広げられたことでした。そして残念ながら「先に読む権利」を取られた方は、「絶対ネタをばらすな。ばらしたらおまえを殺して俺も死ぬ」と、人が読んでる後ろから、あつい光線を出して訴えていたものでした。

なので、「とりイカ」でもなるべくネタばれしないように推薦するしかないのか…!でも言いたい言いたい言いたいよー。だってすごくおもしろいですよ?
でも下手に文章で説明するより、読んで(見て)もらった方が格段におもしろいのも確かなんだよね。ネタをとりまく空気感含めてのおおひなたごうだし。
とりこもビックリのあかいひでかずネタもあの微妙な似顔絵あってのものと思われる。

えーと、特にウケた辺りを羅列すると、一連のへのへのもへじネタがすげえと思った。あと、駅長ネタ(これは公式サイトTシャツにもなってますね)。あと、「小学●年生」の付録のなぞなぞブックを愛読していた身には今回かなりツボをつかれるものがありました。あとやっぱ、しましまシャツのあいつ…。やっぱやめやめ。きりがないです。

そうそう、おおひなたごうとながいけんとは方法論が違うんじゃないかな、ととりこの感想文を読んで思いました。
おおざっぱに言うと、今我々がいるこの世界と価値観が地続きの「常識的な」世界の中に、とびきりのへんてこな奴を投入して、不思議な漫画にしているのがながいけん。我々がいる世界やそこにある価値観ごと、へんてこワールドにそっくり変換しているのがおおひなたごう、って感じではなかろうかー。…って、結局とりこが言ってることとあんまり変わらんか。

しかし「チャッピーゆかいな下僕ども」は当時めちゃくちゃビビットだったよな…。いまだ「こんな宇宙人だったのだ」とか、意味もなくセリフをそらんじてしまいます。


2002/08/28(Wed) ・・・とりこ
ロボ属性

■「ロボ属性」

先日書いた恐竜ネタ中の記述(「SF」は「天体属性」と「恐竜属性」に分けられるらしい?)に、 一歩さま(8/15付日記)より、「自分の場合、恐竜属性や天体属性というよりロボ属性かも。」との言及をいただきました。 (反応遅くてスミマセン…)
亜種かどうか判りませんが、ロボ属性(ロボ萌え)ならワタクシもあります。てか、思い出してみると、コドモの頃って、今より数段萌えてました。ロボに。

人生初のロボ萌え、C-3POとR2‐D2。でした。マジで。そうです1983年に「スター・ウォーズ第1作・TV初放映」(水曜ロードショーだったかな?)を、観てしまった・のでした。
お子様だったもので、このエイガ、当時は真剣に怖くて。ソファの後ろに隠れながら観ましたよ(ダストシュートの場面なんて半泣きで観た記憶が)。てか、その前年に「E.T.」劇場で観たんですが、これも、面白いんだけど、相当怖かったキオクあるです…

このエイガは印象強かった…(トオイ目)何しろお蔭様でハン=ソロ船長、ワタクシの初恋のヒトでしたよ…。うはは!でも翌日、クラスにそういう女子、何人もいましたよー。

R2の後部座席からのサポートって、ロボ萌えの極でした。だってR2、焦げちゃうのよ…けなげだわ勇敢だわ! ラブ!


2002/08/29(Thu) ・・・とりこ
DUST

●ミルチョ・マンチェフスキー監督 「DUST」 (→公式HP
※筋上のネタバレは避けてますが、内容に結構触れてます。先入観ナシで観たい方はご注意下さい。

NYのスラム街。空き巣狙いの若者が安フラットに忍び込む。だが部屋の奥には、銃を構えた老女がいた。
思わぬ反撃を受け、たじたじとなる若者。警察を呼ばれたくなければ話を聞け、客は久しぶりなのだから…と迫られ、成り行き上若者は老女の物語を聞く羽目に陥り、…… (イントロ)

過去と現在、2本の時間軸が交錯しながら進みます。老女によって語られる物語は、語り手の都合(体調とか色々)により短縮され、改変され、そしてまた、必ずしも順序だてて語られるものでもありません。
で、財産目当て一心で、聞きたくもない話を聞くうちに、若者は次第に老女に情が移っていくわけです。その辺は冒頭で読める展開どおり。
でも、読めてても、このワカモノと老女の交流はイカス。素直にキモチが出てます。

さて、二つの物語(語り手としての老女の「過去」と、老女の「現在」)が語られた上、「語られる相手にとっての物語」という視点が持ち出されます。若者がまた別の誰かに、この物語を語るからですが。(そして「受け取られた新たな物語」がまた生まれる)…モチロン、観客には「それら全てを含んだ1つの物語」=この映画、と判る。昨今流行(?)の、「物語の為の物語」てヤツですね。

ここまではホネ組み。それとは別に、老女の語った物語が魅力的かどうか? ホネを覆い隠す皮の具合はどんなか? という問題が残っております。

残虐表現多いです。最近の映画はリアルでいかん…流血・人死に…血生臭いし、キモチワルい。マケドニアの乾いた風土の雰囲気は、たいへんよく出てるとは思います。ただ、流血や銃による暴力表現、ちょっとしんどかった。(my周囲の女子は、総じて「ちょっと…ひどかったよね」って感想漏らしてますし。) まあ、戦争とは、そして人が死ぬとはこんなもんなんだよ、と言われちゃうとそりゃ納得せざるを得ない。です。としても、それでも、残酷だと思う…

キャラ造形は魅力的でした。特に主人公。彼が何故そのように愛され、そのように憎まれるのか。理解できます。

あと、実は出産が絡むのですが…。
女優さんがえらく美人で、そして、あのう、こ、声が…喘ぎ声が…良くて… (オイ)なんというか・し・出産てそんなエロティックなモノナノデスカ?? という疑問が、やや。イヤワタクシまだ産んだことないし、出産に立ちあったこともないし、こんな美女の出産に今後立ち会うこともないだろうから、判らんのですが…。物語における出産の扱いっぷりといい、これ実は、一種の出産ドリーム? とも思ったり。まあ、出産にユメがない、よりは、いい…のかな…(謎)

主演のデビッド・ウェンハムはオーストラリア出身。アイスブルーの瞳がいかしてます。「指輪」の2作目にもご出演のようなので、楽しみ。ジョセフ=ファインズ(弟役)は、今回もオンナ寝取られ役…。兄弟の愛憎モノで、つれない兄と追う弟。そういうの好きな向きはオススメかも。美男×美男だし。
(私見では、ホモネタ(コラ)の余地は、うーん…。微妙かな…←って、実は「とりイカ」に時折「スパイダーマン や●い」って検索の方がおいでなのですが。…まあ、そっちなら、判らんでもない・ですが…。なんつて。)


2002/08/31(Sat) ・・・とりこ
おおひなたマンガ考/「属性」考・続き

■おおひなたマンガ考(?)後日談

とり:「先日キミが書いてくれた 『方法論が違う』っての、正直「なんとなく」しか判らん…もっと、説明プリーズ」
イカ:「簡単に言うと、ながいけんは一部キャラのみが狂ってて、 おおひなたごうは世界そのものが狂ってる。って感じかと。」 (裏とりイカより抜粋 ←実在しません。念の為

…そうかあ! 持つべきものは「本職」のトモダチだ!(?)
要は、ながい作品では「われわれの今いる日常に、ヘンな人を登場させる」ことで、「常識」とのぶつかり合いがどーたら、となるトコロを、おおひなただと「われわれの今いる日常に酷似してるけど、微妙にどこかずれた(狂った)世界」に、「今いる日常での常識」を持ち込むことで生まれるぶつかり合いがどーたら、になるのかな。もし解釈違ってたらゴメンね。>イカちゃん

「俺に血まなこ」シリーズより、週刊少年チャンピオンで連載してた「おやつ」の方が、この傾向は顕著かと思います。「おやつ」終了時は残念でしたが、秋から新連載が始まる? との話もあるようで、とても楽しみです。 (※不確定な情報でスミマセン。詳細、まだ不明で…)

■「属性」考・続き

個人的には、こんな印象が。
 恐竜→熱帯っぽい。動的。生臭い。
 天体→冷たい。静的。無機質。

…コレって、北方系と南方系、どちらが魅力的? とかそういうハナシ? ←「北/南方系美女」に限らず「北/南方系老人」とかね。…それなら北方系がいいな…(こらこら)

ところで、5月のSFセミナーの折に「センス・オブ・ジェンダー」賞候補作への考察を拝聴しました。小林泰三「AΩ」も候補に挙がっていて、「一体またなんで??」と疑問噴出したのですが、その根拠というのが「男でも女でもない第三の性」というものへの可能性? を、含んでいるかも…という。
面白いなあ。と思いました。

「第3の性」というと、オトコでもオンナでもない(「両性具有/または無性(セックスレス)」)、ということですらない、のかな…それって、一体ナニ?? 
以来、ずうっと考えてました。今もまだ考え中…

ロボ萌え=「それは第三の性の可能性」? ははは。でも、何となく思い出されたのでした。いや、天体と恐竜が北南つまり陰陽なら、どっちをオトコでどっちをオンナとするかはまた別として、ロボは3つ目? とか考えたり。(※まあ、そもそも属性=萌え、ではないという気も)

ワタクシにとっての「ロボ萌え」は、「矛盾」や「制限」を孕む部分かな、と思います。壊れない筈なのに壊れる。制御されている筈なのに暴走を起こす。便利さに制限がある。賢いのに理解できない。無敵な癖に時々ガス欠をおこす。…うーん、こりゃ第3の性とはカンケイなさそうだなあ、やっぱり…

このハナシ、向井さまにも、話題にしていただいてます。(8/30、31付日記) 31日の「SFの3大テーマ」のお話は、たいへん「成る程なあ」でした。そうか天体、恐竜、ロボがそれぞれ3大にハマルのであれば(実際、そういう気がします)、「第3の性」とは、やっぱり関係ないな……残念。(笑)


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