「ぶっとびマンガ」電子版その3 もくじに戻る
一気に下まで行きたい
この地区は、「スーパーナチュナル超・超人伝説スーパー」その1、およびその2に引き続き、とにかく超人的な主人公が現れては超人的なワザを駆使していくという地区である。そうした観点からすれば、とうぜん「マッスル超宇宙マッスル超絶マッスル世界」 その1、およびその2とも密接な関わり、というか兄弟関係にあるようなモノなのだが、とくに主人公のワザがあまりにも超自然的、超人的、またはマッスルの汗くささや無骨さが感じられないのにワザはほれぼれするくらいに超人的、なマンガを紹介してみたいと思います。
注:以下のテキストは本作のネタバレを多量に含んでいます。新鮮な気持ちで本作をお読みになりたい方は、以下のテキストを読まない方がいいと思います。
手なしの親分!!
お付きの武士たちを、口に加えた刀で、首を旋回することによって次々に斬り倒していく無双。
中学生くらいの頃、結末まで読んであまりの急転直下のオチにあっけにとられてしまった。
青島文化教材社が出していた「合体マシン」シリーズのコミカライズ第3弾。
……というわけで、レッドホーク連合艦隊とフォックス軍団の要塞・ガイルスターとの壮絶な戦いが繰り広げられる。
今まで、レッドホーク連合艦隊と互角に戦えるほどの大きさだったはずなのに、いつの間にか土星に突っ込んでクルクル回せるくらいに巨大化した要塞・ガイルスター。比率も何もあったもんじゃないです。
オリジナル合体プラモデルのコミカライズ、アオシマコミックスの第5弾。実質的なシリーズのラストにあたる。
・「レッドホーク連合艦隊」 原作:グループ1・2・4・5、まんが:今道英治(1979、青島文化教材社)
・「レッドホーク シャイアード」 原作:グループ1・2・4・5、まんが:今道英治(1980、青島文化教材社)
・「レッドホーク 古代ロボ ゴダイガー」 原作:グループ1・2・4・5、まんが:今道英治(1981、青島文化教材社)
・「復讐鬼人」 楳図かずお(1967、少年マガジン20〜22号)(「楳図かずお『こわい本』Vol.1 影」、2003、朝日ソノラマ)収録 [amazon]
「復讐」をテーマにした作品は数多いが、「復讐」について語り合って合意を得ることはあまりないし、そもそも語って盛り上がるような話題でもなさそうである。
これは、「復讐」をさまざまなレベルでプロットに落とし込むことができるからだと思う。
ごく単純な「復讐譚」として考えた場合でも、復讐する者とされる者のパワーバランスはむずかしいし、受け手の心情によっても変わる。復讐されるほどのひどい所業、それへの復讐そのもの、どちらも陰惨になりがちで、後味の悪いものも少なくない。
あるいは、受け手が自分を「復讐する者」と「される者」、どちらに位置づけるかでも変わってくる。さらに、復讐する者とされる者にズレが生じれば、それはホラーとなるだろう。「いわれなき怨念による復讐」ほどイヤなものはない。
ことほどさように、あまり楽しい話題にはなりそうもないのだが、まあ当サイト管理人権限で勝手に話を進めさせていただく。
なお、カテゴライズとしては平田弘史「血だるま剣法」(→感想)も考えたのだが、いわくがありすぎるのではずしました。ヘタレと言われても結構でございます。
・発端
宇田城城主・宇田文武は、どこやらに攻め込まれ、落城寸前に追い込まれる。このとき、世継ぎの若君・光忠を剣の達人・近藤無双に託した。
無双は幼い子供の正吾とともに、田舎のあばら屋に隠れ住んで献身的に若君に尽くすが、そのわがままぶりは尋常ではなく、光忠の正吾への度重なる虐待ぶりにカッとなった無双は、ついに彼をひっぱたく。
運悪く、ひっぱたかれて転んだ拍子に失明してしまう光忠。当然、本来なら切腹ものの事態だが、残虐な城主・文武は怒りのあまり無双の喉を焼き、両腕を切断して罪人収容所へ入れてしまう。
ここでの強制労働は過酷なものであったが、無双は残された息子・正吾のことを思い死ぬことができず耐えるのであった。
子供であり直接事件に関係のない正吾は責任をとらされることはなかったが、光忠の遊び相手兼お目付役となり、あいかわらず盲目となった光忠のイジメを受けていた。しかし、父の耐える姿に自分も耐え抜くと決心したのであった(この辺は「巨人の星」風でもある)。
まあ、光忠が盲目となった原因は無双にあるし、正吾のためと思い過酷な労働に耐える無双だったが、光忠が初陣で殺されたと聞いた文武は、怒りのあまり正吾を打ち首にしてしまう。
いまや近藤無双はかんぜんに罪人そのものであった
とるべき手段がないために
かたく決意したふくしゅう心も
消えてしまったのだろうか……?
しかし、無双はいかなるときも人間性を忘れなかった。
病人にはかんびょうを……
そして腹をへらしたものには
自分の食べ物をわけあたえた
また 弱い者をかばうことも
忘れなかった
だがその後、光忠が生きていたことが発覚。正吾が無駄死にだと知った無双の怒りは爆発し、牢やぶりを決行。
だが、文武の目の前にまで来て取り押さえられ、今度は両足のすじを切られて野原に放り出されてしまう。
・復讐
死に瀕した無双の上に、雨まで降ってくる。
無双はたえた
草を食べ
雨水をすすり
信じられないような精神力で
せまりくる死からたえぬいた
いや たえただけではない
城主宇田文武へのふくしゅうをすてず
じりじりと城へ
せまっていたのだ……!!
足も動かないのに少しずつ、少しずつ城へと身体を近づけていく無双。そこに、牢に入っていた頃にかばってやっていた男・ばか市が姿を現す。
おいらだよう
ばか市だよう!!
親分だけが
おいらを
いじめなかった
あいたかったよう!!
この男の名はばか市という!
足のはやいのだけがとりえの
ばかな男である
無双とともに 宇田城の牢に
いれられていたが
みんなからいじめられているところを いつも
無双にたすけられたため
無双にだけは
ひじょうになついていた
そのばか市が
たどたどしくかたったところによると
無双が牢をやぶったあと
ほかの罪人たちも脱出した
だが ただひとり
足のはやいばか市だけが
にげのび たすかったという
無双は、ばか市の背に乗って自由に走り回る特訓を開始。
毎日のように野原で見かけるその姿を、遠くから眺める百姓たちは「まるであれは鬼じゃな」と恐れるのであった。
そしてあるはれた日、狩りに来た馬上の文武に向かって、無双を乗せたばか市が全力疾走でせまりくる!!
無双の復讐は果たせたのであろうか?
・終結
まあすべてあらすじを書いてしまうのも何なので、そこら辺は曖昧にしておくが、最後の1ページがすごい。
何と、ばか市は無双の復讐に付き合った後もばかのように宇田領を走り回り、彼が牢で感染していた伝染病が村中に広まり、城主・宇田文武もその子・光忠も、部下も百姓も何もかも全員が全員、死に絶えて宇田領一帯は絶滅してしまうのである!!
本作が収録されている「こわい本」の作者あとがきでは、南條範夫(「シグルイ」(→感想)の原作「駿河城御前試合」(→感想)の作者)、映画「武士道残酷物語」、そして平田弘史に影響を受けたとはっきり書いてある。
これらの「残酷もの」が発表当時の時代背景としてすでにあることを考えると、人間同士の残虐な傷つけあいのうちにすべてが無に帰してしまうという虚無的な結末は、何ら珍しくはないと言える。
しかし、結末のたった1ページ(コマにして6コマ)で宇田領全体が伝染病によって全滅してしまうという衝撃的なオチはなんだか「こち亀」みたいだし、無双の腕が切り落とされるシーンは描いても、息子の正吾の首は隠して描かないようにしたりといった少年読者への配慮、無双が牢内でも理性を失わない立派な人物として描かれ、それが結果的にばか市の協力に結びつくという少年マンガ的展開が、ラスト1ページに虚無的というよりは因果応報的な余韻を与えることになっていると思う。
本作がトラウマだという人は少なからずいるようだが、私自身は本作は「無双の復讐成就のために、天が裁決をくだしてしまった」とでもいうような、爽快感さえ覚えるのである。
また、プロットそのものが「血だるま剣法」のエスカレーションに酷似している点においても、言い方は悪いが「残酷もの」のパチ感という印象が若干ぬぐえず、それでこそ時代の雰囲気を残す結果となり、「ぶっとび」の名にふさわしい作品であると思うのであった。
(04.1103)
・「レッドホーク連合艦隊」 原作:グループ1・2・4・5、まんが:今道英治(1979、青島文化教材社)
「超絶プラモ道」(→感想) [amazon]の紹介では、シリーズ中最もハチャメチャな作品として紹介されている本作。
「コメディ作品」と説明されてはいたが、印象として実に「ぶっとび」のにおいがしていた。が、いざ読んでみると、当コーナーの「ぶっとびマンガ」かどうかという基準に照らすと、やはり「コメディ」とか「スラップスティック」だとか言った方がいい作品だ。
・なぜかおちゃらけ展開の連続!
西暦2112年、地球はタンカー爆発、航空機事故、大地震とさまざまな災厄に見舞われていた。その背後にいるのは、馬頭星雲のベテルギウスからやってきたフォックス軍団であった。ちなみに、ベテルギウスは恒星なんだけど……。それと、全2作では「宇宙歴」だが、今回はなぜか西暦になっている。
とにかく、フォックス軍団の総統・フォックスバットは、地球侵略を目論んでいたのであった。
まあ「超絶プラモ道」を読んだ人はみんな知っていると思うが、作画の今道氏や、アオシマの社員、果ては社長まで登場する楽屋オチ、宇宙空間にガッシャン(ガシャポンを出す機械)が登場し、ガシャポンから出てきたウルトラマン消しゴムで敵艦を消してしまうというハチャメチャギャグ、宇宙に石やきイモ屋が飛んでいるというコミカル描写などが連続。
しかし、そんな中に「消しゴムで消された戦艦は『宇宙海』という、宇宙空間に浮かんだ超巨大な水溜まりに落っこちてしまう」という(本作にしては)マジ描写が混ざっていたりしてさらによくわからない。
それと、コメディ描写の中で一見目立たないが、1巻、2巻では「最後の手段」的に使われていた「体当たり」が本作ではほとんど当たり前の戦闘方法になってしまう。
ガイルスターの機動部隊なんて、むやみやたらと特攻しまくる。
そして「ぶっとびマンガ」的に特筆すべきは、「スペースキャリア レッドホーク」同様、「クライマックスで土星の輪が地球を切り刻む」ということだろう。
・「土星の矢」に気をつけろ!!
その名は「サターン・アロー作戦」。連合艦隊の捕虜となった、フォックス軍団のブランダー将軍が言った。
「『土星の矢』に気をつけろ!!」と。
というわけで、ガイルスターは一本の「矢」となって土星を射抜き、串ダンゴみたいになって土星ごと地球に接近、地球をその輪で切り刻むのだ!!
まあここまで大風呂敷が広げられて、それが地球側のコミカルなロボット軍団に倒されるというギャグ描写でおさめられてしまったのは個人的にちょっと残念。
しかし、形成が不利になったガイル元帥とウルフ将軍が巨大化し、巨大ロボであるアトランジャーやムサシとの肉弾戦になり、最後は連合艦隊の体当たり攻撃(また!)で倒される過程は、勢いがあってなかなか燃えます。
前回はザコキャラにすぎなかった「アトランジャー」もけっこう活躍してるしね。
なお、「フォックス軍団の神」と呼ばれるフォックスバット総統は、最後まで出ないままである。何やらものすごい超能力を持っていそうなキャラクターだったが、部下が全滅してしまったから事実上侵略するほどの力がなくなってしまったということなのか。わからん。
・その他のアオシマ・コミックス
・「レッドホークヤマトII」 原作:グループ4・5、まんが:今道英治(1978、青島文化教材社)(→感想)
・「レッドホーク シャイアード」 原作:グループ1・2・4・5、まんが:今道英治(1980、青島文化教材社)(→感想)
・「レッドホーク 古代ロボ ゴダイガー」 原作:グループ1・2・4・5、まんが:今道英治(1981、青島文化教材社)(→感想)
(03.1223)
・「レッドホーク シャイアード」 原作:グループ1・2・4・5、まんが:今道英治(1980、青島文化教材社)
オリジナル合体プラモデルのコミカライズ、アオシマコミックスの第4弾。
・あらすじ
1981年、地球は宇宙侵略者・ムゲン帝国の急襲を受けた。アメリカ本土から始まった攻撃は、今や全世界に広がろうとしていた。
そんな折り、日本の小学生・島沢はじめは、ガールフレンドののぞみとともに、謎の男から「デジホーン」という未来っぽい腕時計を託される。
それは、22世紀から時空間コンテナ「火の玉特急」で送られてきた巨大ロボット「シャイアード」とそれを収納する基地に行くことができ、さらに22世紀の世界のレッドホーク艦長・神宮寺総司令官とも会話ができるスグレモノメカであった。
ムゲン帝国は、22世紀の地球侵略を狙った異次元人であったが、レッドホーク艦隊に敗れ、科学力の劣った20世紀の地球を侵略しようとたくらんでいるというのだ。
巨大ロボット・シャイアードを操縦する、はじめとのぞみの戦いが始まる。
・感想
一読して感じるのは、やはり当時放映されていた巨大ロボットアニメ「無敵ロボ トライダーG7」の影響が強いということだろう(ちなみに、プラモデル「シャイアード」のボディの基本パーツは「トライダー」のプラモデルの流用だそうだ)。
「トライダーG7」は、東京では「機動戦士ガンダム」の後ガマに放映されたスーパーロボットもの。「宇宙のなんでも屋」を自称する民間企業「竹尾ゼネラルカンパニー」の社長におさまった小学生・竹尾ワッ太が、学校に行ったり友達と遊んだりしながら毎回出撃して地球の平和を守るという内容だった。
・激しく余談
当時小学生だった私はララァの登場あたりから「機動戦士ガンダム」を見始めたのだが、それまで浴びるようにスーパーロボットアニメを見ていた反動もあいまって、そのあまりの「今まで見たことがなかった感じ」に「コレは何かスゴイことが起こっている!」とコーフンし、「ガンダム」放映終了後は、確実に似たテイストのリアルロボット路線になると思い込んでいた。
そこに始まったのがほぼオールドスクールに属する巨大ロボットアニメ「トライダーG7」であった。まあこれはこれで、好きで毎週見ていたんですけどね。その後もこの時間帯は「最強ロボ ダイオージャ」などがやっていて、スーパーロボットとリアルロボットが混淆していたことが思い出される。
これは当然、90年代に入って「勇者シリーズ」などの路線と、その他のリアルロボットものが共存していたのとはまた違った意味合いを持っていた。
・感想その2
さて、本作はとりたてて「ぶっとびマンガ」的要素はないのだが、アオシマ・コミックスシリーズとして便宜上、このコンテンツに入れさせていただく。
あらためて読んでみると、当時の子供向けコミカライズとしては他の作品と比較しても遜色のない佳品であると思う。
「トライダー」の設定上の影響を考慮に入れても、はじめ少年の日常生活とシャイアードによる戦いが対比的に描かれる点は面白い。親や友達には「シャイアード」の件は秘密になっているし、この秘密を、かわいいのぞみちゃんと共有しているというのもいい。
別の侵略者「キングスネーク軍団」との戦いのために、22世紀のレッドホーク艦隊そのものが二十世紀の日本に来ることができず、「火の玉特急」でときおり助っ人メカを送り込んでくるというのも楽しいし、スパイとしてはじめのクラスメートになる敵の副官、シン・カイザーの娘との間に芽生える友情と悲劇から、クライマックスの決戦への持って行き方など、最後までメリハリのきいた作品になっている。
ネットで探して「トライダーG7」のあらすじを読んで、同作では「巨大ロボットが日常生活において、一般市民に認知されている」という設定だったことを思い出した。
「トライダー」は、ふだんは公園に頭だけ出して置かれているのである。当然、一般市民はそれが「巨大ロボットの頭」であることを認識しているのだ。
そして、出動時には「ご町内のみなさま、毎度お騒がせいたします。ただいまより、トライダー発進いたします。」とアナウンスが入り、公園で遊んでいる子供たちは退避していく。考えてみれば、このリアルなんだか荒唐無稽なんだかわからない設定はすばらしいな。
それと比較すると、「未来人と約束し、ガールフレンドだけの秘密としての巨大ロボット」という「シャイアード」の設定はどうしてもひと昔前というイメージになってしまうが、問題ない! だれもが「少年探偵団」に夢中になるように、子供にとって大人の知らない秘密を持つことの魅力は、何ものにも代えがたいだろうから。
「ぶっとびマンガ」とはほぼ何の関係もないが、私はとにかく全編に流れる郷愁に浸りまくった。このようなデザインの巨大ロボで、小学生が、女の子とともに敵と戦い、しかもそれが他の人々には秘密だなんて設定は、パロディでもないかぎりもう二度と新作としては見られないだろう。
・感想その3
さらにつけくわえるなら、本作とは無関係だがいまだに印象に残っているのがそれから数年後、「週刊少年サンデー」に「巨大ロボットものはマンガには向かない」という記事が掲載されたことである。
おそらく、80年代のスーパーロボットとリアルロボットとのブームで、オタク好きのする少年サンデーには巨大ロボットのマンガを投稿する者が頻発したのだろう。
確かに、マンガでは巨大ロボと中の人間を両方描かねばならないなど、アニメにはない難点があるし、少なくともメジャー誌ではアニメ的な設定を踏襲した巨大ロボットものでヒット作というのはほとんどない(「パトレイバー」は、最初からアニメ化などのメディアミックスが確定していて始まった連載なのでは?)。
しかし、本作を読むと果たして本当に巨大ロボットものはマンガに向かないのか、ちょっと考えたくはなる。まあ「スーパーロボットマガジン」などのハシリと考えることはできるだろう。
・その他のアオシマ・コミックス
・「レッドホークヤマトII」 原作:グループ4・5、まんが:今道英治(1978、青島文化教材社)(→感想)
・「レッドホーク連合艦隊」 原作:グループ1・2・4・5、まんが:今道英治(1979、青島文化教材社)(→感想)
・「レッドホーク 古代ロボ ゴダイガー」 原作:グループ1・2・4・5、まんが:今道英治(1981、青島文化教材社)(→感想)
(03.1224)
・「レッドホーク 古代ロボ ゴダイガー」 原作:グループ1・2・4・5、まんが:今道英治(1981、青島文化教材社)
・あらすじ
2113年、レッドホークの新米隊員・武田剛は、夢で助けを求められていると確信し、大原マリ隊員とともに艦載機を無断で使って宇宙へ飛び出していく。そしてタイムスリップしてたどりついたのは、1982年の地球であった。
ここでは、巨大企業マーチン・カンパニーが街を焼け野原にしようと攻撃していた。
剛とマリは、日本を脱出し謎の陸地に不時着、そこにいた河本博士に助けられる。
なんとそこは海底に沈んだはずのムー大陸だった。実はもうすぐ惑星直列が起こり、地球は大打撃を受ける。それを回避するためにマーチン・カンパニーは河本博士が開発した「ソルフレアーシステム」を奪い、自分たちだけが生き残って地球を支配しようとしていたのだ。
剛はムー大陸の地下にあった巨大ロボ・ゴダイガーとアトランジャーを発見。これで戦えると思ったのも束の間、アトランティス大陸も浮上し、暗黒大魔王がよみがえるのであった。
ゴダイガーと暗黒大魔王との、ソルフレアーシステム争奪戦が始まる。
・感想
途中、ソルフレアーシステムを暗黒大魔王に奪われてしまうんだよね。
普通なら、そのままほうっておけばムー側は惑星直列の影響による天変地異で滅びてしまうからアトランティス側の勝利なんだけど、暗黒大魔王は、
しぜんにまかせてなんになる!!
われらの敵はわれらがつぶす!!
それでこそ真の勝利というものだ!!
とか言ったので、結局かなりの被害を出したまま、暗黒大魔王の方が滅んでしまう。
最大のツッコミどころは、アトランティス大陸で造られたはずのスーパーロボット「アトランジャー」が、「ムー大陸でつくられた」という設定になっていることだ。
おそらく「ムーVSアトランティス」という図式を考えて、なおかつアトランジャーを味方メカにするため(ゴダイガーと「ニューアトランジャー」を同梱したプラモも発売していたらしいし)にこんなどうにもならない状況になってしまったのだろう。
最終的には常に総力戦の様相を呈してしまう「アオシマ・コミックス」シリーズなので、さすがにワンパターン、種切れ感は否めないが、惑星直列、ムーやアトランティスの伝説などオカルト色を強くして新味を出そうという努力は見られる。
結局は「ソルフレアーシステム」の取り合いに終始し、それすらも暗黒大魔王の言葉どおり破綻してしまっているのだが、もっと大胆にオカルト的要素を取り入れればぶっとんだ作品になれたのでは、などと思う。
何にしても、「古代人の残したスーパーロボット」っていうのはロマンだよなあ。
・その他のアオシマ・コミックス
・「レッドホークヤマトII」 原作:グループ4・5、まんが:今道英治(1978、青島文化教材社)(→感想)
・「レッドホーク連合艦隊」 原作:グループ1・2・4・5、まんが:今道英治(1979、青島文化教材社)(→感想)
・「レッドホーク シャイアード」 原作:グループ1・2・4・5、まんが:今道英治(1980、青島文化教材社)(→感想)