◆ 1999年3月中旬 ◆

3/11〜20
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3/20(土)……ワンパック大関

 昨日の日記に書き忘れていたけど、コミックビームの定期購読の申し込みをしてきた。1年分6600円。値段としては書店で買うより高い(定期購読は1冊550円)のだけど、定期購読者にはオマケがつくということで、もうやるしかなかろうという感じ。代金の送付は郵便局での振り替え。詳しくはオンライン・ビームに行って[HOME]ボタンを押すと詳細が分かるはず。今まで書店に入荷しないなどの原因でビームを読めなかった人はぜひ。半年での申し込み(3300円)もできるよん。これで毎月12日の荷物が1冊分軽くなるってわけだ。

【雑誌】ステンシル 春号 エニックス B5平
 エニックスが少女漫画雑誌に進出。月刊Gファンタジーの臨時増刊である。「春号」とあるってことは季刊なのだろうか。とりあえず次号予告は入ってないが。で、全体的な印象だけど、生っ粋の少女漫画誌って感じではなく、「オタク男向けの少女漫画誌」という感じ。だから女性でなくてもわりととっつきやすいのでは。その分、生っ粋の少女漫画読みの人にとっては脂っこく感じられるかもしれない。
 まずはこがわみさき「飛べたらいいな」が注目株。絵のうまさは単行本「でんせつの乙女」(光文社。俺日記では2月5日の項参照)でも実証済み。線が細くて透明感と暖かさのある爽やかな画風がやはり気持ちいい。美形だが虫たちを愛するあまり虫語を翻訳する機械を開発したりしようとするマッドサイエンティストな少年に一目ぼれしてしまった女の子のお話。かわいらしき恋愛模様が爽快。この雑誌自体が定期刊行になるのかよく分からないし、こがわみさきはエニックスで初仕事ってことで作品数のストックもあんまりないことから考えて、単行本に収録される日は遠いのではないかと思う。そんなわけでこがわみさきのファンは雑誌でチェックするべし。
 それから絵的に気になったのが宮須セリ「君紡ぐ人形の歌」。硬質で上品な線でなかなか。天野こずえ「おひさま笑顔」は、明るい女の子とかっちょいいにーちゃんの微笑ましい恋愛モノで、カラッと楽しく読めた。あとこがわみさきについで注目なのが、新人太田はるか「半夏生」。小学生男女の夏のひとコマ。清涼感のある絵柄で、なかなかに気持ちいい画面を作ってくる。見せ場での柔らかい画面も印象的。カケアミをわりと多用する画風にも好感。けっこう拾いものって感じ。

【雑誌】ウルトラジャンプ 4/25 No.28 集英社 B5平
 大暮維人「天上天下」。亜夜が「龍眼」の真の力に目覚め、その力を暴走させてしまう。自分の力に酔いつつ、その引き起こした事態に恐怖する亜夜。戦闘シーンのスピード感と迫力、それから妖艶な亜夜の表情、サービス満点な肉体描写。なかなかええ感じで展開してきている。寺田克也「大猿王」。三蔵の正体をこのように描いた作品は今までの「西遊記」モノにはない。悟空の邪悪さ、三蔵の禍々しさ、そしてそれらの描写を支える圧倒的な画力。すごく面白い。藤原カムイ「福神町綺譚」は探偵モノ。前回の解決編である。馬鹿馬鹿しかったりかっこよかったり、変幻自在である。それから今回の福神町通信では、福神町に住民登録した人たちのリストが一挙掲載。俺の町民番号は「〇〇五五」。職業は浮浪者。
 次号は平野耕太が読切「ガンマニア」にて登場。

【単行本】「イエスタデイをうたって」1巻 冬目景 集英社 B6
 ビジネスジャンプに掲載された作品。現代を舞台にした、なかなか大人になれきれない人たちの青春恋愛譚。大学を卒業しても働く気になれなかったリクオ、それから大学時代にリクオが告白しようとして果たせなかった女友達のシナ(木へんに品という字)子、それから何を思ったかリクオを気に入りまとわりついてくるちょっと謎めいた雰囲気の少女・ハルの3人の三角関係。ベタベタせず、絶妙な距離感を保ちながらつかずはなれずの恋愛模様が、爽やかでかっこよくて気持ちがいい。冬目景はやはり現代モノで、さほど大きな目的を持たずに淡々と時間が過ぎていくようなお話のほうが面白いと思う。だからこの作品も最近の冬目景の中ではかなり好きだ。

【単行本】「Papa told me」22巻 榛野なな恵 集英社 B6
 今回はわりとハードな話が多かったように思う。絵はすごくきれいで英国趣味が漂っているのだけど、全体的に緊張感があるようにも感じた。俺としてはそろそろこの作品も一回完結させちゃって新しいシリーズを始めるのもいいんじゃないかなと思う。別に嫌いってわけじゃなく、そちらのほうがよりヴァリエーションに富んだ話が読めそうだからなんだけど。

【単行本】「彼女がつながれた日」 わんぱく 二見書房 A5
 非常に整った美しい絵柄が持ち味、わんぱくの初単行本。おおむね10代前半くらいに見える少女たちが描かれる。彼女たちは近親相姦の泥沼に墜ちたり、親友の女の子に奴隷にさせられたりと、きれいな絵柄のわりに内容はハード。でも読み口は切なさのほうが先にくる感じなので、耐性のない人でも案外読めるのではなかろうか。今回収録された作品の中でとくに好きなのが「小熊のミィシャ物語」。心の病で自分をみにくい獣だと思い込んでいる少女。彼女を野卑でサディスティックな男が引き取る。最初のうちはそれなりの扱いをしていた男だが、いつまでもらちがあかないので彼女を獣として扱うことに。小熊のぬいぐるみを着せて首輪、手枷、足枷をつけたまま部屋で飼い続ける。人権なんかまるでなしな、救いようのなさと少女の可憐さ、そしてその扱いを当然のこととして受け止めている無関心な瞳に惹かれるものを感じた。それにしてもやはり清涼感のある絵柄が気持ちいい。その絵と話のギャップがまたいいんだけど。絵柄については百聞は一見に如かず、わんぱく本人のホームページを見てほしい。……で、そのわんぱくのホームページを見たところ、この単行本、発売予定は3月24日らしい。ちょっと紹介するのが早すぎたかもしれない。これから買う人はごめんなさい。版元の二見書房系の書店だと思われる、神保町のすずらん堂だっただけに早く店頭に出てたみたいだ。


3/19(金)……あがるてなんぼ!

 今日、とある人に「最近日記で、漫画についての感想を書き始める前の能書き部分を書いてないことが多いね」といわれた。省略してしまっている一番の理由は面倒臭いからである。俺はまあたいていの場合、漫画読んで仕事して、ドラクエモンスターズやって……とかいう日常を最近送っているわけだが、あんまりトキめくようなことやら目新しいことをしているわけでもないので、書くことがそんなにないのだ。というか、書こうと思えば書けるのだけど、自分のやったことをただ書き連ねるというのも、書くのがつまらんとか思って却下している。でもよく考えてみれば、日記って自分のやったことを記録するほうが普通本題だよなって気がしなくもないのだが、その点については考えないことにする。どうでもいいことなので。
 前は日記に愚痴とか説教臭いことを書いたりもしていたが、それもあとでこっぱずかしいから最近はイヤだ。書けばきっとスッキリするのかもしれないが、その分ほかの人を傷つけるやもしれぬ。愚痴やら何やらは自分の心の中で噛み殺してしまえ、強き心を持て、と俺は俺に命ずる。ときどき勢い余って書いてしまうこともあるが、それはまだまだ修行の足りない俺の甘さゆえだ。こんな説明臭い文章を書いている時点で未熟といえよう。

【雑誌】週刊少年チャンピオン 4/1 No.17 秋田書店 B5平
 米原秀幸「フルアヘッド!ココ」は連載100回記念で巻頭カラー。地図に記された宝をめぐってのドタバタ活劇。それぞれのキャラクターの持ち味が出ていて、なかなか面白かった。田口雅之「バロン・ゴング・バトル」。今回はラミエルがマチルダを破壊。この前のゴードンによるラミエル破壊もそうだったけど、味方でも過剰なくらいに破壊しまくるところが大ざっぱな感じで痛快。といってもネオ・ヒュームには再生能力があるから、すぐに元に戻るのだが。マチルダって色っぽいわりに妙にいじらしいところが、なんかシンディに似ているような。

【単行本】「からくりサーカス」7巻 藤田和日郎 小学館 新書判
 仲町サーカス編はいったんおしまいで、しろがねや自動人形の謎に迫る新章に突入。表紙を見れば分かるとおり、例の人も復活し、アクションシーンが多くなってきた。自動人形の無機的な邪悪さに惹かれる。

【単行本】「かってに改蔵」2巻 久米田康治 小学館 新書判
 マッドサイエンティフィカルな科学部を舞台としたギャグ漫画。細かくてひねた視点とこちらの隙をついてくるギャグ、それからちょっと下品な展開が素敵である。ギャグが面白いというのもあるが、何気に女の子がかわいい。乳のデカい部長さんとか。毎回のように、コマぶち抜きで女の子を大きく描いてるのも特徴といえるかもしれない。スラリと細くて長い手足がかっちょよくていいと思うのだ。

【単行本】「アガルタ」2巻 集英社 松本嵩春 B6
 なんといっても絵。画面全体に力がある。漫画やらアニメ方向からのオタク系の流れの絵を、実に鋭くかっこよく洗練させまくってたどりついたという感じ。お話自体はなんとも全貌がつかめずふわふわしているところはある。だけど、絵から伝わってくる張り詰めたような緊迫感のある雰囲気だけで、それなりに満足できてしまう。得体は知れなくても、十二分にかっこいいのだ。それからキャラクターたちの表情、造形も魅力的。「〜アル」と喋る中華系の美少女・紅花とか、いつ崩れるとも知れぬ脆くて危ういバランスの上に立つ人格を持ったRAELなどなど。RAELを追う謎の機会人間どもや、ジュジュやその仲間たちがからみあって、だいぶ話が動いてきている。現在、目の前で行われている活劇が、どんな意味合いを持っているのかいまいち計りかねるところはあるが、いずれそのあたりも説き明かされてくることを期待する。


3/18(木)……青の最終号

【雑誌】ヤングマガジン青BUTA増刊 4/1 No.7(最終号) 講談社 B5中
 今号にて休刊。そして赤BUTA増刊も来月発売の号で休刊。意欲的に新人の作品を掲載する雑誌だったので非常に残念。ときに商業レベルに達していないような作品も掲載されていたが、「絵が下手だろうとイキが良ければなんでも載っけてしまう」みたいな野蛮さがあって大好きな雑誌だった。まあヤンマガは本誌がそういう「ヘタクソでもパワーだけはありあまっている」という感じの過剰な作品を載っけることがときどきあるので、そちらでもある程度は補えるのだが。ヤンマガのことだから、赤/青BUTAがなくなってもきっと別の増刊を出すと信じたい。まあとりあえずそこらへんは次の赤BUTA増刊を見れば、なんらかの情報は得られるんではなかろうか。
 とはいえ、今号は新人でそれほど面白い作品は掲載されていない。でもいい。ときに、天野明とかまちぞうとか、大当たりが出る雑誌なので。そもそもコンスタントさなんか期待していない。
 雑誌休刊に伴い、石川雅之「カタリベ」も次号で最終回。海洋を舞台にした歴史冒険活劇モノだったが、悲惨で容赦ないストーリー展開、安定した絵柄などなかなか面白い作品だった。これはいずれ単行本化してほしいところ。一部ガロ系の人とかは名前を知っている人もいるだろう、福満しげゆきが登場。タイトルは「ステキな彼女」。なんかガロとかで描いていたころより線が太くなって、神経質なまでの丁寧さが今回は見られなかった。ちょっとひしゃげた絵から繰り出される、不思議な味わいのあるお話は好きだったのだが、この作品はごく普通。

【雑誌】ヤングサンデー 4/1 No.16 小学館 B5中
 充実した雑誌だと思う。俺にとっては面白い作品がかなり多い。マニア向けに閉じてもいないし、攻撃的な作品もあればお仕事している手堅い連載もある。そこらへんのバランスがいいという印象を受けた。
 巻頭カラーでは、創刊13周年記念ということで村上もとかの読切「虹の町」が掲載。浅草の下町で育った女の子と、その父が残したライカを巡る一幕の不思議なお話。たしかな描写力と鮮やかなストーリー展開でお見事。さすがの貫禄。岩重孝「新・花マル伝」。木元vs.花マルの一戦はさらにヒートアップ。猛烈に熱血していてたいへん面白い。原秀則「SOMEDAY」は、恋も就職もうまくいき、次号で最終回とのこと。就職戦線を扱ったドラマってことで、いかにもな感じでかなり安いところもあったが、それでもきっちりまとめてくるあたりは職人の技。なんだかんだでうまいと思う。新井英樹「ザ・ワールド・イズ・マイン」。トシとマリアの確執から、トシの激白へと移る。簡単に作れそうな安っぽい犯人改心劇のさまをトシがぶちまけるのだが、こうやって世間の欺瞞やら虚飾やらをついてくるあたりの目のつけどころは毎度大したものだ。

【雑誌】モーニング 4/1 No.16 講談社 B5中
 ヒラマツ・ミノル「ヨリが跳ぶ」。監督の大胆な決断。それからヨリやそのほかのチームメイトに必死な形相。迫力のある豪快な描写と、かっこいい展開。今回もとても面白かった。きくち正太が56ページの読切で登場。粋でいなせでかっちょいい料理屋のおかみ、おせんさんがヒロイン。「きりきり亭のぶら雲先生」に似た作風。いよいよこの道でメジャーでも売っていくのかなあ。鮮やかなストーリー回しと艶のある女性キャラクターは、このお話も同様で面白く読めた。「ぶら雲先生」が好きな人は押さえておくべし。榎本俊二「えの素」。最近主役が田村さんに変わってしまったかのようだ。田村さんとは名言を録音するのが趣味の、変態系のおじさん。会社をクビになり盗聴・盗撮がさらにエスカレート。グレートだぜ、田村さん。

【雑誌】ヤングジャンプ 4/1 No.16 集英社 B5中
 猿渡哲也「高校鉄拳伝タフ」が今回はわりと面白かった。プロレスラーの、プロレスラーたる誇りを見せてくれて爽快。作:夢枕獏+画:くつぎけんいち+脚本:生田正「怪男児」は今回もわりといい。力強くてちょっと情けない主人公とか、女の子の色っぽさとか。どうでもいいことだが、扉のところのクレジットでいつも生田正の扱いが小さいのがちょっと気になる。高橋ツトム「ALIVE」。主人公の天周と謎の女性が対峙。そろそろ天周のダークサイドが見えてくるか。

【単行本】「トラブル☆チェリー!探偵白書」 佐野タカシ 少年画報社 B6
 日本有数の財閥のお嬢さま(巨乳でたいへんかわいいという設定)が、なんだかいろいろな事件に巻き込まれるのだが、抜群の推理能力を生かして次々と解決するという、お気楽探偵モノ。トリックうんぬんよりも、お嬢さまのかわいさやら、ふんだんなパンチラやら入浴シーンなどのサービスカットを気楽に楽しむのが吉。サービス満点でお仕事しているなあという感じで、値段分きっちり楽しませてくれる。すごくオススメってほどじゃないけど、佐野タカシの描く美少女が好きな人はどうぞ。

【単行本】「Jドリーム完全燃焼編」5巻 塀内夏子 講談社 新書判
 データ等は塀内夏子ページのほうを参照。 W杯アジア予選、日本代表はサウジアラビア戦で、伊達に続き富永を退場で失う。試合も惜敗。残りはたったの2試合。崖っぷちに追い込まれた日本は旧ソ連ジュベスタン戦に臨む。アウェイであることに加え、ジュベスタンは日本のホームゲームではチームに合流できなかったダイナモ・キエフの大型FWラド・ペトレスクを投入する。W杯予選初勝利を狙うジュベスタンの猛攻に、日本は苦戦するが……という展開。前巻に引き続き、W杯予選大詰めを迎えて展開が緊迫してきた。ダイナモ・キエフ(ウクライナの強豪クラブ)を出してくるあたりがシブイ。


3/17(水)……乾しグミ

【雑誌】ZetuMan 4月号 笠倉出版社 B5中
 最近わりと気に入っている雑誌ではあるが、今号はZERRY藤尾が描いてないこともあり、ちょっともの足りない印象。
 秋川康一「草枕」は、校舎の屋上で昼寝をしていた男が見た夢、そしてその夢から覚めたときに訪れた出会いを描く。〆が爽やかでなかなか良かった。榊原薫奈緒子「おきらく仮天使エンジェルW+1」。マヌケな天使見習いたちのピントのズレた人間救済活動を、おもしろおかしく、頭身の低いコミカルな絵柄と軽妙なノリでもって描く。コロコロ変わる絵柄やら、下らなく身もフタもないギャグが楽しい。で、エロシーンになると意外とむっちりしていやらしかったりするのもポイントが高い。

【雑誌】快楽天星組 Vol.6 ワニマガジン B5平
 快楽天は本誌よりも増刊枠のほうがむしろ好き。
 板場広し「見たまま家族」は、成熟は異様に速いけど年齢を重ねても全然老けない淫乱女系家族のお話。コミカルでありながらもやることはちゃんとやってて勢いのある楽しさ。嶋真介「さるう」。独身時代、性欲で悶々としつつも相手のことを気遣ってなかなかSEXできなかったカップルが、結婚するやいなや猿のように朝も昼も夕も晩もSEXしまくるというお話。前半抑えめで、後半は一気にのべつまくなし状態に突入。軽妙なテンポと馬鹿馬鹿しいノリが面白かった。
 そして今回の星組で一番素晴らしかったのが上連雀三平「飲尿女神」。サブタイトルが「ドキッ!男だらけの射精大会」。「アナル・ジャスティス」と同様、ちんちん、精液に対する愛を高らかに歌い上げ、男の子だらけの女子高でめくるめくちんちんワールドが繰り広げられるという、頭がクラクラするようなパラダイスは圧巻。セリフのセンスも抜群。やっぱ面白い。みうらたけひろ「Hi-Risk」は、探偵事務所の助手の女性が捜査のためいかがわしいことが行われているナイトクラブにホステスのふりをして潜入するが、そこでエロジジイたちによって恥辱を味わわされる。絵柄がわりとアダルトな感じでエロっぽい。こういうエロ小説ノリは好きだ。ただ、次号に続いてしまうようで、肝心な凌辱シーンは次の回になりそう。セキケン「どうぶつ番長」。女金太郎が成熟してクマやらなんやらと相撲をするが、まあお定まりのようにSEXシーンへ突入……という話なのだが、かなり投げ遣りでええ加減なギャグの連続が大変に愉快な作品。下らなくてオススメ。
 時坂夢戯「乳漫」は、作者インフルエンザのため過去の作品の再録。ノリが良くて下らなくて、好きな作品だったのでお休みは残念。

【雑誌】ヤングマガジンUppers 4/7 No.7 講談社 B5中
 黒田硫黄の「映画に毛が3本!」。たった1ページの映画紹介。内容をつぶさに伝えているわけではない。でもこれと、あと榎本俊二の映画レポートを読むと、無性にその作品が見たくなるのだ。レビューは読者がその対象に興味を持つようにさせてなんぼ。こういうやり方でそれをうまいことやられちゃったりすると、ちょっとジェラしい。桑原真也「0(ラブ)リー打越くん!!」では、シノヴが打越に好かれるために、人気のあるテニス少女の京花を取り込もうとする。描写が色っぽくていいなあ。こばやしひよこ「でぃすぱっち!!」は今回で最終回。いまいち盛り上がらなかった感じ。なお、おっぱいイラスト「E-Oppers」は大山玲(「真夏の夜のユキオンナ」の人)が4ページ。

【雑誌】週刊少年マガジン 3/31 No.16 講談社 B5平
 創刊40周年記念特別号。前号に続いて、少年マガジンの歴史を振り返る。今号は1979〜1998年。前号のは俺がものごころつく前のころだったので知らない部分が多かったが、今号はかなり知ってるところが多く「ああ、こんなこともありましたなあ」という感じ。
 原案:さいふうめい+画:星野泰視「勝負師伝説 哲也」。相手の心を読むという、通しの達人の2老人を相手に哲也たちの苦戦が続く。執拗に柱時計が強調して描かれるだけに、たぶん時間を利用したイカサマなんだろうな、と思う。赤松健「ラブひな。」相変わらずすげえラブコメぶりだ。激ヌル。

【雑誌】週刊少年サンデー 3/31 No.16 小学館 B5平
 こちらも創刊40周年。ちなみに「創刊40周年バンザイ記念超特大号」だ。名前的にはマガジンよりこちらのほうが強そう。そして企画的にもサンデーのほうがいい感じ。40周年を記念して、これから1年、毎号1作、かつて少年サンデーで活躍した大物作家たちの読切を掲載するんだそうだ。読切好きな俺としてはこれはかなりうれしい。第1回めはさいとう・たかをの「サバイバル2000」(前編)。2000年問題でパニックに陥った日本でのサバイバルというストーリーで、以前やっていた「サバイバル」をちょっと意識した作りになっているらしい。前編だけなのでまだよく分からないけど、さすがに2000年問題でここまで人がドラスティックに死ぬとは思えないので、ちょっとリアリティがないかなって感じ。
 満田拓也「MAJOR」。今回は吾郎が外野守備に挑戦。外野守備に関するうんちくとかをきちんと描いた作品ってあんまりなかったような気がするので、これはちょっと新鮮。久米田康治「かってに改蔵」。今回は羽美の友達いないぶりを執拗に追求。どうでもいいが、俺も友達少ないのでこういう話を読むと……愉快だな。

【単行本】「セツナサノ卵」 うさぎのたまご 司書房 A5
 最近わりと気になっているうさぎのたまごの初単行本。
 この人は絵の技術としてはそんなに達者でもない。しかし、とにかく作品全体の雰囲気が抜群に楽しい。漫画描いてて楽しくて仕方ないんじゃなかろうか。ちょっと舌足らずな子供っぽい無邪気さが、絵柄にもストーリーにもあふれている。かなりムチャなストーリーを、元気の良さで勢い良く描ききる。例えば「夜空を降りてくるボクの天使」では、かわいい女の子が前から好きだった先輩の家に告白に行くのだが、ノーブラに食い込みのキツイ黒い下着、そしてその上にTシャツを着ただけの格好で自宅kから歩いていく。そしてやおら下着をおろして「読んで欲しいんです」「あそこの中にねじ込んである手紙をっ!」と来る。こんなやんちゃなことをやっているのに、物語全体はあくまで幸せで楽しい雰囲気に包まれたラブコメだったりする。淡いタッチで幼年向け少女漫画っぽい感じなのに、ちょっと頭悪そうな女の子たちのエロシーンはけっこう汁気が多くていやらしい。かなり天然系でテンションが高い。可愛らしくて元気が良くて、しかもけっこうヘンで甘くて幸せ。うーん、面白いぞ。


3/16(火)……アオクサイ軟膏

 今日読んだメロディには、久しぶりの掲載という作品が二つあったのだが、この日記を付けているおかげで以前はいつ掲載されたのかスパッと検索できてうれしかった(雑誌の現物はもう処分しちゃったけど)。この日記はホームページ上で他人に公開するというのがまあ主目的なのだが、自分が後で役に立てられるようにするためのメモという意味合いも、公開目的と同じくらいかそれ以上に大きい。なんといっても自分の感想だから、自分にとってはほかの誰の感想よりもノイズが少ないわけだし。
 ……とこの後、雑誌の感想に入る前の部分に全角20字詰めで25ラインくらいの文章を書いたのだが、あまりに青臭い文章になったので削除。時間をかけて書いた長い文章をズバッと削除するのは、他人から見るともったいないと思うかもしれないが、本人としてはけっこう気持ちがいい。

【雑誌】メロディ 4月号 白泉社 B5平
 朔田浩美「魔法のSHAKOCHAN」。考古学マニアな男と、土偶から蘇った縄文ガールのラブコメ。ちょっとクセのある絵柄だが、元気のある作風で楽しかった。以前読切で掲載されて今回から新連載なのだが、読切のとき(検索をかけてみたところ昨年の12月号。俺日記では98年11月17日分で触れた)もなかなか良かった。今月号には今市子も登場。昨年の7月号(俺日記では98年6月18日分で触れている)で掲載された「ファミリー・ブルー」の続編。巨額の借金を抱えた家の娘が、周囲にたかったりしながら明るくたくましく生きていくコメディ。「百鬼夜行抄」とかとは雰囲気がガラッと変わった、明るいお話。これはこれで楽しい。ただ、この人の場合、セリフとふきだしが多すぎるような気もする。難しげな雰囲気の作品の場合は情報量が多くても読む側にそれなりの覚悟があるのでまだなんとかなるが、コメディだとこれはテンポが悪くなってつらいように思えた。もう少し画面を整理してスッキリさせれば、より読みやすくなって面白くなると思う。我孫子三和「楽園へ行こう!」は毎度力いっぱい幸せな雰囲気をまき散らしていて楽しい。
 それから、次号は和田慎二「スケバン刑事2nd」が掲載されるということで、今号にはプレゼントつきの予告編が掲載されている。前回はかなりたわけた話だったが、果たして次はどうなるのやら。

【雑誌】ぶ〜け 4月号 集英社 B5平
 巻頭カラー、桃栗みかん「かえで台風」は新連載。「変」の奥浩哉に絵がかなり似ている。奥浩哉の描く女の子(&男の子)は可憐な雰囲気があってかつ色っぽくて好きだったが、それはこの作品も同様。忍者の里で生まれ育った女の子が家出して、町で一人の男の子と出会う。彼女は現代社会の常識などは持ち合わせていなくて、K-1の会場に殴り込んでチャンピオンをボコボコにするなど破天荒な行動もとる。で、その出会った男の子に惚れてしまった彼女はちょっと勘違い的な行動をとりつつ、男にまとわりつき続ける、という出だし。健康的で色っぽさもあるヒロインの楓がなんといってもかわいくていい。ドタバタコメディもわりと楽しかった。佐野未央子「木綿の天使たち」。涼しげな絵柄が気持ちいい。「こっちむいてチュ」もそうだったけど、背が低くて子供っぽい女の子描かせるとお人形さんみたいで可愛らしい。佐々木潤子「翼−ウイング−」。バレエもの。きれいな絵柄でスポーツもの的展開を見せている。踊っているシーンが気持ちよさげ。

【雑誌】ヤングアニマル 4/24増刊「ふたりエッチ」スペシャル 白泉社 B5中
 克・亜樹「ふたりエッチ」の傑作選+描き下ろし新作に加えて、ももせたまみ、こいずみまり、川本貴裕、奥谷かひろ、宇仁田ゆに、西川魯介、中田ゆみの作品が掲載。どんどんエロ漫画比率が高くなってきたヤングアニマルを象徴するような増刊。
「ふたりエッチ」はまあいつもの通りだが、俺の目当ては宇仁田&中田のWゆみ。宇仁田ゆみ「ノック!ノック!ノック!」は、ちょいと頭が軽そうなな女の子と生意気そうな男の、高校生恋愛物語。肩の凝らない読み口で、きれいにまとめてある。絵もスッキリしてて好きだ。この人もだいぶ作品たまってきたと思うので、そろそろ単行本にまとまらないかな。中田ゆみ「ぼくらはみんな生きている」。おんなのこのはじめて物語。小生意気なように見えるけど、実は純で必死な感じの女の子がかわいい。柔らかくて水気のある絵柄も目を引く。それから西川魯介も絵が柔らかくて楽しげな雰囲気で良かった。この人の描く女の子は胸がないほうがいい感じだ。下着とSEXしているシーンとかも馬鹿げてて面白い。

【雑誌】パイク 卯月 vol.19 ふゅーじょんぷろだくと A5平
 うらまっくのいつになくダークな連載「いつかみたそら」は第2回め。娘を失った男に監禁され凌辱され続ける少女のお話。陰鬱な空気の中で無気力になりながら、でも自分を求めてくる男を憎みきることもできない少女の心情が読み取れる。うらまっくはソツがなく作品をまとめてくる人だけど、このお話はいつになく気合いが入っているような感じ。MINE「生徒指導室でどっきり」。液体ドバドバの汁気の多いエロシーンはなかなか濃い。グラデーションの付け方が邪悪なちんちんも良い。しかし、ページ数が少なめ。もっとページ数が多めでちんちんも多めだとさらに良かった。あめかすり「ひぐらしの恋人(後編)」。夏が過ぎると消えていくセミたちのように、はかなく切ない恋を描いた物語。ラストシーン、漫画を描くことを諦めて去っていった恋人を見送りながら、自分もいつか辞めるときがくるのかと自問自答する主人公の姿は、なんだか他人事でない切実さがあって身にこたえる。俺もいつまでこんなペースで読んだり書いたりしてられるもんなのかねえ。

【雑誌】コットンコミック 4月号 東京三世社 B5中
 駕籠真太郎「駅前火薬」。今回は爆弾を仕掛けるのが日常的になり、街の至るところで何か触るたびに爆発が起こりまくる町で、地雷源の先導をするのを職業にしている男のお話。この男、地雷を見つけるテクニックなんか持っているわけでなくただ運がいいだけ。運の良さをフルに生かして地雷を避ける。物語の各所で脈絡なく挿入される高性能火薬「火薬ぢから」のコマーシャルやラストシーンなど、クールでブラックなギャグセンスが光る。ただ、この「駅前」シリーズは駕籠真太郎としては大人しすぎな感じもする。雪見野ユキオ「夕暮れ給湯室」。突然倒産した会社の最後の日、それまで好きだった上司に告白したOLが給湯室で犯される。さらに関係ない社員までどんどん加わって人数が膨れ上がる。オチもなんにもなくストレートにエロな潔さ。渡辺ヒデユキのギャグもそうだけど、ストレートなエロ系の作品もC級でなんだか憎めない雑誌である。


3/15(月)……絹布のHappy!

【雑誌】週刊少年ジャンプ 3/29 No.16 集英社 B5平
 表紙は桂正和。「I''s」の伊織だ。桂正和が表紙描くとなんかジャンプじゃないみたい。雰囲気がガラリと変わる。それにしても絵がうまい。本編では伊織がよく分からない行動をとっていて予断を許さない状況。森崎さんはもう出ないのかなあ。高橋陽介「FW陣!」。なんか期待どおり大ざっぱな展開になってきた。もっとたわけていくことを希望。鈴木央「ライジングインパクト」は最終回。絵柄はけっこう好きだったんだけど、いかんせん地味だったかなあ。ほっぺたがぷにょぷにょしたキャラクターがわりとかわいくてよかったのだが。

【雑誌】近代麻雀オリジナル 4月号 竹書房 B5中
 比古地朔弥「崖っぷちギャンブラー」は第2回め。比古地朔弥にしてはちとヌルい。子持ちの元サラリーマンの麻雀生活をドタバタと描くコメディなのだが、もう少し妖しい話のほうがこの人の持ち味が出ると思う。それにしても「神様ゆるして」をどっか単行本化しないものか。岡村茂「ファンキー掌」。主人公と敵方の女が、それぞれ代理人を立てて、負けるとその代理人が殴られギブアップしたら負けという「タコ麻雀」をやっている。なんかかなり馬鹿馬鹿しいルールがソソる。それにしても、敵方の女がそのコンビ打ちの奴からあがっただけなのに、なんで主人公側の代理人が殴られるんだろう。いや、考えるだけむだだとは思うが。

【雑誌】ビッグコミックスピリッツ 3/29 No.15 小学館 B5中
 作:坂田信弘+画:中原裕「奈緒子」は巻頭カラー。ついに雄介を励ます最後の矢、大介が出陣。ここまで引っ張ってきたいろいろな人間関係が、極限状況の中で一気に結実してきているさまがすごくかっこいい。次に脱落するヤツもだいたい見えてきた。浦沢直樹「Happy!」は今号で最終回。あっさり完結という印象。最終ページ、STAFFの欄に星野泰視ってあるけどこれって「勝負師伝説哲也」の人かな? 榎本ナリコ「センチメントの季節」は冬の章最終話。中学校の卒業式の後、学校の屋上に出てみた少女が、同じく屋上にいたクラスの中で存在しないがごとく目立たなかった少年につかまる。彼は屋上の鍵を閉めて、彼女に「ずっと屋上で二人きり暮らしていこう」と強要する。もちろんそんなことできるわけはないし、中学生といっても実際にはこんなふうに動く奴はいないだろうが、浅はかな王国作りと子供じみた支配欲の描かれ方がなかなか面白い。なお、「センチメントの季節」新章は6月スタート予定。

【雑誌】ヤングマガジン 3/29 No.15 講談社 B5中
 平本アキラ「アゴなしゲンと俺物語」。今週の話もゲンさんのゲロがかなり汚くてヘヴィだった。そしてゲンさんファンにうれしい知らせが。来週からなんと8ページに拡大するらしい。一挙33%増!っていうか2ページ増。楽しみだ。すぎむらしんいち「超・学校法人スタア學園」では、コキジたち「インポ帝國」のメンバーが「体あたり朝練部」と名前を変えてメジャーデビュー。ちょっとした間とか展開で笑わせてくれる。漫画の中で出てくる「お笑い」っていまいち笑えないようなのが多いが、「スタア學園」のお笑いは笑える。テンポが抜群にいいため、ギャグがコンコーンと響くのだ。小田原ドラゴン「おやすみなさい。」では、ドーテーズ・アメリカ支部の小山田君が一時帰国。雑誌の読者コーナーとか、そういうえもいわれぬ小道具の使い方がなんともうまい。東和広「ユキポンのお仕事」は、毎度毎度いいかげんなご主人ちゃまのおかげでイヤな目に遭っているユキポンの必死さが見ていて微笑ましい。
 前川かずお「闘破蛇烈伝DEI48」。今回は載ってないんだけど、次号予告のアオリ文句だけで笑わせてくれる。ビバ!ミミガーズッ!

【雑誌】ビッグコミックスペリオール 4/1 No.7 小学館 B5中
 高田靖彦「演歌の達」。ガッツかつど根性的人情系ドラマ。これだけ浪花節なのに、竹を割ったような気持ちよさがある。ストレートに読者に迫ってくるので、こっちも正面から受け止めたくなる作風。今回はかなり泣かせるいいお話だった。いや〜、面白いなあ。岡崎二郎「国立博物館物語」。今回出てきた「知識は人生を豊かにしてくれる」という言葉は、「アフター0」でも出てきたけれど、知識を生きたものとして楽しむ姿勢が岡崎次郎の作品にはあふれていて心地いい。


3/14(日)……さくらんぼはぼんくらさ(非回文)

 ジャンボ宝くじ(抽選日:3月17日)のお金で何を食べようか考えている。すっぽんにしようか、ふぐにしようか、はたまた豚の丸焼きにしようか、悩みは尽きない。女体盛りというのも考えたが、刺身がぬるくなってマズそうなので却下。今回は普通に考えて当たらないわけがないし実際に当るのだろう。でも当ったとしても当然内緒にはしておくだろう。万が一、いや億が一ハズレた場合も(まずないと思うが)悔しいのでこれまた内緒である。だから結果を聞くのは禁止。

【単行本】「軍鶏」3巻 作:橋本以蔵+画:たなか亜希夫 双葉社 B6
 2巻までのストーリーはオスマン参照。その後、少年院を出所して3年間が過ぎたが、リョウは結局行き場がなく、町でチンピラ相手に鍛え上げた空手の力を使う。捨てるものとて何も持たないリョウの力は暴走し、人々を恐れさせる。そんな中、テレビで観た「表」の空手界の王者、菅原直人をリョウはなんとはなしに意識するようになる……といった展開。今回の巻は、今後の闘いのための助走期間といった感じ。アクションシーンは力強くて痛快だが、相手との力が今のところ釣り合っていないので少しもの足りない。今後の激闘に期待。

【単行本】「さくらんぼ論理」1巻 川島よしお 秋田書店 B6
 少年チャンピオンで「グルームパーティ」を連載中の川島よしおの作品。ヤングチャンピオンでの連載ということで、下ネタ、お色気の度合いがアップしている。「グルームパーティ」同様ナンセンスで力の抜けるようなギャグが持ち味だが、エロに対する制約が緩い分、こちらのほうが肩の力が抜けているように感じられる。川島よしおの描く女の子や人妻たちは、なかなかHでかわいらしくて好きだ。それからたいへんに下らないギャグもときにスコーンとヒットする。

【単行本】「歌麿」2巻 六田登 双葉社 B6
 忍びの里を抜けて吉原に出てきたタカとウタ。タカは剣で、ウタは絵で身を立てようとするが、その道はなかなか険しい。女陰(ボボ)に大いに興味を持つウタは、尋常ならざる熱をもってボボを見つめ、その姿を紙に描きつけていく。絵師歌麿の生涯を激しく描いていく作品。六田登らしい、妖しさと骨太さが同居した展開になっており、どっしりとした読みごたえがある。明るさの中にも陰を宿し、生汗をかくようなぬるぬるとした存在感のある六田登の作風はこの作品でも十分生かされている。

【単行本】「B.Q. OUTTAKES THE ROACH BOOK」 カネコアツシ アスペクト A5
「B.Q.」シリーズとしては3冊め。「BAMBi」2冊に「R」と、すでに6冊めの単行本となる。1冊めが出るまでは時間がかかったが、その後は立て続けに出たという印象がある。今回の「THE ROACH BOOK」はカネコアツシが「少し出来が落ちる」と考えていたなどの理由から、「THE FLY BOOK」「THE MOUSE BOOK」では収録しなかった作品を集めている。とはいえ、読んでいる側からすると前2冊とそれほど遜色ないレベルと感じられた。
 カネコアツシの描線のクッキリとしたポップな画風は、今と変わらず非常に完成度が高い。グロとナンセンスを共存させつつ、コンスタントにキレのいい話を描いてくる。いつ読んでも同じ味って感じはしなくもないが、高いレベルで完成されたお話は実に鮮やか。デビュー当時は松本大洋を少し想起させるところがあったけど、今はもうすっかりオリジナルなカネコアツシ画風を作り上げている。現代の生なストリート感覚と、揺るぎなく安定した作風を併せ持っている。


3/13(土)……東京都ライブ

 別マに多田かおる「いたずらなKiss」が載っていないな〜と思っていたら、多田かおるは亡くなられていたということが判明してびっくり。俺は最近になって読み始めた人間なので、安易なお悔やみの言葉は歴史あるファンの方に失礼かもしれないのでいえないけど、でも、読み始めてからは毎回楽しませてもらっていた。「いたずらなKiss」の続きが読めないのは残念至極。ご冥福をお祈りいたします。以下アサヒコムからの引用(別マホームページも参照のこと)。

多田かおるさん(ただ・かおる=漫画家、本名西川かおる=にしかわ・かおる)は11日午前11時50分、脳内出血のため東京都三鷹市の病院で死去、38歳。

【雑誌】別冊マーガレット 4月号 集英社 B5平
 なかなか少女らしい、キラキラとしたイキのいい恋愛をしている漫画が多くて楽しい。充実している。
 日向まひる「ストレンジフィーバー」が新連載。クラス替えで好きな人と同じクラスになれなかった女の子が、新しいクラスで一緒になった叶わぬ恋をしている男の子に親身になって相談に乗ってもらっているうちに、少し心憎からず思えてきて……というラブコメ。まあお約束どおりその二人がくっつくんだと思われるが、なんか他愛なく恋愛していて微笑ましい。中原アヤ「ディア・マドンナ」も楽しかった。演劇部の先輩と後輩の女の子のラブコメなんだが、なんともかわいらしい。スッキリとして整った完成度の高い絵柄も好き。前作の「ラブ!ラブ!ラブ!」もけっこう好きだった。

【単行本】「永ちゃん」 土田世紀 講談社 B6
 鬱々とした気持ちを抱えて都会でサラリーマンをやっていた永ちゃんこと昼川永春が、サラリーマンを辞めて田舎の秋田に戻る。それである日いきなり思い立って中古車販売業の会社をスタート。とくにビジョンがあるわけでもない、チンピラ風でいい加減な永春があれよあれよという間にそれなりの成功を収めていく。といっても、そのビジネスぶりに焦点が当てられているわけではなく、永ちゃんのジタバタした、下らないけど無駄に熱くどうしようもない青春ぶりがメインである。1989年初版の作品だが、このころの土田世紀はやはりキレまくっている。マジメな絵柄で話が進んだと思えば、もうごく自然にいきなりヤケクソなギャグをシレッとかます。そのギャグがまた面白いのだが、青春の咆哮部分も十分に熱い。しかも、それをアッサリ自分で台無しにして見せたりと変幻自在。いやー、もうツッチー最高。すげえ面白い。

【単行本】「バージェスの乙女たち〜アノマロカリスの章(1)〜」 蜈蚣Melibe 三和出版 A5
 オスマンの「バージェスの乙女たち」シリーズの項に追加しておいたので、そちらを参照のこと。

【単行本】「TOKYO TRIBE2」 井上三太 祥伝社 A5変型
 ストリートな野郎どもの抗争がガンガン加速していく。この巻はアクションも派手だし、展開もダイナミック。渋谷などの若者的なマチに巣くう、不良的にーちゃんどものワイルドな闘いが、適度なリアルさと適度な嘘臭さをもって、ときにカッコ良く、またときにカッコ悪く描かれる。スカシがちな井上三太ではあるが、やはり読ませる術は持ってるし面白い。

【単行本】「金魚銀魚」 須藤真澄 アスペクト A5
 麦の芽出版というあまり聞いたことのない出版社の、「がくゆう」という小学生向け学年誌で1987年〜1994年にかけて連載された7本の連作を集めた作品集。どおりで全然存在を知らなかったわけだが、こんなものまで単行本化してくるアスペクトには毎度驚かされる。
 内容的には子供向けってこともあって、コミカルでドタバタ、ちょっとファンタジーっぽさが織り混ぜられている。一話につき見開き2ページで、意外と情報量が多く、読むのに時間がかかる。罪のないかわいらしい面白さで、「ごきんじょ探検隊」とかにわりと近い読み口。そこらへんが好きな人にオススメ。


3/12(金)……競り合え!セリエA

【雑誌】コミックビーム 4月号 アスペクト B5平
 収録作品リストはコミックビームのページ参照。
 いや、こりゃまた素晴らしいラインナップである。「杯気分!肴姫」「のんちゃんのり弁」の入江喜和がいきなり登場してびっくりしたと思ったら、新谷明弘や近藤るるるも読切で登場するし。しかも5月号からコミックビームの定期購読も始まるしで、なんだかすごい気合いの乗りっぷり。定期購読の要項はビームを参照するかアスキーに問い合わせしてほしい。金銭がらみのことなんで実際に自分で確認してから申し込むべし。たぶんオンライン・ビームにも近々定期購読関連の情報が掲示されると思うので、そちらもチェック。定期購読者にはオマケをくれるらしいので、書店で手に入る地域の人も申し込むといいかも。俺は申し込むと決めた。決めまくった。
 入江喜和「ちゃらっぽこ幽霊」は、小料理屋を持つのが夢で地価の安い田舎に引っ越してきたおっさんと、その嫁、娘のお話。おっさんは腕は良くてきっぷはいいけど、ちょっと下品なところもある。おかみさんはなんかアバウトで、天然ボケ系。そんな親の間で育ち、ドライに過ごす娘。その家庭の模様が、入江喜和一流の人情味があって粋な、雰囲気のある絵で描かれる。そして、なんといっても日本酒を飲みたくなるような料理の描写。たまらん。しみじみと読める一作。次号には後編が掲載。
 それから新谷明弘「期末試験前也〜紅き者〜」は、期末試験のための勉強中、ラジオのアンテナをいろんな方向に向けていた少年が、「紅き者」という謎の存在が流す電波をキャッチしてしまい……というお話。日常の中から何気なくぬっと顔を出すSF的世界を、例の垢抜けない絵柄で丁寧に描いている。このほのぼのとした雰囲気の異世界感が、とても味がある。近藤るるる「ミラクル高僧チベットちゃん」は、「ハイパーあんな」3巻に収録された読切の、4年ぶりの続編。近藤るるるは巨乳が好きだなあ。
 連載陣も充実している。志村貴子「敷居の住人」は回を重ねるごとに面白くなっているが、絵も洗練度を増してきたような気がする。永野のりこ「電波オデッセイ」では、キタモリたちがいろいろちっぽけで、かつ彼らにとってはそれが全てである大きな悩みを抱えつつ卒業式の日を迎える。なんとも切なくてハードで、あったかくて優しくていい。読んでると俺のセンチメンタルな魂が刺激され、どうにものたうち回りたくなってしまう。
 園山二美「蠢動」は、男と別れた女がステージ上で自分の思いをぶちまける一人芝居をするというお話。巻末の作者コメントを見ると、園山二美自身は満足してなさそうだが、実にしっかり面白い。一人の女が舞台の上で叫んでいるだけなのだが、そのセリフはテンポ良く進み、女の表情も異常なほどに豊かで雄弁。こういう一人芝居ものって作者の意図が空回りしがちなのだがそれを承知のうえで、なおかつ一見空回りしているように見えてガッチリと読者の心をわしづかみにしている。うまい。演出の力と技。羽生生純「恋の門」では、門の隠された一面がいろいろ見え隠れ。ラストシーンで門の部屋の外で聞き耳を立てている黒人がいい味。いましろたかし「釣れんボーイ」は第一部完。といっても次号から第二部が始まるし、とくに何が変わるというわけでもなさそう。強烈なまでの肩の力の抜けっぷりは圧巻。

【雑誌】ヤングアニマル 3/26 No.6 白泉社 B5中
 三浦建太郎「ベルセルク」。非人間的で過酷な聖職者、モズグスがなかなかいいキャラクター。ヘタな怪物よりもはるかに邪悪で忌まわしい。山口よしのぶ「名物!たびてつ友の会」。食って乗って食って乗って。これ読んでると本当に飯が食いたくなる。飯の描写はまあ普通だが、食べている姿が非常に楽しそうなのがいい。文月晃「藍より青し」。いいなづけ!子供のころから!居候!愛!ええのう。こいずみまり「コイズミ学習ブック」。今回のテーマは「ちんちんのいじりかた」。日本男根党党員としては好もしい内容であった。

【雑誌】漫画サンデーフォアマン 3/26 No.6 実業之日本社 B5中
 この雑誌で「鴆《CHIN》」という作品を連載していた西條栄一(=たちばな薫)のホームページ内3月分の日記の3月4日の項によると、フォアマンは3月売り分で休刊らしい。ということは次号(3月26日発売号)が最後ってことなのだろう。次号は「みやむーの婿」ことナカタニD.も登場するらしいのに。最近、カサギヒロシとか秋月めぐるとかが描いててちょっといい感じだっただけに残念。
 高橋のぼる「チェリー」もその影響かなんか知らないが、今回は話の途中でいきなり方向がガラリと転換。主人公の女子プロレスラーがグラビア撮影のときにいやらしい罠に堕ちそうになったと思ったら、急遽最後の5ページでタッグの相棒と引退を賭けた一戦をすることに。休刊という情報を知らないで読んでたときは「このままいやらしい展開が続いたほうがいいのになあ」と思っていたのだが、事情を知って納得。カサギヒロシ「クマロボ」。これは今回第7話だから、単行本化はちょっとキツイかなあ。全話読んでおけばよかった。後悔先に立たず。上農ヒロ昭「いつも上天気」。扉の女の子がかわいい。この人の絵を見てると誰かを思い出すのだが、名前が出なくてちょっと引っかかっていた。でもさっき思い至った。アングルとか表情がかわすみひろしと似ているような気がするのだ。

【雑誌】ビッグコミックオリジナル4/12増刊 新人コミック大賞増刊号 小学館 B5中
 第43回小学館新人コミック大賞の受賞作を集めた増刊。アフタヌーンが四季賞でこういう別冊を出してくれたらすごく嬉しいのだが。
 ある大学生のカップルのちょっとした光景を抜き出し、オムニバス形式の3本の短編にまとめた浦川いさお「或る場面」がわりと印象に残った。キャラクターが大学生というより小学生に見えてしまう点はちょっと難ありだが、のんびりとしたリズムがあっていい。鈴木修治「神、人、ゆきて帰らず」。内容は太平洋戦争時の特攻隊の隊員と、彼らの世話をする女学生たちのお話。ジブリ系の爽やかでしっかり描き込まれた絵柄は悪くない。でもコマ割りが細かく、画面が大きく使えていないのは残念。「遠くで何かやっている」という感じになってしまっている。あと、特攻隊隊員の心情を「全員が全員そうだったのだ」というふうに画一的にまとめてしまっているのもちょっと気になる。主張したいことは分からないでもないが、説教臭さを感じさせてしまうのは損だと思う。
 第41回で佳作を受賞した作家である小林えいじ「本のお話」がわりと良かった。主人公が子供のころに人に勧められて読もうと思ったが、途中で投げ出したミヒャエル・エンデの「はてしない物語」。本棚に置き去りにしていたその本を10年後、ふと読み返してみた主人公はその面白さにのめり込む。本を読むということに対する喜びが伝わってきて、なんだかうれしくなった。
 新人以外では、巻頭で松本零士が「大漫画開拓地」というタイトルの、新人にエールを送る漫画を描いている。あとしりあがり寿、東陽片岡、ほりのぶゆきもそれぞれ2ページ。

【雑誌】ヤングジャンプ 3/25 No.15 集英社 B5中
 高橋ツトム「ALIVE」。謎の女がその異常能力を見せつける。だんだん話が加速してきた。今号は山本康人「打撃天使ルリ」が登場。「打撃人間」という言葉の響きは素敵だが、今回はクライマックスの殴打シーンがちと物足りず。拳が顔面にヒットする瞬間もきちんと描いてほしかった。

【雑誌】月刊少年マガジン 4月号 講談社 B5平
 愛原司「VIVA CALCIO」。現実のセリエAも優勝争いをしているが、最近バティストゥータが負傷でいなくなってズルズルと調子を落としてきている。こんなとき、シーナがいれば……。現実のほうでは久しぶりにACミランの優勝も見たいとこだが、今年はラツィオかなあ。このままだと。間部正志「SPEED KING」。ちょっと読んでいないうちにいつのまにか、エミちゃんと高木が仲良くなってきているようだ。俺としては正統派ヒロインの仁科さんより、ちょっと頭軽げなエミちゃんのほうがいいなあ。

【単行本】「絶対隷奴」 草津てるにょ 司書房 A5
 最近ちょっと気になっていた実用系の人である。司書房系の雑誌に作品を描く人で、ムッチリとしてつややかな肌の質感がわりと気に入っている。それから鼻筋をしっかりと描いていて、大人の女性って感じなのもいい。こういう系統の漫画は、「美少女漫画」と呼ばれるだけあって美少女はよく出てくるのだけど、熟れた女性を描く人ってそう多くない。俺としては青い果実よりも熟れたほうが好きなんで、こういうほうが好み。熟れているわりに仕上げはきれいでスッキリしており、抜けがいいペンタッチの滑らかな描線もいい感じだ。


3/11(木)……男根三兄(以下略)

 ぴかちうを見ると、なんだか男根を連想してしまう。あの首から胴体にかけてのくびれともったりとした頭の曲線は亀頭のようであるし、ぐにょりずどんとした身体は肉茎を想起させる。そしてあの口。あれはどう考えても露口の部分であろう。……こういうことを書くとぴかちう好きの方の気分を害するかもしれず、たいへん申しわけないのだが、別にぴかちう様を貶めようというわけではないのだ。俺は日本男根党党員(非営利団体。現在党員数1名)であることからも分かるように男根崇拝者であるし。ああ、男根様男根様ぴかちう様。一応いっておくけど、男色の気はないよ。今はまだ。

【雑誌】エースネクスト 4月号 角川書店 B5平
 大野哲也「天使になるもんっ!」。かわいい魔女っ子が一方的に自分を好きになってくるという、もうこの上なくベタベタなお話で、絵もこれまたトロトロ。そして展開がそれに輪をかけてすごい。「〜にゃ」という語尾で喋る猫耳娘まで登場。ベタベタさもここまでくると立派。石田敦子「からくり変化あかりミックス!」。こちらもすごくかわいい絵柄だが、ベタベタってわけでなく軽やかな感じ。小学生の女の子のあかりが大人に変身してアイドル稼業をするのだが、なかなかハートフルな展開で読んでて気持ちがいい。絵もトーンよりペンタッチで見せる感じなのが好み。作:大塚英志+画:森美夏「木島日記」。森美夏の作画はやはりすごい。線の数は整理されていて少ないのに、妖しくかつ邪悪な雰囲気を醸し出す。そして最小限の事物しか描かず、なんとも緊張感のある画面を作り出している。気のふれたような常軌を逸した目つきをしたキャラクターの表情、造形もまたかっこいい。大塚英志の原作の魅力を十分に引き出し、さらに増幅してる感じ。3月25日発売の「北神伝綺」2巻も楽しみ。ちなみに森美夏のサイン会が4月1日に青山ブックセンター六本木店で開催されるらしい。行きたい人は、エースネクストで詳細を確認のこと。

【雑誌】ヤングサンデー 3/25 No.15 小学館 B5中
 木元vs.花マルの試合がついに始まった岩重孝「新・花マル伝」が巻頭カラー。当然カラー柔道着である(ウソである)。スピード感と迫力のある描写が、暑苦しい岩重孝の作風と合っている。柔道漫画ってわりと面白い作品が多いが、この作品もけっこう好きだ。山田芳裕「デカスロン」。ダン・オブライエンがどんどん野性をむき出しにして鬼気迫ってきた。ワイルドで過剰でなかなかいい感じ。山本英夫「殺し屋イチ」。まだ見ぬ痛みとの邂逅に垣原の胸は高なり、イチはいつものまま。この二人の対決、すごく楽しみ。もうぐっちゃんぐっちゃんに血みどろでぬるぬるして生臭いのだろうなあ。阿部潤「the山田家」。どうしたらこんなすごい表情が描けるんだろうというくらい、アクロバチックでアヴァンギャルドで奇矯な顔を描き続ける。すごいテンションだ。しかもそのテンションがいつまで経っても落ちない。

【雑誌】週刊少年チャンピオン 3/25 No.16 秋田書店 B5平
 西条真二「鉄鍋のジャン!」。今回の異様に手の込んだサメ&モヤシ料理は、ビッグ錠の「スーパー食いしん坊」で出てきた、星型のスパゲッティを氷の釘で打ちつけて一本一本縦に割くという料理を思い出した。能田達規「おまかせ!ピース電器店」は、ケンタローとモモコのデートのお話。ケンタローは男を見せるし、モモコはかわいいし、ラブコメ臭は濃厚だしで、なんとも心暖まるというかトロトロにしてくれる。毎週毎週、まったくクオリティが落ちないのは実に大したものだ。高柳ヒデツ「アブナイおねーさん!」は、主人公の男が近所に住むおねーさんに告白する。しかし、おねーさんに自分は宇宙人だから付き合えないといわれ、そんなこんなするうちにゴタゴタに巻き込まれるというお話。少年誌的でちょいと古めな絵柄なのだが、描画力はわりとしっかりしている。これはこれで完成された世界。田口雅之「バロン・ゴング・バトル」では、戦いをジャマされたゴードンがラミレスをメチャクチャに殴りまくる。っていうか破壊しまくる。こんだけ豪快に破壊すると気持ちがいいくらいだ。で、とりあえずゴードンvs.バロンはスッキリしない幕切れとなり、次号から新章スタート。それにしてもあれだけの傷を負って治るもんなのだろうか。バロンのことだからくそ気合いでくそ治すのだろうが。

【雑誌】週刊少年マガジン 3/24 No.15 講談社 B5平
 赤松健「ラブひな」。なんかもう実にラブでありコメである。アルファでありオメガである。かなりたわけた競馬漫画として名高い本島幸久「蒼き神話マルス」は、競馬をまったく知らない俺でさえそのたわけぶりは感じとれる。競馬好きの人にとっては言語道断なのかもしれないが、馬鹿馬鹿しくて俺は意外と好きだ。女の子もわりと色っぽいし。で、そのお話もいよいよクライマックス。日本ダービー突入。せっかくだから好きなだけやってもらいたい。

【雑誌】週刊少年サンデー 3/24 No.15 小学館 B5平
 作:坂田信弘+画:万乗大地「DANDOH!!」。ここのところ、意味もなく弾道が苦しそうにしていると思ったら、やはり予想通りな感じの強引な仕掛けが。坂田信弘はどうしても少年をイジメなくては気が済まないらしい。この強引さが素敵。北崎拓「なぎさMe公認」。まーくんは相手に苦しめられつつも、かなりど根性である。絵的には軟派な作品であるが、男子のほうの種目の描写はガッツンガッツンとしたぶつかり合いがあってなかなか激しい。

【雑誌】モーニング 3/25 No.15 講談社 B5平
 井上雄彦「バガボンド」では、武蔵が吉岡道場で暴れ放題。ここまで武蔵にとっては辛い展開が続いてきたが、それだけに武蔵の、実戦で鍛えられた剣の力がまざまざと見せつけられて痛快。作:西村ミツル+画:かわすみひろし「大使閣下の料理人」は、お話自体は人情モノの料理話なんだけど、なんといっても女性の描き方が魅力的で、それだけでつい目が吸い寄せられてしまう。かわすみひろしの絵は、線は単純なんだけど、なんか妙にしっとりとした色気があっていい。木葉功一「キリコ」。極限状態に追い詰められたキリコが、今まで塞き止められてきた心を一気に爆発させる。強いキリコもいいけど、弱いキリコもまた魅力的。そこらへんのギリギリのところにある二面性がたまらない魅力だ。


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