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「SFおしかけ女房その8」
「SFおしかけ女房その6」
一気に下まで行きたい
・「ソリャナイゼ みるきぃライフ」全1巻 あろひろし(1997、学研)
コミックノーラ連載。塩田太陽人(ソルト)は、スケベな高校生。ある日、新任の超巨乳女教師・美流木みるくと結婚することを、厳しい祖父に言い渡されてしまう。
スケベでみるく先生の巨乳に興味アリアリのソルトだが、「じいさんとはいえ、ヒトから強制されて結婚するのはイヤだ」と、せまってくるみるくから毎晩逃げ回る生活。
あらためて読んで気づいたけど、連載中に読んでたんだよな。でも途中からだったんで、執拗な巨乳ギャグがなんだかよくわからなかった記憶がある。回を追うごとにみるく先生の巨乳はどんどん大きくなるし……。タイプとしては「女神さまっ」以前のパターンを継承したオールドタイプおしかけ女房もの。
最終回でランジェリー仮面が変身した「愛の戦士(ソルジャー)カップマン」というのが、かなりいい意味でくだらなかった。Jカップのブラジャーを頭にかぶってんだよね。
週刊少年サンデー連載。「狂犬」と呼ばれるケンカ最強の高校生・沢村正治は、その恐さが災いしてか彼女イナイ歴17年の寂しい日々。
話には聞いていた設定は、異常すぎてヒいた。しかし、読んでみると案外フリークス的な感じはしない。
ただ、セイジのお姉さんのキャラ造形はあまりに当たり前すぎて、登場エピソードは最後の1コマまでが予想できそうな勢いだった。学校でセイジに思いを寄せる綾瀬さんがわりといいキャラだけに、顔見せ程度に出てくるキャラクターがありきたりだと余計に沈んでしまう。でも続きは読みたくなります。
週刊少年サンデー連載。当然ながら1巻(→感想)の続き。突然、右手が自分を愛する少女・美鳥に変わってしまったセイジの当惑と、彼を取り巻く美少女たちを描いた不思議学園ラブコメ。
アフタヌーン連載。鈴木六文は、どうしようもないダメ親父と二人きりで暮らしている少年。ある朝起きたらその親父はぶっ殺され、かわいい女の子・瑠玖羽(るくは)とその従者らしいナゾの等身大人形(?)ブブが住み着いていた。
かわいい女の子その他の登場人物がドタバタするが、その背後には何かゾッとするようなザンコクなものが見え隠れする。でも、今のところは決してそのザンコク部分はメインにならず、あくまでも表面上はスラップスティックな物語が進行するという印象。
あさりよしとおも、80年代以降のオタクっぽいマンガについて考えるにははずせない一人。だけどあんまり読んでない。すいません。
アフタヌーン連載。鈴木六文と人間で溢れかえった地獄から、これ以上地獄行きの人間を増やさないためにやってきた悪魔のるくと従者・ブブたちとの奇妙な同居生活。
週刊少年チャンピオン連載。占いオタクの中学生・花丸大吉は、人生最良の運勢の日に、美女悪魔のびゅうを呼び出してしまう。びゅうの魔法には魔宝(アイテム)が必要で、アイテム探しのために2人はときには時空を越えて奔走するのだった。
「SFおしかけ女房」のコーナーもひさしぶりです。本作は、びゅうが登場時はかわいさよりも色気、蠱惑的な魅力を全面に出していたのが、次第にかわいらしさを全面に押し出すようになっていく。ストーリーも、最初はタイムトリップをするなど派手目な展開だったが、後の方になるに従ってお話らしいお話もなくなり、大吉とびゅうの関係が淡々と描かれていく。
お話全体の流れとしては、出だしはちょっと読みにくい。あっちに行ったりこっちに行ったりといういい意味でのとっちらかり方は山口譲司節という感じ。また、出てくる女の子もかわいいというより色っぽい感じの子が多い。
【関連作品】・「ああっ 女神さまっ」 藤島康介(1989〜、講談社)の感想
【関連作品】・「BOiNG(ぼいん)」全7巻 山口譲司(1999〜2001、集英社)の感想
(03.0205)
読みきり作品。大手製薬メーカーの巨大研究所がある小さな町。もともと奇怪な噂が経つところへもってきて、現実に放射能漏れ事故を起こしてしまった研究所は周辺住民から猛烈な反発をかっている。
ヤングジャンプ連載中の「エルフェンリート」(私の感想)単行本第一巻収録作品。主人公の少年の顔の造形が恐い、小さな美少女の出自が悲惨すぎるなど、いろいろな意味でインパクトの強い作品ではあるが、「人形の女の子にしか興味が持てない」という部分も含め、作者本人がギャグでやっている部分も多少感じられ、微妙な作品ではある。
それよりも、同作者の作品「メモリア」(私の感想)を読んで感じたことがより強化されているのだが、悲劇的ラストに物語のすべてが収斂しているのが気になる。ここではただ悲劇とそれに対する感傷だけがあり、何の問題も解決しない。そういう意味では、何も始まらないし何も起こらないとも言える。
マンガとしては、いろいろなアンバランスな要素も含め最後まで読んでしまうパワーはある。が、最初にショッキングな設定を提示して引っ張っていく一種のショックマンガだといえる。
コミックガム連載。A5判。人知れず異星人・セイントと戦ってきた組織・ヴェスパーの戦闘用アンドロイド・まほろ。戦い続けた彼女は、武装を解除すればあと数百日間は生きられる(逆に言えば、時期が来ると機能停止=死んでしまう)。
優やまほろたちが学校や家でドタバタコメディを繰り広げている一方で、異星人・セイントから戦闘アンドロイドがやってきたり、異星人を地球から排撃する組織「管理者」の存在があきらかになったりと、シリアス路線の話も進む。
2巻まで読んでから2年くらい経ってしまったが、その間にアニメにもなった。なぜ2年間も積ん読でいたかというと、まずぢたま某ってつるぺた派なんだよね〜。パンチラにもあまり執着がない気がする。
5巻まで通して読んでみると、学園ラブコメ的パートとシリアス宇宙戦闘パートが半々か、どちらかというと宇宙戦闘の話の方が多い気すらする。5巻からは、「管理者」から逃げ出してきた美少女サイボーグ・みなわが優やまほろたちと一緒に暮らすことになる。
まあ絵が本当にカワイイんで、それだけでいいっちゃいいタイプのマンガなんですけどね。つるぺたファンにはたまらんのではないか(私は違うけど)。
(02.1022)
月刊少年チャンピオン連載。花右京家の家督をすべて譲られた太郎は、当主として屋敷で大勢のメイドに囲まれて暮らすことに。太郎がとってもかわいいメイド長のマリエルやその他の美少女メイドとイチャイチャし続けるマンガの第4〜6巻。
何度も断っているように、「おしかけ女房モノ」というよりは美女ばかりの世界に主人公が入っていく「ハーレムもの」に近い。
また、女の子の頭数を揃える以外設定らしい設定がないこのテのマンガとしては珍しく、なぜ太郎がとつぜん花右京家の当主となったか、なぜマリエルのような無条件に太郎を愛するメイドが存在するのかなどの謎の提示がちゃんとある。ま、今後それらの伏線が始末されなくても何ら驚かないが……。
マンガ家としてのもりしげは、小学校に強盗が侵入してきて小学生の女の子を犯しまくるといった目を覆いたくなる鬼畜系作品を描いていたが、作風が一転、こうした「癒し系(?)」作品を描いているワケだ。が、ホントはこういうマンガが好きな読者をバカにしてるとか、そんなウワサもきく(ソース忘れた)。
後は伏線を始末する気があるかどうかだけが、興味の対象。
アニメにもなった。私は見ていないが、「みんな同じ顔」でいったい何人いるかわからない「お側御用大隊」が三つ子っていう設定になってますね。本作でも何となく3人になっているのはその影響もあるのか。
(02.1018)
電撃コミックガオ!連載。2巻の帯が「押しかけ宇宙人、また1人!?」とあったので購入。「おしかけ○○」という言葉が帯になっていたのは、正直驚いた。
幾原武哉はアパートで一人暮らしをしている高校生。といっても、大家は幼なじみのねね子の親らしい。彼はディアーズにはまったく興味がなかったが、ある日ディアーズの少女・レンと同居することになってしまう。しかもこのレンという少女、ディアーズのコミュニティに認められた「正規の」存在ではないらしい。
本作で珍しいことはと言えば、「ディアーズ」という存在自体が世界的に認められている設定になっていることだろう。レンはどこかのマッドサイエンティストがつくったとか、たまたま魔法の国からやってきたとか、そういうローカルな存在ではなく、世界全体が一種のディアーズブームになっているというのが面白い。世界中にディアーズの存在を知らない者はいない。ディアーズのファンサイトまでちゃんとあるのだ。
一方で、ディアーズたちは市民権、人権を与えられているにも関わらず自分たちを「奴隷」だと明言する。レンは武哉と「認証の儀」を行い、武哉を「ご主人様」と呼ぶ。セックスまで役目のひとつとしてプログラミングされているらしい(レンはこれを「トギ」と呼ぶ。もちろん少年誌連載なので最後まではヤらない)。
武哉とレンの関係をわりとしっかり描いていて、次から次へと美少女が登場してきてわやくちゃになるような感じはない。わりと落ち着いているところに好感が持てる。
今後は「宇宙からやってきた奴隷用ヒューマノイド(?)」というきわどい設定を、どう描いていくかが注目か。
電撃コミックガオ!連載。200×年、宇宙から飛来した奴隷種族・ディアーズ。彼らは人間たちの中に溶け込もうとしていた。
「セックスまでプログラミングされた奴隷用ヒューマノイド」と人間の高校生の関係をどう描くかと思ったが、当然ぬるぬるのラブコメなわけです。
成年コミック。主にコミックめんま連載。一人暮らしの大学生・春之介の元に未来から届けられたのは、ネコ耳メイドアンドロイド「メイドロイド」の雪之丞だった。
……正直、まさか続編が出るとは思わなかったなぁ。この巻では、新キャラとしてナースロイドの菊丸(めがねっ娘ナースのアンドロイド)が登場。雪之丞、香と合わせて四角関係みたいになる。
アイドルの出ているドラマや映画を愛でるように見る、そんな感覚で読むマンガではなかろうか。今後続くかも不明だし。
・「メイドロイド雪之丞」 井萩寿一(1999、実業之日本社)の感想
(02.0930)
コミックまぁるまん連載。美少女悪魔のミーアと契約を結んでしまった俊平は、魂をとられるどころかミーアに愛されてしまう。人間の理紗、大家さんのアリサも俊平に惚れていて、しかも同じマンションに住んでいるから日常的にハーレム状態。見習い天使の愛鈴までもが俊平の元へやってきて、彼女たちが俊平を取り合う騒動を描く。
この巻で完結。魔界がどうのとか、ミーアが悪魔であるという話はなんだかあんまり関係なくなる。コスプレ天然ボケ少女として描かれる天使の愛鈴がちょっと面白い。
読みきりで「イ☆メ☆ク☆ラ忍法帖」を収録。風魔小太郎の子孫の忍者が、お家再興のためにイメクラを経営、娘の緋魅華(ひみか)に客をとらせるというムチャクチャな設定。緋魅華は気にくわないお客は忍法で追い返す、負けん気の強い娘。最後まで、いい意味でムチャクチャ。
(02.0930)
・「美鳥の日々」(1) 井上和郎(2003、小学館)
・「美鳥の日々」(2)〜(6) 井上和郎(2003〜2004、小学館)
・「るくるく」(1) あさりよしとお(2003、講談社)
・「るくるく」(2) あさりよしとお(2004、講談社)
・「魔宝DEサドンデス」全3巻 山口譲司(1991、秋田書店)
・「MOL」 岡本倫(2002、単行本「エルフェンリート」(1)所収)
・「まほろまてぃっく」(3)〜(5) 中山文十郎、ぢたま某(2001〜2002、ワニブックス)
・「花右京メイド隊」(4)〜(7) もりしげ(2001〜2002、秋田書店)
・「花右京メイド隊」(8)〜(9) もりしげ(2004、秋田書店)
・「Dears(ディアーズ)」(1)〜(2) PEACH-PIT(ピーチピット)(2002、メディアワークス)
・「Dears(ディアーズ)」(3)〜(5) PEACH-PIT(ピーチピット)(2004、メディアワークス)
・「メイドロイド雪之丞」(2) 井萩寿一(2002、実業之日本社)
・「聖魔(せま)ってミーア」(2)(完結) 宮本たつや(2002、ぶんか社)
・「ソリャナイゼ みるきぃライフ」全1巻 あろひろし(1997、学研)
今まで一人暮らしをしていたソルトは、押しかけてきたみるく先生と同居することになってしまうが……。
おまけエッセイマンガにもあるように、「まいっちんぐマチコ先生」プラス「おくさまは18歳」のような作品。みるくの恋敵(?)として、クラス委員の東枯一味(とうがらしかずみ)や、みるくのブラジャーを盗んでから恋をしてしまった巨乳&ブラジャーフェチ・快盗ランジェリー仮面などが登場、ドタバタする。
(03.0327)
・「美鳥の日々」(1) 井上和郎(2003、小学館) [bk1] [amazon]
しかし、ある日とつぜん自分の右手が彼に恋する少女・美鳥に変わってしまったからさあ大変。
「大好きなセイジ君のそばにいられるなんて……」とノー天気にふるまう美鳥と、「右手をいかに隠すか」、「美鳥をどうするか」に悩みつつ日々を送る正治を描いた変格ラブコメディ。
予想外のことはほとんど起こらないが、基本設定から来るドタバタを忠実に描いた、展開そのものとしてはまともな作品。サンデーラブコメの伝統の集大成ってコトかな。
(03.0207)
・「美鳥の日々」(2)〜(6) 井上和郎(2003〜2004、小学館) [amazon]
設定の突飛さとは裏腹に、よくも悪くも、いかにも少年サンデーにおけるお手本的な作品。偉そうな書き方でゴメン。
そんな中でも、美鳥が人形にしか見えないところをネタにしたエピソードや、美鳥が生身では思いを伝えられないために、霊的な存在としてセイジの右手になっているという設定はけっこう面白い。当然ながらセイジの右手は美鳥にとって仮の宿にしかすぎない、という藤子不二雄以来の「同居もの」の王道を行っている。
ただし、1巻の感想でも書いたが、セイジの姉・凛のキャラ造形は少し不自然だと思う。「セイジをいじめるのがシュミ、と思わせつつ思いやりがある」という設定ならば、美鳥の研究をしたがっているマッド・サイエンティストを紹介したのはどう考えてもおかしいと思う。
(03.0319、04.0618)
・「るくるく」(1) あさりよしとお(2003、講談社) [bk1] [amazon]
彼らは人間を救うために地獄からやってきた悪魔というが……。
るくは(愛称るく)はかわいいし、お話の展開は小気味いい中にも作者の批判精神みたいなものが顔を覗かせて、ドキリとするのがいい感じ。
(03.0207)
・「るくるく」(2) あさりよしとお(2004、講談社) [amazon]
1巻の感想では適当書いてしまってすみません。2巻を読んで思ったんだけれども、これは私の思い込みなのかもしれないけどすごく80年代通して表現活動してきた人の心情が入っているなという感じがする。
要するに、あらかじめ価値観がブッ壊れちゃった世界に六文もるくも生きている。いちばん如実なのが、旧来の家族が壊れちゃってるということ。なんでかわからないが、るくの家族も壊れてる(まだ描かれてない)し、六紋の方も壊れてる。「家族が壊れてる」というのは設定を決めた「結果」ではないんだろうなというのは、たとえば#11 悪魔の大運動会で町内の運動会が、町の住人の親睦を深めるという機能をまったく果たしていない、と描かれていることからも予想できる。
そもそも「神」の権威が崩れちゃってて、「神」に人間たちはだれも従わない。で、じゃあ「神」をみんな信じていればいいかというと、そのあり方はこれ以上ないくらい悪意をもってダメダメに描かれている。
神と悪魔の立場が逆転するという描き方は、ファンタジックなマンガではすでに珍しくも何ともないが、ここでの神に対する徹底した不信感というのは、もう旧来の価値観は通用しないという作者の確信めいたものから発している気がする。
それで重要なのは、本作が「SFおしかけもの」というパターンをたぶん意識的に踏襲していて、それでいて少しも余計なことをせずにキッチリとオリジナリティを出して今日的な作品に仕上がっているということ。
本来的な作者の才能もあるだろうけど、受け入れ側としてはこういうところにオタク文化の真の成熟を見る気がする。記号化だとか脱構築だとかいう以前にもっと重要なことがあって、そこにきちんと到達している人々がいるというような。そんな感触。
(03.0314)
・「魔宝DEサドンデス」全3巻 山口譲司(1991、秋田書店)
ここらあたりの流れは「ああっ女神さまっ」にちょっと似ている。
実際、びゅうのデザインも、額のマークや私服がエキゾチックなものであること、大吉と説明らしい説明もなしにラブラブになってしまうなど、「女神さまっ」的な部分が多い。
ラストは、設定的な説明とか何もなく終わってしまうんだけど、「何もかもが懐かしい」というテイストの作品。
・「MOL」 岡本倫(2002、単行本「エルフェンリート」(1)所収)
「すまない。人間の女の子には興味ないんだ−−」女の子に対して、ちょっと考えられないふり方をする少年、彼は研究所近くのアパートに一人で住んでいた。
人形の女の子にしか興味が持てない少年は、部屋でリカちゃん人形くらいのサイズの、生きた美少女を発見する。少年は、この少女MOLと一緒に暮らすことにするが……。
こうした展開が、おそらく作者だけのものではない、昨今の傾向であることは予想がつくが(「エルフェンリート」の感想でも書いたが)、人生それでいいのかと思うことは確かだ。
今後、作者のお話のつくり方として、次々とショッキングなことを提示して引っ張り続けるのか、もっと違ったドラマ性を追究していくのかは私の預かり知らぬところだが、うーん、なんだかひさびさに「荒削りの才能」を目にした感じはする。
(02.1026)
・「まほろまてぃっく」(3)〜(5) 中山文十郎、ぢたま某(2001〜2002、ワニブックス) [bk1] [amazon]
その残りの期間、好きなように生きていいと組織から言われたまほろは、両親に先立たれた少年・美里優(みさと・すぐる)の元でメイドとして働くことに。
優は、まほろがアンドロイドだということは知っているが、その寿命のことは知らない。そしてさらなるまほろとヴェスパーに関する秘密も……。
それと、まほろさんに付与された「萌え要素」として、「えっちなのはいけないと思います」という決まり文句とともに優のエッチビデオなどを執拗に没収したりするのがなんかイヤだった。そういうのものすご〜くいやがるヒトって、ホントいるじゃん。人権意識とか持ち出してきて(まほろさんはどうか知らん)。それが現実世界に引き戻される。
単行本では、必ずカバーをはがすとオマケ4コママンガが載っているのだが、その中でも作者(ぢたま氏?)のセルフツッコミとしてまほろさんに対し「えっちなことばっかり考えているからえっちを禁止するのでは?」的なことが描かれてあって、私もそれに同感だったりします。
で、うまく伏線もばらまいてあって、もしかしたら最終回のシーンまで考えられているのかもしれない。その辺はさすが原作付き、という気はする。が、この「人々の知らないところで、地球人と異星人との戦いが行われている」という基本設定そのものが、本作全体の「泣き」の部分、泣ける部分を創出することのみに奉仕している感じも、少しする(みなわの登場も「泣き」部分を増やす意図があると思う)。
ひたすらに「泣き」というか「せつない」部分が持続できればそれでいい気もするし、もし「設定が『泣き』とか『せつなさ』のみに奉仕している」印象にしたくなければ、もともときちんと設定されている(それはとてもいいことだ)優の男らしさをもっとクローズアップした方がいいかも、とか思った。
・「花右京メイド隊」(4)〜(7) もりしげ(2001〜2002、秋田書店) [bk1] [amazon] 初回限定版→[amazon]
主人公がかわいい女の子に囲まれて騒動が起こるコメディは、「うる星やつら」が真っ先に思い浮かぶ。しかし、(たぶん)ギャルゲー出現後、女の子を再現なく継ぎ足していくのではなく、ある程度のキャラクター配置をあらかじめ大人数で設定することが多くなった。マンガにおいてその先駆的作品は「ラブひな」ではないかと思う(それ以前にもあるかもしれないが、とりあえずいちばん有名なのがこれ)。が、SFファンタジー的設定を含んでの人気作品といったら本作が「ハーレムもの」の先駆けだと言えると思う。
それはそうした「謎」関係のエピソードが、単行本内では「特別編」となっているところからも想像がつく。あくまでも「太郎がいろんな美少女メイドといちゃいちゃする」のが骨子であって、逆に本来の「本筋」にあたる部分はむしろ本筋ではないのかもしれない。
実は掲載誌で最近読んでないんで、どうなってるかはわからないんですけどね。6巻末では珍しく男の新キャラが思わせぶりに登場しているし。
まあでも、これだけ売れてんだからいいんじゃないですかね。……っていうかだれにとっていいのかとか知らないけど。本作に関して言うと、とても読みやすいし、お話も才能のない人が描いたらハマりそうな退屈さからは抜け出ている。
・「花右京メイド隊」(8)〜(9) もりしげ(2004、秋田書店) [amazon]
月刊少年チャンピオン連載。テレビアニメ化決定だそうである。この巻くらいになると、マンネリ化してしまってお屋敷でいつもパーティばかりやっている印象がある。当然、マリエルの謎に触れたエピソードもほとんどない。
個人的には、最近では慈悲王リュウカがお気に入り。まあねェ、「コメットさん☆」でもメテオさん好きだったし。
・4巻から7巻の感想
(04.0402)
・「Dears(ディアーズ)」(1)〜(2) PEACH-PIT(ピーチピット)(2002、メディアワークス) [bk1] [amazon]
200×年、東京湾に突如正体不明のUFOが不時着。乗っていた150人の宇宙人は、いずれも容姿端麗、高い能力を持ち、地球人には非常に友好的。敵意も攻撃の手段も持っていない。ただし、故障した宇宙船を修復する能力を持つ者はおらず、母星に帰ることができない宇宙の遭難者だった。彼らは「親愛なるもの(ディアーズ)」という名を与えられ、友愛ムードの中日本の市民権を取り、地球人とともに生活することになった。
ディアーズの存在そのものの謎を含みながら、武哉とレンの奇妙な同棲生活が始まった……。
ディアーズの宇宙服は最初から首輪状のものが付いているが、これは冗談でもなく本当に「奴隷」の意味らしい。ここら辺の事情については、単行本2巻の時点ではまだ明らかになっていない。
現在のところ、SFファンタジーラブコメとしてオススメできる作品。
(02.1006)
・「Dears(ディアーズ)」(3)〜(5) PEACH-PIT(ピーチピット)(2004、メディアワークス) [amazon]
高校生・幾原武哉は、ディアーズの少女・レンと同居することになってしまう。しかし、ディアーズ本部はレンを「ゼロナンバーズ」という欠陥品だとして回収しようとする……。
武哉は、孤独なレンを「家族だ」と規定することによって受け入れるが、これまた実にあいまいな言い方ではある。恋人とも妻とも呼ばず「家族」とすることは、武哉にとってはあらゆることを宙づりに出来る便利な言葉。
意地の悪い表現をすれば、「ディアーズ」という都合はいいがかわいそうな存在をゼロからつくり出すことで、オトコ側のほとんどあらゆる願望が満たされることになる。弱ったねどうも。
作中では、「奴隷種族」の存在を倫理的にほとんど問わないが、ここにはたとえば「GUNSLINGER GIRL」のような送り手の皮肉はいっさい存在していない。というのが、これも皮肉な言い方になってしまうがポストモダ〜ンな感じではある。
(追記)
作者HPを見たら、もしかしてこれ描いているの女性ですか? わかんないけど。もしそうだったら驚いたなあ。いや、そうでもないか。わからん。
でもこういうマンガは、本当は体重100キロ以上でムダに長髪で、アニメのことを聞いたらいくらでもしゃべっているような男子に描いてほしかったような気も。
いや、そんなこともねぇか。
マジメな話、ボーイズラブを描いていたヒトが描いているとなると、無意識にまったく視点が変わってしまうなぁ。そんな余計な情報自分に入れるんじゃなかった、ような気もする。
・1巻〜2巻の感想
(04.0402)
・「メイドロイド雪之丞」(2) 井萩寿一(2002、実業之日本社) [bk1]
あまりのかわいさと献身ぶりに、春之介は雪之丞を愛し始める。しかし彼には香という彼女もいるのだった。
出てくる女の子はそれぞれかわいいんだけど、毎回のお話はあってないようなモノ。未来から次々とメイドロイドなどを送り出してくる組織がいったい何なのかも、明らかにはならない。
・「聖魔(せま)ってミーア」(2)(完結) 宮本たつや(2002、ぶんか社) [bk1] [amazon]
なんとなく天使って、マンガでは「ズレた存在」として描かれるよりない気がする。「絶対善」っていうのがマンガでは表現しづらいから。
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